face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

はじめに

ブログ【face it】担当のKeiと申します。ラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)のスタッフのひとりを担当しています。

お問い合わせやご意見などは、Twitterアカウント(@Kei_radio)宛にダイレクトメッセージにて、お願いいたします。もしくは、はてなユーザーの方は各エントリーにコメント出来ますので、よろしくお願いいたします。

Mrs.GREEN APPLE「ロマンチシズム」がトップ10ヒットに至れなったことから考える、日本におけるミュージックビデオの位置付け問題

水曜に発表された、最新4月22日付ビルボードジャパンソングスチャートで24位にランクインしているMrs.GREEN APPLE「ロマンチシズム」。デジタル先行で解禁されたこの曲は、4月3日にシングルCDがリリースされたことで前週シングルCDセールス指標を初加算し11位まで上昇しましたが、前2作のシングル「青と夏」(最高10位)、「僕のこと」(同7位)で成し遂げたトップ10入りを果たすことが出来ませんでした。

その理由を探るべく、「ロマンチシズム」のCHART insightをみると興味深い事実が浮かびます。

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下のグラフはCHART insightの中から総合順位(黒の折れ線グラフ)、シングルCDセールス指標(黄)および動画再生指標(赤)だけを抽出したもの(後に取り上げる楽曲についても2種類のグラフを掲載します)。「ロマンチシズム」は動画再生指標が4月1日付で一度100位未満(300位以内)に登場しながらも翌週には圏外になり、シングルCDセールス指標初加算の翌週に98位に再登場しています。98位といえどチャート構成比のおよそ10%を占め、総合ポイントは今週1777であることを踏まえれば、動画再生指標だけで180ポイント前後を稼いだことに。しかしなぜ動画再生指標が一度消え、再度ランクインしたのでしょう。

 

実は、「ロマンチシズム」には2種類の公式動画が存在します。

上記は1分強のショートバージョン。3月14日に所属レコード会社、ユニバーサルミュージックジャパンの公式アカウント発で公開。そして下記はMrs.GREEN APPLEの公式アカウント(Official VEVO Channel)に、4月8日に公開されたフル尺の動画となります。

最新4月22日付ビルボードジャパンソングスチャートの集計期間は4月8日からの1週間ゆえ、今回動画再生指標が100位以内に登場したのはこのフル尺公開に因るものが大きいと言えるでしょう。

 

この2種類の動画の公開タイミングおよび発信元に違和感を覚えた次第です。

 

YouTubeでのフル尺公開タイミングに関しては以前、YouTube Premiumというサービスを敬遠してシングルCD発売日まで公開を控えるという傾向があるだろうことを書きました。顕著な例が欅坂46「黒い羊」ですが。

しかし「黒い羊」がストリーミング全体をシングルCD発売日まで行わなかったのに対し、「ロマンチシズム」はシングルCD発売に先立つ3月15日より、デジタルダウンロードおよびストリーミングを解禁済ゆえ、YouTube Premiumを警戒することはほぼないと思われます。

 

では何が違和感なのか? それはミュージックビデオの扱い方について。「ロマンチシズム」のミュージックビデオはシングルCDに同梱されるDVDに、メイキングと共に収録されています。そのシングルCDが発売した翌週月曜になってフル尺を、それも別アカウントで公開したことのみならず、ショートバージョンには限定公開と謳われていること(YouTubeの動画のタイトルの真下に、チェーン的マークおよび"限定公開"の文字が)を踏まえれば、先にショートバージョンを公開したレコード会社側には、このミュージックビデオを"シングルCDを購入した上で観てほしい"という思いが強くあったのでは、と推測出来る気がします。

尤もMrs.GREEN APPLEと所属レコード会社とで、ミュージックビデオのYouTube公開に対して取り決めがあるだろうことが想像出来ます。というのも、先述した「青と夏」「僕のこと」にもショートバージョンとフル尺のミュージックビデオがそれぞれショートバージョン先行公開の形で用意されているゆえ。下記日付をクリック(タップ)すると動画を確認出来ます。

・「青と夏」シングルCD発売:2018年8月1日

  ユニバーサル動画公開:2018年7月11日

  Mrs.GREEN APPLE公開:2018年8月9日

・「僕のこと」シングルCD発売:2019年1月9日

  ユニバーサル動画公開:2018年12月25日

  Mrs.GREEN APPLE公開:2019年1月17日

「青と夏」「僕のこと」のMrs.GREEN APPLE側での公開は月曜ではなかったため、今回「ロマンチシズム」の歌手側での公開タイミングが月曜だったことはチャート対策ではなくただの偶然かもしれません。しかしいずれにせよ、【ショートバージョン公開→シングルCD発売(ミュージックビデオ収録のDVD同梱)→フル尺公開】という流れであることは変わりません。そして。

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「青と夏」「僕のこと」のCHART insightをみると、シングルCDセールス指標より遅く動画再生指標が盛り上がるという構図であり、「ロマンチシズム」も同種の動きとなることが考えられます。ただ、【ショートバージョン公開→シングルCD発売(ミュージックビデオ収録のDVD同梱)→フル尺公開】の条件は同じだとして、「ロマンチシズム」はショートバージョンで既に動画再生指標300位以内に入っており、おそらくはシーブリーズCMソングという夏の風物詩的タイアップに基づく注目度の高さとゆえのランクインと考えるに、ショートバージョンと知った方がネガティブな感情を抱き再生を繰り返さなかったことで同指標が翌週圏外になったのではないでしょうか。仮に今回、動画再生までのいつものスケジュールを覆し、先行でフル尺にてミュージックビデオを公開していたならば総合でトップ10入りを果たせた可能性は十分あったと考えると、いつものスケジュールに則ったのは非常に勿体無いと思うのです。にもかかわらず、それでもフル尺の公開を遅らせる措置を採ったのは、レコード会社側がミュージックビデオに"商品"としての価値を強く持たせた(ことでシングルCD購入への流れを作りたかった)のかもしれません。がしかし、ビルボードジャパンシングルCDセールスチャートで初登場した週の売上枚数をみると、「青と夏」が9882枚、「僕のこと」が11283枚に対し「ロマンチシズム」は10716枚となっており、特段上昇しているわけではないため功を奏したとは言えないというのが私見です。

 

 

ミュージックビデオは"商品"である、というのは理解出来ます。収録された映像盤をCDに同梱することが自然なことである日本(市場)においては、映像盤が購入の動機のひとつとなるゆえ尚の事です。しかしそれはあくまでCDを売るための施策としての"商品"という位置付けが主体になりすぎてはいないかと。デジタルダウンロードやストリーミングにつなげるための"プロモーション"(そして、ビルボードジャパンソングスチャートではそもそも動画再生がカウント対象となります)、そして歌手の芸術性を提示したり、その存在を日本のみならず諸外国へ発信する等、大袈裟かもしれませんが"文化"という意味合いで用いなければ、フル尺公開が常という諸外国側が日本のドメスティックなやり方を疑問視し触れたくても敬遠する可能性がありますし、逆に日本の音楽を世界に放つことも出来にくくなります(デジタル興隆により、音楽をフィジカルで輸出する必要がなくなったゆえ尚更)。無論チャートアクションにも影響するわけで、その点をレコード会社等は考えていただきたいと思います。

 

提案ですが、次のMrs.GREEN APPLEのシングルCDリリースのタイミングで、フル尺でのミュージックビデオをデジタル先行解禁時、もしくは遅くともシングルCD発売日に公開するのは如何でしょう。その結果をここ最近のシングルと比較してみていただきたいものです。そこでミュージックビデオ収録のDVDを同梱したシングルCDが極端に売れなくなるならば現在の公開スケジュールに戻せば良いのではないでしょうか。チャートを追いかける身としては、高い動画再生指標が加算されることにより自己最高位を更新出来るの可能性が高いと思うのですが。

ラジオエアプレイ初週好調の「Pretender」とDa-iCEに書いた「FAKE ME FAKE ME OUT」でOfficial髭男dismはさらに化ける

水曜に発表された、最新4月22日付ビルボードジャパンソングスチャート。上位100位には入っていませんが、Official髭男dism「Pretender」が早速ラジオエアプレイ指標4位に登場しているのが興味深いので紹介。

昨年のメジャーデビューシングル「ノーダウト」がドラマ『コンフィデンスマンJP』に起用されたのに続き、同作品の映画版『コンフィデンスマンJP ロマンス編』が5月17日に公開されるタイミングで、その2日前に「Pretender」がシングルCDとしてリリース。一方で先週ラジオエアプレイが、そして今週水曜にミュージックビデオが解禁されたのみならずデジタルダウンロードおよびストリーミングもはじまっており、チャートアクションは各指標を段階的に重ねていくものになります。次週以降はデジタル指標群が加算されますが、既にラジオエアプレイが好調というのは興味深いところ。実は前2作、「ノーダウト」および「Stand By You」が同指標でとりわけ素晴らしいチャートアクションを見せていたので、今回も伸びに期待出来そうです。最新4月22日付ビルボードジャパンソングスチャートに至るまでの、シングル3曲のCHART insightを以下に。緑色がラジオエアプレイ指標となります。

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ラジオエアプレイのみならず、「ノーダウト」および「Stand By You」はストリーミングも強く、ラジオエアプレイが上位にとどまる中でストリーミングを伸ばしています。ストリーミング指標はラジオエアプレイ指標や総合チャートで100位圏外になった後も上位にとどまっており、現在に至るまで2曲共に総合300位以内に在籍しているのは素晴らしいですね。Official髭男dismが浸透してきていることの証拠と言えるでしょう。

 

この新曲とは別に、メンバーの藤原聡さんが初めて男性歌手に書き下ろしたDa-iCE「FAKE ME FAKE ME OUT」が来週リリース。こちらはダンスチューンで、80年代風ファンクっぽさの中にどことなくマイケル・ジャクソン「Black Or White」や真心ブラザーズサマーヌード」を想起させるアレンジが出てくるのも楽しいところ。Da-iCEはこれまでにも80年代風アプローチに挑戦し、(80年代後半から流行した)ニュージャックスウィングなナンバーをリリースしていますが、個人的には近年の彼らの楽曲の中でも屈指の格好良さではないかと。そして大野雄大さん、花村想太さんの声がよく映える藤原さんのメロディラインとDa-iCEとの相性もいいですね(想太さんの大サビ最後の声のしなやかさ、そして直後のサビでの二声はただただ見事でした)。

 

外仕事、そして大きなタイアップが付いた自身の楽曲…この2ヶ月でOfficial髭男dismはさらなる飛躍を遂げるものと思われますが、そのためには「Pretender」が、前シングル「Stand By You」で成し遂げたラジオエアプレイ指標4週連続首位に並び、上回る記録を樹立することが必要かもしれません。

King & Prince「君を待ってる」、首位からトップ10圏外への急落の原因と改善点を考える

最新4月22日付のビルボードジャパンソングスチャート。昨日はBLACKPINKに注目しました。

今日はKing & Prince「君を待ってる」について。

 

昨年「シンデレラガール」でデビューしたKing & Princeが圧倒的なチャートアクションを示したことは、同曲が年間12位にランクインし、ジャニーズ事務所所属歌手で最高位を記録したことからも明らか。続く「Memorial」も年間42位と高位置を獲得し、この好調な流れの中で今月リリースしたのが今年第1弾、通算3枚目のシングル「君を待ってる」です。

前週はシングルCDセールス指標初加算となり同指標の勢いもあって首位を獲得しましたが、今週11位に急落。シングルCDセールス加算2週目にしてトップ10落ちは今作がはじめてとなります。そして気になったのが。

シングルCDの初週の売上枚数は40万を超え、前作比107.6%とアップしているのですが、総合ポイントでみると前作比95.0%。このダウンに関しては、この間にビルボードジャパンソングスチャートの各指標のウェイト付けが変わった可能性が高いと思われるほか、シングルCDの係数が2作で異なることも考えられます。しかしながらウェイト付け等が変わったとして、シングルCDセールス指標加算2週目の前週比が11%台というのはちょっと落ち込んではいないかというのが私見です。

 

この前週から今週にかけての落ち込みの大きさにはいくつかの理由が考えられます。ひとつはシングルCDセールスの前週比。「シンデレラガール」のシングルCDセールス2週目は初週の6.7%、「Memorial」は同6.6%に対し「君を待ってる」は同5.1%と前2作の1.5%以上ダウンとなっています。これは認知度の上昇に伴いファンが増え、シングルCD発売初週での購入者が増えたことも考えられます。

その他、シングルCDセールス指標加算初週および2週目における、8指標での推移を比較すると。 

※各指標について

 ・ポイント:総合ポイント

 ・ポイント前週比:前週および当週共に50位以内にランクインした場合のみ計算(50位未満は総合ポイントが表示されない)

 ・上記の理由により50位未満、総合ポイントで比較不能時は※で表示

 ・各指標について

  (詳細はビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANをご参照ください)

   CD:シングルCDセールス

   DL:デジタルダウンロード

   ST:ストリーミング

   RA:ラジオエアプレイ

   LU:ルックアップ

   TW:Twitter

   MV:動画再生

   KA:カラオケ (2018年12月10日付より開始。2018年度以前は未表示)

 ・各指標毎順位における[-]はランク圏外(101~300位)、[ ](ブランク)はランクインせず。これらはCHART insight | Billboard JAPANから曲名をクリックすると確認可能です

シンデレラガール 総合
順位
ポイ
ント
前週
CD DL ST RA LU TW MV KA
2018/6/4 1 34324 1     5 1 4 82  
2018/6/11 4 7431 21.6% 4     22 1 7 -  
Memorial 総合
順位
ポイ
ント
前週
CD DL ST RA LU TW MV KA
2018/10/22 1 32259 1     15 1 1    
2018/10/29 6 4533 14.1% 5     37 1 8    
君を待ってる 総合
順位
ポイ
ント
前週
CD DL ST RA LU TW MV KA
2019/4/15 1 30649 1     4 1 1    
2019/4/22 11 3482 11.4% 6     63 1 23   -

「シンデレラガール」では1分間のティーザー的ミュージックビデオが動画再生指標としてカウントされていましたが、「Memorial」以降はなし。この指標も気になりつつ、むしろ「君を待ってる」のラジオエアプレイが大きく落ち込んでいる点、そしてTwitter指標がトップ10落ちしている点が気になります。

 

実はTwitter指標において、King & Princeと同じ事務所所属で極めて強いグループがいます。それがA.B.C-Z。最新シングル「Black Sugar」は4月8日付でシングルCDセールス指標が初加算され総合6位に登場。翌週は30位に後退したのですがTwitter指標は1→4位。総合ポイントにおけるシングルCDセールス指標加算2週目の前週比は21.6%と、「君を待ってる」の倍近くとなりました。この"シングルCDセールス指標加算2週目における総合ポイント前週比20%超え"を果たしたのは先述した「シンデレラガール」以降のジャニーズ事務所所属歌手の作品ではKEN☆Tackey「逆転ラバーズ」(20.6%)、A.B.C-Z「JOYしたいキモチ」(26.2%)そして「Black Sugar」のみ。つまり4作品のうち半分をA.B.C-Zが占めているわけです。「JOYしたいキモチ」も総合順位は5→31位ながらTwitter指標では2→7位と推移し他指標以上に目立っていることから、少なくともA.B.C.-ZにおいてはTwitter指標が高水準をキープすることが総合ポイントに貢献していると言ってよく、他の歌手も取り入れることが出来る手法ではないかと思われます。

とはいえ、「JOYしたいキモチ」「Black Sugar」は、シングルCDセールス指標加算3週目にいずれも総合100位圏外となっているのは気掛かりです。

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こちらは「Black Sugar」の4月22日付チャートにおけるCHART insight。円グラフのチャート構成比は最新週のそれであり、Twitter指標が全体のおよそ8割を占めています。ひとつの指標(特にシングルCDセールス指標)が全体の過半数を占めると偏りすぎとなり翌週以降のチャートアクションが気掛かり…というのはよく書いていることですが、この曲も同種の動きとなった可能性はあります。また、最新週において「Black Sugar」はTwitter指標22位のみならず、シングルCDセールス56位、ルックアップ42位と各指標の順位が決して悪くはないのですが、デジタルダウンロード、ストリーミングおよび動画再生)がカウントゼロという状況ゆえこれらデジタル指標群に頼れないこともまた、この曲が総合チャートで維持出来なかった原因と思われます。

 

Twitter指標においては、このブログでは幾度となく、三浦大知「Blizzard」が特筆すべきだと書いてきました。ファンによるTwitter活動(いわゆる"ブリ活")がロングヒットにつながり、現在も100位以内にランクインしています。ただ、「Blizzard」のロングヒットの理由はブリ活だけではありません。

最新3月25日付のCHART insightにおけるチャート構成比をみるとTwitter指標は3割強。他方、動画再生やストリーミング指標が2割前後を占めるなど、多くの指標でバランス良くポイントを獲得しています。Twitter指標だけに偏っていない、頼っていないこともまたロングヒットの条件を満たしていると言えます。

三浦大知「Blizzard」がビルボードジャパンソングスチャートで成功を収めた、その5つの理由を探る(3月24日付)より

逆に言えば、Twitter指標の好調さは前週の勢いを出来る限り落とさずに済むことには有効であれど、他指標が伴わなければあまり意味を成さないということ。そしてTwitterは主にファンがつぶやくことでカウントされる、ファンの意識が高く反映された指標であれど、一方で動画再生やストリーミングは、ファンがミュージックビデオ収録のDVDを同梱したシングルCDを購入することを踏まえれば、どちらかといえば曲に興味を持ったものの購入までには至れないと考えているかもしれない、その曲や歌手のライトなファン(以下ライト層)が主に用いるものと言えるでしょう。そうなると、コアなファンのみならずライト層も触れる手段がある作品のほうが他指標も伸ばすことが出来、ロングヒットにつながるのではないかと思うのです。

 

ブリ活等、Twitterがチャートアクションに寄与した曲を紹介したブログエントリーに関しては、特にTwitter活動に積極的な(もしくはそれを目指していきたい)歌手のファンの方々が引用等してくださっていますし、事実ファンの活動が形になっているものと、データから客観的に捉えることも出来ます。ただ、たとえば今回例示したA.B.C-Zにおいては、デジタルに明るくない所属事務所の姿勢がどうしてもチャートアクションのネックになることが、三浦大知「Blizzard」と比較すると明らかだと思うのです。仮にチャートアクションで強くなってほしいと思うならば、ライト層(およびコアなファン)が接触可能なデジタル指標群を稼ぐべく、所属事務所側に提言してみてはいかがでしょうか。ファンの熱意で事務所が動き、日本のエンタテインメントが前進するならばものすごく格好いいことだと思うのです。デジタル解禁によりシングルCDセールスが落ちるものと上層部は捉えているのかもしれませんが、特にアイドルの場合コアなファンは確実にシングルCDを(グッズとしての意味合いも強いゆえ)購入するでしょうし、より広く聴かれたほうが芸能界で長く活動することが出来るのではと思うのですが。

 

話は大きくなってしまいましたが、しかしながら今回の件は"AKB48と坂道グループの差"にも当てはまるんですよね。

それぞれの楽曲の社会への浸透度(イコール社会的ヒットに至っているかどうか)を踏まえるに、"シングルCDセールス指標加算2週目における総合ポイント前週比"の高低は大きな尺度になるものと考えていますし、またAKB48はデジタル解禁しているものの)坂道グループより低いことを踏まえれば、坂道グループはコアなファンのみならずライト層も支えていることが、以前のエントリーにおける一覧表から見えてきます。

 

BLACKPINKが「Kill This Love」でキャリア最高位更新した理由は?…4月22日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

4月8~14日を集計期間とする、4月22日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、総合ソングスチャートはHKT48「意志」が制しました。

高いシングルCDセールス指標に支えられ、2位に3倍以上のポイント差をつけての首位獲得。とはいえルックアップ8位、デジタルダウンロード61位、ラジオエアプレイ50位およびTwitter11位と他指標が振るわず、チャート構成比の9割以上を一指標で占めていることから、次週どこまで踏みとどまるかが気掛かりではあります。

 

今日注目するのはBLACKPINK。4月5日にEP『Kill This Love』をリリースし、そこからのタイトルトラックが前週14位に初登場。今週は6位に上昇して自身のキャリアにおける最高位を更新しました(これまでの最高位は「DDU-DU DDU-DU」の7位(2018年7月2日付))。

デジタルダウンロード6位、ラジオエアプレイ68位(2指標共に前週は300位未満)、ストリーミング6→2位、Twitter7→33位そして動画再生5→1位という指標構成。ストリーミングは同186.3%アップの2218575回、動画再生は前週比210.7%アップの4965303回と大きく上昇しています(この2週分の数値は上記記事、および前週の記事(【ビルボード】あいみょん「マリーゴールド」が355.1万回再生でストリーミング14連覇 IZ*ONE/BLACKPINKの新曲がトップ10入り | Daily News | Billboard JAPAN(4月10日付)を元に算出)。金曜発売ゆえ前週が集計期間3日、今週が7日間フルという差はあるものの、それでも勢いが落ちなかったのは、BLACKPINKがアメリカの野外音楽フェス"コーチェラ・フェスティバル"(以下コーチェラ)に出演したことの反響が大きく影響しているのかもしれません。

 

コーチェラ1週目(4/12-14)におけるベストモーメント10項目を採り上げた米ビルボードの記事にはBLACKPINKが登場しています(特にメンバーのひとりであるジェニーの衝撃について)。

BLACKPINKのパフォーマンスがYouTubeで配信されたことで、彼女たちは日本のSNSも賑わせました。パフォーマンスが披露されたのは現地時間の12日金曜、日本では翌13日。その評判により、パフォーマンスから集計期間終了までの1日半の間でストリーミングや動画再生等の指標が上昇したとみるのは自然なことと思われます。またこのタイミングで「DDU-DU DDU-DU」が、前週10週ぶりに100位以内に返り咲いたのですが今週さらに上昇し63位につけたのも、EPリリースに加えてコーチェラの影響もあると言えるでしょう。

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BLACKPINK「Kill This Love」が今週好リアクションをみせるだろうことは、日曜のブログエントリーで予想していたことでした。

その際、『無論アメリカでも似た動きを見せることでしょう』とも書いたのですが、アメリカでは4月20日ビルボードソングスチャートで「Kill This Love」が41位に初登場し、米でも彼女たちのキャリアにおける最高位を更新しています。

詳細な内容は、ビルボードジャパンの記事をご参照ください。

ビルボードソングスチャートの集計期間はデジタルダウンロードおよびストリーミングが4月5~11日、ラジオエアプレイが4月8~14日。ラジオエアプレイは瞬発力が乏しいため高位置での初登場にはデジタル2指標が大きく寄与するわけですが、今回の初登場はEPリリース効果であり、(コーチェラのパフォーマンス前の予習的意味合いはあれど)コーチェラ後の反響は反映されていません。K-Popアクトの米ビルボードソングスチャートでのチャートアクションは"高位置初登場しながらもその翌週に急落"という形が少なくないのですが(この点についてはBTS、米アルバムチャートを制しながらもソングスチャートが強くない理由を探る(2018年10月21日付)で記載しています)、「Kill This Love」が次週急落せず高い位置をキープ出来たならば、コーチェラ効果もさることながらK-Popの弱点が克服されつつあることがチャートから見えてくるかもしれません。急落を阻止するためにはラジオエアプレイの上昇も必須と考えますが、アルバムやEPリリースから時間をおかずにアメリカでテレビ出演やライブ披露を実施(そしてそれらが世界中で、また後追いでチェック出来る体制も用意)することで、デジタル2指標で瞬発力のみならず持続力もつけることが出来ます。これは先のBTSに関するエントリーで改善点としていた部分であり、BLACKPINKは戦略をグローバル仕様にしたんだなあと驚かされます。そしてそれはBTSも同様であり…この点は来週以降のチャートアクションが判明次第まとめられたならと考えています。

 

よくよく考えたら、BLACKPINKはEPリリース後日本でプロモーション等を行っていないはずで、にもかかわらず日本で自己最高位更新等快進撃を果たしたのは素晴らしいことではないでしょうか。

「Dancing With A Stranger」が米トップ10入り目前、サム・スミスと共演するノーマニが辿る偶然の一致

ここ数週、米ビルボードソングスチャートにおけるラジオエアプレイの”弱さ”が目立っていることを危惧しています。数週間前までは同指標首位が1億超えで推移していたのですが、最新4月20日付において、同指標トップのアリアナ・グランデ「7 Rings」が8200万…8000万台前半まで下がっているのです。

ラジオエアプレイ指標のラインアップを見れば、今になって(実際は前週から)「7 Rings」が首位に立つのは遅すぎるとか、流行を反映しにくいという批判が出てくるかもしれません。が、瞬発力が高く反映されるデジタル2指標(デジタルダウンロードおよびストリーミング)とは異なり、ラジオエアプレイは瞬発力は低いとしても持続力があるゆえ、ロングヒットになるかどうかはこの指標が大きく関わると言えるでしょう。それはすなわち、ラジオエアプレイでは他指標以上に好い曲が上昇する傾向があると言えるわけで、ラジオエアプレイで支持されれば地道ながら着実にヒットの階段を駆け上がっていく…というのが自分の見方です。

 

その観点からすれば、サム・スミスとノーマニのこのデュエットは現在、とてもいい位置につけていると言えます。

・Sam Smith & Normani「Dancing With A Stranger」(2019)

1月前半にリリースされたこの曲(曲の解説等はbmrに詳しく掲載されています)は、ラジオエアプレイ指標を示す最新4月20日付米ビルボードラジオソングスチャートで前週より3ランク上昇し6位に。ここ5週の動きをみると12→9→9→9→6位となり、足踏みはあったもののすべて赤丸が付いています。総合のソングスチャートでも18→17→17→15→12位と推移し、トップ10入りを狙える位置にいるのみならずラジオエアプレイ同様すべて赤丸付という状況です。次週はBTSの高位置での初登場が見込まれライバルは少なくありませんが、非常に素晴らしい曲と思うゆえ是非ともトップ10入りを果たしてほしいと思っています。

 

(ちなみに、日本でのアクションを見ると、ビルボードジャパンソングスチャートでは100位以内に一度のみランクイン。ラジオエアプレイが大きな要因となり1月28日付で初登場85位に入りました(詳細はダンシング・ウィズ・ア・ストレンジャー / サム・スミス & ノーマニ | CHART insight | Billboard JAPANをご参照ください)。日本では洋楽(特に新曲)のヒットは主にラジオが起因することが多いのですが、ただ調査対象局やそもそもの局数自体がアメリカに比べて著しく少ないこと、ビルボードジャパンのホームページからラジオエアプレイ指標のみのチャートがある時点から掲載されなくなったこと等を踏まえるに、ビルボードジャパンソングスチャートにおけるラジオエアプレイ指標のウェイトは高くないものと思われます。また「Dancing With A Stranger」のラジオエアプレイの動向を見るに、新曲における日本での動向はアメリカとは異なりロングヒットが見込みにくいのも特徴と言えるでしょう。)

 

面白いのは、ニューアルバム『Free Spirit』で最新4月20日付米ビルボードアルバムチャートを制したカリードとの「Love Lies」でソロとして既にトップ10入りした経験を持つノーマニが、デビューアルバム発売前に2曲目の、それもいずれもデュエットの形態でトップ10入りを果たす可能性があるということ。仮に今回トップ10ヒットとなれば、そろそろソロアルバムリリースの気配が高まってきそうで楽しみです。ノーマニは活動休止したフィフス・ハーモニーの一員ですが、そのフィフス・ハーモニーから脱退したカミラ・カベロも、マシン・ガン・ケリーとの「Bad Things」、ヤング・サグをフィーチャーした「Havana」の2曲が、ソロアルバム『Camila』発売以前にトップ10入りしていました。「Havana」は長らく2位どまりだったもののアルバム初登場週に首位となり、シングル・アルバム同時制覇を果たしています。カミラも先述した2曲共に単独曲ではないゆえ、ノーマニはカミラと同じ道をたどっている気がしており、その偶然の一致はなんだか面白いですね。

とはいえ、この偶然の一致が生まれるには「Dancing With A Stranger」が次週以降トップ10入りすることが大前提。次週のチャート発表が楽しみです。 

リル・ナズ・X「Old Town Road」、ビリー・レイ・サイラス助太刀でストリーミング新記録…4月20日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。

現地時間の4月15日月曜に発表された、4月20日付最新ソングスチャート。前週初の首位を獲得したリル・ナズ・X「Old Town Road」が、ビリー・レイ・サイラス参加によるリミックス版のリリースを受けて首位の座をキープ、ストリーミングで新記録を達成しました。

ビリー・レイ・サイラス参加版のリミックスが4月5日金曜にリリースされオリジナル版を上回った結果、今回の「Old Town Road」のクレジットは”リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス”となっています(アメリカではオリジナル版、リミックス版が合算される仕組み)。チャートを構成する3指標いずれも好調に推移していますが、特にストリーミングでは前週比207%アップの1億4300万を記録。これは昨夏、ドレイクが「In My Feelings」で出した当時の記録、1億1620万を大きく上回り、ストリーミング史上最高を達成しました。ストリーミング上位10傑には1億超えはわずか5作しかなく、そのうち3作がドレイク(「In My Feelings」が2、3位および「God's Plan」が5位)。新鋭のリル・ナズ・Xはビリー・レイ・サイラスの応援を借りて大記録を達成した形です。

「Old Town Road」はデジタルダウンロードでも前週比454%特大アップの124000を獲得し同指標トップへ。12万超えはドレイク「God's Plan」初登場週(昨年2月3日付)以来の大記録に。ラジオエアプレイは前週比142%アップとなる2880万で同指標33位に登場しています。 

今回の「Old Town Road」連覇により、ビリー・レイ・サイラスにとっても初の首位獲得を果たしたことに。これまでのソングスチャート最高位は27年前の夏、「Achy Breaky Heart」による4位。この4ヶ月後に娘のマイリー・サイラスが誕生。そのマイリーはひと足早く「Wrecking Ball」で2013年9月28日付にて首位を獲得しました。つまり父娘が共に、娘→父の順で首位を獲得した形となります。この記録、ナンシー・シナトラフランク・シナトラの例が。ナンシーは「These Boots Are Made For Walkin'」で1966年2月に首位を獲得、同年7月にフランクが「Strangers In The Night」で初のNo.1に輝きました(しかもその翌年は父娘共演による「Somethin' Stupid」も1位に)。とはいえ米ビルボードソングスチャートが”Hot 100”の形になったのは1958年8月4日付からであり、フランクのキャリアはその大分前からはじまっているのですが。

 

8位にはカリード「Better」が登場。

登場30週目にして前週の16位からアップし同曲は初のトップ10入り。このランクアップは、この曲を収録したカリードのセカンドフルアルバム『Free Spirit』が同日付米ビルボードアルバムチャートを制したことに因るもので、ストリーミングは前週比36%アップの2480万を獲得し同指標9位にランクイン。カリードにとってはロジックにアレッシア・カーラ共々参加した「1-800-273-8255」(2017 3位)、ノーマニとデュエットした「Love Lies」(2018 9位)、ベニー・ブランコにホールジー共々共演した「Eastside」(2019 9位)に次ぐ4曲目のトップ10入りとなり、単独名義では初。また30週目でのトップ10入りは歴代7曲目となるロングトリップとなります(これまでの最高はキャリー・アンダーウッド「Before He Cheats」が2007年6月、38週目にしてトップ10入り)。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

2位 (2位) ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」

3位 (4位) ポスト・マローン「Wow.」

4位 (3位) アリアナ・グランデ「7 Rings」

5位 (5位) ホールジー「Without Me」

6位 (8位) ジョナス・ブラザーズ「Sucker」

7位 (6位) カーディ・B & ブルーノ・マーズ「Please Me」

8位 (16位) カリード「Better」

9位 (10位) J・コール「Middle Child」

10位 (9位) マシュメロ & バスティル「Happier」

ラジオエアプレイ指標を制したのはアリアナ・グランデ「7 Rings」(総合4位)…ですが同指標では前週比8%ダウンの8200万。ここまで低い数字での首位はここ最近見たことがありません。ラジオエアプレイの重要度が落ち込んでいくことを、ラジオに関わる者として不安視しています。

 

※追記 (8時31分)

K-Pop女性グループ、BLACKPINKのEP『Kill This Love』が今週アルバムチャート24位に初登場したことで、表題曲がソングスチャートにランクインしました。

次週はアルバムチャートでBTSの首位が予想されるゆえ、ホールジーをフィーチャーした「Boy With Luv」がソングスチャートでトップ10入りすることも予想されます。