face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

はじめに

ブログ【face it】担当のKeiと申します。

地元青森県弘前市にあるFMアップルウェーブのラジオ番組、『わがままWAVE It's Cool!』(日曜17時)のスタッフのひとりとして曲の持ち込み、選曲、DJ(ブレストコナカ名義)を担当しています。毎週様々な音楽特集とメッセージテーマを設け、弘前大学ラジオサークルのメンバーと大人とでわんさか語り合う番組です。少なくとも東北イチ、珍盤をかける頻度の高い番組を自負しています。

またチャート愛好家として、ビルボードジャパン最新チャートを様々な視点から分析し、弊ブログに記載しています。

お問い合わせやご意見、ご依頼などがございましたら、faceknk @ gmail.com宛にお願いいたします。もしくは、はてなユーザーの方は各エントリーにコメント出来ますので、よろしくお願いいたします。

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE、デジタルシングル「Rat-tat-tat」が彼らの今年最高ヒットとなるか

今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場を逃した三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE。同枠はGENERATIONS from EXILE TRIBEが半ば引き継いだ形ですが、カウントダウンライブに三代目 J Soul BrothersをはじめとするEXILE一派がGENERATIONSを除いて出演することも、三代目 J Soul Brothersの落選/GENERATIONSの初出場の要因かもしれません。

しかしながら、三代目 J Soul Brothersの今年リリースのシングルがそこまで好成績を収められなかった(広く世間に浸透したとは言い切れなかった)ことも紅白落選の要因と捉えることが出来そうです。

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今年シングルCDでリリースした2曲の最初の11週の動きをみると、シングルCDセールスのピークに合わせて総合順位も最高位に達していますがその後はシングルCDセールスに比例するかのように降下。アフロジャックを招いた「SCARLET」は動画再生やストリーミングといった接触指標群の落ち込みが速いのが気掛かりでした。

しかしその流れにあって、突飛な動きをみせているのが初のデジタルシングルとなった「Rat-tat-tat」なのです。

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シングルCDセールスおよびルックアップの2指標が稼げないためか総合でトップ10入りは逃しているものの、45位まで落ち込んだこの曲が最新11月25日付では17位まで復調。動画再生は強くありませんがしかし、ミュージックビデオが存在せず公式はオーディオのみという状態でこの成績なのは十分と言えるでしょう。

この曲「Rat-tat-tat」について、ビルボードジャパンでは今月11日に栗本斉さんがコラムを寄稿。11月11日付で突如47位に上昇した動画再生指標について興味深い指摘をされています。

もともとこの曲はPVは作られておらず、オフィシャルのYouTubeチャンネルでも静止画像のもの。普通に考えるとこれ以上伸びる要素はなさそうなのだが、Tik-Tokや素人のダンス動画なども含めて、別の角度からブレイクする可能性もある。そうなると、ツイッターやカラオケなどのポイントとも連動して急上昇することも考えられるだろう。

調べてみると、三代目J Soul Brothers側の仕掛けが見られます。

応募は今月中であり、スペシャルムービーは後にSNSで公開されるとのこと。ハッシュタグから反応を辿るとTikTok等に投稿している方もみられており、動画投稿者が元の楽曲をチェックしようとした結果、再生回数が伸びたことが想像出来ます。

 

今のヒット曲には、TikTokで人気に火が付きサブスクリプションサービスでの流行を経て広く浸透するものが多く、その象徴といえるリル・ナズ・X「Old Town Road」はのちにビリー・レイ・サイラスの助太刀もあって米ビルボードソングスチャートで史上最長となる19週連続首位を達成しました。今回の「Rat-tat-tat」は歌手側から仕掛けたものでありTikTokユーザーの自発的な利用とは少し異なるかもしれませんが、このような方式をいち早く採り入れるLDHの姿勢は見習うべきかと。あとはこの「Rat-tat-tat」がコアなファンのみならずライト層にまで浸透するかどうかで今後の明暗を分けそうです。ムーブメントに至れたならばこの曲で来年の紅白に復帰する可能性もゼロとは言えないでしょう。

嵐のデジタルシングルの動向は? NHK紅白歌合戦が如実な効果をもたらす…11月25日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点をソングスチャート中心に紹介します。

今週のソングスチャートを制したのはKis-My-Ft2「Edge of Days」でした。

シングルCDセールス、ルックアップおよびTwitterの3指標で首位。ただしチャート構成比に占めるシングルCDセールスは8割以上であり、これまでの例をなぞるならば次週の急落は免れないでしょう(下記の表にてその傾向を示しています)。

 

さてTwitter指標について、強い私見と前置きして苦言を呈させていただくならば。木村拓哉さん主演のドラマ『グランメゾン東京』(TBS 日曜21時)にKis-My-Ft2のメンバー、玉森裕太さんが出演しているのですが、玉森さんの登場シーンになるとドラマとは関係のないKis-My-Ft2「Edge of Days」をドラマのハッシュタグと共に記載したツイートが散見されます。ファンによるCDの自発的宣伝、もしくはビルボードジャパンソングスチャートのTwitter指標を押し上げるための策かもしれませんが、ドラマの反応を楽しみにしてツイートするまたは見る者にとってはノイズでしかなくむしろ逆効果ではないかと思うのです。その意味でも、Twitter指標のウェイトダウンは必要な措置だと考えています。

 

前週首位を獲得したNMB48「初恋至上主義」は20位へ急落しました。

今年度1位を獲得した曲の大半はシングルCDセールス指標初加算週でありCDセールスの効果が大きかったわけですが、それら楽曲は翌週大きくポイントを落としています。

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アイドル楽曲はシングルCDセールス加算2週目のポイント前週比が10~25%で収まってしまっています(AKB48は極端に低く5%未満)。その中で50%以上をキープ出来た作品は極端に少なく、またそれらの作品はシングルCDセールスに頼っていないことが解ります。つまり他指標をどれだけ稼ぐかが鍵であり、そのような楽曲ほど社会的ヒットとなっているものと考えます。

では、今回初のデジタルシングルとなった嵐「Turning Up」はどうでしょう。

11月3日19時に解禁された「Turning Up」は集計わずか5時間で11月11日付ソングスチャート10位に初登場し、翌週は2位(前週比363.0%)、そして今週が29.4%。ダウンロードという所有指標も稼ぎながら、やはりサブスクリプションサービスという接触指標が強かったことがポイント前週比が高い要因と言えます。ただ、高い水準なのは『アイドルの中でも』であり、広く世間に「Turning Up」が浸透しているのかはまた別の話かもしれません。11月17日までの「Turning Up」のダウンロード数は110921であり、たとえばシングルCDとして直近でリリースされた「BRAVE」が9月23日付ソングスチャートで獲得したシングルCD初週セールス708595枚とは大きな差が生じています。無論CDとダウンロードの単純比較は出来ませんし、嵐ファンの全てがデジタルに明るいわけではないでしょうが、ここからはユニークユーザー数もある程度見えてきます。今後ロングヒットにつなげるためにはダウンロード購入者の増加もさることながら、やはり所有から接触への移行が鍵と言えるでしょう。

 

今週は『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場者が発表されたことが如実に反映されています。上記ビルボードジャパンの記事でも触れられていますが、ソングスチャートトップ10入りを果たした楽曲におけるポイント前週比をみると。

NHK紅白歌合戦出場組>

・1位 Kis-My-Ft2「Edge of Days」 ポイント前週比1053.7%

・2位 Official髭男dism「Pretender」 ポイント前週比110.8%

・3位 Official髭男dism「宿命」 ポイント前週比100.1%

・4位 Official髭男dism「イエスタデイ」 ポイント前週比100.0%

・5位 King Gnu「白日」 ポイント前週比110.0%

・8位 嵐「Turning Up」 ポイント前週比29.4%

・9位 Foorin「パプリカ」 ポイント前週比114.4%

・10位 LiSA「紅蓮華」 ポイント前週比147.2%

NHK紅白歌合戦不出場組>(※今後出演の可能性は否定出来ず)

・6位 米津玄師「馬と鹿」 ポイント前週比78.7%

・7位 あいみょんマリーゴールド」 ポイント前週比93.9%

シングルCDセールス初加算週のKis-My-Ft2、先述した嵐は極端な推移ゆえ置いておくとして、しかし他の作品は出場組が100%超え(もしくはキープ)、不出場組は100%割れとなっています。これは今年初出場を果たす菅田将暉まちがいさがし」(11位)がポイント前週比113.0%であったことからも、『NHK紅白歌合戦』効果が非常に大きいことが解ります。その意味では不出場は機会損失と言えるかもしれません。

さて、『NHK紅白歌合戦』初出場組ではLiSA「紅蓮華」が今後化けることが予想されます。

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過去2回のトップ10入りのタイミングはダウンロード初加算週、シングルCDセールス初加算週であり所有指標初加算の勢いに因るものでしたが、今回は『NHK紅白歌合戦』初出場効果はあれども何かしらの初加算週ではないタイミングでトップ10入りしたため、今後は所有および接触の両指標群をバランスよく獲得して上昇気流に乗るものと予想します。ただ、気になるのは動画再生指標の高くなさでありこれは間違いなくショートバージョンが影響しているものと考えます(ショートバージョンがチャートに寄与しにくいことは以前から指摘しています。それでも急上昇したのは流石ですが)。レコード会社や所属事務所等が英断を下せば、さらなる上昇も見込めるかもしれません。

 

そして今週目立つのはヒップホップの好調っぷり。

プロデューサーが如何に凄いかについては下記が分かりやすいと思います。

デジタル、それもiTunes StoreおよびApple Music限定で配信した作品がこれだけの成績を収めるインパクトは大きいですね。日本に少しずつでも着実にヒップホップが浸透していることが解ります。その要因のひとつはヒプノシスマイクの存在ではないでしょうか。

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ヒプノシスマイクのオオサカ・ディビジョンによるどついたれ本舗が躍進。『あゝオオサカdreamin'night』はアルバムチャートで3週連続トップ10入り。初登場週には総合2位、ダウンロード1位となっています。制作したCreepy Nutsの人気も勿論のこと、ヒプノシスマイクが新しいブランドを確立した確たる証拠と言えるでしょう。先週末からレンタルも解禁され、次週はルックアップの伸びも期待出来ます。

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ソングスチャートでも2週前に最高7位を記録したのですが、アルバムより落下のスピードが速いですね。CDがアルバムとしてカウントされること(それによりルックアップは含まれず)もさることながら、所有指標における動画再生が急落しているのも大きく、これはやはりショートバージョンの問題だと捉えています(未だ日本で根強いショートバージョン文化には強い疑問を呈したいと思います)。

NHK紅白歌合戦』では昨年刀剣男士が特別企画枠で出演しましたが、今年はヒプノシスマイクがその役割を担ってもよいのではないでしょうか。

今の演歌の販売手法の問題を踏まえ、再興のためのデジタル推進を提案する

今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場者決定後、出場/落選組についてこのような私見を記載しました。

新顔が登場しない、飛び抜けたヒットがない、ヒットした作品に"複数種同時×数カ月後に2回目、3回目発売"が多く売上枚数のユニークユーザー数が見えない、そもそもシングルCDセールス指標以外に飛び抜けた指標が存在しない…これらを踏まえると演歌歌謡曲は、コアなファン以外の支持を得られない限り縮小傾向に歯止めがかからないでしょう。

この演歌界の状況を、今年演歌界で最もヒットしたとされる氷川きよしさんのシングルからみてみます。

氷川きよしさんの今年のシングル「大丈夫」「最上の船頭」のダブルAサイドシングルの発売イベントが一昨日開催されました。

この見出しでも解るように、今回がこのシングルCDの7~9種類目。

同シングルのジャケット写真とカップリング曲が異なるA・B・Cタイプが3月12日に、D・E・Fタイプが8月27日に発売。それに続く今回のG・H・Iタイプで、カップリング曲は、Gタイプが演歌「天地人」、Hタイプがバラード「恋初めし(こいそめし)」、Iタイプがロック「確信」で、もう1曲のカップリング曲は、9月6日に開催した大阪・大阪城ホールでも歌唱された「hug」が3タイプすべてに収録。

・上記記事より

 今回のイベントでは、3種類独自および3種類共通のカップリング曲も披露されており、シングルCDを購入してほしいとの思いが伝わってきます。

さて、カップリングが異なる仕様は、たとえばアイドルにおいては常套手段と言えます。しかしアイドルはシングルCDセールスのみならずTwitterやルックアップ等、ビルボードジャパンソングスチャートではシングルCDセールス以外の指標も弱くはなく、超短期的にでもトップ10入りすることは少なくありません。紅白歌合戦出場の段階で97800枚売れていた(第70回紅白歌合戦の出場者傾向のこと - WASTE OF POPS 80s-90sより)、氷川きよしさんの場合はどうでしょう。

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ビルボードジャパンのCHART insightによると、「大丈夫」はA・B・CタイプのシングルCDセールス初加算週に同指標4位、D・E・Fタイプでは6位をマーク。しかし総合では前者においては11位とトップ10入りを果たせず、後者においては35位となっています。というのも。

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最初のグラフから総合ソングスチャート(黒の折れ線で表示)、シングルCDセールス指標(黄色)を抜いたのが上記。「大丈夫」がシングルCDセールスに大きく頼っていることが解ります。同曲のシングルCDセールス指標は常に300位以内をキープしている一方、他指標が伴っていません。パソコン等にインポートする際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すルックアップは、前者においては32位→100位圏外(300位以内)と300位以内在籍はわずか2週、後者は68位の翌週に300位圏外と達しており、CDは接触としてほぼ用いられていないことが解ります。また動画再生指標は一度として300位以内に入っていませんが、ショートバージョンならばやむを得ないかもしれません(ショートバージョンが動画再生指標に貢献しないことは弊ブログで幾度となく触れています)。

そしてストリーミング指標を構成するサブスクリプションサービスについて。

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たとえばSpotifyをみると解禁曲があまりにも少ない状況です。ポップス(GReeeeN書き下ろしの「碧し」を含む)のみというのは、レコード会社や芸能事務所サイドの姿勢を示すかのようです。

 

「大丈夫」「最上の船頭」のダブルAサイドシングルCDは先週発表の段階において6種類で10万弱の売上となっており、1種類あたりの平均は1万5千強。全種類購入する熱心なファンが歌手を支えていると仮定して、シングルCD9種類(そして全てのバージョンに同じ表題曲が含まれる)購入で1万強支払うのはなかなか根気の要ることではないかと。それでいてD・E・Fタイプ発売前には「大丈夫」「最上の船頭」が収録されたアルバム『新・演歌名曲コレクション9 −大丈夫/最上の船頭−』がリリース、G・H・Iタイプの前には『新・演歌名曲コレクション10. −龍翔鳳舞−』が発売されているわけです。これではよほど体力のあるファンしか付いてこられないと思うのですがいかがでしょう。9種類で12曲出すならば1枚3000円程度でアルバムが制作可能では?そんな疑念を抱かれてしまったならば、ますますファン離れが加速するばかりではと考えます。

 

先述したブログ【WASTE OF POPS 80s-90s】さんでは、昨年の氷川きよしさんをはじめとする演歌歌手のシングルCDセールス動向を踏まえこのようなことを記載されています。

でも、演歌系の番組は激減したわけでもなく、配信にだばだば回ってしまうような世代でもなく、実際どの歌手も別にサブスクにガンガン曲出しているわけでもないのに、それでもこれだけ売り上げが減っているのは何故だろうと考えてみたのですが、単純な話として新規ファンの流入よりもファンをやめたり死んだり寝たきりになってる数の方が多いというのはあるにしても、それ以上に、市街のレコード屋が消え、ショッピングモールのCDショップも潰れていく今、購入するための接点がどんどん失われているという理由も相当あるのではないか、と何となく思いました。

演歌のシングルのこと - WASTE OF POPS 80s-90s(2018年12月28日付)より

(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)

CDを購入出来る環境の減少もさることながら、このような売り出し方に嫌気が差してファンをやめる方も実は少なくないのでは?というのが私見。そしてどんどん体力のある方に頼っていくのだとしたら、そのうち演歌は衰退することは間違いないと言っても過言ではないでしょう。

 

ではどうするべきか…そのヒントは所有から接触への移行、そして所有する接点の増加にあると考えます。そしてその全てにおいて、演歌を好むとされる年配者をネット弱者から強者に変えることが求められるでしょう。ネットショッピング(AmazonタワーレコードHMV等)が活用出来るようになれば所有する意欲が高まります。また接触においてもスマートフォンが普及すれば(尤も、いわゆるガラケーがどんどん少なくなってきており普及はやむを得ないという側面もあるのですが、それを好機に捉えるべきと考えます)、動画再生やサブスクリプションサービスの活用でどんどん演歌に触れられることを訴求出来るはずです。そのハードルは高いかもしれませんが、たとえば認知症予防やネットリテラシー向上の側面を謳うことも有効のはずです。最も大変なのは"面倒臭いの一点張り"でしょうが。

逆にいえば、既にネットに長けた年配者の方がいらしたとして、YouTubeで検索してもフルバージョンが見つからない、サブスクリプションサービスでも解禁されていないと知って接触を諦めた方もいらっしゃるのではないでしょうか。先に氷川きよしさんのサブスクリプションサービス解禁楽曲がポップス系のみであることにレコード会社や芸能事務所サイドの姿勢を示すかのようと書きましたが、仮にレコード会社等が"年配者は接触しない"という前提で動いているのだとしたら機会損失であると同時に、年配者を甘く見ているとすら思ってしまいます。

それでも旧来の方法を維持したほうがいいというならば、たとえば演歌歌手が在籍するレコード会社が結集してラジオ番組を制作し、AM・FM・コミュニティFM局等販路を限定せず安価で売ることも一つの手段です。たとえば早朝5時台の1時間番組を用意し、番組の中でデジタルへの対応の仕方をレクチャーするコーナーを設け、番組の公式YouTubeチャンネルを用意しそこでより細かなレクチャーを実施するのも有効ではないかと。

 

ここまでデジタルの活用にこだわったのは、旧来の手段のままでは先細りが確実であることに加え、先日亀田誠治さんが語っていた内容においてとりわけ旧態依然と化したジャンルは演歌だと思ったゆえ。いや、邦楽全体がそうなのですが。

この5~6年間に日本が行ってきた、怠慢とまでは言わないけれども、イノベーション潰しというか、イノベーションの様子をうかがっている中で、バランスを取って「とにかく今あるものを」ということでしがみついてしまったおかげで、今、すごく残念な結果になっています。

日本の音楽産業が欧米に乗り遅れた理由 音楽プロデューサー・亀田誠治氏が語るサブスクリプション配信の価値 - ログミーBizより

このまま行けば来年の紅白は演歌枠の減少は必至ゆえ、挑戦する価値はあるはずです。同時に市井においても、演歌が少ない紅白はおかしいと非難するよりもまず、自身の周囲に演歌は流れているか、手に取りやすい環境かを確認し、現状を変えるにはどうすべきか考えを巡らす必要があるでしょう。

ルイス・キャパルディが坂本九に並ぶ、そして早くもマライア・キャリーが…11月23日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の11月18日月曜に発表された、11月23日付最新ソングスチャート。前週首位に返り咲いたルイス・キャパルディ「Someone You Loved」が今週もその座を守り、通算3週目の首位を獲得しました。

ストリーミングでは前週比2%アップの2460万を獲得し同指標7位となった一方、ラジオエアプレイは同3%ダウンの9810万となり同指標首位をキープしながらも1億割れ、ダウンロードは同4%ダウンの12000(同指標8位)となっています。この曲のリリース元であるキャピトル・レコードにとって、男性ソロ歌手での3週1位は坂本九上を向いて歩こう (英題:Sukiyaki)」が1963年6月15日付から3週連続で首位を獲得して以来の最長タイ記録となりました(なお男性ソロ歌手以外の記録では、ビートルズ「I Want To Hold Your Hand」(1964)およびケイティ・ペリー「I Kissed A Girl」(2008)が7週首位を獲得)。

とはいえ2位のポスト・マローン「Circles」とは接戦。「Circles」はストリーミングが前週比6%ダウンの2300万(同指標6位)、ダウンロードが同6%ダウンの15000(同5位)、ラジオエアプレイが同6%アップの8840万(同2位)であり、ラジオエアプレイの勢いがある「Circles」は曲としてのピークを迎えていないことから次週首位が入れ替わる可能性もあるでしょう。

その2曲を追いかけるのが新たなトップ5入りを果たした2曲。

アリアナ・グランデの客演によるリミックスの影響でトップ10入りを果たしたリゾ「Good As Hell」が2ランクアップし4位に到達。ラジオエアプレイは先述の2曲に迫り前週比12%アップの8530万(同指標3位)、ストリーミングは同12%ダウンの1390万(同25位)、ダウンロードは同8%ダウンの13000(同6位)。デジタル2指標の落ち込みが気掛かりですがまだ勢いはあります。そして。

前週トップ10入りしたマルーン5「Memories」は5位に上昇。ラジオエアプレイは前週比9%アップの6290万(同指標9位)、ストリーミングは同5%アップの1760万(同18位)、ダウンロードは同4%ダウンの17000(同2位)と概ね好調。彼らにとって10曲目となるトップ5ヒットとなりました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

2位 (2位) ポスト・マローン「Circles」

3位 (3位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

4位 (6位) リゾ「Good As Hell」

5位 (9位) マルーン5「Memories」

6位 (4位) リゾ「Truth Hurts

7位 (7位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

8位 (5位) セレーナ・ゴメス「Lose You To Love Me」

9位 (9位) リル・ナズ・X「Panini」

10位 (10位) ダン+シェイ & ジャスティン・ビーバー「10,000 Hours」

もうすぐトップ10はこちら。下記3曲はいずれも最高位を更新しています。

・シェイド「Trampoline」(14位)

ジョナス・ブラザーズ「Only Human」(18位)

・リル・ベイビー「Woah」(19位初登場)

さらには、以前10位を記録したテイラー・スウィフト「Lover」にショーン・メンデスが参加したリミックスが先週水曜リリースされたことにより、同曲が43位から26位へ上昇しています。デジタル2指標はわずか2日間の集計ながら、ダウンロードは前週比192%アップの20000を記録し同指標首位に。ストリーミングは同33%アップの1020万(同指標50位未満)、ラジオエアプレイは同14%アップの3310万(同26位)と上昇。勢いがキープしたならば、集計期間フルでリミックスがカウントされる次週はさらなるアップが期待されます。

先週半ばにリリースされたビリー・アイリッシュ「Everything I Wanted」も74位に初登場を果たしており、こちらも次週の動向が気になるところです。

そして、マライア・キャリー

「All I Want For Christmas Is You (邦題:恋人たちのクリスマス)」が39位にリエントリー。こんなに早い時期にカムバックを果たしたのははじめてです。同曲が初めて収録されたアルバム『Merry Christmas』(1994)の25周年記念盤の影響と思われますが、それにしても強いですね。

今年の『NHK紅白歌合戦』出場/不出場についての私見をまとめてみる

今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場歌手一覧が先週発表されました。このラインアップから思うことを書き綴ります。

 

まずは初登場組について。

初出場となる8組は、ビルボードジャパンソングスチャートを追いかけていれば極めて妥当でありほぼ最善の選出と言えるでしょう。LiSAさんはTVアニメ『鬼滅の刃』オープニングテーマ「紅蓮華」がロングヒット、且つサブスクリプションサービス解禁後は更に勢いづいていますので、2018年の米津玄師「Lemon」のようにテレビ出演後に大ヒットする可能性も秘めています。そしてなによりOfficial髭男dismは紅白出場を目標と公言していただけに、自分のことのように嬉しいですね。

しかしながら視聴者の中には音楽のヒットを未だにオリコンランキングだけで判断する方もいらっしゃるかもしれず、Official髭男dismやKing Gnuの紅白出場に異を唱えられるのではという懸念も拭えません(今のところはそのような意見が見当たらないのは救いなのですが)。ビルボードジャパンソングスチャートがどんどん社会的ヒットの鑑に進化していくものの認知度はオリコンにまだ及ばないだろうことを踏まえれば、それをどう変えていくかがビルボードジャパンに問われていると思います。

 

今年のラインアップ、特に演歌歌謡曲についての検証は、ブログ【WASTE OF POPS 80s-90s】の内容に同意するところが多いですので是非そちらをチェックしていただきたいと思います。

(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)

演歌歌謡曲の歌手の顔ぶれは昨年と一切変わらず、無論演歌歌謡曲枠も増減なし。ですが、これは喜べる状況じゃないでしょう。新顔が登場しない、飛び抜けたヒットがない、ヒットした作品に"複数種同時×数カ月後に2回目、3回目発売"が多く売上枚数のユニークユーザー数が見えない、そもそもシングルCDセールス指標以外に飛び抜けた指標が存在しない…これらを踏まえると演歌歌謡曲は、コアなファン以外の支持を得られない限り縮小傾向に歯止めがかからないでしょう。自分が高齢になった際に演歌歌謡曲を好んで聴くとはとても思えません。これは由々しき事態だと捉えています。

 

演歌歌謡曲以外でみると、まずはいわゆる"NHK貢献度"が薄れたことが印象的。昨年は朝の連続テレビ小説まんぷく』主題歌を担当したDREAMS COME TRUEが落選し、今年はNコンの課題曲を担当したSHISHAMOがいません。今年の朝ドラ『なつぞら』主題歌を担当したスピッツについては…【WASTE OF POPS 80s-90s】の考えに同意します。とにかく、NHK貢献度は以前に比べて絶対ではなくなっているようですし、貢献度以上にヒットしたかどうかが基準になっているように思います。

他方、出演に貢献したのはベストアルバムの存在。aikoさん、PerfumeDA PUMP(過去の代表曲の再レコーディング含む)、そして嵐。また、今年末から来年はじめに作品をリリースする方も複数ラインアップされており、紅白出演を作品のヒットにつなげようとする見方も出来ます。出演者の一部には、今年ビルボードジャパンソングスチャートでそこまで大きなヒットがないのではと捉えられておかしくない方もいらっしゃいますが、年末感や紅白感という意味では妥当な選出であり、紅白のいい意味でのマンネリを再認識した次第です。 

一方、気掛かりなのはあいみょんさんの不出場。ビルボードジャパンでは昨夏リリースの「マリーゴールド」を含めヒットが続いていることから、今年出ても何ら違和感ないのにと思っていました。この点は非常に残念に思いますし。

昨年のあいみょんさんの紅白出場はブランディングの一環だと考えています。アルバムの大ヒットの一因に紅白出場があることも間違いないでしょう。ただ、今年もヒット曲を連発している中で不出場となると、邪推する方が出かねないと考え記載しました。捉え方は各自の自由と考えます(誹謗中傷はNGですが)

11月14日付のツイートより(別の方のつぶやきへの引用リツイートゆえ、このような形で紹介します。リンク先には元のツイートが掲載されています)

これは紅白サイドにとっても、あいみょんさんサイドにとっても勿体無い、というのが私見です。

 

さて、落選した方々についてはいろいろと思うところがあります。そこで、自分がスタッフの一員を務める11月24日放送のFMアップルウェーブ『わがままWAVE It's Cool!』(日曜17時 サイマル放送もあります)では【どうして紅白に出なかったんだ?!アーティスト】と題した特集をお送りすることになりました(タイトルは一昨年同時期の【どうして紅白に出ない?!荻野目洋子】特集を踏襲しています)。今年紅白に出場してもおかしくなかった歌手を我々なりにまとめてみますので、リクエストは下記経由にてお待ちしております。

また今後追加発表される(だろう)分と合わせて、ラインアップが出揃った際には紅白出場者発表直前のメディアによるいわゆる飛ばし記事の検証が必要だと考えています。飛ばし記事が結果的に正しかったとしても、です。同時に、受け手のネットリテラシーをどう高めるかを提案することも必要ですね。

90年代R&Bで紡ぐ”Baby Makin' Music”

一昨日のラジオ特集はまさしくツボでした。

星野源『Same Thing EP』は、日本にベイビーメイキングミュージックという概念をもたらす意味でも重要作になるのだと実感。さすがの着眼点だと思います(し、実際に曲も好いです)。

90年代にR&Bにハマった自分には、R&Bがそういう概念を持ち合わせた音楽であるだけに特集がドツボだったと同時に、ジェーン・スーさんの「涙そうそう」事件じゃないけれど自分もそういうプレイリストまとめてみたなあというのを思い出したり。尤も、ベイビーメイキングミュージックなシチュエーションには用いませんでしたが。

 

ということで、この特集に触れて思い出した、90年代R&Bのベイビーメイキングミュージックな楽曲をいくつか、思いつくままに紹介。

90年代に雨後の筍の如く登場したボーカルグループの中でも屈指の実力を誇ったエクスケイプ。現状ラストアルバムとなる『Traces Of My Lipstick』(1998)収録のこの曲は、よくよく考えれば彼女のいる男との”秘密”を歌ったものゆえベイビーメイキングミュージックとは異なるかもしれませんが、「Ain't Nobody Know」同様にBPMより明らかに速いリズムが刻まれているのが共通項。当時興隆したティンバランドのビート(”チキチキ”と呼ばれていました)を、プロデューサーのジャーメイン・デュプリが意識したのかもしれません。

エクスケイプの場合、「My Little Secret」の直後に訪れる「Softest Place On Earth」こそ混じりけのない(?)ベイビーメイキングミュージックだと思いますが、その「Softest Place On Earth」を手掛けたジョーの出世作「All The Things (Your Man Won't Do)」(1996)を。実際この曲もエクスケイプ同様、”彼氏がやってくれないこと、俺なら全部出来るよ”という意味深(いや、直接的)な内容なのですが、この曲に対するR&Bファンや好事家の熱狂は凄まじかった記憶があります。

内省的な側面を強く打ち出したジャネット・ジャクソンのアルバム『The Velvet Rope』(1997)から、ロッド・スチュワートでお馴染みの「Tonight's The Night」を。リラックスして歌うジャネットの声、そしてその声を美しく重ねていくプロデューサーのジャム&ルイスの手腕は見事。アメリカで首位を獲得したオリジナルバージョンに新たな価値を与えた傑作カバーです。

最後はトータル。パフ・ダディ(当時の名前)のレーベル、バッドボーイから登場した彼女たちのセルフタイトルアルバム(1996)から「Kissin' You / Oh Honey」を。オリジナルの「Kissin' You」はラファエル・サディークが手掛けたアコースティック的な美しいミディアムスロウなのですが、パフ・ダディとスティーヴィー・Jが施したのはデリゲーション「Oh Honey」(1977)のサンプリング採り入れ。これで夜をさらにメロウに彩るバージョンが完成しました。

 

サブスクリプションサービスが興隆し、プレイリストがヒットチャートを作り上げる可能性を秘めた時代となりました。ラジオでも”ベイビーメイキングミュージックと検索すれば沢山出てくる”と言っていましたが、日本でもこのようなプレイリストが登場して、夜の概念が変わるならば…などと考えたりしております。