face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

はじめに

ブログ【face it】担当のKeiと申します。

地元青森県弘前市にあるFMアップルウェーブのラジオ番組、『わがままWAVE It's Cool!』(日曜17時)のスタッフのひとりとして曲の持ち込み、選曲、DJ(ブレストコナカ名義)を担当しています。毎週様々な音楽特集とメッセージテーマを設け、弘前大学ラジオサークルのメンバーと大人とでわんさか語り合う番組です。少なくとも東北イチ、珍盤をかける頻度の高い番組を自負しています。

またチャート愛好家として、ビルボードジャパン最新チャートを様々な視点から分析し、弊ブログに記載しています。

お問い合わせやご意見、ご依頼などがございましたら、faceknk @ gmail.com宛にお願いいたします。もしくは、はてなユーザーの方は各エントリーにコメント出来ますので、よろしくお願いいたします。

2月22日付米ソングスチャートは凪の状態…次週ジャスティン・ビーバーがどこまで上昇するか

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の2月17日月曜が祝日のため翌18日火曜に発表された、2月22日付最新ソングスチャート。ロディ・リッチ「The Box」が6連覇を達成しました。

未だミュージックビデオが公開されていない作品ながらストリーミングは高値安定、前週から6%ダウンしたものの5920万を獲得し同指標7週目の首位をマーク。ダウンロードは同2%ダウンの11000(同指標8位)、ラジオエアプレイは同13%アップの5300万(同13位)となり、ラジオエアプレイの2桁成長が目立つ形です。この曲を収録したアルバム『Please Excuse Me For Being Antisocial』が今週通算4週目の首位を獲得しており、ロディ・リッチ人気はまだまだ続いています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) ロディ・リッチ「The Box」

2位 (2位) フューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」

3位 (3位) ポスト・マローン「Circles」

4位 (4位) マルーン5「Memories」

5位 (5位) トーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」

6位 (9位) デュア・リパ「Don't Start Now」

7位 (7位) アリゾナ・ザーヴァス「Roxanne」

8位 (6位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

9位 (8位) ダン+シェイ&ジャスティン・ビーバー「10,000 Hours」

10位 (10位) ビリー・アイリッシュ「Everything I Wanted」

実は前週に引き続き今週もトップ10内落ち/新たにトップ10入りという状況がなく、凪の状態が続いています。ラジオエアプレイの首位はポスト・マローン「Circles」(総合3位)が記録、前週からほぼ変わらず1億450万を獲得し同指標8週目の首位となっていることから、総合チャートでもしばらく安泰といったところでしょう。そんな中で目立つのは、デュア・リパ「Don't Start Now」が自己最高の6位に到達したこと。

「Don't Start Now」は2018年2月に「New Rules」が獲得して以来となる6位に上昇。ラジオエアプレイは前週比6%アップの7670万を記録し同指標4位、ダウンロードは同5%ダウンの11000(同10位)、ストリーミングは同6%アップの1700万(同12位)を記録しています。

 

さて、凪の状態は今週までとなりそうです。次週はジャスティン・ビーバーの久々のアルバム『Changes』が初登場で首位を獲得することが予想され、収録曲も大挙ランクインする可能性が高いとみられます。

先行第1弾となった「Yummy」は2位をマークしたものの安定したヒットには至れておらず、今週は19位。

一方で上記ツイートにもあるように、今週はミーゴスのクエイヴォをフィーチャーした先行第2弾、「Intentions」が11位に初登場。

ストリーミングは2210万を獲得し同指標3位、ダウンロードは14000で同指標4位発進。ラジオエアプレイは50位未満ながら1590万を獲得しています。「Yummy」そして「Intentions」は次週、『Changes』の初登場時に曲単位でのダウンロード、ならびにストリーミングが加算されて上昇することが予想され、それを機にロングヒットに至る可能性も秘めています。次週のチャートに注目です。

なお、ダウンロードの1位はニッキー・ミナージュ「Yikes」が獲得。総合でも23位に初登場を果たしています。

ダウンロードは20000を獲得(同指標1位)、ストリーミングは1550万発進(同16位)。「Yikes」の初登場により、ニッキー・ミナージュは通算108曲目となるソングスチャート(Hot 100)ランクインを果たしました。ソングスチャート最多ランクイン記録で4位となるエルヴィス・プレスリーの109曲まであと1つと迫っています。なお記録保持者はドレイクおよびグリー・キャストの207曲、ついでリル・ウェインが167曲となっています。

音楽戦略や新型コロナウイルス対策…台北旅行を終えて日本の方針を考える

毎週火曜は日本時間の同日早朝に発表される米ビルボードソングスチャート速報をお送りするのですが、現地時間の2月17日(2月第3月曜)が大統領の日という祝日にあたるため、チャートのアナウンスは翌日にずれ込みます。弊ブログでも翌日紹介予定です。

 

さて、今月始めは台北に行ってきました。久々の海外でしたが食べ物は美味しく、人々は親切で、翻訳アプリや手書きメモを一切使わずに過ごすことが出来、アットホームな感じを受けました。詳しくは自分のインスタグラムに載せているのですが、そのアットホーム感をさらに高めたのが音楽。

【台北旅行】7台北では日本の音楽も街中で流れていました。初日の士林夜市で #三浦大知「#Blizzard」が流れてたのには驚きましたが、耳を凝らしてみるとEXILEや浜崎あゆみさんも。翌日には米津玄師「Lemon」も流れています。台湾でライブする日本の歌手が多いのもうなずけます。またホテルで流れていたMTVでは日韓の音楽をかける番組が用意されていましたが、K-PopのOA率が高く、高質なものが多かったですね(故にShazamしまくり)。 #台湾#台湾旅行#台湾グルメ#台北#台北旅行#台北グルメ#どちゃくそ台北

台北滞在3日目、台北駅近くで流れていたのはいきものがかりだったり。

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ホテルのテレビでは100前後のチャンネルが視聴可能で、そのうち日本で制作された番組を(日本の放送局の区別なく)コンパイルした局もあり、『昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜』(2014 フジテレビ)が流れていたのに驚くなど。またNHKチャンネルもあり、帰国直前の時間には『NHKのど自慢』がOAされていました。

 

親日と呼ばれる台湾からすれば、日本文化に触れたいと思うのは自然なことでしょう。ゆえに様々な歌手が台北を中心にライブを開催しています。街で「Lemon」が流れていたこの方も。

米津玄師さんは4月に台北および中国は上海でライブを開催。現地に住む日本人や日本から訪ねたファンだけで最大15000人収容可能な台北アリーナは埋まりにくいのではないかと考えると、やはり現地の台湾人ファンが多いことが想像出来ます。

ではどうやって台湾の方が米津玄師さんを聴くかというと。

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上記キャプチャは途中省略したものですが、台湾のSpotifyでは最新2月16日付デイリーチャート(→こちら)で米津玄師「Lemon」が158位に入っています。楽曲のSpotifyデータ(→こちら)をみると香港でもランクインしているのみならず、台湾ではデイリーチャートで最高15位を記録。またダウンロードでもヒットし、CDもリリースされたとのこと。

それにしても不思議なのは、米津玄師さんが日本ではサブスクリプションサービス未解禁のままである一方、台湾や香港では解禁済みという事実。これはSNSのフォロワーの方からも教えていただいたことではあったのですが、現地に赴き音楽に触れてみると尚の事、その不思議というか不可思議とすら言える現象に色々考えさせられた次第。もしかしたら米津玄師さんに限らず、日本ではサブスクリプションサービス未解禁だが…という歌手がいるかもしれませんが、大半は日本や海外の区別なくサブスクリプションサービス未解禁と考えられ、下記エントリーを踏まえればやはり勿体無いと思わざるを得ません。

 

ちなみに米津玄師さんの海外公演については、新型コロナウイルスの影響で今後の中止等の可能性が考えられます。中国での公演を中止する歌手が増え、その歌手の多くが台湾でも公演するため、海外公演全体を中止するという流れが目立ちつつあります。詳しくは下記をご参照ください(勝手ながら取り上げさせていただきます。問題があれば削除いたします)。

台北新型コロナウイルスへの対策、マスクの不足が心配される点以外は日本より徹底されていました。

https://www.instagram.com/p/B8igFwbFA7J/

【台北旅行】5 (※再掲しました)東アジアへの旅行…新型コロナウイルスの危険に晒されやしないか?と思う方もいるかもしれません。たしかに台北ではマスクが不足していて、週に1回、2枚までしか支給されていないようです。ゆえに写真のような薬局前の行列が目立っていました。しかしマスク着用率は旅行前後の日本に比べると圧倒的に高い!しかも旅行中にスマートフォンに届いた警告は“1/31にクルーズ船の乗客が訪れた場所に同日行かれた方は、2/14までに罹患しないか気をつけて”というもの。情報も徹底されています。旅行代理店のスタッフによると、中国との断絶(と言ってました)、さらには昨年の総統選での親中国派の敗北により、中国との距離感が保たれているそう。断絶との表現に驚きつつ、罹患しないよう徹底する姿勢は凄いと実感します(だからといって日本が同様に、中国と距離を置くべきとは思いませんが)。焦る前にまずは自らの身を守れ、ですね。#台湾#台湾旅行#台湾グルメ#台北#台北旅行#台北グルメ#どちゃくそ台北

インスタグラムにも書きましたが、日本におけるマスク着用率は異様に低いという実感を抱いています。これは自分の住む場所が都心部ではないためなのかもしれませんが、ともすれば今になってようやく対策強化(指針発表等)するという出遅れが市井の慢心を招いた可能性があるかもしれません。更にはクルーズ船対応の杜撰さ等により、日本を見る世界の目が変わるのではないか…そう思うと心が苦しくなります。そういえば、台北にいる際に一斉に警告が出て以降、日本で同様の警告が流れた記憶はありません。再び旅行を楽しめるべく、日本は安心だから海外に行っても大丈夫だというお墨付きを与えるべく、国側が躍起になってほしいと思います。

Mrs. GREEN APPLE「インフェルノ」がロングヒットのフェーズへ…さらなる施策と、やるべきでなかった施策

先週水曜に発表された最新2月17日付ビルボードジャパンソングスチャート、100位以内にはOfficial髭男dismおよびKing Gnuが8曲、米津玄師さんが4曲(DAOKOさんとの共演曲を含む)ランクインする等、複数曲がランクインしている歌手の勢いを感じるのですが、米津玄師さんと同じく4曲を送り込んだのがMrs. GREEN APPLE井上苑子さんをフィーチャーした「点描の唄」(67位)、「青と夏」(68位)、「ロマンチシズム」(82位)、そして最も高い位置にいるのが「インフェルノ」。前週と変わらず23位をキープしています。

元々はアルバム『Attitude』(2019)からの先行配信としてリリースされた、テレビアニメ『炎炎ノ消防隊』(MBS・TBS)のオープニングテーマ。第1期第1クールのテーマということで、リリース直後から秋にかけてヒットし、昨年7月29日付で22位に初登場して以降10月14日付に至るまで合計4度、最高位となる22位をマークしています。

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その後なだらかに降下したこの曲ですが、12月23日付以降は再浮上。特にダウンロードや動画再生指標が大きく伸びストリーミング指標も牽引する形で、今年1月13日および20日付で17位にまで達し、その後は比較的安定して推移しているのです。

この再浮上の理由は明確でした。

引用リツイートされたSpotifyのツイートが消えているのが残念ですが、「インフェルノ」に合わせて寺の僧侶が鐘を打ち、”2019年 Mrs. GREEN APPLEの総再生時間で535回年が越せる”というキャッチコピーが印象的なCMといえば、思い出す方も多いでしょう。このCM効果が放送開始直後から如実にチャートアクションに表れた形です。先週のブログエントリーでロングヒット曲のチャート構成比の条件を記載しましたが、「インフェルノ」はストリーミング指標が突出しているものの、動画再生指標との2指標で8割弱を占めており、ロングヒットの条件を満たしていると言えるかもしれません。条件については下記に。

また、最も動きが鈍いカラオケ指標において最新週で43位に達し最高位を更新していることから、今後この曲が高値安定となれば尚の事ロングヒットが見込めるものと考えます。

 

惜しむらくは初期の動画再生指標の強くなさ。

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CHART insightのうち、総合チャート(黒の折れ線で表示)と動画再生指標(赤)のみを抽出したのが上記。これはリリース当初にティザー映像だけが用意され、ミュージックビデオフルバージョンは翌月にならないと公開されなかったことが原因と考えます。ティザー映像はこちら。

ティザー映像はユニバーサルミュージックジャパンの、ミュージックビデオはMrs. GREEN APPLEYouTubeアカウント発。後者のランクインまでタイムラグがあるのはおそらく、当初ミュージックビデオにISRC(国際標準レコーディングコード)が未付番だった可能性が高いと思われますが、歌手側がミュージックビデオをリリースタイミングで発表出来ないのは実は以前から見られたことです。

リリース時の曲の所有を増やすための措置と考えますが、シングルCD未発売の曲にまでこの体制を施すユニバーサルミュージックジャパン側の対応を疑問に思います。仮にリリース当初からミュージックビデオをフルバージョンで解禁していたならば、SpotifyのCMに用いられる前の段階でより大きなチャートアクションを示せたのではないでしょうか。この施策は歌手側の損になるゆえ止めるべきだという強い私見を添えておきます。

 

インフェルノ」は今後順位をキープするか、なだらかに低下する可能性も考えられますが、ロングヒットしている曲として『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)等で取り上げられたならば大きく飛躍する可能性を秘めています。2月7日放送の同番組で披露されたLiSA「紅蓮華」は番組効果も相俟って、2月3~9日を集計期間とする2月17日付ビルボードジャパンソングスチャートにおいてポイント前週比122.6%を記録。『ミュージックステーション』側はLiSAさんに、最新シングルの「unlasting」(昨年12月リリース)ではなくロングヒットしている「紅蓮華」を用意させたのでしょう(結果的にチャートアクションにも、またこれまでに比べて高い番組視聴率にも寄与しています)。だとすれば番組側は間違いなくビルボードジャパンソングスチャートを意識しているはずで、ロングヒットのフェーズに入った「インフェルノ」が同番組で披露されるのも時間の問題かもしれません。

三浦大知「I'm Here」のサブスクリプションサービスおよびミュージックビデオ解禁遅らせ施策は成功とは言えなかった

昨日は、ビルボードジャパンが作成したソングスチャートのSpotifyプレイリストにおけるサブスクリプションサービス未解禁歌手や曲の多さによる多数の漏れについて書きました。その際、当初三浦大知「I'm Here」が漏れていた事実に対し疑問を呈する声がありましたが、自分はこのように回答しています。しかし後になって【ビルボードジャパンが「I'm Here」を半ば”存在しなかった”ものとして当初捉えてしまったのでは?】と思うようになりました。つまり、シングルCDリリースから遅れて解禁されたことがそのような刷り込みを与えてしまったのではないかという。半ば邪推かもしれませんが。

この解禁の遅れについてはシングルCDがリリースされた1月15日に記載しました。

「I'm Here」のサブスクリプションサービスおよびミュージックビデオの解禁は、シングルCDリリースから16日後となる1月31日。前作「片隅」(2019)とは異なりミュージックビデオもフルバージョンとはなっています。

 

さて、曲がヒットする主な要因のひとつに、サブスクリプションサービスで多数のプレイリストに入ることが挙げられるということは昨日のブログエントリーで記載しました。

また、先週はロングヒットする曲の共通項として、ビルボードジャパンソングスチャートにおいて(サブスクリプションサービスの再生回数を元とする)ストリーミング指標がチャート構成比のおよそ5割であることが条件になることを示しました(また、同じく接触指標群の動画再生指標が2割強を占めることも共通しています)。その点において、今週シングルCDリリース前ながら首位を獲得したOfficial髭男dism「I LOVE...」は集計期間中の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)出演もあって同指標が伸び、ロングヒットのフェーズに入ったことも見て取れます。

では、三浦大知「I'm Here」はどうでしょう。

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最新2月17日付(集計期間:2月3~9日)はストリーミングおよび動画再生指標が初めて集計期間フルカウントされた週。ですが両指標とも300位以内には入りながら、100位圏外となっています。それでもこの2指標でチャート構成比の4割弱を占めています。

サブスクリプションサービス100万回再生で700ポイント強を獲得することについては、ロングヒットについて記した2月13日付ブログエントリーで示しています(→こちら)。最新週で50位に入ったSixTONES「NEW WORLD」が1292ポイントであることを踏まえ、71位の「I'm Here」を1200ポイントと仮定すると、チャート構成比に占めるストリーミング指標がおよそ25%であり同指標による獲得ポイントは300、そこから集計期間中における「I'm Here」のサブスクリプションサービス再生回数が50万に満たない可能性が高いことがここから見えてきます。先程Official髭男dism「I LOVE...」がMステ効果でストリーミング指標が伸びたと書きましたが、同番組で披露された「I'm Here」については放送日である1月17日にサブスクリプションサービス等が未解禁だったことから、本来解禁されていれば上昇効果が見られたはずの恩恵が受けられなかったことが想像出来ます。

プレイリストについても、思うところがあります。

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上記はSpotifyが毎週お勧めの新譜を紹介するプレイリスト、”New Music Wednesday”の2月5日水曜日公開分。邦楽は海外とは異なり未だ水曜リリースが主体の上、金曜版とは別に設けられています。さて、ここでの三浦大知「I'm Here」は21番目という、決して高いとは言えない位置に置かれているのです。プレイリストは上から再生していくユーザーが多いだろうことを踏まえれば、「I'm Here」まで辿り着きにくい状態となっています。だからといって選曲や位置付けを担当したSpotify側に違和感を抱くのは違うというのが私見。金曜リリースで時間が経っていたことや、既にシングルCDがリリース済であったことを踏まえれば、”鮮度”という点においてこの位置に置かれても仕方がないように思うのです。

 

ストリーミング指標の高くなさが示された「I'm Here」ですが、では最近の三浦大知さんのシングルCD表題曲と比較してみるとどうでしょう。

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上記は「Be Myself」(2018)以降のシングルCD表題曲における、CD関連指標初加算の前週からの5週分を提示したもの。「片隅」が極端に低いこと、「Blizzard」(2018)が逆に高いことを踏まえれば、「I'm Here」の比較対象は「Be Myself」が最も相応しいと思われます。シングルCD関連指標は順位的に勝っている一方、ストリーミング指標には大差が生じています。またユーザー(リスナー)が自由に選曲出来ない意味において間接的な接触指標と言えるラジオエアプレイでも大きく敗れています。

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こちらはビルボードジャパンシングルCDセールスチャートより、全国推定売上枚数が残っている2016年度以降の作品の初週売上をまとめたもの。「I'm Here」の初週売上はキャンペーンも功を奏してか、前作を大きく上回っています。

(というよりも、前作「片隅」においてはソングライターやその家族への不信感を表明する方(そう思われてもおかしくない、はっきりと悪態をつく一部のファン)が敢えて買わなかったという行動も見られたように受け止めています。買わない(ことで運営側に意志を表明するという)選択肢は自由でも、平然と悪態を付ける方がファンの中にいることで、ファン全体の印象、ひいては三浦大知さんの印象すら下がるように思うのです。嫌いなのは自由でも口に出す必要があるでしょうか…ということを述べさせていただきます。)

前作超えは成し遂げた「I'm Here」ですが、アニメや特撮作品のタイアップのような初週2万枚超えには至れていません。「Be Myself」の初週売上は超えながらも、プライムタイムのドラマ主題歌である「I'm Here」が深夜ドラマの主題歌となった「U」(2017)とさほど変わらない現状を踏まえれば、サブスクリプションサービスやミュージックビデオの未解禁がシングルCDセールス上昇にはっきりつながったのかと言われれば、微妙だというのが私見。これはつまり、1月15日付ブログエントリーにおいて想像した所属事務所のシングルCD売上至上主義的な意向は達成されなかったと見て好いと思います。

そしてその施策はあくまでCD売上を主軸にするという旧態依然の考えが根っこにあるわけで、その考えに芸能事務所側が立っている以上は三浦さんがこれ以上飛躍出来ないのではないかと強く危惧します。

三浦大知「I'm Here」のミュージックビデオ・サブスクリプションサービス未解禁はグラミー賞の夢を遠ざけやしないか(1月15日付)よ

「I'm Here」が次週以降ロングヒットするかの見極めも重要ですが、シングルCDありきの施策がもはや大きな意味を成さないことは、シングルCD未リリースのKing Gnu「白日」や菅田将暉まちがいさがし」、CD関連指標未加算でビルボードジャパンソングスチャートを制したOfficial髭男dism「I LOVE...」からも明らか。サブスクリプションサービスの再生回数が売上につながりにくい、CD売上は把握しやすいから主軸にする等の考えがあるとすれば、それは中長期的戦略ではない短期的、厳しい物言いですが敢えて書くならば短絡的とも言えるものの見方と言えるでしょう。

ロングヒットについて書いたブログエントリーに対し、元Spotify Japanの松島功さんからいただいたリプライは、レコード会社や芸能事務所にとって気付きになるものと考えます(勝手ながらツイートを紹介させていただきました。問題があれば削除いたします)。チャート構成比やレコード会社等の収入において上記のやり取りを理想形とするならば、サブスクリプションサービスやミュージックビデオの解禁は、シングルCDをリリースするならばそのリリース日までに行うことが絶対に必要です。

レコード会社や芸能事務所は利益確保の手段を見直し、所属歌手が創作したものを自由に世に放てる環境を与えるべきです。三浦大知さんが米グラミー賞受賞を最終的な目標に掲げるならば、米側にもきちんと届く施策を行えるよう、バックアップしてほしいものです。

サブスクリプションサービス未解禁歌手やその作品は”存在しなかった”ことになる

ここでは毎週、ビルボードジャパンの最新ソングスチャートから注目ポイントを紹介していますが、毎週のチャートはSpotifyおよびApple Musicという2つのサブスクリプションサービスでプレイリスト化されています。非常に便利です。

しかし、サブスクリプションサービス未解禁の歌手、もしくは解禁はすれど新曲は未配信という姿勢の歌手の存在により、実は多くの不足がみられます。最新2月17日付でみると。

プレイリストから間もなく、Spotifyをキャプチャしたものを下記に。

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後に、ビルボードジャパンが当該プレイリストに三浦大知「I'm Here」を追加したことを確認しましたが、それでも18曲もの抜けがあるという状況です。この抜けは、サブスクリプションサービスのユーザーにとって”存在しなかった”ことになるのです。

”存在しなかった”という言葉はRealSoundに原稿書いたことと、中島みゆきがストリーミングに音源解禁したこと - WASTE OF POPS 80s-90sにて用いられています(厳密には『存在していないこと』『存在しない世界線』と表記)。CDプレイヤーやドライブ搭載のパソコンの所有者が減り、CDを買わない方が増えたであろう現在、サブスクリプションサービスを音楽聴取の主軸にする方には、米津玄師さんやSixTONESSnow Man等の作品はほぼ届かないということなのです。

 

逆に、きちんと解禁しているから届くという好例が。

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(登場からの90週と、最新週までの90週に分けて掲載しています。)

エド・シーラン「Shape Of You」は2017年はじめの作品ながら、2017年1月23日付でビルボードジャパンソングスチャート100位以内に登場して以降、今日に至るまで一度も陥落していません。米ビルボードとは異なり一定週数以上チャートインしている曲がある順位を下回ればチャートから除外するというリカレントルールが設定されていないビルボードジャパンソングスチャートゆえ長期エントリーが成立するとも言えますし、チャート構成比で最大を占めるストリーミング指標の元であるサブスクリプションサービス(の再生回数)が実はそこまで入れ替わりが激しいわけではないことも影響していますが、しかしここまで長くエントリーしていられるのはなぜか、自分なりに考えたことがあります。

上記エントリーにてロングヒットの理由を4点記載しましたが、そのうちのひとつがストリーミングのプレイリストに多数引用されていること。後日、この曲ではないものの星野源さんが作成したプレイリストの収録曲がヒットにつながり、プレイリストの重要性をさらに感じられる出来事も発生しました。

著名人ではないとしとも、ビルボードジャパンが毎週作成するヒット曲をコンパイルしたもの等のプレイリストの存在は、サブスクリプションサービスには加入したもののどれから聴けばよいのかと悩む方にとっては導入部としてありがたい存在であり、そこから深堀りしたくなる曲や歌手も出てくるはずです。サブスクリプションサービス未解禁の歌手や曲はその導入部にすら立つことが出来ないということを、今週あらためて実感した次第です。

 

ちなみに米ビルボードでもソングスチャートのプレイリストを作成。1曲漏れがあったのには驚きましたが、それでも99曲を網羅しています。日米の音楽業界の差がここからもよく解ります。

日本で流行しはじめた新しいバージョンの投入策…ビルボードジャパンのチャートポリシー変更を今こそ願う

一昨日発表された、最新2月17日付ビルボードジャパンソングスチャート。13位にはザ・チェインスモーカーズ feat. 新田真剣佑「Closer」が初登場を果たしました。同日付チャートはこちらに。

指標毎にみると最も順位が高いのはダウンロードの7位。動画は1分半程度にもかかわらず10位を記録しており、話題性の高さから動画視聴に至るユーザーの動きが見て取れます。ダウンロードの多さについてはビルボードジャパンが記事にしています。

この曲は、配信先行で昨年末にリリース、フィジカルでは海外で1月、日本では今月19日に発売されるザ・チェインスモーカーズのアルバム『World War Joy』に収録される日本向けボーナストラック。この曲がアルバムの売上上昇につながるかは不明ですが、元々この曲は2016年から翌年にかけて大ヒットしています。

さて、この曲のCHART insightをみると、今週が初登場であることが解ります。

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4年前にはオリジナルバージョンがビルボードジャパンソングスチャート100位以内に入ったのですが、オリジナルバージョンと今回の新田真剣佑さん参加版は合算していないことが、下記のニュースからも理解出来ます。

また、チェインスモーカーズ初の公式カバー曲「クローサー(トーキョー・リミックス)feat. 新田真剣佑」が155.9万回再生を記録し、21位に初チャートイン。オリジナル・バージョンである「クローサー feat. ホールジー」は、前週圏外から当週83位に再浮上した。

【ビルボード】Official髭男dism 「Pretender」が4週ぶり、通算35回目のストリーミング首位に | Daily News | Billboard JAPAN(2月12日付)より

オリジナルバージョンとリミックスや客演追加(もしくは変更)版とは日本では合算されませんが、一方の米ビルボードソングスチャートでは合算されることで新しいバージョンがチャートのカンフル剤として使用されています。米チャートの例は下記エントリーに記載。

今回の「Closer」においてはオリジナルバージョンもストリーミング指標で伸びたことから、仮に日本でも合算されたならばトップ10入りもあったかもしれません。上記エントリーでも紹介していますが、ビルボードジャパンに合算可否を問い合わせたところの回答がこちらに。

 

実は最近になって、リミックスや客演有等新しいバージョンの投入が増えています。嵐は初のデジタルシングル「Turning Up」(2019)に、R3HAB(リハブ)によるリミックスを追加投入。

また、アメリカの歌手マックスがナッシュをフィーチャーした「Lights Down Low」(2016)には、ONE OK ROCKのTakaさんが参加した新しいバージョンが登場。

Takaさん参加版が昨秋であること、新田真剣佑さん同様ソニー発であることから、ソニー側が今後も同様の仕掛けを施す可能性はあるでしょう。ただ、オリジナル版が数年前のものであること踏まえれば、このような仕掛けはアリだとしても新しいバージョンをボーナストラックとして用意した国内盤は輸入盤と同時発売にしていただきたいという私見は載せておきます。

また先月リリースされたw-inds.「DoU」には通常盤のカップリングに、3年前にリリースされた「We Don't Need To Talk Anymore」のSKY-HIさん客演による新しいバージョンが収録されています。

 

合算すべきとする理由は、年明けに書いたビルボードジャパンへの要望のひとつに記載しています。

海外の歌手にとっては特に客演参加版の追加導入が当たり前に(そしてそれが米ビルボードソングスチャートで戦略の一環と)なっている現状において、日本でそれが別扱いとなるならば、チャート上での洋楽は弱いままとなり日本でのプロモーションを控える歌手が出てくるかもしれません。そして邦楽においても、客演参加等のプロモーションをしたくても控える方が出ていることでしょう。これらはプロモーションのみならず、客演やリミックスという音楽文化が育たないことにも繋がりかねないゆえ、新たな戦略の形を認める必要があると思うのです。

ビルボードジャパンソングスチャートがより"社会的ヒットの鑑"になるための5つの改善点の提案(1月2日付)より

新しいバージョンの良さに触れてオリジナルバージョンに触れたり、新しいバージョンに参加する歌手やリミキサーを知ることが出来るという音楽の気付きや発展の可能性が、合算しないという現行のチャートポリシーにおいてはさほど高まらないと思うのです。とりわけ損をしているのはホールジーで、元々ザ・チェインスモーカーズ「Closer」に客演参加、また昨年BTS「Boy With Luv」にも客演していながら、「Closer」においては先述した通り、またBTSの場合は日本語バージョンが客演なしだったために別扱いとなり、「Closer」も「Boy With Luv」もビルボードジャパンのチャートアクションでもう少し伸びるはずの機会を逸しています。

 

合算の願いは数ヶ月前にも今回同様記載していますが(「Bad Guy」や「Boy With Luv」の動向も記載した下記リンク先参照)、いよいよ新しいバージョンの投入が本格化する動きが出てきた今、ビルボードジャパンは今のチャートポリシーが時代に即しているかを考える必要があるでしょう。

それにしても、流行するかもしれない新しいバージョンの投入策を、w-inds.と嵐がもたらしてくれるのは実に面白いですね。