「Rockstar」は未だストリーミングが牽引しているものの同指標では前週比5%ダウン(4360万)。他方ラジオエアプレイでは同17%もの大幅アップで10位に達し、ポスト・マローンにとって初となるトップ10入りを果たしています。今回5週目の首位獲得により、”Rock”がついた曲での1位在籍週記録であのマイケル・ジャクソン「Rock With You」(1980)の4週を抜き歴代3位へ。ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ「I Love Rock & Roll」(1982 7週)、LMFAO feat. ローレン・ベネット「Party Rock Anthem」(2011 6週)を破るのももうすぐです。
今週アルバムチャートを制したのがサム・スミス『The Thrill Of It All』。前作『In The Lonely Hour』(2014)は2位どまりだったため念願の1位獲得となりましたが、そこからの先行曲「Too Good At Goodbyes」が6ランクアップで4位に上昇し、同曲の最高位を更新しました。
デジタルダウンロードは前週比2%落ち込みましたが(アルバム単位で購入された場合カウントの対象外に)、ストリーミングは同40%もの大幅アップを果たしています。前のアルバムからは「Stay With Me」(2位)をはじめ3曲がトップ10入りを果たしているだけに、『The Thrill Of It All』からどれだけのヒットが生まれるか、気になるところです。
『The Thrill Of It All』が237000ユニットを獲得し首位を記録した最新アルバムチャートで、122000ユニットを記録し2位に初登場を果たしたのがマルーン5『Red Pill Blues』。そこからのシングルでSZA(シザ)をフィーチャーした「What Lovers Do」が3ランク上昇し9位に到達。マルーン5にとって13曲目、SZA自身初となるトップ10入りとなりました。
当初は特集コーナー内は全曲自分セレクト且つ『Finally』未収録曲のみでいきます、と告知したのですが、ラジオスタッフサイドのミスで先週の放送前に届いていたリクエストが先週紹介出来なかったためこのタイミングで。この曲のみならず、「SWEET 19 BLUES」(1996)や「RESPECT the POWER OF LOVE」(1999)のゴスペルクワイア(コーラスの意)、また「CAN YOU CELEBRATE?」(1997)大サビ時のゴスペルクワイアと思しきメンバーのソロのフェイクをみるに、小室哲哉氏がR&Bやゴスペルを取り込んだというよりは、その後の曲群を踏まえれば、R&Bやゴスペルは安室奈美恵さん側の提案ではないかと思うのです。そして特にゴスペル要素においては、2000年代中盤で”結実”、特集4、5曲目で紹介します。
特集2曲目「SOMETHING 'BOUT THE KISS」(1999)。TLCの全米1位曲「Creep」で知られるダラス・オースティンとの初タッグ作。同時期に流行ったミッシー・エリオット作の702「Where My Girls At?」の如きR&Bで新境地を開拓。後にTLCのセルフカバー版「Waterfalls」に参加することに #わがままWAVE
SUITE CHIC時代(アルバム『WHEN POP HITS THE FAN』は2003年リリース)があったからこそその後のR&B群へのシフトしたのは間違いないはず。2000年代前半はセールス的に落ち込む時期ではありますが、だからといってイコール低迷期とするのはあまりにも早計。礎を築いた極めて大事な時期なのです。
特集4曲目「WoWa」。2005年のアルバム『Queen of Hip-Pop』収録。2000年代中盤のR&B期に特に大きな支えとなったプロデューサーのひとり、Nao'ymt氏による、かわいさと格好良さが同居したR&B。次に紹介するプロデューサーチームとの2組で半分ずつ担当した次作『PLAY』は個人的最高傑作 #わがままWAVE
特集5曲目「Should I Love Him?」。2007年のアルバム『PLAY』収録。「GIRL TALK」等を手掛けるT.Kura&michico夫妻のプロデューサーチーム、GIANT SWING作。TKプロデュースでも垣間見えた”黒さ”を極めた作品で、Nao'ymt氏による「Pink Key」とは別アプローチながら共にゴスペル曲を提供 #わがままWAVE
一方、GIANT SWINGにおいて、「SHOULD I LOVE HIM?」は歌詞こそゴスペルではないもののその荘厳な空気感(そしてそれを作り出すコーラスワーク)はまさしくゴスペルのそれではないかと。なおGIANT SWINGのリーダー作『GIANT SWING DELI』(2007)、そのラスト2曲は歌詞の面においてもゴスペルで、特にMICHICO氏(ツイート、すべて小文字表記してしまいました。失礼しました)による「CAN'T LIVE WITHOUT YOU」の説得力には圧倒させられます。
Nao'ymt氏、そしてGIANT SWINGの両プロデューサーは安室奈美恵さんの代表曲を手掛けてきた方(特にNao'ymt氏は『Queen of Hip-Pop』(2005)にてデュエット相手も担当)。その二組が腕を競い合った『PLAY』における「Pink Key」「SHOULD I LOVE HIM?」という2曲のゴスペルアプローチは、R&B時期における最高の輝きではないかと。自分が『PLAY』リリースの前年までゴスペルクワイアに所属していたゆえ主観が強く働いていると言われればそれまでですが、ゴスペルは歌唱力、表現力の高さも求められるジャンルであり、それを見事にこなした彼女の実力の高さに唸らされるのです。昨日の放送で「SHOULD I LOVE HIM?」の大サビ後にトークを再開したのですが、この大サビを聴く度に心が揺さぶられ、一瞬喋ることが出来なくなりそうになりました。圧巻です。
最新11月18日付、米ビルボードゴスペルソングスチャートで18位に初登場を果たしたのがレデシー feat. カーク・フランクリン「If You Don't Mind」。9月にリリースされたアルバム、『Let Love Rule』の巻末曲であり、冒頭や大サビ後の掛け声を聴けば解るように、ゴスペル界の若き大御所、カーク・フランクリンが参加しています。多彩なメンバーが手掛けた作品を締めくくるに十分な、カーク印の逸品。
ふたりの共演映像も観客によりアップされていますね。
R&B歌手のゴスペル挑戦が珍しいことではないことは、このブログで幾度となく記しています。レデシーにおいては、クリスマスアルバム『It's Christmas』(2008)の巻頭を飾る「I'll Go」で、ゴスペル界の大御所、リチャード・スモールウッドを迎えており(ピアノを担当。Apple MusicではノンクレジットながらCDでは客演として記載)、ブックレット記載の歌詞ではYouが”YOU”と表記されていることから、大文字表記すなわち神様への曲ということが判ります。今作でのカーク・フランクリンの招聘はその流れにあるのかもしれません。そして先に紹介したライブ映像には”続き”があり、レデシーがカークのピアノでカークの名曲、「My Love Is In Your Hands」「Wanna Be Happy?」(途中で切れますが)、自身の「Alright」などを披露しているのです。これは贅沢!
『Chris Brownは10/31のハロウィンにニューアルバム『Heartbreak on a Full Moon』をリリースしたが、この日は火曜日だった。つまりこのアルバムはビルボードチャートでは発売日当日の火曜日と、水曜日、木曜日の3日間しか売り上げがカウントされない』(上記リンク先より)...発売日がハロウィンだと聞いて、てっきりハロウィンに合わせてのリリースだと思ったのです。こんな恐ろしいミュージックビデオも作っているのですから(閲覧注意)。
1位はカントリー歌手、ケニー・チェズニーのライブアルバム『Live in No Shoes Nation』が219000ユニット(うち純粋な売上は217000)。2位にケリー・クラークソンのアトランティック移籍第一弾『Meaning Of Life』が79000ユニット(うち純粋な売上は68000)。そして3位がクリス・ブラウン。68000ユニットを記録し、うち純粋な売上は25000と、ヒップホップ的な売れ方となっています...が、案の定1位には至れず。とはいえ仮に金曜リリースだったとして、ケニー・チェズニーに追いつき追い越すことは出来たか?…個人的には微妙だと思っています。先行シングル5曲のうち、ソングスチャートトップ40入りはアッシャーおよびグッチ・メインをフィーチャーした「Party」のみ、それも最高位が40位ということでは、シングルヒットがないままリリースに突入してしまったといっても過言ではなく、先行曲がアルバム購入の原動力にならなかったわけです。
勿論今作も売れるでしょう。3年ぶりの待望の作品であること、前作『1989』(2014)の大ヒット(米ビルボード年間アルバムチャートでは2014年が3位、2015年が1位、2016年が17位にランクイン)、並びに今作からの先行シングル「Look What You Made Me Do」の初登場から3週連続での全米1位という記録を踏まえれば、初週は記録的な数値を叩き出すことが確実です。
10月27日金曜に公開され、1週間分の動画公開に伴うストリーミング加算効果が期待された「...Ready For It?」はチャート上で返り咲き、46位から19位に上昇。しかし再びトップ10入りするには至れませんでした。今週彼女のアルバム『Reputation』がリリースされ、”予約数は40万を超えた”とのアナウンスがあるのですが、先行シングルの勢いがどうもパッとしないんですよね。
「Look What You Made Me Do」は前週の25位から更に順位を落とし34位に後退しています。これを3曲の票割れとみることもできますが、たとえば同様に『Purpose』(2015)から先行曲を相次いで発表したジャスティン・ビーバーは、『Purpose』が2015年12月5日付アルバムチャートで初登場首位を獲得した同日付のソングスチャートにて、「What Do You Mean?」が5位、「Sorry」が2位となり、また「Love Yourself」が4位に初登場しています。「Love Yourself」以外の2曲は共に前週もトップ10入りしています。そう考えると、やはり勢いの差を感じずにはいられません。
前作『1989』(2014)は、先行曲が「Shake It Off」と「Welcome To New York」。後者はプロモーションシングルとしての扱いゆえ最高48位にとどまりましたが、アルバム『1989』が2014年11月15日付アルバムチャートを制した同日付のソングスチャートでは「Shake It Off」が1ランクアップで首位に返り咲き。同年9月6日付で初登場し2週連続で首位に立った後、8週連続の2位を経てからのカムバック。つまりは曲にそれだけの力があるゆえ踏ん張り(とどまり)続けられたわけで、テイラー自身の前作と今作においても、その勢いの差を感じてしまうのです。