face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

はじめに

(2020年5月16日更新)

ブログ【face it】担当のKeiです。チャート愛好家として、ビルボードジャパン最新チャートを様々な視点から分析し、弊ブログに記載しています。

また、地元青森県弘前市にあるFMアップルウェーブのラジオ番組、『わがままWAVE It's Cool!』(日曜17時)のスタッフのひとりとして、曲の持ち込みや選曲、時にはDJ(ブレストコナカ名義)を担当しています。毎週様々な音楽特集とメッセージテーマを設け、弘前大学ラジオサークルのメンバーと大人とでわんさか語り合う番組です。少なくとも東北イチ、珍盤をかける頻度の高い番組を自負しています。

お問い合わせやご意見、ご依頼などがございましたら、faceknk @ gmail.com宛にお願いいたします。もしくは、はてなユーザーの方は各エントリーにコメント出来ますので、よろしくお願いします。

 

2020年4月からは米ビルボード、およびビルボードジャパンのソングスチャートを紹介するポッドキャストBillboard Top Hits】も配信していますので、よろしくお願いします。

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レディー・ガガ & アリアナ・グランデ「Rain On Me」がフィジカル施策効果で初登場首位獲得…6月6日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の6月1日月曜に発表された6月6日付最新ソングスチャート。前週初の首位に立ったミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」が2位に後退、レディー・ガガアリアナ・グランデ「Rain On Me」が初登場でチャートを制しました。

レディー・ガガのニューアルバム『Chromatica』がリリースされる1週間前、5月22日金曜に先行カットされた「Rain On Me」。CDやレコード、カセットテープといったフィジカルが公式サイトで販売され、購入者には買ったタイミングでダウンロードが可能になるというフィジカル施策がこの曲でも行われた結果、ダウンロード指標は72000を獲得し同指標を制覇。またストリーミングは3140万となり2位発進、一方でラジオエアプレイは1110万(同指標50位未満)となっています。ソロの女性歌手同士による共演曲での首位獲得は8曲目であり、今年に限れば4週前に首位となったドージャ・キャット feat. ニッキー・ミナージュ「Say So」、2週前のミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」に続く3曲目に。

「Rain On Me」はレディー・ガガにとって5曲目の首位獲得曲。主演映画『A Star Is Born (邦題:アリー/スター誕生)』(2018)の劇中歌でブラッドリー・クーパーとの「Shallow」が昨年3月9日付で1位となって以来ですが、オリジナルアルバム発の首位獲得曲となると「Born This Way」以来およそ9年3ヶ月ぶりとなります。コルビー・オドニスをフィーチャーした「Just Dance」、および「Poker Face」が2009年に首位を獲得しており、ガガにとっては2000年代、2010年代そして2020年代の3つのディケイドで首位に。マライア・キャリー(1990年代を含む4つのディケイド)、ビヨンセに次ぐ3組目の記録達成者となりました。

一方でアリアナ・グランデにとってはジャスティン・ビーバーとの「Stuck With U」以来2週ぶりの首位返り咲き。アリアナは4曲全てが初登場で首位を獲得したことになり、ジャスティンやマライア・キャリー、ドレイクの3曲を超え最多記録を更新。ちなみに今年、初登場で首位を獲得した曲は既に4曲目となり、1995年、2018年に並ぶ最多記録に。

5月2日付でザ・ウィークエンド「Blinding Lights」が4週目の首位を獲得して以降、今週まで5週連続で首位が入れ替わりそのすべてが初の首位に。これは1990年9月29日付(ネルソン「(Can't Live Without Your) Love and Affection」)~11月10日付(マライア・キャリー「Love Takes Time」)の7週連続入れ替わり以来の記録となります。

 

前週首位のミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」は2位にダウン(3つの指標の数値等は記事に未掲載)。そして3位にはダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」が1ランクアップで初のトップ3入り。ストリーミングは前週比4%アップの3550万となり同指標2週目の首位を獲得しました。

 

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[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (初登場) レディー・ガガアリアナ・グランデ「Rain On Me」

2位 (1位) ミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」

3位 (4位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

4位 (3位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

5位 (2位) ドージャ・キャット「Say So」

6位 (5位) ドレイク「Toosie Slide」

7位 (8位) デュア・リパ「Don't Start Now」

8位 (7位) ロディ・リッチ「The Box」

9位 (9位) ジャスティン・ビーバー feat. クエイヴォ「Intentions」

10位 (6位) フューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」 

ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」はラジオエアプレイを制しながらも前週から1000万以上落ち込み7740万に。前週同指標が全体的に下がったという指摘があり、もしかしたらチャートポリシーが変更された可能性があるかもしれません。その影響を受けてでしょうか、前週まで38週トップ10入りを果たし最長記録を更新していたポスト・マローン「Circles」が遂に陥落となりました。

 

次週は「Rain On Me」の動向に注目。フィジカル施策の反動でダウンロードが急落し、一方でラジオエアプレイが補完出来なければダウンは必至ですが、次週はアルバムチャートに『Chromatica』が初登場し「Rain On Me」はストリーミングを稼ぐことが予想されるため、トップ10落ちの可能性は低いとみています。しかしながらダウンするスピードが速いならば、米ビルボードにはラジオエアプレイを見直した可能性について言及するとともに、フィジカル施策についても議論することをお願いしたいところです。

今週ビルボードジャパンの上半期チャートが発表、その前にソングスチャート1位および2位獲得曲の動向をチェックしてみる

今週金曜、ビルボードジャパンが2020年度上半期チャートを発表します。おそらくは早朝に発表が見込まれることから、このブログでも同日には感想等私見を記載し、今週中にポッドキャストも公開出来ればと考えています。

さてその発表前に、週間チャート1位および2位獲得曲における獲得翌週の動向をチェックしてみましょう。昨年度についてはビルボードジャパンソングスチャート1位および2位獲得曲から見えてきた、シングルCDセールス指標のウェイトを下げる必要性(2019年12月7日付)をご参照ください。

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※ シングルCDセールスおよびルックアップ(パソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースにアクセスされる回数)の順位欄が未記載なのはCD未リリースゆえの場合がほとんど。ただし昨年12月23日付の2位、MAG!C☆PRINCE「Try Again」についてはCDは発売されていながらもルックアップが300位未満となっています(各指標は300位までが加算対象・100位未満300位圏内は[-]で表示)。

※ 6月1日付については翌週のチャートが今週水曜に発表されることから、翌週の各欄は未記載となっています。

※ ソングスチャート50位未満はポイント未記載のため、翌週のポイント前週比が計算出来ない場合は[(計測不能)]と記載しています。

首位においては、5月25日付までの25週中12週とほぼ半分が翌週のポイントにおいて2割未満に。そのすべてはアイドルもしくはK-Popアクトであり、シングルCDセールスが主体となり他指標が十分獲得出来ないがためにCDセールス加算2週目に急落することが見て取れます。この12週の首位獲得曲は翌週のポイント前週比がいずれも2割に届いていませんが、SixTONES「Imitation Rain」と同日リリースで2位止まりとなったSnow Man「D.D.」がポイント前週比2割をわずかながら超えていることは注目すべきでしょう。ただ「Imitation Rain」も「D.D.」も、シングルCDセールスが今年度中にミリオンに届くだろう状況にあって週間チャートで2位以上を獲得したのがシングルCDセールス初加算週のみという状況では、多くの方に浸透したとは断言出来ないかもしれません。

他方、Official髭男dism「Pretender」や「I LOVE...」、King Gnu「白日」やLiSA「紅蓮華」は翌週のポイントで極端に落ち込むことがありません。これらストリーミングで浸透している曲は週間のポイントこそ2万に届かない一方ロングヒットに至っているため、上半期および年間チャートで上位進出することは間違いないでしょう。この流れに乗るであろう瑛人「香水」やYOASOBI「夜に駆ける」はシングルCDをリリースしておらず、CDに頼らないヒットが生まれる傾向が出てきています。いや仮にコロナ禍という状況が生まれず、アイドル等が順調にシングルCDをリリース出来ていたとしても、それらの曲がCD加算2週目の急落傾向をなぞっていたならば「夜に駆ける」等を上回る勢いにはならないはずです。

 

ビルボードジャパンソングスチャート、年間および今週発表される上半期分はポイントはポイントの合計で順位が決まります。シングルCDセールスに長けた曲は瞬間風速こそ強いものの、長期的に残る曲が最終的により高い順位を獲得することは自明であり、だからこそシングルCDセールス加算2週目の動向を見ることをお勧めしたいと思います。

最後に、ジャニーズ事務所所属歌手とAKBグループ、坂道グループそしてK-Popアクトにおいて、基本的にシングルCDのリリースタイミングが被っていないという状況は、偶然としては出来すぎな気がするのです。

次回北村匠海が出演する『Mステ』、一部の事務所を厚遇する姿勢を改めたのか注視しないといけない

コロナ禍で十分な制作が出来ないテレビ業界において、ここ最近『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)が攻めている、もしくは本来の音楽番組に戻りつつあるという声を耳にします。次回6月5日の放送については昨日触れましたが(『Mステ』が”愛される動画”を積極的に紹介…次週取り上げられる曲とこれからの注目株をチェックを参照)、良質な音楽や流行を紹介する方向にシフトしているならば嬉しいですね。

 

ただ、敢えてここで懸念を表明したいと思う自分がいます。問題が完全に解決されたとは考えていないためです。

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出演者一覧は上記キャプチャを参照。北村匠海さんが2度目の登場となりますが、今回DISH//のメンバーとして紹介されていることに注目。以前、山崎まさよしさんと登場した際に番組側がDISH//の名に一切触れず、山崎さんがグループ名を口にしたという経緯があり、番組への不信感を抱いていました。その内容は下記に。

それゆえ、次回北村匠海さんが2度目の出演を果たすこと、そしてDISH//の名が出るようになったことに、ひとまず改善の兆しが見えたとは思います。

しかしながら現在はコロナ禍により通常の制作が出来ない状況。上記キャプチャでも解る通り、ジャニーズ事務所所属歌手は企画出演以外でのパフォーマンスが(出来)ないために北村匠海さんの出演が叶ったのでは? 彼らが通常出演出来るようになればライバル事務所所属歌手は同時出演出来ないのでは? そう危惧する自分がいます。今回の北村さんのソロとしての出演は、披露曲が”THE FIRST TAKE”企画から生まれたものゆえ自然なことかもしれませんが(しかし同バージョンのアレンジはメンバーが担当しています。DISH//の北村匠海、『Mステ』で「猫 〜THE FIRST TAKE Ver.〜」地上波初披露 | BARKS(5月29日付)参照)、橘慶太さんがw-inds.として未だ出演出来ない一方でソロとして登場したことを彷彿とさせるわけで(2006年10月27日放送回。出演者一覧はこちら)、やはり懸念は拭えません。異例により出演が叶ったという例はDa-iCEもそうで、ジャニーズ事務所所属歌手が大挙出演した番組に登場出来たのはEXITとの共演ゆえではないか、単独ではありえなかったのでは?という疑問も以前記載しました。

 

ジャニーズ事務所とライバル事務所の所属歌手が同じ画面に出ることは、特例の『NHK紅白歌合戦』を除けばあり得ないのではと思うのですが、数少ないながらも事例が存在します。

自分の行動範囲にある郵便局でよく見かけるポスターには、TOKIO城島茂さんとw-inds.が同時に収まっているのですが、昨年末に行われた会見で両者が実際に共演を果たしています。

とはいえこちらについては、熱心に社会活動を行う杉良太郎さんの強い意志が慣例に勝った、もしくは現在TOKIOが音楽活動を行っていないことを踏まえてだったり、そもそも音楽活動と関係のない企画ゆえに共演が叶った可能性が高いと言えそうで、やはりこの件も特例と言えるでしょう。

 

ジャニーズ事務所所属歌手は6月10日以降、King & Prince→KinKi KidsジャニーズWEST→Hey!Say!JUMPと立て続けにシングルCDをリリース。コロナ禍が落ち着きテレビ番組制作が通常(に近い)モードに戻れば、彼らが通常のパフォーマンスを出来る状況になるでしょう。メジャーデビューを果たしていないグループを含む同事務所所属歌手を毎週登場させている『ミュージックステーション』が厚遇をまた復活させるのか、チェックしなければいけません。今後北村匠海さんがソロではなくDISH//として出演出来るか、6月5日放送回で番組がきちんとDISH//の名に触れるのか、まずは注視しましょう。

『Mステ』が”愛される動画”を積極的に紹介…次週取り上げられる曲とこれからの注目株をチェック

”愛される動画”が今の日本におけるヒットの共通点であり源泉であることを一昨日のブログで紹介しました。

テレビメディアもこのムーブメントを追いかけようと動き出している気がします。特に6月5日金曜は音楽業界にとっても重要な日になるでしょう。まずは朝、『あさイチ』(NHK総合 月-金曜8時15分)にYOASOBIが初のテレビ生出演。

そして夜の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)はTikTokトレンド動画を特集するほか、瑛人さんへの直撃取材もOA。この2週にビルボードジャパンソングスチャートを制した曲が、曲披露の有無は別としてテレビメディア、それも地上波に登場するのです。

上記記事はパフォーマンスする方だけ記載されているのでしょう、瑛人さんの名前はありません。またトークゲストとして登場するこの方の名前も未記載であり、音楽ナタリーにはトーク等のみであっても書いて欲しいと思うのですが。

TikTokの人気に伴い、AAAの末吉秀太さんのソロ曲、Shuta Sueyoshi名義での「HACK」が今週ビルボードジャパンソングスチャート44位に初登場を果たしています。

アルバム『WONDER HACK』(2019)収録のこの曲がTikTok、そしてサブスクで上昇したのを機に、末吉さんは公式オーディオをYouTubeで公開。その4日後には「HACK」を使って自ら踊ってみた動画をTikTokにアップ。

そしてこの振付を披露していたライブの映像を…というように、立て続けの動画施策がチャートに表れた形です。何より、TikTokに投稿したい方に対し本人がレクチャーする(ような映像をアップしている)のは嬉しいですね。

 

さらに、来週の『ミュージックステーション』ではDISH//北村匠海さんが登場、あいみょんさん提供の「猫 ~THE FIRST TAKE Ver.~」を披露します。この曲については以前取り上げました。

「猫 ~THE FIRST TAKE Ver.~」は結局オリジナルバージョンと合算はされませんでしたが、5月11日付で26位に初登場を果たして以降4週連続でトップ40内をキープ。YOASOBI「夜に駆ける」も取り上げた一発録りシリーズ”THE FIRST TAKE”が注目されていることの表れといえます。

 

瑛人さんは「香水」がTikTokでカバーされたことがビルボードジャパンソングスチャート制覇の契機となりましたが、このTikTokから火が付きつつあるのが歌い手のyamaさんによる「春を告げる」。

昨日ビルボードジャパンが発表した、再生回数や影響力等を総合的に判断し作成されるTikTokソングスチャートではShuta Sueyoshi「HACK」が1位、yama「春を告げる」が3位と躍進。同じ集計期間におけるビルボードジャパンソングスチャートでは順位が逆転しますが(「HACK」は44位、「春を告げる」は11位)、共に”愛される動画”となり接触指標群を中心に波及していることに間違いありません。

 

さらに、次回6月8日付ビルボードジャパンソングスチャート(6月3日公開)におけるストリーミング指標の速報では、注目曲が初登場。

YouTubeTikTokの勢いを受けて配信開始しストリーミングでも勢いをみせているとなると、記事にもあるように瑛人「香水」の動きをなぞる可能性が。総合チャートでどこまで伸びるかに期待したいところです。

 

 

動画サービス発のヒット曲を、ゴールデンやプライムタイムの音楽番組が追いかけ始めました。それだけ”愛される動画”が音楽業界で大きな意味を持つことが証明されたように思います。これらの曲が『ミュージックステーション』紹介を機にチャートアクションがどう変わっていくのか、注目しましょう。

Mrs. GREEN APPLE、ミュージックビデオを発表当初からフルバージョンで公開したことを嬉しく思う

Mrs. GREEN APPLEの新曲、「アボイドノート」がベストアルバムに先駆けて公開されましたが、そのミュージックビデオを観て喜んだのは自分だけではないはず。

「アボイドノート」、最初からフルバージョンでアップされているのです。

 

Mrs. GREEN APPLEのミュージックビデオにおいてはショートバージョン(短尺版)問題というものが発生していました。ミュージックビデオを短尺版のみで発表する歌手も少なくありませんが、Mrs. GREEN APPLEについては【レコード会社の公式YouTubeチャンネルで短尺版が公開→シングルCDリリース→リリースから少し経った後、歌手の公式YouTubeチャンネルでフルバージョンが公開】というスケジュールが採られてきていました。おそらくはCDを売りたいというレコード会社の狙いがあっただろうものの…ということは以前このブログで記載しました。

この施策は昨年のアルバム『Attitude』から先行配信されたアニメ主題歌「インフェルノ」でも見られ、配信直後の動画再生指標が鈍いゆえに総合チャートの順位を押し上げることが出来ませんでした。

一方で、昨日のブログエントリーでは、”愛される動画”がヒットするという流れが生まれていることを書きました。フルバージョンで動画が用意されていない曲でもTikTokでヒットすればYouTubeに公式オーディオがフルバージョンでアップされるという流れも生まれており、フルバージョンの投入は今のヒットの前提条件と言えるのです。

そんなこともあって、冒頭で紹介した「アボイドノート」のミュージックビデオフルバージョンはこれまでの彼らの、特にレコード会社の姿勢の転換であると考えると嬉しくなるのです。

 

Mrs. GREEN APPLEは7月8日にリリースされる初のベストアルバム『5』から、「PRESENT (Japanese ver.)」を今月8日に配信。この曲には先んじてアルバム未収録の英語版も発表されましたが、いずれもフルバージョンにてミュージックビデオが公開されていました。

「PRESENT」そして「アボイドノート」で、Mrs. GREEN APPLEの動画対策の変化が実感出来ました。サブスクの再生回数に基づくストリーミング指標で安定した成績を収める彼らだけに、動画再生指標もヒットすればさらなる上昇が見込めるはず。なにより、新曲がショートバージョンでなくなったことによる信頼度の上昇は、彼らへの心理的な障壁をなくすのに十分ではないでしょうか。

 

なお、ミュージックビデオにおける自分の考えはMrs.GREEN APPLE「ロマンチシズム」がトップ10ヒットに至れなったことから考える、日本におけるミュージックビデオの位置付け問題(2019年4月21日付)の最後のほうで触れていますのでご参照ください。

遂に首位を獲得したYOASOBI「夜に駆ける」の勢いの凄さ、そして”愛される動画”が今のヒットの共通点? 6月1日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を、ソングスチャート中心に紹介します。

5月18~24日を集計期間とする6月1日付ビルボードジャパンソングスチャート。前週初の首位に立った瑛人「香水」はポイントを伸ばしながら3位にダウン、YOASOBI「夜に駆ける」が1ランクアップし初の首位を獲得しました。

3位の瑛人「香水」はポイント前週比105.6%となりましたが、集計期間初日に発売された週刊少年ジャンプにて漫画『鬼滅の刃』が最終回を迎えたことでアニメの主題歌となったLiSA「紅蓮華」(前週4位)が逆転して2位に浮上。ポイント前週比は139.2%となり、漫画の影響力の大きさを実感します。

しかし今週最大のトピックはなんといってもYOASOBI「夜に駆ける」のチャート制覇。前週後半に発表された各指標の途中経過の段階で首位は堅いと思われていましたが、蓋を開けるとポイント前週比は160.4%と、とんでもない数値を叩き出したのです。チャート推移(CHART insight)を見ても右肩上がりなことが解ります。

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YOASOBIの特徴は、小説を音楽と映像で具現化するというコンセプトにあるように、その世界観を多方面に打ち出せること。当週の動画再生回数は歌手別で歴代3位の記録を成し遂げています。

多メディアでの世界観の訴求、新曲「ハルジオン」(2週連続で10位を記録)リリースに伴う過去曲のフックアップ、人気企画"THE HOME TAKE"への参加(一発録り企画"THE FIRST TAKE"の、自宅もしくはプライベートスタジオ収録版)、そしてTwitter活動におけるファンとのエンゲージメント確立の巧さ…これらが相俟って生まれたヒットだと感じています。

(ちなみに5月28日木曜7時30分現在、YouTubeにおけるミュージックビデオの再生回数は1698万、"THE HOME TAKE"バージョンは813万。今週の動画再生回数には、権利者の許諾を受けて公式音源を使用したUGC(ユーザー生成コンテンツ)も含まれているものと推測します。)

さて、Twitter活動におけるファンとのエンゲージメント確立の巧さについては以前も取り上げました。

今回の首位獲得を受けて、YOASOBIはこんなツイートを。

ファンへの感謝の思いを伝え、その上で『ここまで来たら今年を代表する1曲になりたい!笑』とさらなる呼びかけを行ってファンとの結束力を高め、そして自身の歌手名を模した"#YOKUBARI"というハッシュタグを使う…これらの言葉のセンスが非常に優れ、また彼らからいやらしさを感じないところが人気確立の理由であり、彼らの魅力だと思うのです。

今週月曜には『とくダネ!』(フジテレビ 月-金曜8時)で特集が組まれたこともあり、さらに勢いを加速させることでしょう。今週獲得した12797ポイントは、未CD化曲で昨年度の年間チャートトップ10入りを果たしたKing Gnu「白日」(年間4位)や菅田将暉まちがいさがし」(同6位)の週間最高ポイントを上回っており、次週さらにポイントを積み重ねれば、米津玄師「馬と鹿」(同5位)においてシングルCDセールス指標加算前に獲得した17437ポイント(昨年8月26日付)に追いつくかもしれません。

 

 

さて、コロナ禍の影響でCDリリースが延期された作品が多いことで、CDセールスに頼らない曲の勢いがチャートで目立つようになりました。それを裏付ける形で、昨日ビルボードジャパンがこのようなコラムをアップしています。

サブスクの再生回数を基とするストリーミング指標のソングスチャートにおいて、『3月以降は、計9組のアーティストが初のトップ100入り&3週以上のチャートインを果たした』ことを特筆すべき点として紹介しており、『TikTokで流行した楽曲が多いこと』『9曲中6曲がインディーズ・レーベルまたは「TuneCore」「The Orchard」といったデジタルディストリビューション・サービスを通して配信された楽曲』を共通点として挙げています(『』内は上記記事より)。TuneCore Japanについては以前瑛人「香水」を取り上げた際に紹介しています。

この記事から、新曲か過去曲か、メジャーかインディかそれとも完全インディペンデントかは関係なく、好い曲は好いから聴きTikTokで使うという姿勢が垣間見えます。コロナ禍による自粛期間中、休校期間が長引くなかで学生のTikTok利用が増えたという調査結果が記事にて紹介されていることから、嗜好が固まらない若年層こそ分け隔てなく柔軟に聴こうとする姿勢があり、それがチャートに反映されたものと考えます(対照的に歳を重ねると嗜好が固まり柔軟性が薄れることについては、”33歳までに音楽的嗜好が固まる”という研究結果から思ったこと(2015年5月20日付)にて記載しています)。この調査結果は下記リンク先からも辿ることが出来ます。

TikTokの再生回数増加は、他指標よりも速くストリーミングおよび動画再生といった接触指標群に波及することは以前から紹介しています。またYOASOBIのようにメディアミックス的な売り出し方をしたり、メンバーがいわゆるボカロPや歌い手として活動していることが、動画再生でより火が付きやすい環境を構築したと言えるかもしれません。この動画再生に注目すると、たとえば今週ソングスチャート11位につけた「春を告げる」を歌うyamaさんは『2年ほど前からカヴァー曲の動画をアップし始めた、いわゆる「歌い手」と呼ばれるシンガーのひとり』(アフター・コロナのヒットパターン?! yamaの「春を告げる」が急上昇 | Daily News | Billboard JAPAN(5月23日付)より)。また今週デビューアルバム『HELP EVER HURT NEVER』がアルバムチャートを制した藤井風さんは『小学校の終わりに言われた父の一言「これからはYouTubeの時代」で、実家の喫茶店で撮影したピアノカヴァー動画をYouTubeにアップした事が、後に音楽の世界へ飛び込むきっかけとなった』(Profile | 藤井 風 OFFICIAL SITEより)とのこと。彼らのYouTubeアカウントに残っている最初の動画も合わせて紹介します。

YouTubeを介して自身の表現活動を世界に向けて伝え続け、腕を磨き上げた結果が今なのです。

動画サービスへの投稿を続けて世界観を確立したり、曲をオーディオのみならずビデオでも伝えることに重点に置いたり、またはTikTokで多くの方に好まれる等、ざっくりとした表現になりますが”愛される(支持される)動画”に用いられる曲がヒットする、その傾向が一気に高まったと言えるのではないでしょうか。先述した"THE FIRST TAKE"もその一端と言えるでしょう。接触指標群がチャートに大きな影響を及ぼす流れは、フィジカル施策が連発される前の米ビルボードソングスチャートを想起させ、実に面白いと思います。そして、未だにミュージックビデオ等をフルバージョンでアップしない歌手やその運営側においては、自身のプロモーションを見直す必要があると考えます。