イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

”ゲワイ”だけじゃない、1曲で十数バージョンの作品集

自分がスタッフのひとりを担当する『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)。前回3月5日は、その日に誕生日を迎えた【北条司】をテーマに、北条司さんが描いた漫画のアニメ/実写化における主題歌や挿入歌を特集してお送りしました。

で、『キャッツ♥アイ』といえばANRIさんという方が多いかもしれません(事実、この曲にリクエスト多数、でした)。では『シティーハンター』といえば? との問いに対し、おそらくこの曲と回答する方が最多ではないでしょうか。

 このバージョンを発端として、数多くのリミックスなりライブバージョンをなんと3枚組にコンパイルしたアルバムが来月リリースされます。

さらには電気グルーヴ石野卓球さんが新たなリミックスを担当。

 

全曲”ゲワイ”というのはたしかに濃密ですが、全曲バージョン違いというのは何もこれだけではありません。思い出したのがこちら。

シネマバージョンだけで4つも、そしてDJ HASEBEさんによるリミックスまで存在するのですから驚きです。

 

そしてこんなのも。

はてなブックマークの数の多さゆえ知っている人は多いかと思うのですが、織田裕二さんよりも3ヶ月前にリリースされたこちらは全14曲収録。

さすがに織田裕二さん、そして松崎しげるさん共に1枚組ゆえ、TM NETWORTのほうが曲数が多い(濃い)ように思うのですが…しかし、音楽ナタリーの表題にあるように「愛のメモリー」も、そして「Love Somebody」も共にアルバムではなく”シングル”扱いなのがミソ。特に「愛のメモリー」は当時の税込で1000円なのですから、濃厚なしげる色が一段と濃くなっているというわけです。ぜひ手に取って聴きまくってほしいと思います。

 

そして、”ゲワイ”に話を戻すと、今日になって新たなるバージョンnが公開されています。どこまで進化を続けていくのでしょうか。

米ビルボードソングスチャート、ザ・チェインスモーカーズ3曲同時トップ10入り達成

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の3月6日月曜(日本時間の火曜)早朝に発表された、3月18日付最新チャート。エド・シーラン「Shape Of You」が5週連続、通算6週目となる1位を記録したほか、ザ・チェインスモーカーズが3曲同時トップ10入りを果たしました。 記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

 

ザ・チェインスモーカーズの3曲同時トップ10入りは、4月7日に発売される初のフルアルバム『Memories…Do Not Open』から先行リリースされた、コールドプレイとの共演による「Something Just Like This」が5位に急上昇を果たしたため(デジタルダウンロード2位、ストリーミング7位にランクイン)。3曲以上を同時にトップ10入りさせたのは歌手全体でいえば14組目ですが、グループでとなるとあのビートルズ(1964)、ビー・ジーズ(1978)に次ぐ3組目の記録に。

また今週10位と崖っぷちの「Closer」ですが、トップ10在籍は通算31週となり、マーク・ロンソン feat. ブルーノ・マーズ「Uptown Funk!」と並ぶ歴代2位に躍進。あと1週トップ10入りすれば、リアン・ライムス「How Do I Live」に並びます。この記録にも注目しましょう。

 

紹介する順番が前後しますが、首位はエド・シーラン「Shape Of You」。未だデジタルダウンロードで14万以上を売り上げて同部門1位、ラジオエアプレイも1位、またストリーミングでは2位というほぼ文句なしの内容。ラジオエアプレイ以外若干数値が落ちているものの、来週のさらなる躍進は間違いないものとみられます。というのも。

さらには『さらに、1日における楽曲の再生回数では、アルバム収録曲の「シェイプ・オブ・ユー」が1,000万回以上をを記録したことで、2017年1月にエドが同楽曲で打ち立てた記録を塗り替えた』(上記ツイート内記事より)とあり、次週アルバムチャートを制するのは間違いないとみられる『÷ (Divide)』の勢いがソングスチャートにも反映されるものと思われます。となると「Shape…」と共に発売された「Castle On The Hill」の返り咲きもあり得るかもしれません。

 

ちなみに3月18日付のアルバムチャートでも新たな記録が達成しています。ソングスチャートで今週9位に「Bounce Back」がランクインしているビッグ・ショーンが、入れ替わりで2つのアルバムを、立て続けに首位の座に送り込んだのです。

『初登場での1位という条件を除いても、異なる作品で2週連続で1位になったのは、1968年のサイモン&ガーファンクルまで遡ることになる』(ツイート内記事より)そう。今週のチャートはビートルズビー・ジーズサイモン&ガーファンクル錚々たる偉人に追いつくという状況が生まれています。

 

さて、前週の27位から8位にジャンプアップした、コダック・ブラック「Tunnel Vision」にも振れておかなければいけません。コダックにとって初のトップ10入りしたこの曲のミュージックビデオが、燃え盛る十字架や銃を持つ白人の中年男性が登場するなど異様な光景を醸しているんですよね。というのもこの「Tunnel Vision」でコダックが謳ったのが、自身が捕まった罪に対する無罪の主張、そして『自分の成功を面白く思わない仲間に裏切られた事や、この腐敗した国の制度』についてなのです(『』内は下記ブログより引用させていただきました。問題があれば削除させていただきます)。

2月16日に公開されたミュージックビデオは、YouTubeでの再生回数が(記事では3日間で約600万回とありますが)3月7日朝の段階で3900万回近くにまで達しています。

ストリーミングでは前週より2ランク上昇し3位に到達、しかも前週比65%上昇ということですから如何にこのビデオに惹き付けられ(そして考えさせられ)た人が多いかの象徴と言えるでしょう。

 

ちなみに、アカデミー賞関連で大きく伸びた曲といえは、賞の冒頭を飾ったジャスティン・ティンバーレイク「Can't Stop The Feeling!」。とはいえ(前週29位からジャンプアップしたものの)13位にランクイン、トップ10を逃した形となっています。

 

 

次週はなんといってもエド・シーランのアルバムランクイン初週にあたるゆえ、収録曲のうちはたしていくつがソングスチャートトップ100に送り込まれるか、そして「Shape Of You」がどこまでぶっちぎるかが注目でしょう。

【Now】シリーズ、今月リリースの外伝が妙に面白い

イギリス発、最新ヒット曲のコンピレーションアルバム【Now】シリーズの最新版、『Now 96』の発売が4月7日に決定しました。前回は昨年11月18日の発売(詳細は今月発売、イギリス版『Now 95』 トラックリスト(2016年11月11日付)を参照してください)ですから4ヶ月半ぶりとなりますね。トラックリストが判明次第お伝えできればと考えています。

 

で、その発売予告と同時期に知った、【Now】シリーズの外伝的な作品に驚かされました。今月発売される2作品、まずはこちら。

NOW That’s What I Call Running (2017)

3月24日発売の3枚組。まさしく”ランニング”用のアップテンポなセレクションとなっています。一瞬そのコンピレーションのニーズを疑問視していたのですが、そういえば以前知人から”ランニングに最適なBGMってありますか?”と言われたことがあり、なるほどランニング時に音楽を聴く人は少なくないのだなと実感。過去の名曲も多分に含みながら、たとえば「SexyBack」や「Don't Cha」など歌詞がセクシー過ぎる曲も含まれていて、”ランニングで痩せて綺麗になったらセクシーなことも…っていう意図なのか?”と思ってしまったのは自分だけでしょうか。

ちなみにこのランニング版、5年前にもリリースされていることを知りました。もしかしたら人気シリーズなのかもしれませんね。

 

そしてこんなのも。

NOW That’s What I Call Mum

こちらは先週、3月3日に発売された2枚組。母の日より2ヶ月も早くリリース…というよりそもそも”母向けコンピレーション”というニッチな存在に驚いた次第(ちなみに自分はこのコンピレーションを、SNSでフォローさせていただいている方が取り上げていたことで知りました)。

こちらはロビー・ウィリアムス最大のヒット曲となった美しいバラード「Angel」からスタート。

で、なぜか2枚目のラストに置かれているのがブリトニー・スピアーズの大ヒット曲、「Oops!...I Did It Again」という。

コンピレーション冒頭で”天使を愛しているよ”と美しく奏でながら、最後の最後にブリトニーが”私を天使みたいに思ってるかもしれないけどそんな純粋じゃないからね”と突き放すという…なんというオチ!と痛感。選者、結構悪魔な選球眼をお持ちなようです。とはいえこんなコンピレーションまで用意する【Now】シリーズには恐れ入りました。

深化する清水翔太、前シングル「My Boo」がロングヒット中

2月21日にシングルCDがリリースされた、清水翔太「FIRE」が最新3月6日付のビルボードジャパンのソングスチャート(Hot100)で42位に初登場を果たしているのですが、その前のシングル「My Boo」も根強い人気を誇っており、登場21週目にして78位にランクイン。それも前週よりランクアップしています。

「My Boo」を知った際、真っ先に思い出したのが全米1位を獲得したアッシャー&アリシア・キーズの同名異曲。もしくは、山下達郎さんの曲をサンプリングした歌手名。それくらい”Boo”というフレーズは珍しかったりしますが、サビの♪My Boo というフレーズは極々自然で、今後日本でも使用頻度が高まるのではないかと。

ビルボードジャパンソングスチャートはシングルCDセールスが大きなウェイトを占めるチャートであるゆえ、セールス初週のポイントが加算された際に1位に躍り出た作品(特にアイドルやアニソン等に顕著)は翌週に大きく順位を落とすことがままあります。オリコンのシングルセールスランキングでは初登場15位で通算4週のランクインにとどまっていますが、ビルボードジャパンのソングスチャートで20週以上もの間地道にランクインを続けられるというのは、「My Boo」がストリーミング等で浸透し続けていることの表れであり、CDよりストリーミングを好む層(特に若年層)に彼が支持されている証拠なのではないかと。

 

さて、「FIRE」リリース直後、ライターや編集者によって行われた座談会において、今の清水翔太さんについての面白い分析がなされています。これは必読と言えます。

上記は前半。後半はこちら。

そういえば自分、猪又氏が否定されていた、アッシャー&アリシアとの同名異曲から気になったクチでしたが…それはともかく、この記事での”ドープに深化”で気付かされたのは、このブログの下記エントリーにたどり着く人が少なくないということ。

このエントリーをしたためたのは、アルバム曲が素晴らしいということと同時に、シングル曲にもっと冒険が欲しい(同時にJ-Popに落とし込んだ曲ばかりが親しまれる風潮に疑問を呈しもっと成熟してほしい)…ということでした。無論ポップネスとしての彼も素晴らしいのですが。

「Damage」がシングル表題曲としては初めて、今の路線を打ち出した楽曲だよね。彼は海外のソウル・R&Bもそうだけど、現行のヒップホップやポップスもチェックしているので、その要素をカップリングやアルバム曲では露骨に出すことがあったけど、シングル表題曲には少しずつ入れ込み始めて、「BYE×BYE」でその部分をチラ見させて、「Damage」で全面開放した、という印象です。その間にある「花束のかわりにメロディーを」は、少し毛色が違うけど、昔のソウル・ミュージックっぽい歌のグルーヴがいいんですよ。

清水翔太の音楽がドープに深化した理由ーー3人のライター・編集者が語り合う | Real Sound|リアルサウンドより

猪又氏の言葉に納得、且つ自分の願いが叶い始めたと(勝手ながら)捉え、嬉しくなった次第。今後、もっと深く(R&B的な表現を用いるなら”ドープに”)彼を追いかけようと決意しました。より挑戦的になった曲をシングルのカップリングでもアルバムのみの曲でもなく、シングル表題曲に据え始めたこと、そしてその挑戦的楽曲である「My Boo」がロングヒットになっている事実はただただ痛快そのものなのです。

ゴロワーズは吸ったことも見たこともないけれど

自分の中で、「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」といえばおおはた雄一さんのカバーでした。関東に住んでいた頃に何度か、間近で拝見させていただきました。

ゴロワーズ”は吸ったことがありませんし、器官が弱く副流煙すら受け付けない自分には1ミリのタバコにすらも距離を置くのですが、こんなに素晴らしい曲を作った方が亡くなると知り、吸わないまでも手にしておけばよかった、実物をみてみたかった、そしてご本人によるオリジナルバージョンを聴きたかった…と痛感させられます。

 

ムッシュかまやつさんのご冥福をお祈りします。

普段聴きの局と化しているNHKラジオ第1放送の”強み”

毎週金曜はラジオの話。

 

 

このブログでは、青森県のラジオ番組について何度か取り上げてきたのですが、最近、特に平日帯の番組はRABラジオからNHKラジオ第1放送へと、聴取番組がシフトしている自分がいます。特に午後の時間帯は『ごごラジ!』(月-金曜13時05分)を聴く機会が増えました。

その理由は様々あり、マイナスの理由もあるのですが、NHKラジオ第1放送を聴く理由は何かと考えたところ、【帯で同じ方がパーソナリティを務めている】ことでは、と行き着いた次第です。

 

たとえば『ごごラジ!』では曜日ごとのパーソナリティとは別に、進行役として神門光太朗アナウンサーが毎日担当しています。しかし進行役といいながら、パーソナリティがメッセージを読むこともあれば神門アナウンサーがメッセージにまつわる意見や思い出等を話してやり取りが弾むなど、番組を聴くと2人のパーソナリティが同等の立場で存在しているといえます。神門アナウンサーの立ち位置はでしゃばりすぎず適切な場所にいるゆえ心地よいのです。

また、帯で毎日同じ方が出演されるというメリットのひとつが、ある曜日に出た話題を他の曜日と共有出来る点。リスナーからのメッセージを元に膨らむ話題は数多くあるわけで、その話題が他の曜日に派生出来ればリスナーも喜ぶはず。それにより、各曜日に連帯感(一体感)が生じるのではないかと思うのです。

 

他方、曜日ごとにパーソナリティが異なれど同じフォーマットで番組作っているんだから同じでは?という見方は無論正しいと思います。とはいえ、平日帯を同じパーソナリティが務めていないと、曜日によってレベルの差がより大きくなると思うのです。個人的に、聴取頻度を下げた番組における、(どの曜日とは申し上げませんが)やり取りする相手を軽視するかのような態度が散見される模様には辟易したもの(声だけのメディアゆえ、その声の細かな機微でそういうのは伝わっていくものなんですよね)。そうすると、別の曜日は面白いとなっても、先述したような聴いて辛くなる曜日があるから全体的に聴かなくなっていく(フェードアウトしていく)…というリスナーは自分だけではないでしょう。

 

 

この、平日帯番組でパーソナリティ(FMならばDJ。局によって呼び名は異なりますが)が全曜日で共通していないという件は、なにも自分の住む青森に限らず、今では東京の放送局でも、または全国でネットされるJFN系(ジャパンエフエムネットワーク)などでも数多くみられますし、最近特に増えているように思います。たとえば青森の午前の番組においては、『今日も!あさぷり』(月-金曜9時)では3名のアナウンサーが担当していますが(以前は2名でした)、対するNHKラジオ第1放送『すっぴん!』(月-金曜8時05分)ではアンカーとして藤井彩子アナウンサーが全曜日出演しています。

藤井アナウンサーの姉御的キャラの強さが曜日別男性パーソナリティに刺激を与え相乗効果を発揮することも多い『すっぴん!』はある意味、”藤井カラー”が通底しており、平日午前と言えば藤井さんの声…というラジオ好きな方は少なくないでしょう。

 

 

ラジオはメディアの中でも、出演者とリスナーの距離感が特に密なものであり、また”ながら”(勉強や学習、家事等)で聴くことが出来る、そばに寄り添ってくれるものです。特に後者において、出演者の声やコーナーを聴いて”今は何時頃だ”と感じる、いわば生活リズムの基礎にラジオがあるというリスナーの方は多いのではないでしょうか。その際、曜日毎にパーソナリティが完全に異なるとその時間感覚が少しわかりにくくなる…ということもあるかもしれず、リスナーひとりひとりの生活に密着しづらくなるのは勿体無いと思うのです。

 

いや、局側からすれば、曜日に共通したパーソナリティを置けないという事情はあるでしょう。特にアナウンサーが担当する場合、別番組の出演だったりロケや出張などがあることは容易に想像出来ます。とはいえ先述したような生活密着感が薄れること、またはこの局、そしてラジオといえばこの人という”ラジオの鑑”的な人が生まれにくいという点でこれまた勿体無い気がするのです。局側の事情には他にも、万一の不祥事を踏まえたリスク回避策というのもあるかもしれませんが、ラジオに適した強力なキャラクターがいればそのリスクもひっくるめて起用した局がきちんと責任を負うと明言し、誇りを持って接すれば好いと思うのですが如何でしょう。リスクの中はアクの強さによる一部リスナーからの反発もありますが、アクにもいいアクとそうでないものとがあることは、たとえば個人的な主観で例を挙げるならば前者は小島慶子さん、後者は『ごごラジ!』の前番組を務めた山田まりやさんがおり、アクが強くても自分が前へ行き過ぎないか、周りに気を配れるか等をリスナーからの反応を確認しながら(この反応は意識してもしすぎないようにしないといけないとは思いますが)、半期の改編毎に継続する/しないの英断を下していけな好いと考えます。

 

 

『ごごラジ!』も『すっぴん!』もこの春以降の継続が決定しています。現にネット等では民放からNHKラジオ第1放送への移行という声も目に(耳に)しており、民放局は意識してNHKラジオ第1放送の番組群と対峙、無論吸収出来るところはしていかないといけないでしょう。少なくともパーソナリティ配置については、NHKスタイルを採ってほしいと切に願います。

自分が好きな曲が世間とズレていると思う事案

昨夜ふと思い出したこの曲。実はアルバム未収録のバージョンのほうが好みだったりします。

宇多田ヒカルAddicted To You (UNDERWATER MIX)」(1999)

表題曲のうち、”UP-IN-HEAVEN MIX”がオリジナルアルバム『Distance』(2001)およびベストアルバム『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』(2004)に収録されながら、このバージョンに関してはシングルのみの収録となっており、若干手に入れにくい状況といえるかもしれません。両方ともジミー・ジャム&テリー・ルイスによるプロデュース。ちなみに”UP-IN-HEAVEN MIX”は下記に。

”UP…”がハープ的なウワモノの効いたオリエンタルなアレンジ(それこそ当時、ブランディ&モニカ「The Boy Is Mine」(→YouTube)を大ヒットに導いたロドニー・ジャーキンス的な仕様。後にロドニー自身が宇多田ヒカルさんのシングル「タイム・リミット」(2000)に参加しています)を施し当時の流行に即したものであるのに対し、”UNDERWATER…”ではジャム&ルイス自身がプロデュースしたジャネット・ジャクソン「That's The Way Love Goes」(1993)を彷彿。動画サビ、1分46秒から挿入される音とかまさにジャネットのそれ。このアレンジをはじめて聴いたとき、R&B好きな自分は歓喜したものでした。「That's…」はリリースされた瞬間からクラシック化したといっても過言ではなく、ゆえに”UNDERWATER MIX”は(”UP…”の流行に即したのとは逆に)タイムレスと表現していいでしょうね。

2つのアレンジともにR&B的ではありますが、より流行りに乗っかった方をメインに選んだのは当時の時流を踏まえ、よりセールスをあげるためには自然のことではあるでしょう。とはいえ埋もれさせたくない名バージョンですので、ひとりでも多くの方に”UNDERWATER MIX”を手に取ることをお勧めします。

シングルCDは中古で100円台で手に入れること出来るかもしれません。

 

 

そういえば自分が好む曲が世間の支持とずれることは往々にしてあることだったりします。たとえばMISIAさんについては、1999年に同時発売された2つのシングル、「忘れない日々」と「sweetness」で後者が好きなのですが、セールス面では前者が4位、後者が7位(いずれもオリコンより)と差が開いたのみならず、15周年記念ベストアルバム『Super Best Records-15th Celebration-』(2013)には「忘れない日々」が収録されたものの「sweetness」が未収録というのは残念で仕方ありません。

実はこの考えは以前も記載していました。

日曜ラジオのスタッフと、”昔はシングル同時発売ってよくありましたよね”という話をした際に「忘れない日々」と「sweetness」も話題に上がったのですが、その際のスタッフからの、”もしかしたらJ-PopとR&Bという異なるタイプの楽曲を同時発売してセールスの結果を見ることで、今後の方向性を見極めようとしてたんじゃないか?”という意見に納得。なるほどもしかしたら「忘れない日々」の成功がMISIAさんの分岐点になったのかもしれませんね。