face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

はじめに

ブログ【face it】担当のKeiと申します。ラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)のスタッフのひとりを担当しています。

お問い合わせやご意見などは、Twitterアカウント(@Kei_radio)宛にダイレクトメッセージにて、お願いいたします。もしくは、はてなユーザーの方は各エントリーにコメント出来ますので、よろしくお願いいたします。

米ソングスチャートはテイラー・スウィフト陥落、カーディ・Bがデビュー曲にして首位獲得

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の9月25日月曜に発表された、10月7日付最新チャート。3週連続で首位をキープしたテイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」が早くも陥落、カーディ・B「Bodak Yellow (Money Moves)」が遂に1位となりました。2位にはポスト・マローン feat. 21サヴェージ「Rockstar」が初登場、さらにポルトガル・ザ・マン「Feel It Still」が10位に入り自身初のトップ10入りを果たしました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

トップ10が3曲入れ替わるという波乱の週になりました。

カーディ・Bは女性ラッパーとしては5人目となる首位獲得、しかも客演なしとなるとローリン・ヒル「Doo Wop (That Thing)」(1998)以来2人目の快挙達成。さらにジャンルに関係なく女性ソロ歌手でデビューシングルが首位を獲得したのは、メーガン・トレイナー「All About That Bass」(2014)以来となります。

各指標を見るとストリーミングは4640万で前週比14%上昇、ラジオエアプレイは同8%上昇の6200万、そしてデジタルダウンロードが再浮上し前週比85%もの大幅アップで56000を叩き出しました。他方、テイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」(今週3位)の各指標はストリーミングが3270万で前週比18%の大幅ダウン、デジタルダウンロードも同17%ものダウン(58000)となり勝負有りというところ(ラジオエアプレイは前週比3%上昇し7900万)。テイラーの大幅な失速もカーディ・Bには追い風でしたが、「Bodak Yellow (Money Moves)」のiTunes Storeにおける69セント安価販売が功を奏した形。さらにはコダック・ブラック参加版のリミックスも18日にリリースされており、それが加算された形です。

Bodak Yellow (feat. Kodak Black) - Single

Bodak Yellow (feat. Kodak Black) - Single

  • Cardi B
  • ヒップホップ/ラップ
  • ¥250

 

2位で初登場を果たしたのが、ポスト・マローン feat. 21サヴェージ「Rockstar」。

ポストにとっては今年7月にクエヴォをフィーチャーした「Congratulations」が8位を獲得して以来2度目のトップ10入り(21サヴェージは初)。9月15日金曜(金曜はデジタル2指標のカウント初日)にリリースされ、ストリーミング及びデジタルダウンロードで首位発進となりました。ただしラジオエアプレイは「Bodak Yellow」の10分の1以下であるため、次週以降この位置をキープするにはデジタル2指標の失速分をラジオエアプレイがいかにカバーするかが鍵となります。

 

21サヴェージ同様、初のトップ10入りとなったのがポルトガル・ザ・マン「Feel It Still」。4ランクアップで10位に登場しました。

あのマーヴェレッツによる56年前の全米No.1ヒット「Please Mr. Postman」(→YouTube)をサンプリングしたこの曲(米ビルボードの記事にはサンプリングと記載されていますが、もしかしたらサビ最初のメロディラインを引用したということかもしれません)。既にラジオエアプレイでは5位にランクインしており、オルタナティヴソングスチャート(エアプレイに基づく)では14週目の首位を獲得済。デジタル2指標でも共に前週比6%上昇し堅調な動きを見せています。トップ10入りを経て認知度を高め、更なる伸びが期待出来るかもしれません。この曲の鍵は、ロック系が基本的に弱いとされるストリーミングをいかに高めるかでしょう(現在同指標において36位)。

 

また再浮上でトップ10入りを果たした曲として、ヨー・ガッティ feat. ニッキー・ミナージュ「Rake It Up」も紹介(今週8位)。9月14日にNBC『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』に2人が出演しこの曲をパフォーマンスしたことが功を奏し、ストリーミングが前週比20%、デジタルダウンロードが同32%、そしてラジオエアプレイが同10%もの大幅アップとなりました。

 

チャート上昇のきっかけは安価販売、リミックス版投入、メディア出演...と、様々なところにあるのですね。どこで仕掛けるかというタイミングの見極めも重要になっているのが、今回のチャートアクションを見るとよく解ります。

ブログ、連続1000日目の更新です

極々私事ですが、このブログ【face it】が本日をもって1000日連続のエントリーとなりました。2014年の大晦日に再開してからここまで一日も休まずというのは飽きやすい性格の自分には驚きですが、今後も継続していきますのでよろしくお願いいたします。

この1000という数字、とりわけ"1000%"という表現には大仰なイメージを抱いていたのですが、実際に何かしらでも1000という山を達成した身にとっては、ものすごくリアルに響いてきますね。これらの曲がより身近に感じられるような気がしています。

「君は1000%」、安藤裕子さんによるカバーもまた素敵なのでこちらにこっそりと紹介。シングル「The Still Steel Down」(2006)のカップリングに、またカバーアルバム『大人のまじめなカバーシリーズ』(2011)に収録されています。

 

ちなみに「君は1000%」における、"1000%って何やねん!"というツッコミ必至の、でも激キャッチーなサビ冒頭のフレーズを書いたのが作詞家の有川正沙子さん。この方、あのとんでもないカバーの作詞(訳詞?)を手掛けていたんですよね。こっちのほうがよりツッコミ必至かと思われます。

単に80年代女性アイドル曲を流すだけではなかった、コミュニティFMから流れてきた技ありな選曲群

我が地元のコミュニティFM弘前市FMアップルウェーブで土曜16時に放送されている『J-POPソングス』。タイムテーブルを見るに、自社制作もしくは発信番組ではないからか、白色で表示されています。コミュニティFMではこのような外注(?)で、音楽をただひたすら流す番組が少なくないのですが、昨日9月23日の放送を途中から聴いていて、なんだこの曲知らない曲ばかりだ...と思い、スマートフォンアプリのShazamを使ってチェック。その結果。

松本伊代プリマドンナになれなくて」(アルバム『夢ひとつ蜃気楼』(1983)収録)

小森まなみ「天使たちの夜」(シングル(1983)収録)

・安田成美「透明なオレンジ ~愛のオレンジラインより~」(シングル(1984)収録)

水谷麻里「なかよしNo.1」(アルバム『なかよし』(1986)収録)

高橋美枝「エンゼル・フィッシュ」(シングル(1984)収録)

山瀬まみ「Heartbreak Café」(シングル(1986)収録)

その後はアグネス・チャン「ポケットいっぱいの秘密」がかかるのですが、一気に12年遡るので山瀬まみさんの曲までで一括りと言えるでしょう。歌手の方はほぼ存じ上げていますしシングルベストの音源もあるのですが、大ヒット曲ばかり聴いて細かなチェックを怠ったためか、このような曲もあるのか!と反省です。

 

で、当初これらの曲は"80年代女性アイドル括り"という大雑把なテーマで用意されたんだろうなあと思っていたのですが、調べるうちに驚きの結果が。

松本伊代プリマドンナになれなくて」(アルバム『夢ひとつ蜃気楼』(1983)収録)

  作詞:来生えつこ 作曲:南佳孝

小森まなみ「天使たちの夜」(シングル(1983)収録)

  作詞:来生えつこ 作曲:南佳孝

・安田成美「透明なオレンジ ~愛のオレンジラインより~」(シングル(1984)収録)

  作詞:松本隆 作曲:南佳孝

水谷麻里「なかよしNo.1」(アルバム『なかよし』(1986)収録)

  作詞:松本一起 作曲:南佳孝

高橋美枝「エンゼル・フィッシュ」(シングル(1984)収録)

  作詞:松本隆 作曲:南佳孝

山瀬まみ「Heartbreak Café」(シングル(1986)収録)

  作詞:松本隆 作曲:南佳孝

テーマは完全に"南佳孝作曲集"なのでした。しかも今回のOA曲は4年前にリリースされた提供曲によるコンピレーション、『Alma(魂)~南佳孝作品集』には全て未収録という。

選曲担当者が南佳孝さんのファンなのか、そしてそもそもの話として昨日の『J-POPソングス』がどこ制作なのかは解りかねるのですが、今回判明したのは、曲を流しっぱなしにしているようにみえて実は遊びゴコロ溢れている音楽番組であるということ、そしてそのような番組がおそらくは他のコミュニティFMにもあるだろうということ、ですね。自社制作番組の合間の穴埋めと思っている方がいらっしゃったらその認識を覆してほしいなと実感です(というか、自分がその意識でいたことを猛省...)。コミュニティFMを聴いてみると意外な発見があるかもしれません。

八代亜紀のジャズ新曲は"モノマネに寄せてきた"?

第二弾登場の報に嬉しくなりました。

新ジャズアルバムと聞いて思い出したのは5年前の『夜のアルバム』。内容があまりにも素晴らしく、収録曲はそのほとんどが好きなのですが、とりわけ自分好みな「ただそれだけのこと」を同年の私的年間ベストに選んだほど。

今回八代亜紀さんは、『夜のアルバム』の続編となる『夜のつづき』をリリースするとのこと。既に先月アナウンスされていて(下記音楽ナタリーのリンクを参照)、自分は危うく情報を逃すところでした。プロデュースが前作と同じ小西康陽さんということで、もうこれは間違いないでしょう。

で、そこからの先行曲(と言っていい位置付けとなる)、「帰ってくれたら嬉しいわ (You'd Be So Nice To Come Home To)」のショート版が既にYouTubeに挙がっているのですが。

Fried Pride中島美嘉さんもカバーしている、ヘレン・メリル版があまりにも有名なこの名曲に触れてふと、"八代さん、モノマネ芸人に寄せてきた!?"と思ったのです。というのもミラクルひかるさんが以前八代亜紀さんのモノマネをした際、用いたのがまさにこの曲だった...というわけでその動画をこっそりと。モノマネ芸人はデフォルメが一般的であり、そのモノマネが浸透すればするほどモノマネされた側はモノマネ芸人側に"寄せていく"傾向があると言われます。今回上記の動画を観る限り、さすがに八代さんはセルフデフォルメに至ってはいませんが、この曲を選んだのはもしや一種の寄せでは?と考えたわけです。

しかしよくよく調べれば八代さんはこの曲を以前、敬愛するヘレン・メリルと共演していて、そのライブテイクが『夢の夜~ライヴ・イン・ニューヨーク』として2013年にリリースされていたわけで。おそらくはミラクルひかるさんがこのライブ(音源)を知ってトライしたのではないか...そう考えれば辻褄が合いますね。

 

『夜のつづき』を聴いてミラクルひかるさんをいい意味で?思い出さないように気をつけないとなあとふと思った次第。

サウンズ・オブ・ブラックネス「Optimistic」リミックス名から考えた命の"軽さ"への不安

”死ぬなんていう言葉をそう簡単に使うなよ!”という台詞を残したのは金八先生ですが、最近命を軽んじる言葉が巷に溢れているように思うのです。

 

先週中古CDが安かったので掘ってきたのですが。

https://www.instagram.com/p/BZLnLCNnFvd/

この中の『I Love R&B Premium Groove』に収録されていたのが、チャンス・ザ・ラッパーきっかけで今年再びヒットしたサウンズ・オブ・ブラックネス「Optimistic」のリミックス、「Optimistic (12" Never Say Die Mix)」。オリジナル版はブログでも取り上げました。

オムニバスにクレジット記載がないためサンプリング音源が定かではないのですが、ランDMC「Peter Piper」っぽい音をミックスしてよりヒップホップ/R&Bライクに仕上げています。

 

さて、このリミックスに使われている言葉が"Never Say Die"...死ぬって言うなという強い表現にドキッとさせられるのですが、残念なことには金八先生が必死になるくらいに自死を選ぶ人は増えています。選ぶ勇気はないけれど心の何処かでいつかは...と望む人もいるかもしれません。そういう人向けにこのリミックスが生まれたのではと考えています(尤もそのような強い表現が逆に相手の心を閉じさせかねないという不安もあるのですが)。

でも、死ぬって言う人がいるのと同じくらい、いやそれ以上に、死ねとか殺すという人がいるような気がしてなりません。ゆえに、悩みを打ち明けられず(打ち明けたところで罵倒されかねないなどと考え自らブレーキをかけてしまう)、最悪の手段を選んでしまう人は少なくないのでは?と思うのです。

死ねなどという表現は、直接相手に用いられることもあります。たとえば最近Twitterのアカウントが凍結された著名ジャーナリストは、自身への非難にそのような表現を多用していたと聞きます。そういった表現は論外だと思うのですが、たとえ直接的表現じゃないとしても、実は最近の日本語に命を軽視するもしくは命を落としかねない事項を取り入れた言葉が少なくないように思うのです。【ゲリラ豪雨】【飯テロ】【帰宅難民】【(長期間留めさせるという意味での)拉致】【原作レイプ】…外国語にもそういう言葉はあるかもしれませんが、このような言葉が安易に登場するようになった日本語に驚くと共に、元来の意味を考えようとせず安易に用いる日本に大丈夫なのかと思うことが増えています。せめて自分は、これらの命を軽んじるような言葉を用いないように心に決めています。

 

 

「Optimistic」を聴いて心を軽やかにし、自死を思わせる言葉も相手を壊しかねない言葉もそして命を軽んじるような言葉も使わなくて済むような人が増えることを願うばかりです。

荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」がビルボード・ジャパンチャートに"今週初登場"した理由

日本の音楽のヒットを複合指標によって算出する、ビルボード・ジャパン総合ソングスチャートHot 100。最新9月25日付チャートで、荻野目洋子さんの1985年発売の大ヒット曲「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」が46位に初登場を果たしました。この快挙についてツイートしている方は(現段階で)一人しかいないのがちょっと悔しいと思い、今回エントリーに至った次第。

その方のツイート("荻野目洋子 ビルボード"とTwitter内で検索すると出てきます。一般の方と思われますので引用は控えさせていただきました)で貼られている、ビルボード・ジャパンのCHART insightで解るように、「ダンシング・ヒーロー」の期間中(9月11日~17日)の国内動画再生回数(指標)は4位。他指標でランクインしていないことから察するに、総合チャート初登場の牽引力は動画であることに間違いありません。そしてその動画こそ、ツイートで指摘されている"登美丘高校ダンス部"であることもまた事実でしょう。

ネット上ではこのバブリーなダンスパフォーマンスが数週前から話題になっていました。上記動画はブログ執筆段階で306万超の再生回数を記録していますが、アップロード日は8月29日。と考えると、「ダンシング・ヒーロー」は数週前に総合チャートに登場してもよかったはずです。なのに今週になって初登場したのはなぜか...おそらくはこの動画にあるものと思われます。

ダンス部の振付を担当するakaneさんとのなみゆさんが所属するアカネキカク(のアカウント)がアップしているこの動画のアップロード日は9月16日(つまりは集計週)。現段階で418万回再生されています。そして動画の説明文には荻野目洋子さんの楽曲名がきちんと掲載されています。そこで思い出したのは以前のブログエントリー。

上記でも引用したビルボード・ジャパンの"ビルボードジャパンの自問自答"にもあるように、『ISRCを動画アップロード時に付番』していればチャートインの対象になるということ。おそらく今回、アカネキカク側は音楽使用の権利関係をクリアし、アカネキカク側もしくは荻野目洋子さん側のどちらかがISRCを付番したことが今回の総合チャート46位初登場を果たせた理由なのだと思います。

 

今後「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」は、たとえばシングルが再発等されない限り、複合指標に基づくビルボード・ジャパンの総合チャートにおいて更なる浮上を果たすことは難しいかもしれません。しかし今回の動画を機にたとえばベスト盤が売れたり楽曲単位での配信購入が増えたり、また荻野目さんの露出が増える可能性は十分あるでしょう。その意味において、総合チャートでのヒットは荻野目さんの芸能活動にとって中長期的な意味でプラスになるはず。この曲が素晴らしいダンス部に用いられなければヒットしなかったとはいえますが、ダンス部の軌跡がきちんと社会に浸透したことがビルボード・ジャパンでも示されたことで、同チャートはより社会的なヒットの鑑になったと言えます。

 

最後に。個人的には3年前のセルフカバーもまた、クオリティ高くてお勧めです。同年の私的邦楽ベストにも選びました。その理由はブログにしたためています。