イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ラジオにおける、曲のベストな落としどころをまとめてみる

昨日は、現在のラジオ業界等での、曲の落としどころにおけるぞんざい過ぎる扱いについて指摘させていただきました。

この【曲の落としどころ】問題を解消することにより、曲に心地よい余韻が生じ、ひいてはリスナーの、番組や局に対する心象まで変わっていくかもしれません。つまりは、曲の扱いひとつでファンになるか離れていくか決まります。信頼は聴取者数の増加を招き、スポンサー獲得の武器となる…そう考えると、中長期的な戦略にも影響するのです。

いやいやそれは大袈裟だよと思われるかもしれませんが、自分が以前チェーン店の小売業界に在籍していた当時、これからの店舗はクリンネスも重要という当時の社の(いやこれは店舗数的に飽和となりつつあった業界全体の考えではありましたが、その)決定を伝えたところ、オーナーの中には"そんな抽象的なことで売上が上がるのか!"と無下にされたことがあります。無論伝え手であるこちらの実力不足は否めませんが、しかしクリンネスを徹底しない店舗は数年後、ことごとく閉店したのを強く覚えています。店舗の心象の悪化はすぐには数字(売上)として表れなくとも、長期的な意味でファン離れを起こすのです。ラジオ業界は潰れないという神話はもはや過去の話、ネットラジオradikoのサービス拡充に伴いライバル局を容易に聴くことが出来ますし、YouTubeや定額制音楽配信サービスによるストリーミングが台頭したことで、受け手からすれば音楽を聴く媒体にいくらでも代わりはあるのです。その際、ラジオにとって大事になるのは音楽にどう付加価値をつけるかではないかと。この店舗はいつ行っても気持ち良いという先例におけるクリンネスの徹底の如く、選曲の良さは勿論のこと、曲の余韻をより良くさせる技術により聴き心地十分と思わせてくれる…これはラジオだからこそ出来ることですし、またラジオ局同士においても良質な番組には、都道府県や県域/コミュニティの境目が無くなった分、その評判を聞いて区域外からリスナーが流入することだって十分にあり得るはずです。

 

 

では、どうすれば曲の落としどころがより心地よく聴こえていくか、星野源「恋」を例に、みていきましょう。

(動画では2番の箇所で告知が入りますが、曲自体が分断されているわけではないので用いさせていただきます。)

歌詞はこちらに。

曲の構成は、《イントロ→1番→サビ→間奏→2番→サビ→間奏→大サビ→サビ→アウトロ》となっています。どの段階でフェードアウトやトークの挿入を行えばいいかについて、6つのタイミングを取り上げてみます。

 

① 曲の終わり (「恋」においては4分07秒)

曲自体がフェードアウトしないタイプのものであれば最もオーソドックスというか、②以下がわずかながら技術を伴うものだと考えればこの方法は非常に無難といえます。

ちなみに曲終わりにそのままCMに入る場合、曲の尺を事前に計測し逆算して、イントロを流すタイミングを決めておけば、曲終わりから間髪を容れずCM入りしたときの爽快感たるや、リスナーもラジオスタッフも強く味わうことが出来ます。この爽快感は格好良さと言い換えることも可能です。

 

② 歌い終わり (3分31秒)

③ 大サビの後(大サビからそのままサビに入ることも有) (3分00秒)

④ 2番のサビ終了後(サビからそのまま大サビに入ることも有) (2分20秒)

番号が大きくなるにつれて、リスナーの満足度は下がるものと考えますが、個人的にベストなのは②ではないかと。歌い終わりでトークを挿れ、曲の終わりのタイミングに合わせて"お送りしたのは星野源「恋」でした。"と締めくくり曲とトークのタイミングを同時に終了出来れば、これもまたリスナー等に心地よい余韻を与えることが出来るでしょう。

③、④に関しては、大サビやサビ直後に間奏なしでメロディが来る場合もありますので、大縄跳びにどのタイミングで入るかの如く、タイミングの見極めが大事です。生放送で且つリクエストに応える番組であれば事前に曲をチェック出来ませんので、その場合は歌詞検索サイトで曲を事前にチェックし、どれがサビか大サビかを予想しておくことをお勧めします。

 

⑤ 2番サビ頭 (1分53秒)

出来れば2番まで流すべきだと個人的には考えていますが、どうしても尺の都合でという場合には最悪⑤が適切でしょう。もしくは、サビで同じメロディを二度繰り返す場合は2番サビ後半の頭で…というのもアリかもしれません(ちなみにこの方法は、『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)でクリス・ペプラーさんが採っている手法です。クリスさん、ディレクターどちらのタイミングかは判りかねますが、そこまで違和感を抱くことはありません)。

 

⑥ 1番の前にサビがある(サビはじまりの)曲の場合は1番サビ終わり

たとえば先述した星野源さんならば「夢の外へ」が、他にも中島美嘉「ORION」などがサビはじまりの曲は多数あります。

この動画の場合は2分46秒となります。

⑤は1番まるごとと2番前半、⑥は1番まるごとと(その前の)サビというように、⑤、⑥とも1番と、その半分近くの尺をかけることが出来ます。尤も曲はもっと長くかけたほうがいいとは個人的には思うのですが。

 

 

そんなわけで、①から⑥まで提案してみました。最も簡単に出来るのが①であることはたしかですが、ラジオを好んで聴く方であれば②から⑥の方法で流しても心地よさを感じる番組や局を知っていると思います。ラジオをやりたいという方は好きな番組や局を活きた教科書にして、自分なりのスタイルを確立するのをお勧めしますし、少なくともradikoプレミアムやらじる★らじるなど、区域外の局をチェック出来るネット機能をフル活用してほしいんですよね。

 

 

さて、ここまでは【曲の落としどころ】のベストなタイミングを書いてきましたが、ベストがあればワーストもありますので、聴き心地の悪い曲の落としどころを列記してみます。

 

(1) 歌っている最中

上記③~⑥では、実際に歌っている最中にトークを挿入することになるので、そのタイミングできちんとトーク用のBGMレベルに落とすことが大事になります(ゆえに、DJのみならず、音のレベルを管理するミキサー、そしてタイミングを決めるディレクターとの連携が重要となります。ワンマンの場合は全てをひとりでこなすためその点ではあまり問題はないでしょう)。昨日のエントリー(上記にリンク有)で中島美嘉「桜色舞うころ」でのタイミング問題を取り上げましたが、サビの盛り上がりのタイミングにトークし始めることでリスナーの気持ちの高まりを壊すことだけは避けていただきたいものです。

 

(2) 1番のサビ終わり

曲によっては1分前後しかかけておらず、尺の3分の1も流れません。

 

(3) 1番の途中

厳しい物言いですが論外です。最近この手法が本当に目立っています。

 

 

(3)の実例を挙げるとすれば、たとえば番組中に喋り原稿を持たないラジオショッピングコーナーがある場合、そのショッピングキャスターが商品紹介時に熱を込めすぎるあまりに当初予定されていた尺を伸ばしてしまった(いや、そもそも締めの時間自体知らされていないのかもしれませんが)、その流れで曲をかけても1番途中でフェードアウト…ということがままあります。仮に百歩譲って1番終わりまで流せればOKだとして、それすら行けないのであれば無理に流す必要はないのではないでしょうか。曲は穴埋めとして流す道具ではありません。

また、今週ある番組で、アルバムをリリースしたばかりの三戸なつめさんの、番組への事前収録コメントが流れたのですが、デビュー曲の1番歌い出しが流れた直後にコメントが挿入されたことにも果てしない違和感を覚えました。せめて1番をフルで流してからというのは出来なかったのでしょうか。まるで、コメントが届いたから曲を流さざるを得ないとでも言うべき義務感を覚えます。

また、これは曲の落としどころとは異なりますが、この春とある10代歌手がリリースキャンペーンで来県し、1時間近くもの間某番組に付き添うという、青森県のラジオ番組では非常に贅沢な起用のされ方をしていたことがあったのですが、その方のプロフィール紹介において女性アシスタントが流れるのではなく"流れ過ぎる"口調で紹介しており、ファン以外の方にとってはどれが作品名でどれがフェスの名前なのか、聴いていて全く区別が付かなかったのです、その言い方にははっきり言って怒りすら覚えたほど。最低限事前に学習し、何が作品なのか等を、その詳細を知らなくてもいいので理解し、自身で咀嚼して話せなかったのか? せっかくキャンペーンで時間を割いてくださった歌手をより多くの県民に知っていただくべく動くことが出来なかったのか…と思うのです。個人的にこの日以外でも、この女性アシスタントの態度には我が我が…という、適当だったり投げやりだったりする姿勢が強く滲み出ていて聴く度に違和感を覚えるのですが、この時の応対はあまりにも酷かったと記憶しています。更には先述したプロフィール紹介の後、男性パーソナリティが"この説明で合ってますか?"と、まるでこの女性アシスタントの態度は何も問題なかったかの如く普通に質問したことにも驚きましたが、その歌手の控えめ過ぎる肯定(これこそ大人な対応だと実感しました)に、この歌手はもう二度と青森に来てくれることないのではないかという強い不安を抱いてしまったほど。少なくともその女性アシスタントにはラジオに関わっていただきたくはないものです。

 

 

少し話が逸れましたが、このような形で曲が大事にされていなさすぎる問題が目立ってきています。ネット/デジタル時代になったとしても、"データは軽くなったが 音楽の意味は重くなった"のです。この言葉はRHYMESTER「ゆめのしま」の一節ですが、この言葉、そしてリリック全体の意味を、ラジオに携わる者が皆共有しないといけません。ラジオ離れが起きている原因が、音楽を聴く媒体の変化以上に、それを仕方ないなどとして諦めるあまりに業界全体が曲をぞんざいな扱いをするようになったことにあるのではないでしょうか。音楽により感動を、心地よい余韻を残し、ラジオを聴くと音楽がより立体的に感じられると思っていただくべく動かないと、ラジオは間違いなく危機を迎えると断言します。

ラジオ等における、"曲の落としどころがぞんざい過ぎる"問題と、その実例

今週火曜の午前、『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)を共に担当する大学生スタッフのつぶやきに端を発し、今のラジオ番組が音楽を雑に扱っていないか?というやり取りに至りました。発端は某番組における、OA曲の2番サビでのフェードアウトに対する指摘だったのですが、自分はもっとひどい例を近年様々な場所で聴いてしまっているのです。

たとえば。

番組名特定は申し訳ないのですが、以前つぶやいたので引用。1ヶ月前の『ヒルモット』(エフエム青森 月-金曜11時30分)において、桜シーズンを先取りする形でOAした中島美嘉「桜色舞うころ」。2番のサビ終わり前でまさかのフェードアウトしCMへ。10秒位待てなかったのか?と思わずにはいられません。

上記ビデオはショートバージョンゆえ1番しかなく、実際は2番まで流れたのですが、例えるならばこの曲の1分16秒で急にフェードアウトするようなものです。

 

また、ラジオ番組や局ではないものの、最近とりわけひどいと思ったのはブックオフの店内放送。ゴールデンウイーク中に何度か通ったのですがこちらはもっと酷かったですね。実は以前も同様の指摘をさせていただいたのですが。

今回も様々な曲でサビ終わり直前にDJが割り込むというスタイルが。たとえばB'z「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」は下記ビデオの1分25秒のところ、"僕と君だけよ消えないで"という1番最後の一節に被る形でトークが挿入されるのです。あまりにも強い不快感を覚えてしまいます。

ブックオフに関しては全て1番しか流さない(実際は1番すらきちんと流さない、ですが)というのもまた問題ですが。

もしかしたらこういう考えもあるのかもしれません。とはいえ、好きな歌手や曲が同様の扱いを受けたときのことを想起出来るならば、このような扱い方はあまりにも無礼だと思うはずです。想像力の欠如、と言っても過言ではないでしょう。

 

 

さて、これは個人的な感触ではあるのですが、最近のラジオ等での曲の取扱のずさんさは、以前にも増して高まってしまっているように思うのです。その要因を考えると。

ダウンロードや定額制音楽配信サービスの普及を、イコール"(金額的な意味等で)音楽の価値が下がった"と捉える向きがありますが、音楽の作り手にとっては昔も今も、少なくとも自身の作品に対してはそのような考えを抱かないはずです。ネット/デジタル時代で音楽が(たしかに安価で)手に取りやすくなったのは事実でも、だからといって雑に扱っていいというのはあまりに失礼、ましてそれを制作側と受け手の仲介役であるラジオが行ってしまえば、受け手はその誤った解釈を正しいものと思い込んでしまいかねないのでは?と。せめてラジオ側が曲を、しっかりと愛情を持って流すことが大前提だと思うのですが、その大前提がどんどん薄れてしまっているような気がします。

 

 

とはいえ、自分が十数年前に学んだラジオDJセミナーでは、イントロ乗せについては学んでも、曲を流した後どのタイミングでトークを挿れるかについては学ばなかったと記憶していて、もしかしたらこの、【ラジオにおける曲の落としどころ】ついての教科書はないのかもしれません。自分自身はJ-WAVE、2000年代前半の番組群から体感し自然に身についたようなものなので、ラジオを沢山聴くもしくは実際にやってみるという経験でしか学べないのかもしれませんが、それでは今後ラジオ人を目指す方にとってはアドバイスが抽象的になってしまいます。

というわけで明日、曲へのトークの挿入やフェードアウトといった【曲の落としどころ】について、自分なりにまとめて書き上げてみます。

星野源「恋」がビルボードジャパンチャートで再浮上、しかしもう少し伸びなかったのかと思うその原因

最新5月15日付のビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)において、星野源「恋」が前週の12位から7位に再浮上、トップ10内に返り咲きました。

ロングヒットといえば星野源「恋」。こちらは動画1位、ダウンロード9位、ルックアップ5位と、3指標のポイントが牽引する形で総合7位と、前週12位からトップ10圏内に返り咲きを果たした。

【ビルボード】V6「COLORS」初登場で総合首位 ダウンロードが急伸しバンプ「リボン」は総合2位 | Daily News | Billboard JAPAN(5月10日付)より

総合ポイント数は4828。前週が3864だったため、1000ポイント近くも急伸した形です。各指標毎の順位を見ると動画再生回数は変わらず1位ですがその他の指標がいずれも上昇。PCによるCD読取数は6→5位、Twitterで歌手と曲名の両方をツイートした回数は19→12位、CDセールスやデジタルダウンロード、ストリーミングの合算では25→16位、そしてラジオエアプレイでも61→51位となっており、それらが総合チャートでの押し上げにつながった形となりました。これは今週月曜に自分が指摘した予想が当たった形に。

エントリーにて上昇の要因として取り上げた『おげんさんといっしょ』(NHK総合 5月4日放送)が主にネットにて爆発的な反響となっているのです。

番組放送中のツイート数およびツイートした人数は星野さんが出演した『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の最終回より多く、またその高いツイート数の理由を『制作者と星野源自身によるソーシャルメディアの上手な活用』(記事より)にあるとして分析しています。たしかにこの番組、放送日の1時間ほど前からTwitterでトレンド入りを果たしていたはずで非常に珍しい事象だと思っていたのですが、『星野源が自身でクロスメディア的なプロモーションを行なっていること』『彼のツイッターアカウントを軸に、ラジオとテレビの間を行き来』(いずれも記事より)したことが功を奏し、放送前からの爆発につながったのかもしれません。そして放送の高い満足度がYouTubeでの視聴等にもつながったと考えるのは自然であり、ビルボードジャパンソングスチャートの再浮上も納得出来ます。

 

 

とはいえ、そこまでTwitterで爆発したのであるならば、チャートのTwitter指標が12位というのはちょっと低すぎるなという印象があります。

 

Twitter指標にてカウント対象となるのは『楽曲とアーティスト名のツイート回数』(Google Play Musicの再生数がBillboard JAPANチャートに合算スタート | Daily News | Billboard JAPAN(2月8日付)より)であり、もっと細かく見ると。

データ計測で最も信頼出来るのは、日本唯一のTwitterデータ再販パートナーとして、膨大なデータ全ての提供を受ける株式会社NTTデータでした。 そこで問題になったのは抽出のアプローチです。

ツイート全体から楽曲名だと、重複楽曲名を識別出来ず、アーティスト名だけだと楽曲チャートに加えるロジックが有りません(実際やってみました)。そこで、楽曲とアーティスト名共に全文/部分一致しているツイートのみを抽出することにしました。以前の方法よりも抽出総数は減りましたが、類推や作為が入らないためにはこれが一番だったのです。

Japan Hot100がリニューアル | Special | Billboard JAPANより

上記リンクにおけるリニューアルのタイミングは2013年のものですが、Twitter指標のポリシー自体は現在までに変わっていないものと考えます。つまり1回のツイートに"星野源"+"恋"の両方がきちんと入っていないと(部分一致ならば"星野"or"源"+"恋")カウント対象にならないということ。番組放送中またはその前後でTwitterが爆発していたにもかかわらずチャートのTwitter指標で順位をさらに上げることが出来なかったのは、もしかしたら番組実況では"#おげんさん(といっしょ)"+"恋"または"おげんさん"+"恋"の組み合わせによるツイートが多く、それらがカウント対象にならなかったから、なのかもしれません。

とはいえ、たとえば番組の中で「恋」が披露された際、"星野源の「恋」がはじまった"とつぶやくのはちょっと回りくどく、"「恋」がはじまった #おげんさんといっしょ"と書いた方が自然だと言えるでしょう。とはいえ、あまりに多くのツイート数が発生しながらTwitter指標がそこまでの伸びを示さなかったのは個人的には勿体無いなと思うのです。星野さんサイドがクロスメディア的なプロモーションを徹底されていたのだとしたら、ビルボードジャパンにチャート反映されるようなつぶやき方法も伝授して欲しかったなと思っています。

畠山美由紀×冨田恵一、9月発売予定のアルバムへの淡くも強い期待

ライブリポートを読んで、行かなかったことをこれほど悔やんだことはありません。それが、先月末日に開催された、畠山美由紀さんのソロデビュー15周年記念コンサート。

ゲストの堀込泰行さんによる提供曲、「若葉の頃や」を堀込さんと共に歌ったり、青森県の企業、味の加久の屋のいちご煮CMソング「海の恵み」をフルバージョンで披露したり...以前ブログで触れたことのある作品群が披露されたと知り、観られた方が心から羨ましくなりました。

これとは別に以前、初心者向けのお勧め曲を紹介したのですが、そちらにもアクセスが。少しでも彼女のファンが触れるならば嬉しいですね。

このエントリーで触れた、冨田恵一さんプロデュースによる「罌粟」も、今回のコンサートで演奏されています。セットリストは上記、音楽ナタリーの記事に掲載されています。

 

 

今回のコンサートで披露された新曲のひとつ、「会いに行く」は冨田恵一さんによるプロデュース。9月リリース予定のアルバムは全編冨田さんによるプロデュースになると、コンサート後に畠山美由紀さんがゲスト出演したJ-WAVEの番組で明かしていました。「罌粟」等での相性の良さを踏まえれば、間違いなく名作の予感がします。おそらくはそのアルバムにも収録されるであろう「会いに行く」は、畠山さんがDJを務めるラジオ番組『Travelin' Light』(Fm yokohama 土曜11時)の最新回でも披露されていますので、radikoタイムフリーで是非確認してみてください。radikoタイムフリーは、首都圏以外の方は有料会員の方のみ聴くことが出来ます。

(5月13日11時まで聴取可能。「会いに行く」は5月6日11時22分26秒よりOA。)

 

ちなみに、コンサートで「罌粟」と共に披露された「真夏の湿原」もまた冨田恵一さんによるプロデュース作品。共に『Wild and Gentle』に収録されていますのでこちらもどうぞ。アルバムが届くまで、冨田さんプロデュースによる楽曲群を聴きながら心待ちにしたいと思います。

ちなみに、冨田恵一さんの歌手名義、"冨田ラボ"に畠山美由紀さんが客演参加した「耐え難くも甘い季節」。こちらも素晴らしいです。冨田さんがバンマスにもかかわらずコンサートで披露されなかったことが意外でしたが。こちらは2003年のアルバム、『Shipbuilding』に収録されています。

米ソングスチャート、DJキャレド等による「I'm The One」がナンバーワンに

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の5月8日月曜(日本時間の火曜早朝)に発表された、5月20日付最新チャート。先週ケンドリック・ラマー「Humble.」から首位の座を奪ったブルーノ・マーズ「That's What I Like」が早くも陥落。代わりに1位に上り詰めたのは、DJキャレド率いるオールスターによる作品、「I'm The One」でした。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

 

ブルーノ・マーズ「That's What I Like」は遂にラジオエアプレイでエド・シーラン「Shape Of You」に代わって首位の座を射止めたのですが、総合で2週連続の首位とはなりませんでした。米ビルボードソングスチャート史上28曲目となる初登場1位を果たした、DJキャレド feat. ジャスティン・ビーバー、クエヴォ、チャンス・ザ・ラッパー、リル・ウェイン「I'm The One」の勢いたるや...恥ずかしながら、個人的には完全ノーマークでした。

「I'm The One」の強さはなんといってもデジタルにあり。4月28日に発売等されたこの曲はデジタルダウンロードおよびストリーミングの2指標を制覇。デジタルダウンロードは171000、ストリーミングは5390万回という驚異的な数字を叩き出しています。エアプレイは3500万回で33位という数値ゆえ、デジタル2指標がカバーした形に。とはいえ既にこれだけの数値を出しているのはいい意味で意外です。

 

「I'm The One」の初登場首位獲得によって生まれた記録は様々。主なところを列記すると。

 

・初登場1位:28曲目であり、ヒップホップではエミネム「Not Afraid」(2010年5月22日付)以来。ジャスティン・ビーバーにおいては「What Do You Mean?」(2015年9月19日付)以来2曲目の記録で、複数曲を初登場で1位に送り出したのはマライア・キャリーブリトニー・スピアーズ(「3」「Hold It Against Me」)、に次いで3組目。マライアは唯一、3曲を送り出しています(「Fantasy」「One Sweet Day (with ボーイズIIメン)」「Honey」)。

 

・ビーバー、リル・ウェイン以外は初のNo.1:DJキャレドのこれまでの最高位はドレイクとリック・ロス、そして(今回も客演参加している)リル・ウェインを招いた「I'm The One」(2011)の10位。クエヴォはミーゴスのメンバーとしては「Bad And Boujee」で首位獲得済ですがソロとしてはトラヴィス・スコットと共にドレイクにフィーチャーされた「Portland」(2017)の9位が最高。そしてチャンス・ザ・ラッパーに至ってはこれまで、ジャスティン・ビーバーに招かれた「Confident」(2013)の41位が最高だったわけで、一気に最高位を更新した形に。

 

ジャスティン・ビーバー、アルバム『Purpose』以降の客演仕事で4曲目のトップ5入り:「What Do You Mean?」「Sorry」そして「Love Yourself」という3曲のNo.1ヒットを輩出した『Purpose』(2015)発表以降、客演仕事が飛び込むようになったジャスティン。そして出す曲出す曲大ヒットという流れが生まれています。今回この曲での1位をはじめ、MOと共に参加したメジャー・レイザー「Cold Water」(2位)、DJスネイク「Let Me Love You」(4位)、そしてこちらも現在ものすごく勢いがある、ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキーとの「Despacito」(3位)という4曲が客演仕事でトップ5入りを果たしています。

「Despacito」をみてみると、最新チャートにおいてデジタルダウンロードで10万を売り上げていますが、そのうち7割がジャスティン参加のリミックス版とのことですから、如何にジャスティン人気が高いかが解ります。ストリーミングでも4800万回、ラジオエアプレイでは18位ながら前週比30%もの大幅アップ。次の台風の目と言えるでしょう。

 

・5組参加曲での1位は史上初:4組でクレジットされた曲では2曲が1位を経験済。ピットブル feat. ニーヨ、アフロジャック、ネイヤー「Give Me Everything」(2011)、そしてクリスティーナ・アギレラリル・キム、マイヤ&ピンク「Lady Marmalade」(2001)。後者に関しては最後にほんの少しミッシー・エリオットが登場するので、仮にミッシーをクレジットに入れていれば...とふと。今更ですが。

 

・クエヴォ、グループ・ソロ共に同じ年に1位を獲得:クエヴォはミーゴスのメンバーとして「Bad And Boujee」で2017年1月21日付以降3週に渡って1位を獲得。同じ年にグループとソロ双方で首位を獲得したのはブラック・アイド・ピーズとウィル・アイ・アム。前者は「Imma Be」(2010年3月6日付)、後者はアッシャーに客演参加した「OMG」(2010年5月15日付)で達成。

 

 

…と、主だったところを並べてもとんでもない記録だということが解ります。とりわけジャスティン・ビーバーの人気たるや。無論、他のラッパーの力や人気もさることながら、ジャスティン様様なのかもしれません。

 

さて次週では、5月3日に公開されたエド・シーラン「Galway Girl」や5日に公開されたフューチャー「Mask Off」のミュージックビデオが丸々1週間分、ストリーミング部門に反映されます。少なからずチャートをかき回してくれることでしょう。

星野源「恋」がビルボードジャパンチャートでトップ10から陥落も再浮上するだろう理由

遅ればせながら取り上げるのですが、先週水曜に発表された、5月8日付のビルボードジャパンソングスチャート(Hot 100)において、星野源「恋」が12位に後退。遂にトップ10から陥落してしまいました。

「恋」のチャート推移は下記に。

8月29日付で一度登場し、その後9月19日付で再登場(いずれも100位圏外)。登場6週目となる10月3日付でトップ10入り(9位)を果たして以降、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の大ヒットや『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)等での披露も相俟って大ヒットに。都合31週もの間、それも連続でトップ10をキープしたことになります。

 

さて、この「恋」、再びトップ10内に浮上する可能性を十分に秘めています。それは先週木曜に放送された特番『おげんさんといっしょ』(NHK総合)でこの曲が披露されたゆえ。

記事というよりほぼ実況ではありますが解りやすいので紹介。Twitterでは番組開始前からタイトルが最上位にトレンド入りする等注目を集め、自分の周囲ではこの番組への称賛の声が多く発せられていました。現に、自分が関わるラジオ番組の大学生スタッフが放送直後に細野晴臣さんのCDを借りに行くほど、その影響力は大。となると、チャート構成指標である【ツイート】や【YouTubeの再生回数】、【販売やストリーミング】および【(購入やレンタルに基づく)CDのPCへの読み込み】が上昇し、結果として明後日発表される5月15日付チャートでトップ10への再浮上が期待出来るのではないかというのが私見です。

 

 

今回の特別番組についてはおそらくは偶然このタイミングでの放送だったゆえ、「恋」のランクアップを狙ったということはほとんど考えにくいでしょう。とはいえ、アメリカのビルボードチャートを調べると、"どのタイミングで仕掛けてくるか"が見えてきて非常に面白いのです。直近のチャートでブルーノ・マーズ「That's What I Like」が制したのはリミックスのリリースおよびストリーミング開始ゆえのこと。

また、同じく直近のチャートで5位のFuture「Mask Off」については先週金曜にミュージックビデオが公開。ストリーミングおよびデジタルダウンロードの対象期間は金曜から翌週木曜ゆえ、YouTubeでの再生に伴うストリーミングの上昇が1週間分丸々チャートに反映されるわけです。

ミュージックビデオは、最近のチャートイン曲では作られていない(用意が遅れている)ことが少なくないですが、おそらくヒットの速さにビデオ公開はおろか制作自体が追いついていないのかもしれません(ゆえに、リリックビデオの存在はメインのビデオを公開するまでの穴埋めとしても重宝されているのではないかと)。そして公開のタイミングを金曜にする等を施すことで、チャートにより高く影響するよう仕掛けているように思います。

他にもチャートへの仕掛けとしては【デジタルダウンロードを69セントで安価販売】などが挙げられますし、初登場時のインパクトをより大きくする場合には【有名音楽賞やスポーツイベントの中継の際のCMで初披露】や【突如デジタルダウンロードやストリーミングを解禁】といったものが挙げられます。これらはいずれも、売り出したい楽曲がより上位に行って欲しいという思い、動機ゆえの戦略であり、チャートがそれだけ世間の注目の、ヒットの鑑であることを意味しています。

 

翻って日本では...未だにチャートといえばビルボードジャパンよりオリコンという風潮があるでしょう。が、昨年の世間のヒット曲のアンケートを見ても、ヒットの鑑が【オリコンビルボードジャパン】であることは以前のエントリーで明確に示させていただいております。

今後メディアには、持ち合わせているであろうしがらみ(その一要素については最近のエントリー、極私的、"Mステに出て欲しい"男性歌手4組と出演の現実味(5月6日付)で示しています)を早く自らの手で脱し、ビルボードジャパンチャートを紹介するようにしてほしいと切に願います。ビルボードジャパンチャートの存在が浸透し、より信憑性があると認知されれば、米チャートと同様に日本でも今後は様々な"仕掛け"が出て来ることでしょう。その動きは、私達にとっても音楽業界やマーケティングを学ぶ良い教材となりますし、チャートを多角的に見る(診る)意味でも非常に面白いと思いますよ。

CDリリースイベントで多用される弘前市ヒロロへの願い

昨日はこのようなエントリーを記載しました。

取り上げた歌手のうち、SKY-HIとDa-iCEが青森で発売記念イベントを開催。それも共に5月28日というのですから驚きです。SKY-HIは現段階で詳細未定ですが、Da-iCEについては弘前市のヒロロにて行う、と先週アナウンスがありました。

Da-iCE ニューシングル「トニカクHEY」発売記念ミニライブ&握手会開催決定@青森 - NEWS | Da-iCE (ダイス) OFFICIAL WEBSITE

6月14日にリリースされるシングル「トニカクHEY」の予約者を対象に、1枚で全員との握手会参加券、2枚で個別握手会参加券がもらえる仕組み。個別握手会参加券では全員握手会に参加出来ないとのことで、推しメンバーが複数いらっしゃる方には悩ましいのでは。個人的にはシングルCDセールスにおける(実際には何人の方が購入したかを示す)ユニークユーザー数が見えにくいという意味でこういった販売手法はあまり好ましい方策とは思えないのですが、それはアイドルを中心にほとんどの歌手が行っていること。仮に自分の意見がまかり通り、全ての作品が1種発売且つひとり1枚のみ購入というルールがイベント内外にかかわらず徹底されたならば、今すぐにでも音楽業界は滅びかねないゆえ、その点には寛容にならざるを得ません。

 

しかし、個人的に無視出来なかったのが、上記開催決定案内において『ご予約された商品の受け取りは、2017年6月14日(水)以降に、未来屋書店ヒロロへお越しください』という一文でした。フライングゲットが出来ないという問題もありますが、ヒロロにある未来屋書店では、そもそもCDを販売していないのです。

未来屋書店|ショップリスト|ヒロロ(HIRORO)弘前駅前ショッピングモール&公共施設

これでは、Da-iCEの過去作はおろか、Da-iCEの関連歌手等の商品をついで買いする需要喚起が見込めません。これは機会損失といえるのではないでしょうか。

 

さて、弘前市の新品CD購入環境については以前掲載しています。

2年前の段階で新品CDの取扱を終了していたメディアイン2店舗が、親会社の清算により閉店(弘前市のレンタル店、メディアイン2店舗閉店...その最終日(2015年7月1日付)より)、CDをレンタル出来る環境まで減ってしまいました。特に弘前駅前の現状は酷く、駅を起点に行動する高校生等には、弘前の音楽環境はとても豊潤とは言えません。そんな中で最近ではヒロロが、3階のイベントスペースをほぼワンフロア自由に使えるという空間のメリットを活かし、EXILEのメンバーやはるな愛さん、昨年は森山直太朗さん等、様々な歌手やタレントを招聘しています。それは素晴らしいことですし自分も森山直太朗さんのイベントで感動した身ではあるのですが(森山直太朗の生歌に圧倒される(2016年9月11日付)より)、その際もインストアライブのみならず、CD予約者向けの特別イベントが用意されていました。つまり、CD購入を前提とした催しとなっているわけです。

ならば、ヒロロ側がCDショップを展開させるという考えになぜ至れないのか、疑問をいだいてしまうのです。CD自体のニーズは減少しているのは重々承知で、それでもこのようなイベントを積極的に展開するのはともすれば矛盾だと考える自分がいます。新規出店を望まずとも、たとえば未来屋書店のほんの一角、売れ筋のみでもいいので(それこそCDセールスが見込めるアイドル等を主体とした取り揃えでも可。市内の別店舗と差別化を図ることが出来ます)、CDコーナーを作るなりしていただきたいものですが如何でしょう。火曜日等のフラゲ日にヒロロに立ち寄るという動機も生まれますし、イベント開催時により大きなメリットが店舗ならびにヒロロ自体にも生じると思うのですが。今のままではなんだか寂しいと思ってしまう自分がいます。