イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

(訂正あり) 極私的、"Mステに出て欲しい"男性歌手4組と出演の現実味

(※追記(2021年6月24日8時21分):漢字の誤りについて、訂正を行いました。)

 

 

 

ミュージックステーション』(テレビ朝日系 金曜20時 以下"Mステ")の前回放送(4月28日)の際、次回出演者の欄にジャニーズ事務所所属歌手がいなかったのですが、その枠に今回は東京B少年というグループが。検索しても公式ホームページがない状態ゆえ新ユニットであることは間違いないでしょう。これまでもCDデビュー前からのMステ出演はよくあることでしたが、今回のように追加発表ではじめてジャニーズ事務所所属歌手の出演がアナウンスされるというのは異例ではないかと。尤もこの時期に、事務所の他の歌手によるリリース作品がないゆえの出演かもしれないのですが。

これで解ったことは、Mステとジャニーズ事務所との強固なつながり。それを決して否定しているつもりはないのですが、しかしながらそれによって、出演したくても出来ない歌手がいるように思えてならないのです。

Mステに限らず、ジャニーズ事務所所属歌手とライバルになるであろう歌手の出演が叶っていない事態を憂い、上記エントリーを掲載したのは2年前。昨年、三浦大知さんがMステに出演したことで事態はわずかながら、でも確実に変わりつつあることは感じていますが、それでもなお出演出来ていない方は少なくありません。アイドルグループの方や元ジャニーズ事務所所属歌手の方も含まれますが、今回はあくまで個人的に出演して欲しいと願う実力派男性歌手を4組取り上げ、その出演の可能性を考えてみます。

 

 

●出演可能性 Aランク:ぼくのりりっくのぼうよみ

CDセールス面では今回取り上げる他の歌手より少ないかもしれませんが、全国ツアーの完走や相次ぐフェスの出演等で実力を磨き、また今年に入ってからは映画『3月のライオン (前編)』主題歌や資生堂アネッサCMソングという大型タイアップに曲提供。後者、「SKY's the limit」に関しては今月24日にCDがリリースされるため(先行配信中)、そのタイミングでの出演が有り得そう。なにより関ジャニ∞と既に共演済であり(関ジャニ∞×ぼくりり、『関ジャム 完全燃SHOW』の華麗なるセッションを観た! | ロッキング・オンの音楽情報サイト RO69(3月6日付)より)、ジャニーズ事務所所属歌手との共演に支障がないように思われます。

 

●出演可能性 Bランク:SKY-HI

AAA日高光啓さんのラッパーでの名義がSKY-HI。アルバム『OLIVE』(2017)を引っさげて今月、日本武道館2デイズを成功、さらに今月31日にはニューシングル「Silly Game」をCDリリースへとどんどんステップアップしています。現在のヒップホップムーブメントのきっかけの一つである『フリースタイルダンジョン』にテーマソングを、またAAAとしては話題となった今冬のドラマ『奪い愛、冬』に主題歌を提供し、共に放送元であるテレビ朝日との強固なつながりがあるのみならず、Mステには昨年AAAとして6年ぶりに出演し、今年も『奪い愛、冬』の主題歌「MAGIC」で出演。ただ、グループで出演出来てもソロでは...という場合もあるものの(その逆もあり)、最早"アイドルがヒップホップだなんて..."と揶揄されないまでの高い地位に自ら上り詰めただけに、これ以上世間が無視してはいけないと思います。新曲のミュージックビデオが現段階で公開されていないので、昨年末のシングル「Double Down」を下記に。ちなみに今月のフェスでぼくのりりっくのぼうよみと共演済。

 

●出演可能性 Cランク:Da-iCE

ダンス&ボーカルユニットとしてこちらも今年1月に日本武道館公演を成功させた5人組。たとえば青森公演においても、昨年千人弱だった会場のキャパシティが今年は倍になるなど、確実に勢いを増しています。6月14日にリリースされるニューシングル、「トニカクHEY」のリリックビデオが既に公開されていますが、顔面偏差値の高さだけではない、歌唱力も一級品であることはこれだけでも十分伝わってきます(顔やダンスを排したビデオなら尚の事、集中して聴くことが出来ますね)。こちらも、昨年リリースのアルバム『EVERY SEASON』(2016)収録曲「SUPER FICTION」にてSKY-HIと共演済。

 

●出演可能性 Dランク:w-inds.

ここでは何度か、彼らの素晴らしい音楽性に触れているのみならず、最新アルバム『INVISIBLE』(2017)がタワーレコードのフリーペーパー『bounce』の新作一覧において巻頭を飾る等、音楽業界からも注目を集めています。

以前のブログエントリーにおける"次のシングル"とは「We Don't Need To Talk Anymore」(2017)のこと。このエントリーがこれまでになく拡散され驚いたのですが、これを機にw-inds.の高い実力が少しでも多くの方に理解してもらえるならばと嬉しくなりました。しかし、好事家等にその実力が浸透し、またはテレビでも深夜番組等でのパフォーマンスがあるものの、音楽番組で最も影響力があるであろうMステで紹介されないのは音楽業界全体の機会損失といっても大袈裟ではないでしょう。橘慶太さんはソロアルバム『声』(2006)からの先行シングル「道標」リリースのタイミングで一度Mステには出演していますがその後はソロ、w-inds.共に出演には至れずじまいなのが悲しい限り。しかし同じ事務所所属の三浦大知さんがMステに出演出来た事実が、極々僅かではあるものの一筋の光になりそうな予感がしています。ちなみに橘慶太さんは、KEITA名義でリリースした「Slide 'n' Step」(2013)のリミックスにSKY-HIを招聘しています。

 

 

思えば、三浦大知さんのMステ出演が叶ったのは、その実力の凄さをMステ側が最早無視出来ず、ジャニーズ事務所への配慮を打破せざるを得なかったほどの衝動に駆られたゆえだと想像しますし、もしかしたら昨年始めの段階で、同局の仮面ライダーシリーズ最新作での主題歌起用が決定済で、放送開始時期から逆算すれば昨年春の段階で出さざるを得なかったという側面もほんの僅かながらあったのかもしれません。ただ、もし彼がソロではなくユニットだったならばと考えると状況が違っていたのでは、と思う時があります。ジャニーズ事務所所属歌手にソロの方が圧倒的に少なく、他事務所でもソロ歌手ならばライバル視されにくい、脅威に思われにくいゆえ出演出来やすいのではないかと。一方で、今回取り上げた4組のうち、ぼくのりりっくのぼうよみ以外はアイドル性が強く(SKY-HIにはその要素が感じられにくいものの、AAAにはアイドル性があるゆえSKY-HIにもそれを求める人は少なからずいらっしゃるでしょう)、後者2組においてはさらにグループであるためジャニーズ事務所所属歌手と立ち位置が被ります。仮に自分たちはアイドルというよりダンス&ボーカルユニットなんだと説明しても世間やファンがアイドル性を強く感じていれば、ジャニーズ事務所側は脅威に感じるはず。そして実際にMステに出演しパフォーマンスすることで、4組との歴然とした実力差(とりわけ歌唱力)が判明することを恐れるでしょう。ゆえにジャニーズ事務所側がおそらくは共演させないというカードを出し続けていると思いますし、Mステ側は過剰なまでに配慮していることは容易に想像出来、それゆえに出演が叶わないという状況が続いているものと捉えています。

 

しかし、w-inds.の欄でも書きましたが、そういう過剰なまでの体制は、今の音楽業界において真の実力者の芽を摘み、圧倒的な機会損失を生むわけです。それはテレビ出演に限らず、どんどん落ち込みが激しくなるシングルCDのセールスのみを対象としたオリコンチャートが未だに厚く支持され続ける構図も同様で、ダウンロードやストリーミング等ネットとの親和性も示すビルボードジャパンの複合ソングスチャートがテレビで紹介されにくいのはネットに未だ懐疑的な態度を示し続けるジャニーズ事務所側への過度な配慮とも言えるかもしれません(尤も、アイドル全体が未だシングルCDセールスに固執している側面がありますし、ビルボードジャパンのチャートで4組が高い位置をキープ出来ているかと問われれば疑問が残ります)。ジャニーズ事務所側が直接Mステ側へ指示したのか、Mステ側が過度な配慮したのか...その真相は解りませんが、おそらくはどちらもあるのだろうと考えます。その方策、いわば(括弧付きの)オトナの対応が出演させないという不条理を徹底させてしまっているわけで、今のネット社会においてそういうオトナの対応が透けて見えてしまっている以上、早く状況を改善していただかないと不信感が生じるのでは?と強く思うのです。その不信感はMステに対してのみならず、ジャニーズ事務所やその所属歌手全体にも蔓延りかねないのではないか、と。

 

と、ここまで書いてきたのですが、そもそも論としてMステに今回取り上げた4組とジャニーズ事務所所属歌手を共に出演させることに何の支障があるというのでしょう。世間的なイメージとは別に個人的な見方を述べるならば、4組はアーティスト、ジャニーズ事務所所属歌手はアイドル。前者は音楽に特化したスペシャリスト、後者はバラエティ等へも進出するジェネラリスト...そう区分すると、両者に実はバッティングは存在しないかもしれないんですよね。

もはや青森での大規模音楽フェス開催は無理なのか?

2週間近く前の話になるのですが、書き記さねばと思いエントリー。

青森で開催されなくなったことは、残念という一言に尽きます。

まさに寝耳に水。半日遅れでこの事を知ったのですが。

厳密には、『問題提起が今回の一因』ではなく、『問題提起したその内容が今回の一因』でした。結構気が動転していたのか、きちんと推敲していなかったのが恥ずかしい限り。

 

 

夏の魔物フェスについては、ボランティアスタッフの中にラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)のスタッフもいますし、また昨年は夏の魔物出演歌手の特集も組ませていただいたほど。この特集については番組後半でボランティアスタッフの代表も登場してくださり、アンオフィシャルな特集企画だったものが最終的には大きな潮流を作れたのではと実感していました。そして自分は昨年のフェスに参戦したのですが、そこで実感したのはこのフェスがごった煮で、あまりに独特過ぎる故に、仮にハマった人がいたならば病みつきになること必至だということ。自分は結果的にファンになり、ゆえに『また来年!』と書き記したんですよね。

昨年どうやらバックアップが付いたことで主に金銭的に余裕が生まれ(申し訳ないのですがこのあたりの記憶は漠然としています)、ゆえに安定した運営が出来るのでは、その点では翌年以降ポジティブに変化するのでは…と考えていたゆえ、今回の川崎移転はとにかく残念。あと1年、実験的に青森で開催し状況を判断しても良かったのではないかと思うのです。主催がついてわずか1年での移転は、正直見放された感も芽生えてしまっています。

 

しかし、夏の魔物フェス側にも移転しないといけない理由があったことでしょう。つまりは青森に”こだわる必要がなくなった”ということ。その理由は何かを考えていくうち、あるフェスの問題に行き着きました。

エントリーを記載したその前年、晩夏に青森市中心部で開催されたフェス、【AOMORI SHOCK ON】についての私見。当初から第二弾は開催されないだろうという前提でこのエントリーについて書きました。

その後、このような文言が掲載されていました。

2015年度の開催について

昨年以上のより良いお祭りとするために、昨年の内容を検証し、皆様から頂いたご意見やご要望を、実行委員会及び関係者にて検討・立案してまいりましたが、本プロジェクトの想いを表現するためには検討時間が足らず、大変悩みましたが断腸の思いで、今年は開催を断念することを決めました。

青森食音「AOMORI SHOCK ON」2014.9.27・28青森港新中央埠頭特設ステージにて開催!トップページより

ブログエントリーの2ヶ月後、2015年7月17日に実行委員長の大嶋憲通氏名義で記載されたこの内容を、実はつい最近知りました。今まで知らなかった自分を恥じたのですが、それより遥かに強い違和感を覚えたのです。遠慮なく書かせていただくならば。

 

まずは、【真剣に検証したのだろうか?】ということ。晩夏開催であり、翌年も開催するのであれば開催後早急に検証すべきだったはず。その上で第二弾の開催が相応しくないと決まればチケットを発売する時期(春頃、遅くても初夏あたりでしょうか)の前にはアナウンスするのが自然です。フェスの継続性を訴えていたのならば尚の事。

【第二弾中止のアナウンスの仕方が不親切では?】とも言えます。もしかしたらテレビやラジオ等のメディアでは第二弾開催中止が発表され、単に自分が知らなかっただけかもしれません。が、SNSにおいてはFacebookでもTwitterでもアナウンスされていません。これでは、不都合な真実を隠していると思われてもおかしくないはずです。実際、FacebookでもTwitterでも開催後の報告がきちんと記載されていないのですから邪推してしまうのは自然のことでしょう。

そして。今回の検討は、実行委員会や関係者と行われたとのこと。特別後援のRAB青森放送をはじめ、後援には青森県は勿論のこと東北の放送局が、協賛には青森県内の企業が参加しています。これら企業に対し、【AOMORI SHOCK ONの失敗が、フェス単体の失敗ではなく”青森でフェスを開催すること自体に魅力がない”と思わせたのではないか?】という懸念を抱いています。昨年の夏の魔物フェスにおけるブースの物足りなさは、これら企業がAOMORI SHOCK ONの失敗を必要以上に悪く捉えてしまったゆえの結果ではないか、もっと言えばAOMORI SHOCK ONがきちんと自身の失敗を検証せずもしくは検証自体が後手後手だったため、しびれを切らした企業側がフェス自体に非協力的になったのではないか…そう考えれば、AOMORI SHOCK ONの"後味の悪さ"は、青森での音楽フェスの可能性を潰してしまったと言っても過言ではないでしょう。

 

 

さて、では青森県に音楽フェスを呼び込むにはどうすればいいかを考えてみたのですが、その前に、”どうしたらAOMORI SHOCK ONや夏の魔物フェスにより多くの人が呼べただろうか?”というそもそも論が自分の頭の中をよぎったわけで。つまりは、AOMORI SHOCK ONがきちんと検証していなかったかもしれない、フェスの反省点...どこかでまとめないといけませんね。

MONDO GROSSO復活と15年前の名曲と

大沢伸一さんのプロジェクト、MONDO GROSSOが復活。14年ぶりとなるオリジナルアルバム『何度でも新しく生まれる』からの先行曲「ラビリンス」のボーカルを満島ひかりさんが務めることが話題となっています。

リリックビデオは下記に。

満島ひかりさんといえば、出演したドラマ『カルテット』(TBS系)でのユニット、Doughnuts Hole名義での「おとなの掟」でも主旋律を担当。また中島みゆきさんの絶品カバー(いくつかありますが、「ファイト!」は昨年下半期の私的邦楽ベストに選んだほど)や、昨年3月までの1年間を対象期間とした第54回ギャラクシー賞で個人賞を受賞した際の対象作品であるドラマ『トットてれび』(NHK総合)におけるミュージカル的演出での歌唱シーンなど、歌の仕事が増えていることから、いつか彼女の関連作品をコンパイルしてフィジカルリリースしてほしいと切に願います(特に「おとなの掟」)。

 

さてMONDO GROSSOですが。個人的に最も好きなのがその前年に日本デビューを果たしたBoAさんをフィーチャーした2002年リリースの「Everything Needs Love」。流麗なストリングスとピアノ、強いビートとなにより彼女のボーカルの存在感が高い次元で混ざり合い格別の心地良さを生み出したこの曲は、生涯のフェイバリットとなったといっても過言ではありません。

SNSにて、MONDO GROSSOが新曲を出すタイミングに合わせてYouTubeに過去作品の動画を公式としてアップしていることを知りました。アクセスし、何度も繰り返し聴いて(観て)いる自分がいます。

つぶやいた方曰く、このミュージックビデオには現在主流となっているリリックビデオの趣があるということでしたが、もしかしたらこの曲およびMONDO GROSSOはリリックビデオの先駆けだったのかもしれません。このタイミングでアップしてくださったMONDO GROSSOならびに当時の所属レーベルに感謝し、また新作を心待ちにしたいと思います。

米アルバムチャートで30位にデビューを果たしたレーベルコンピレーションの新たなスタイルとは

2000年代のR&B界を牽引する歌い手のひとり、クリス・ブラウンが次のアルバムについてアナウンス。2枚組になるとのことです。

グッチ・メインとアッシャーを客演に迎え、ビデオ冒頭では日本語も飛び出す「Party」は最新5月13日付米ビルボードソングスチャートで76位にランクイン。

そしてその「Party」の音がビデオ冒頭に流れる、現段階で最新曲となる「Privacy」も収録予定。

アルバムリリース時期は不明ながら、先行曲を聴く限り実に楽しみです。

 

さて、上記のうち「Party」が収録されたコンピレーションアルバムが、こちらも最新である5月13日付米ビルボードアルバムチャートで30位に初登場を果たしています。アルバムの名は『The RCA-List, Vol 5』。レーベル、RCAの最新ヒットをなんと47曲収録しており、曲数や最新曲を網羅している点において、弊ブログで定期的に紹介している『Now』シリーズに近いかもしれません。収録曲については下記で確認出来ます。

The RCA-List (Vol. 5)

The RCA-List (Vol. 5)

  • Various Artists
  • Hip-Hop/Rap

アルバムの冒頭を飾るのは、新鋭シンガーソングライター、カリードによる「Location」。最新米ソングスチャートで前週から9ランクも大幅ジャンプアップ、16位まで上昇しておりトップ10を窺っています。

『Now』シリーズと異なるのは、単一レーベル発のコンピレーションゆえ、イチオシの歌手に偏る傾向があること。カリードについてはなんと4曲も収録、またH.E.R.という歌手については昨年の処女作(EP)からは2曲が。来月第2弾EPの発表を控えたタイミングで、前作の代表曲である「Losing」「Pigment」を収録していることで、新作への注目が俄然高まりそうです。

 

特にH.E.R.についてはフィジカル(CD)でのリリースがないために、今回のコンピレーションは個人的に待ってました!という感じでした...が、この『The RCA-List, Vol 5』、CD化されていないどころかデジタルダウンロードもされていない模様(米Amazonのアルバム紹介ページでは右側に"Streaming Only"と表記)。更にはこのコンピレーション、日本ではストリーミング配信すらされていない可能性があるのです。Apple Musicでは取扱がありませんでした(一方でSpotifyにはあるかもしれませんが確認出来ず)。

 

CDとして形にしていただけたならば...と残念に思ったのですが、どうやらこのコンピレーションには『Now』とは異なる特徴が。All Musicによると、Vol.1(25曲入り)が2016年9月30日配信開始、次いでVol.2(29曲入り)が同年11月4日、Vol.3(35曲入り)が2017年1月27日、Vol.4(36曲入り)が同年2月3日...と、リリースタイミングがあまりにも速すぎるのです(ちなみに最新Vol.5は3月17日に配信開始となっています)。さらに曲数が徐々に増えているのですが、先述したH.E.R.「Losing」がVol.1~5の全てに収録されているというのも特徴で、おそらくはRCAが、発売から時間が経ったものでも"今推したい曲や歌手"をどんどんコンパイルしていることが解ります(クリス・ブラウンもH.E.R.も次作が控えていることが要因かと)。コンピレーションの最新作が配信開始される毎にそれ以前のバージョンが配信を取り止めているのも、前作と収録曲がダブっている等を踏まえれば理解出来ます。これら、リリースの速さ、収録曲の重複、過去作の配信停止...これぞ、フィジカルリリースによる商品在庫を心配しなくともよいデジタル時代ならではの利点を活かした、新たなコンピレーションアルバムのスタイルかもしれませんね。

米ソングスチャート、ブルーノ・マーズが全てのオリジナルアルバムから1位曲を輩出

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の5月1日月曜(日本時間の火曜早朝)に発表された、5月13日付最新チャート。ケンドリック・ラマー「Humble.」は1週で首位から後退。代わって駆け上がったのは長らく2~3位に留まっていたブルーノ・マーズ「That's What I Like」でした。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

 

「That's What I Like」はブルーノ・マーズにとって通算7曲目のナンバーワンヒットに。

実はブルーノにとって初の1位獲得となったB.o.Bへの客演参加曲、「Nothin' On You」の1位到達がアナウンスされたのがちょうど7年前の今日というのですから、嬉しい偶然ですね。2010年以降で7曲もの1位獲得というのは男性歌手では最多となります(一方女性ではリアーナが9曲、ケイティ・ペリーが8曲)。

デジタルダウンロードの低下をラジオエアプレイの増加で補った「That's What I Like」。一方ストリーミングでは前週比15%もの大幅増に。これは4月21日に4バージョンものリミックスが公開されたゆえ。たとえばグッチ・メイン参加のバージョンは下記に。

ブルーノ・マーズは主演曲で5曲目の1位獲得。これでオリジナルアルバム3作品から全て1位曲を輩出したことになります(『Doo-Wops & Hooligans』(2010)からは「Just The Way You Are」と「Grenade」が、『Unorthodox Jukebox』(2013)からは「Locked Out Of Heaven」と「When I Was Your Man」が、そして『24K Magic』(2016)からは今回の「That's What I Like」)。ちなみにオリジナルアルバムから1曲以上のナンバーワンヒットを送り続けた記録ではリアーナの7作品が最高となっていますが(『A Girl Like Me』(2006)~『ANTI』(2016))、デビューアルバム『Music Of The Sun』からは1位曲を輩出せず。その点ではブルーノはケイティ・ペリー以来となる、デビューアルバム以降3作連続での1位曲輩出記録を達成したことになります。

 

先週首位だったケンドリック・ラマー「Humble.」はストリーミングで4週目の1位をキープするものの前週比14%ダウン(それでも5760万という驚異的な数値を叩き出しているのですが)。2位をキープしたエド・シーラン「Shape Of You」はラジオエアプレイで微減しているものの同部門で12週目の1位を獲得しており、ケンドリックがストリーミング以外の指標で補完出来れば、またはエドがまだまだ勢いをキープすれば、リミックス効果が途切れたブルーノから首位を奪還する可能性もありそうです。

が、ここにきて伏兵が登場。ルイス・フォンシとダディー・ヤンキーによるスペイン語曲「Despacito」が、ジャスティン・ビーバーを加えたバージョン(リミックス)の登場でさらに勢いを増し、48→9→4位と一気に上昇を果たしています。デジタルダウンロードは前週比43%上昇し、PSY「Gangnam Style」以来となる非英語曲による同部門1位に。総合でもロス・デル・リオ「Macarena (Bayside Boys Remix)」(1996)が14週首位を獲得して以来となるトップ5入り。ストリーミングでは前週比80%も上昇し同部門で2位、ラジオエアプレイも同25%上昇となり32位まで上昇。ラジオエアプレイが今後伸びをみせれば、トップ3入りは間違いないでしょう。

 

コールドプレイとの共演作「Something Just Like This」が今週6位にランクインしたザ・チェインスモーカーズ。彼らにとって、昨年5月21日付で「Don't Let Me Down」がランクインして以来52週連続トップ10入りを果たしたことになります。この連続して1年以上トップ10入りという記録を達成したのはケイティ・ペリー(69週)以来の快挙。あとはこの曲がどこまでトップ10をキープ出来るか、ケイティ・ペリーの記録に迫れるかに注目しましょう。

 

今週唯一のトップ10入りはカイゴとセレーナ・ゴメスによる「It Ain't Me」。

前週から順位を3つ上げてのトップ10入り。セレーナにとっては7曲目、カイゴにとっては初のトップ10ヒットとなりました。ミュージックビデオの解禁が4月24日とのことでストリーミングは10%上昇(次週も公開効果で更に伸びを示すことでしょう)。注目はラジオエアプレイ。既に8700万回という高い数値を叩き出しており同部門で4位。ラジオエアプレイが下支えになっている曲は強い傾向があると捉えているので、しばらくトップ10内をかき回してくれる予感がします。

 

 

次週は上位3強対「Despacito」の戦いになりそうです。

福岡発ディスコバンド、COLTECOがJ-WAVEチャートにランクイン

昨日4月30日付、『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)の最新チャート。トップ10内には邦楽が3組(クリープハイプyonige、DYGL)、20位まで範囲を拡げても5組という少なさで、邦楽の勢いが弱まっている状況といえます。そんな中で71位に初登場を果たしたのが福岡のディスコバンドCOLTECO。YUUをフィーチャーした「DO IT」がまさにきらびやかなディスコ/ブギーで、自然と身体が動いてしまう一曲。これは今後のチャートアクションが期待出来そうですね。先月リリースされたアルバム『ALBUS』からの先行シングルとなっています。

曲名から想起したのは、2年前に日本でヒットしたタキシード「Do It」。

ブギー強めのタキシードをよりきらびやかにした感のあるCOLTECOの「DO IT」。松たか子「明日、春が来たら」も想起させ、この時期にピッタリです。

至極個人的なことを申せば曲の最後、拍手の後のFからはじまるカースワードが悪い意味で引っ掛かってしまうので、それを除いたバージョンもリリースしてほしかったなと思うのですが。それはともかく、アルバムは軒並み高品質の作品が続きますので、カースワードが気にならない方(のほうが大多数な気もしますが)は是非一度手に取っていただきたいと思います。

 

ちなみに、今年アルバムリリースを予定しているTLCのかつてのシングル「Girl Talk」の、彼らによるリミックスがもしかしたらオリジナルより好みかもしれません。かなりツボです。

世界的なバレエダンサーの映像作品に触れて考えた、差別の根幹と解消法

このイベントが行われたこと、ましてやこのバレエダンサーについて、恥ずかしながら知らなかったのですが、出演した作品を観て惹き込まれました。

セルゲイ・ポルーニンがダンスを披露した際のBGMは、アイルランド出身のホージアによる「Take Me To Church」。全英、全米共に最高2位の大ヒットとなった作品ですが、オリジナルのミュージックビデオはロシアで実際にあったというアンチLGBTによる迫害事件をモチーフに制作されており、そこにはホージアのアンチLGBTに対する批判が表れているといえます。

歌詞も踏まえ、この曲がヒットした理由については下記のブログが解りやすいと思うゆえ、勝手ながら取り上げさせていただきます。

 

LGBTというワードが浸透し、セクシャルマイノリティに対しての認識は高まっているものと思う一方、「Take Me To Church」のビデオの元となった事件や、未だ根強い差別主義...それも政治の長たる人間に多く見られる極端な思考がある限り、差別がなくなるのは遠い先のことかもしれません。が、例えばLGBTを快く思わない方の中で、セルゲイ・ポルーニンの美しきダンスに魅了されるうちにBGMが内包するアンチLGBTへの批判を無意識のうちに理解し、自然とLGBTへの差別が解消されることだってあるでしょう。公開中の映画『ムーンライト』も同様で、美しい作品に触れることで心が勝手に、自発的に受け入れていくことは有り得る話です。こういう美しいものがどんどん生まれてくるといいなと思います。

 

 

さて、LGBTに限らず、"自分が好ましく思わない存在"について、ズバッと言い切った素晴らしいツイートがありますので、勝手ながら紹介させていただきます。

アンチLGBTについては宗教的にアウトだから成立するという声を聞きますが、たとえばキリスト教でも様々な教派が存在します。

保守派の教派では同性愛は罪と謳いますが、個人的な考えとして、聖書を勝手にそのように解釈した、その解釈の仕方が問題ではないかと思うのです。そしてその解釈の元には、解釈した側に"他人の権力が拡大することで損をする"という上記ツイートの考え方が宿っているのかもしれません。これはかなり邪推ではあるのですが。

自分に冷静になってまた自己を客観視して、心の中に損得や嫌いという物差し、感情が横行してやいないか...ということを一人ひとりがきっちり考えないといけないはずです。宗教のような心を寄り添わせるもの、絶対的と考える存在に対し冷静に考えることは難しいかもしれませんが、それだって必要なことでしょう。そうやって立ち止まることが、内在する差別の芽を摘む第一歩だと考えます。