イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

オースティン・マホーン、来月日本発売のアルバムはオリジナルアルバムではない?

今年の日本の音楽業界を席巻した曲のひとつがオースティン・マホーン「Dirty Work」であることに間違いないでしょう。ブルゾンちえみさんのネタに用いられるあの曲。長らく配信のみだったのですが今夏フィジカル(シングルCD)化されたことは以前お伝えしました。

ちなみにここで取り上げた"盆ダンス"リミックスが後にYouTubeにて公開されていましたので遅ればせながらご紹介。

 

実は彼、海外ではEPおよびミックステープを2作ずつ出しているのですが(一部国内盤化有)、海外の(総合)ソングスチャートで結果が出ていないからなのか、オリジナルアルバムは未だ...という状況が続いていました。しかしここにきて来月、『Dirty Work - The Album』というアルバムをリリースすることが決定。

"日本限定発売"なのですよね。個人的にはこれをオリジナルアルバムとは言い難いと考えており、いずれ海外で別エディション(というかそちらが真のオリジナルアルバムという立ち位置では?)がリリースされるだろうからそちらが出るまで待つか、と。それと、"The Album"の読みは"ザ"じゃなくて"ジ"だと思うのですが...。

と、日本の売り方に疑問を覚えるものの、しかし収録曲(上記ツイートのリンク先からジャケットをクリックすると出てきます)にこの曲があり、購入を実は前向きに検討している自分がいます。

・ハードウェル&オースティン・マホーン「Creatures Of The Night」(2017)

この曲が最新9月30日付の米ビルボードダンスクラブソングスチャートを制したのです。オースティンは同チャートにおいて、ピットブルを客演に招いた「Lady」でも首位を獲得しています(今年6月10日付)。

この曲についてはあのオースティン・マホーンによる大胆過ぎるリメイクが全米のクラブで大ヒット(6月7日付)でも取り上げたのですが、来月日本限定でリリースされる『Dirty Work - The Album』にはダンスクラブソングスチャートを制した2曲、そして「Dirty Work」も収録。そう考えれば、今回のアルバムはオリジナルアルバムというよりある種ベストアルバム的...そう考えればお得度は増すのかもしれません。 

米ソングスチャート、テイラー失速? ロジックとサム・スミスが次のNo.1候補か

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の9月18日月曜に発表された、9月30日付最新チャート。テイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」が3週連続で首位をキープ、ロジック feat. アレッシア・カーラ&カリード「1-800-273-8255」が3位に上昇した他、サム・スミスの新曲「Too Good At Goodbyes」が5位に初登場を果たしました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

テイラー・スウィフト「Look What You Made Me Do」は首位をキープしたものの、デジタルダウンロード2位(前週比39%ダウン)、ストリーミング2位(同35%ダウン)およびラジオエアプレイ10位(同11%アップ)...ストリーミングが前週の首位から陥落したことで、チャート構成の3指標いずれも1位を逃すというレアなケースとなっています(とはいえ最近ではブルーノ・マーズ「That's What I Like」が今年5月13日付で同記録を達成)。しかしながらデジタル部門2指標の落ち込み幅は大きいですし、先週4位に初登場を果たした「...Ready For It?」が一気にトップ10圏外となったことで、テイラーの勢いに陰りが?という見方は出来るでしょう。ただし2位のカーディ・B「Bodak Yellow (Money Moves)」も「Look...」ほどの下げ(上げ)幅ではないにせよ各指標が同様の動きをしておりテイラー超えは難しいところ。

そこにやってきたのがロジック feat. アレッシア・カーラ&カリード「1-800-273-8255」、そしてサム・スミスの新曲「Too Good At Goodbyes」なのです。前者は2ランクアップで3位、そして後者は5位に初登場。

主演客演の三者共に初のトップ3入りを果たしたこの曲の"意味"については先週ブログでも紹介したbmrの記事を是非読んでいただきたいところ(自殺しないよう呼びかけるロジック「1-800-273-8255」が全米トップ5入り - bmr(9月15日付))。ストリーミング3位(前週比12%アップ)、デジタルダウンロード3位(ただし前週比17%ダウン)、ラジオエアプレイ29位(同16%アップ)と、二桁の伸びを示す指標がふたつあることから更なる伸びも期待できそうです。

そしてサム・スミスディスクロージャーに客演参加した「Omen」での64位が初登場での最高位置でしたがそれを軽々と飛び越えてきました。

初登場5位の原動力はデジタルダウンロードでの首位獲得。サムにとっては「Stay With Me」(2014)以来2曲目となる同部門1位獲得となりました。ストリーミングは10位、そしてラジオエアプレイは35位(既に前週初登場を果たしており前週比38%アップ)。サムにとってはディスクロージャーとの「Latch」(2014 7位)、「Stay With Me」(2014 2位)、「I'm Not The Only One」(2014 5位)、「Lay Me Down」(2015 8位)に次ぐ5曲目のトップ10入り。イギリスでは6曲目の1位獲得となり反応も上々。次週以降伸びる可能性もあります。

 

もうすぐトップ10を見ていくと、トップ20内で勢いがあると紹介されているのが次の3曲。

ナイル・ホーラン「Slow Hands」(15→11位)

ポルトガル・ザ・マン「Feel It Still」(18→14位)

・J・バルヴィン&ウィリー・ウィリアム「Mi Gente」(22→19位)

また、サム・スミス以外の初登場組は下記に。

・ゼイン feat. シーア「Dusk Till Dawn」(44位)

ケリー・クラークソン「Love So Soft」(62位)

・ブレイク・シェルトン「I'll Name The Dogs」(73位)

これら6曲の中からトップ10をかき回してくれる曲は出てくるか、注目しましょう。

R.ケリーの美しいゴスペル集、および"人となりと作品はリンクされるべきか"への私見

この1曲だけで、マーヴィン・サップの新譜を買うこと決めました。

勝手ながら引用させていただいたのですが、音楽ジャーナリストの林剛氏が取り上げたマーヴィン・サップによる「Listen」は、9月29日に発売されるアルバム、『Close』に収められています。

マーヴィンがゴスペル界で確固たる地位を築いた、そのきっかけとなったのが「Never Would Have Made It」(2008)。米ビルボードゴスペルソングスチャートで46週もの間首位を獲得し、同チャートでの最高記録保持者となっています。R&B/ヒップホップソングスチャートで14位、総合ソングスチャートでも82位を記録しており、純然たる(トラディショナルな)ゴスペル曲がジャンルを超えたクロスオーバーヒットとなるのは極めて異例なのです。

今月リリースの『Close』からの先行曲であるタイトルトラック「Close」も純然たるゴスペル曲。こちらも好い曲ではあるのですが、実はゴスペルソングスチャートで伸び悩んでいるのです(最新9月23日付18位、現段階の最高は17位)。

だからこそのテコ入れ…というのではないのでしょうが、今回のR.ケリーの起用はそれも背景にあるのかもしれません。R節炸裂の、美しいゴスペル曲となっています。

 

 

さて、林氏がR.ケリーのことを『周辺が騒がしい』と形容したのは、R.ケリーが今夏以降、メディアで"セックスカルト"だと取り上げられているというゆえ。以前彼の寵愛を受けた(と書くと語弊があるかもしれませんが)、K・ミシェルがこの問題についてコメントしており、bmrで記事になっています(9月9日付)。

R.ケリーの歌詞の内容があまりにも卑猥ゆえ"R師匠"と揶揄される...ということはこのブログでも度々書いてきました。その歌詞が彼の実生活から来ているとなると、色々と考えてしまう方は少なくないかもしれません。仮に"...カルト"が事実とした場合、彼の作品に手を出さない、いやそれどころか、たとえば以前ブッシュ大統領を批判したディクシー・チックスに対してCDをローラーで壊すかのような行動を採る方もいるかもしれません。日本では事件で逮捕された瞬間、刑の確定の遥か以前にもかかわらずCDを回収する等の敏感な措置が採られたりもしますね。

しかし、仮に私生活に問題があったとして、これらの曲の輝きは決して失われることないはずです。

ゴスペル、およびゴスペル的な側面を持ったR氏作のR&B集。R&Bの観点から見れば大仰な作品群かもしれませんが、ゴスペルの観点から見れば心揺さぶる曲ばかりと言えます。

 

人となりと作品の出来不出来について、それがリンクするかどうかという見方は人それぞれだとは思います。しかし、たとえ罪を犯した者であっても改心の可能性があるならば赦し受け入れるという心(イコール余裕)を持つ必要があるでしょう。それでも受け入れられないというのならば...それは理解出来ても、その自身の尺度(受け入れられないというのは"嫌い"という、あくまでその人自身の感情論に過ぎない、と思うのです)を社会一般にも適用する必要はないはずです。ちなみにこれは自分の考えと前置きして書くのですが、ゴスペルは"赦す"という音楽です。美しいメロディを紡ぎゴスペルに新たな風を吹き込める方、林剛氏が仰るようにR.ケリーの『真正面からゴスペルに向き合った時の素晴らしさ』はきちんと素直に評価されるべきだと思います。

安室奈美恵のスルメソングが想起させるあの曲

昨日会った友人と話していて思い出した、彼女の中でも個人的に大好きな楽曲。地味と言われるかもしれませんが、味わい深いのです。

安室奈美恵「SOMETHING 'BOUT THE KISS」(1999)

上記動画はCM映像。小室哲哉氏によるプロデュースが続いていた彼女がこの曲で起用したのはR&Bプロデューサー、ダラス・オースティン。個人的にはこの曲が彼女のユーロ期、TKプロデュース期に次ぐ"第3章"のはじまりだと考えています。

で、この曲の雰囲気がどうしてもこの曲を想起させるのです。

・702「Where My Girls At?」(1999)

こちらのプロデュースはラッパーでもあるミッシー・エリオット等。「SOMETHING...」のAメロ→サビのメロディを「Where…」(の大サビ以外)に乗せてもしっくりくる気がするんですよね。「Where...」は「SOMETHING...」の4ヶ月ちょっと前にリリースされている作品ゆえ、インスパイア源か等は解りかねますが、「SOMETHING...」は当時のR&Bの薫りをうまく咀嚼した作品なのだと実感します(現地のプロデューサーが手掛けたゆえ当然なのかもしれませんが)。

ちなみに「Where My Girls At?」、米ビルボードソングスチャートの週間最高位は4位。トップ3入りは果たせなかったものの、1999年の年間チャートでは11位となりました。この曲の良さが少しずつ多くの方に浸透していった結果、ロングヒットに至ったものと思われます。この曲も「SOMETHING 'BOUT THE KISS」同様、スルメソングなのです。

地元ラジオ番組にメインパーソナリティが40分登場しないのは異様だと思う

あれ?メインパーソナリティは何処に...と思ったのは自分だけではないはずです。

昨日9月15日放送の『GO!GO!らじ丸』(RABラジオ 月-金曜11時55分)、その15時台。メインパーソナリティの十日市秀悦さんが40分近くもの間、登場しなかったのです。当日の放送は来週金曜29時(土曜5時)まで確認出来ます(radikoタイムフリーはこちらに)。当日のタイムテーブルは下記に。

14時台 十日市キニナ~ル!(金曜コーナー)

 (この日はプロレスの話題)

15:00:00-15:04:00 RABニュース

15:05:00-15:09:00 はいうぇい人街ネット青森(事前収録)

15:10:00-15:12:20 りんご生産情報(事前収録)

15:12:20-15:18:37 司法書士法人永田事務所 生コマーシャル

 (→天気予報

  →民間放送教育協会全国大会2017青森のお知らせ

  →マキシマム・ザ・ホルモン「恋のメガラバ」OA)

15:24:25-15:31:15 らじ丸インフォメーション

 (青森県クリーニング生活衛生同業組合

  →法律事務所MIRAIO仙寿・鶴亀温泉)

15:31:50-15:38:50 ライフプラザラジオショッピング→ジングル

15:38:50 スタジオに十日市さん登場

(未記載の時間は通常のCM)

15時台、事前録音分を含むもののおよそ40分もの間アシスタントの上野由加里アナウンサーが進行を行い、他方メインパーソナリティの十日市さんの声は全く聴こえてきませんでした。で、戻ってきて早々、14時台コーナーへのリスナーからのリアクション紹介となったのですが、40分も経っているとその鮮度は流石に落ちていたように思います。他曜日にもらじ丸インフォメーションや15時30分頃のラジオショッピングはあるのですが、こんなにメインパーソナリティの声が聞こえないのは金曜以外見当たりません。何のためのメインパーソナリティなのでしょうか...と思ってしまいました。

 

尤も、十日市さんが実は『ZIP!FRIDAY』(青森放送 金曜15時50分、青森放送がラジオとテレビ兼営ゆえ出演が可能)のレギュラー出演者でもあるため、そちらに合流するための事前打ち合わせの時間を確保するゆえ...なのかもしれません。しかし、あまりにも長き不在はラジオリスナーに対して失礼だと思うのです。あたかもテレビ優先というふうに映ってしまいます。

また、司法書士法人と法律事務所...取り扱う内容は異なれど(前者は過払い金、後者はB型肝炎の給付金)、お金を手に入れるという似た(ように受け止められてもおかしくない)内容を同じ時間帯に取り上げることに、違和感や膨満感を覚える方は少なくないはずです。無論、これらの放送によりRABラジオには収入がもたらされるわけですがしかし、ラジオでこの手の話題が多過ぎると思うと共に、これらラジオ業界におけるトレンド(収入源)が急にブームじゃなくなった際、ラジオ局は一気に衰弱するのではないかと心配にもなってしまいます。

 

こういう作りの番組は他局でも少なくないでしょう。ラテ兼営局ゆえの事情がなくとも、インフォマーシャル過多ゆえ生放送なのにライブ感が薄い番組はないわけではないはず。ラジオ番組には、リスナーに膨満感を抱かせない且つ収入源を偏らせない...それを実際に考えた上で中長期的な戦略を行っていただきたいものです。そして番組の顔にはきちんと登場していただきたいと切に願います。

 

(なお、『GO!GO!らじ丸』のホームページ上ではメインパーソナリティとアシスタントという表記はなく、ともすれば同等の扱いかと思ったのですが、14時台のコーナー名から察するに、男性がメインパーソナリティであることは間違いないでしょう。ゆえに十日市さんを"メインパーソナリティ"と表記した次第です。)

 

それにしても、メインパーソナリティの長き不在の間に流れた曲が「恋のメガラバ」というのは、番組制作側の空気感打破が目的では...というのは流石に考え過ぎでしょうか。

藤井隆『light showers』から90年代の名曲を想起する

藤井隆さんが今週リリースしたアルバム、『light showers』が素晴らしいのです。溢れる90年代感、そしてそれを猛烈に形に示した"プロモーション"も含めて。 

(勝手ながら引用させていただきました。問題があれば削除させていただきます。)

面白いのは、90年代前半に"ジャンパー当たる!"というキャンペーンを実施していたサントリーBOSSが、このタイミングで再度ジャンパーが当たる企画を展開。

偶然とはいえ、なんという見事なタイミングでしょう。

 

さて、音楽ナタリーのインタビューで、今作のプロデュースを務めた冨田謙氏は『狙って90年代感を出してるものとは違う』と語っています。たしかに楽曲から安易にこの曲が連想されるということはないのですが、『light showers』からは90年代の名曲の薫りを感じるものが少なくありませんでした(だからこそ架空CMにBGMが合わさった時により説得力が高まったはず)。というわけで、あくまで個人的にと前置きした上で、想起した楽曲群を掲載してみます。

 

・キャンディ「Don't Think I'm Not」(2000)

いきなり2000年の曲で申し訳ないのですが、アルバム冒頭を飾る「Going back to myself~再生のリズム~」が唯一のバラードアプローチながらサビでBPMが倍速になるように聴こえるというその展開が、元エクスケイプ(今夏活動再開)のキャンディによるこの曲を想起。

また、歌詞のテーマである"再生"からは、曲調こそ全く異なりますが中森明菜「Dear Friend」(1990 リンク先はYouTube)を思わせます。「Dear Friend」が彼女の活動再開曲になっているという意味合いを踏まえれば尚更。

 

・ANRI(杏里)「嘘ならやさしく」(1991) 

先行配信された「守ってみたい」の持つアーバンな空気感を携えたのはこの曲ではないかと。これも歌詞のアプローチは全く異なりますが、実は昨年12月の『星野源オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のカラオケ企画にゲストで登場した藤井さんがセレクトしたのがこの曲で、「守ってみたい」を作り上げた頃にきっと頭の片隅にこの曲があったのではと思ったり。

 

・クリスタル・ウォーターズ「Gypsy Woman (She's Homeless)」(1991)

・マドンナ「Vogue」(1990)

ホイットニー・ヒューストン「I'm Every Woman」(1993)

西寺郷太さんが提供した「カサノバとエンジェル」はアレンジにおいてアルバム中最も解りやすく90年代感を漂わせている気がします。全体に敷き詰めた「Gypsy Woman」感、パーカッションの盛り上げ方が「Vogue」や「I'm Every Woman」のそれっぽいなと思いますし、またBメロの畳み掛ける展開はジャネット・ジャクソン「All For You」(2001)を彷彿(西寺郷太さんはマイケル・ジャクソンの著書もあるのでジャネットについても意識したのかな?とふと)。これらの楽曲をはじめとして90年代前半は特にハウスリミックスが多く登場していることから、リミックスっぽいアプローチに憧れがあったのかなと考えています。藤井さんは実際に今夏リミックスアルバム『RE:WIND』をリリースしていますし。

ちなみに「カサノバとエンジェル」の次に配置された「ドライバー」、そのイントロから想起したのはマイケル・ジャクソン「Human Nature」でした。で、同曲をサンプリングしたSWV「Right Here (Human Nature Remix)」がリリースされたのは1992年だったり。

 

 

他にも想起出来た曲はいくつかあるのですが、"これに違いない!"とまで至らなかったので現段階ではこれだけにとどめておきます。

ちなみに、アルバム2曲目の「mode in the end」に関しては...90年代感の咀嚼っぷりがベッド・インっぽいなと思うのです。下記は昨年リリースのアルバム『GOLD』からのリードトラック。彼女たちもバブルをコンセプトとしながら、KIX-S等を意識したサウンド作りを行っていて、曲自体がとにかくいいんですよね。

いつか藤井隆さんとベッド・インの対バンも観てみたい、そんな気がします。

あのジェームス・ブラントが米チャート制覇、それもダンス部門で

最新9月23日付の米ビルボードダンスクラブソングスチャートで首位に立ったのがドイツ人DJ/プロデューサー、ロビン・シュルツ「OK」。ボーカルとして参加しているのはあのジェームス・ブラントなのです。

アンセム的な曲にもかかわらず声が味わい深い(いい意味で枯れた感じがする)ためか、アグレッシブなのにちょっとした切なさも抱かせるという複雑な表情を持った曲。なんせジェームス・ブラントといえばこの曲ですから、昔から切なさを得意とする歌い手だったわけです。

デビューアルバム『Back To Bedlam』(2004)から、翌年カットされたこの「You're Beautiful」が世界中で大ヒット。共に週間チャートを制したイギリスでは2005年に、アメリカでは2006年に(これまた共に)年間4位を記録した他、日本でも後にリミックス版が資生堂のCMソングとして用いられたゆえ、ご存じの方はきっと多いことでしょう。

この曲のインパクトがあまりに強いのでしょうか、アメリカではこの曲以外にトップ10...どころかトップ40入りした曲はないのですが、地元イギリス(ジェームスの出身はイングランドのウィルトシャー)では同じファーストアルバムから「Goodbye My Lover」が9位、「1973」(アルバム『All The Lost Souls』(2007)収録)および「Bonfire Heart」(アルバム『Moon Landing』(2013)収録)が共に4位を記録し、決して数は多くないながらもコンスタントにヒットを飛ばしているんですよね。

ジェームスにとっては畑違いの場所(ダンスクラブソングスチャート)での首位獲得ではありますが、これを機に彼のこれまでのキャリアを少しでも多くの方が振り返ってくれるなら嬉しいですね。

一方「OK」のメインアクトであるロビン・シュルツは、今回チャートを制したこの曲を含むサードアルバム『Uncovered』を今月29日に発売予定。彼にとっても最高のタイミングでのヒットとなりました。アルバムからはこの曲を含む数曲がApple Music等で既に聴取可能となっていますので是非。

Uncovered

Uncovered

  • Robin Schulz
  • ダンス