イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

アリアナ・グランデ3連覇、マシュメロ急伸の理由は史上初の試み…2月16日付米ソングスチャートをチェック

毎週火曜は米ビルボードソングスチャート速報。

現地時間の2月11日月曜に発表された、2月16日付最新チャート。アリアナ・グランデ「7 Rings」が3週連続で首位をキープ。マシュメロ feat. バスティル「Happier」が自己最高の2位に上昇しました。

初登場から3週連続で首位を獲得したアリアナ・グランデ「7 Rings」。前週は登場2週目ということで初週の反動からストリーミングが26%急落したのですが、最新週ではストリーミングが前週比9%の減少にとどまり5770万を獲得。デジタルダウンロードは前週比7%上昇し42000となりデジタル2指標でトップに。さらにラジオエアプレイでは登場3週目にして19→10位に躍進(前週比21%アップの5060万)。わずか3週目での同指標トップ10入りはドレイク「In My Feelings」(2018)以来の記録達成です。

2位にはマシュメロ feat. バスティル「Happier」が前週の8位からジャンプアップ。上昇の理由は2月2日土曜に開催された、ゲーム『フォートナイト』の中で開催されたマシュメロのヴァーチャルライブでこの曲が披露されたこと。ヴァーチャルライブの様子は同日中にYouTubeにて公開されています。

ライブでは「Happier」を含む7曲が披露され、『フォートナイト』関連動画もマシュメロの公式YouTubeチャンネルにアップされています。

この試みが功を奏し、「Happier」はストリーミングが前週比120%も上昇、5180万を獲得し2位に到達。デジタルダウンロードも前週比82%もアップし22000に(同指標5位)。ラジオエアプレイが同4%ダウンしましたが(8930万、同指標4位)、曲のピークが過ぎたタイミングで行われた今回のヴァーチャルライブが、曲の再燃材料になるということが判りました。もしかしたら今後、同種のゲーム内イベントが行われる機会が増えるかもしれません。なお、マシュメロおよびバスティルにとって総合2位はキャリア最大であり、また登場25週目にして2位以上を獲得したのはワンリパブリック「Counting Stars」が2014年1月18日付、同じく登場25週目で2位を記録して以来となります。

 

2月3日に開催されたスーパーボウルハーフタイムショーの効果も見ていきましょう。トラヴィス・スコット「Sicko Mode」がストリーミング前週比5%、デジタルダウンロードは同63%アップし総合5位をキープ、そして。

主役であるマルーン5がショーの中で披露した「Girls Like You」は総合10位をキープし、33週目のトップ10入り。あのエド・シーラン「Shape Of You」(2017)に並ぶ史上最長記録を成し遂げました。デジタルダウンロードが前週比123%大幅アップの19000で同指標6位、ストリーミングが同13%アップの2050万で同指標21位。ただしラジオエアプレイは同2%ダウン(7780万 6位)であり、ハーフタイムショーが再燃材料となった形です。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) アリアナ・グランデ「7 Rings」

2位 (8位) マシュメロ & バスティル「Happier」

3位 (2位) ホールジー「Without Me」

4位 (3位) ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」

5位 (5位) トラヴィス・スコット「Sicko Mode」

6位 (7位) パニック・アット・ザ・ディスコ「High Hopes」

7位 (6位) アリアナ・グランデ「Thank U, Next」

8位 (4位) J・コール「Middle Child」

9位 (9位) ポスト・マローン「Wow.」

10位 (10位) マルーン5 feat. カーディ・B「Girls Like You」

そして、もうすぐトップ10はこちら。

・トゥエニーワン・サヴェジ「A Lot」(26→12位)

(上記はJ・コールを迎えたリミックス)

・ビリー・アイリッシュ「Bury A Friend」(74→14位)

・カリード「Better」(23→18位)

・ブルーフェイス「Thotiana」(28→20位)

(上記はYGを迎えたリミックス)

 

さて次週は、日本時間で昨日発表されたグラミー賞受賞およびパフォーマンス曲が上昇することが見込まれますが、それ以上にアリアナ・グランデのニューアルバム『Thank U, Next』がデジタル2指標集計開始となる2月8日金曜にリリースされたことで、先行シングル「Thank U, Next」「Imagine」「7 Rings」ならびに最新シングル「Break Up With Your Girlfriend, I'm Bored」を中心に急伸することが見込まれます。「7 Rings」は既に1位という状況ですが、トップ10内にいくつ彼女の曲が入ってくるか、注目です。前作『Sweetener』(2018)はアルバムチャートで首位発進を果たしましたがその際の初週ユニット数は231000。一方『Thank U, Next』の初週は28万から30万になるのではと米ビルボードが報じています。前作の初週ユニット数のうち純粋なアルバムセールス(CDもしくはデジタルでの購入)は127000でしたが今回は9万から10万の範囲だと見込まれており、つまりは今回、前作以上にストリーミングが強さを発揮する模様です。そうなれば、ソングスチャートでアリアナが強さを発揮するのは間違いなく、おそらく収録曲すべてが100位以内に入ることでしょう。

自らの人生と決意を歌う、ホイットニー・ヒューストン「I Didn't Know My Own Strength」に思う

昨日の担当ラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)では自分選曲による【ホイットニー・ヒューストン】特集をお送りしました。

同日午前、青森市で公開がはじまったばかりのドキュメンタリー映画、『ホイットニー - オールウェイズ・ラヴ・ユー -』を観てから臨んだのですが、彼女の姿は観るのが辛かったこともあれど、彼女のヒットに差し込まれるアメリカの社会情勢の画が痛々しかった(それがあたかもサブリミナル効果となってボディブローのように…)というのがひとつ目の感想。そしてネタバレは控えつつも、今日本で強く問題視されている子供を巡る問題は真に解決させないといけない、と強く感じた次第です。何も知らずに騒ぎ立てる外野のなんという無責任さたるや、逆に彼女の周囲、特に極めて近い者たちが"保身"をかなぐり捨てることも必要…つまり、ホイットニー・ヒューストンの問題は今の社会の教訓になると捉えています。

 

彼女が様々な問題を克服したら、もしも2012年のこの日に彼女が救われていたら…彼女の歌声は戻ってきたでしょうか。

ホイットニー・ヒューストン「I Didn't Know My Own Strength」(2009)

あの「I Will Always Love You」をはじめ、「I Have Nothing」(共に1992)、「I Learned From The Best」(1999)をプロデュースしたデヴィッド・フォスターがプロデュース。自分自身に宿る強さを知らずにいた…ダイアン・ウォーレンが書いた楽曲(そして共作にはホイットニーの名が)は彼女のこれまでが描かれ、フォスターのアレンジにはホイットニーとのかつての名曲同様、いやそれ以上に力強さをを持ったアレンジが施されています。声には乾きがあれど歌唱法にはこれまでの彼女の凄さが戻ってきており、生きていたならばきっとこの曲を歌い続け、この曲と共に歌声も人生も、少しずつ再生していったのではないでしょうか。この曲にはこれまでだけではない、"これから"という決意が刻まれているように思うのです。

 

 

昨日、自分のミスでこの曲をおかけできなかったのでこちらで紹介しました。今日は、ホイットニー・ヒューストンの命日です。

ダイナソーJr.をはじめ複数の楽曲が動画再生指標を稼ぎチャートを急伸した理由…ほぼ判明しました

一昨日のブログでは、2月11日付ビルボードジャパンソングスチャートにおける"怪"を紹介しました。ダイナソーJr.「Over Your Shoulder」をはじめ複数の楽曲が、ほぼ動画再生指標のポイントだけでチャートに登場したのです。とりわけ「Over Your Shoulder」はリアクションが大きく、18位にジャンプアップしています。

ビルボードジャパンも首を傾げたこの不思議。実はこのブログをアップした後、アメリカの音楽メディアであるピッチフォークが、日本時間の昨日未明にこの"怪"を紹介。そしてなんと、当の本人もリアクションしていました。

この直後に状況は一変。「Over Your Shoulder」をはじめとする上昇曲の多くが【ガチンコファイトクラブ】で使われていた…という反応がSNSで多数出ていたのです(歌手の公式アカウントや大手メディアのちからの大きさたるや、ですね)。

 

ガチンコファイトクラブは、TOKIO出演のバラエティ番組『ガチンコ!』(1999-2003 TBS)内のドキュメンタリー的コーナー。その中ではどうやら「Over Your Shoulder」をはじめ、マッチボックス・トゥエンティ「If You're Gone」、アズテック・カメラ「The Belle Of The Ball」、U2「Staring At The Sun」も用いられていたと、SNSYahoo!知恵袋等経由で知ることが出来ました。で、そのガチンコファイトクラブが盛り上がった理由として、2月6日放送の『TOKIOカケル』(フジテレビ)でその話が出てきたとのこと。多くの視聴者がリアクションしていました。

とはいえ冒頭で紹介した2月11日付ビルボードジャパンソングスチャートの集計期間は1月28日から2月3日までであり、番組で生まれた反応は次回のチャートに表れることに。1月30日放送分の次回予告でガチンコファイトクラブに触れていたならばまだ理解出来るのですが、しかしそれだけでここまで動画再生回数は増えるでしょうか。

 

一昨日のブログエントリーでは『公式アカウント発の動画の現段階の再生回数はなんと1200回未満。"Dinosaur Jr. Over Your Shoulder"で検索し、最上位に登場且つ動画の詳細に著作権管理団体のライセンス所持者がクレジットされているこちらでも現段階で28000強という数字』と書きました。しかしこれらはあくまで、ダイナソーJr.と曲名を検索して上位に出てきたものであり、もしかして"ガチンコファイトクラブ"でYouTube検索すれば何か解るのでは…と思い確認したところ。

f:id:face_urbansoul:20190209192909p:image

ひとつのYouTubeアカウントが(現状で確認出来る限りは)1月27日以降、ガチンコファイトクラブについて順次アップしていたことが判りました。上記キャプチャは昨日夜の段階で確認出来たものですが、注目したいのは音楽のクレジット部分。この動画に関しては「Over Your Shoulder」および「If You're Gone」が記載され、複数の楽曲著作権管理団体がライセンス所持者として登録されています。そして他の動画でも同様の登録がなされているのです。これにより、動画の使用曲がビルボードジャパンソングスチャートにおける動画再生指標のカウント対象となったのではないでしょうか。

おそらくは複数アップされた動画を観た方が多くいらっしゃることで、ダイナソーJr.「Over Your Shoulder」をはじめとするガチンコファイトクラブ使用曲が動画再生指標を伸ばしたものと推測されます。これにより公式アカウント発の動画で感じていた再生回数の少なさについては解決します。またこのYouTubeアカウントが以前アップした動画の中には削除されたものもあり、その削除分を含めれば累計で数百万もの再生回数があったかもしれず、それにより「Over Your Shoulder」が動画再生指標首位に躍り出たという仮説が成立すると言えます。

 

実は、歌手の公式YouTubeアカウントが発信するミュージックビデオ以外にも、ビルボードジャパンソングスチャートにおいて動画再生指標を伸ばす方法があります。

YouTubeについて

YouTubeでの動画再生回数はどのように集計していますか。

 日本レコード協会が発行および管理を行っている国際標準コード「ISRC」が付番されたレコーディング(オーディオレコーディングおよび音楽ビデオレコーディング)を使用した動画を集計対象として、その国内週間再生回数を米国ニールセン経由で集計しています。権利者の許諾を受けていれば、「恋」や「ダンシング・ヒーロー」などで見られた、オフィシャル音源を使用したユーザー生成コンテンツ(UGC)も集計対象となります。

【Billboard JAPAN Chart】よくある質問 | Special | Billboard JAPANより

今回動画再生指標が急伸したガチンコファイトクラブ使用曲が、"権利者の許諾を受けて"集計対象とされたのかは解りかねますが、カウントされた原理はこちらと同じですね。

 

ということで、100%の正解ではないかもしれませんが、これでダイナソーJr.「Over Your Shoulder」をはじめとするいくつかの楽曲の動画再生指標急伸の理由が判りました。カウントされた動画自体は違法アップロードとみられ、本来は言及すべきではなかったかもしれませんが、チャートの動向や仕組みを伝える意味で、キャプチャも含め紹介した次第です。問題があればキャプチャを削除させていただきます。

こういう形でのヒットは今後も出てくるかもしれません。また今回の例を受けて、ヒットを狙ったアップロードも出てくることでしょう。動画の違法性の問題視は勿論必要なことですが、コンテンツを持つ側が著作権をきちんとクリアにした上でYouTubeにアップすることも今後求められるかもしれません。

嵐、活動休止発表後のソングスチャートアクションは乏しかった? 引退や解散した国民的歌手と比較してみる

最新2月11日付ビルボードジャパンソングスチャートは1月28日月曜からの一週間が集計期間。1月27日に突如発表され同日会見が行われた、アイドルグループ 嵐の来年末での活動休止報告が、チャートに少なからず反映されると予想した方は少なくないはずです。

しかしその結果を見るに、あくまで私見と強く前置きして書くならば、ソングスチャートにおける反応は極めて小さかった、と考えます。

100位以内にランクインした2曲で比較すると、「感謝カンゲキ雨嵐」(2000)はTwitter指標が4位ながら、その他はラジオエアプレイ指標が101位未満300位以内に入ったのみ。一方「君のうた」(2018)はTwitterの14位もさることながら、シングルCDセールス指標で20位、ルックアップでは9位に上昇しています。

この両者の差はそれぞれのシングルCDの、現在の市場流通の差といえそうです。「感謝カンゲキ雨嵐」は廃盤となっており、実店舗/オンラインCDショップでは同曲の音源をほぼアルバムからでしか手に入れることが出来ません。また総在庫数に制限がある関係上、レンタル店でも古い作品をシングルとして借りることは極めて厳しいと言えます。他方「君のうた」は直近のシングルゆえ手に入れやすい状況だったわけです。同日付のシングルCDセールスチャートをみると、「君のうた」の20位を筆頭に、「夏疾風」(2018 33位)、「Find The Answer」(2018 50位)、「Doors~勇気の軌跡~」(2017 53位)、「Happiness」(2007 73位)、「Monster」(2010 77位)、「I seek / Daylight」(2016 82位)の7作品がトップ100入り。「Doors~勇気の軌跡~」までの上位4作品は直近のシングルから逆順で高位置に登場しています。が、これらの作品の中で総合ソングスチャートに登場したのはわずかに1曲という結果であり、これは寂しいと思うのです。

 

嵐の場合、活動休止会見後のパッケージセールスの動向を見ると【シングル<アルバム<映像作品】と言えるでしょう。アルバムはビルボードジャパンのチャート、トップ100に15作ランクインしています。

そして映像作品となると、これはオリコン調べですがDVDランキングでは100位以内に23作も送り込んでいるのです。

実に素晴らしいことですが、とはいえやはり、楽曲チャートに目立った動きがないのが気がかりです。それが理由かオリコンでも、シングルやアルバムの動向は上記記事の最下段に、心なしか抑えめに紹介しているように映ります。

 

 

嵐においてはビルボードジャパンソングスチャートに2曲がランクインしたのみでしたが、嵐と同じくらいの人気や知名度を誇る歌手が同様のショッキングな発表を行った場合、果たしてどんなチャートアクションを示したでしょう。これを読んだ方の多くが思い浮かべたでであろう歌手は安室奈美恵さんおよびSMAPだと思われますが、ビルボードジャパンソングスチャートでは両者とも、嵐以上に大きな動きを見せていたのです。

 

安室奈美恵さんの場合、2017年9月20日に引退を発表。

表明は水曜であり、さらにその2日後にベストアルバム『Finally』(2017)をリリースすることをアナウンスしていますが、ベストアルバムリリース前、引退表明直後からデジタルダウンロードが好調に推移したこともあり、引退表明のあった日を集計期間とする2017年10月2日付ビルボードジャパンソングスチャートには5位の「Hero」(2016)を筆頭に実に12曲もランクインを果たしています。実は同日付のシングルCDセールスチャートでは「Just You and I」(2017 31位)および「Hero」(41位)の2曲のみがランクインするにとどまっており、先述した嵐同様過去のシングルCDが市場から消えていただろうことが予想されるのですが、デジタルダウンロード指標では「Hero」の首位を皮切りにトップ20に7曲もランクイン。シングルCDセールス指標を補完するに十分な役割を果たし、総合ソングスチャートで100位以内12曲ランクインという記録を打ち立てました。

「Hero」のCHARTinsight - Billboard JAPAN

(ちなみにビルボードジャパンにおけるデジタルダウンロードソングスチャートは2017年10月9日付から確認可能ゆえ、同年10月2日付のデジタルダウンロード指標はCHARTinsightで表示週を2017年9月18~24日と設定して更新すると確認出来ます。なお、2017年10月9日付では「Hero」が首位を記録し、トップ100には13曲も登場しています。)

 

そしてSMAP。解散した日付は2016年12月31日でしたが、解散が発表されたのは同年8月14日日曜未明のこと。

2016年8月22日付のビルボードジャパンソングスチャートは8月8~14日を集計期間とするため、解散発表から24時間弱でのリアクションしかチャートには反映されませんが、それでも「ありがとう」が前週の26位から12位へ、「世界に一つだけの花」が同49位から15位へ躍進。同日付シングルCDセールスチャートでは「ありがとう」が43→30位、「世界に一つだけの花」が87→17位。そしてTwitter指標では「ありがとう」が1位、「世界に一つだけの花」が2位とワンツーフィニッシュを果たしているのです。

「ありがとう」のCHARTinsight - Billboard JAPAN

「世界に一つだけの花」のCHARTinsight - Billboard JAPAN

そして「世界に一つだけの花」においては、2016年1月18日月曜の『SMAP×SMAP』(フジテレビ)で、メンバーが生放送でコメントする直前からチャートで存在感を示していました。

2016年1月18日からの一週間を集計期間とする同年2月1日付ビルボードジャパンソングスチャートでは「世界に一つだけの花」(2003)が総合2位に(前週も2位に登場)。シングルCDセールスは同日付で3位となり、またTwitter1位、ラジオエアプレイ29位、ルックアップ34位という高水準が総合2位に至った理由ですが、これはSMAPを巡る動きに対するファンの行動があってのことと推測出来ます。「世界に一つだけの花」は当時(そして今も)廃盤になっていないこともあり、またSMAP最大のヒットゆえラジオエアプレイも含め一極集中したと考えられ、ゆえにデジタル未解禁ながら突出した成績を収めることが出来たのではないでしょうか。

 

安室奈美恵さんのトップ10以内1曲を含む12曲同時ランクイン、SMAPの2位到達に対し、嵐のソングスチャートにおけるチャートアクションはどこか寂しいものがあるというのが私見です。仮に先週放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日)に嵐が登場せずTwitter指標が盛り上がらなかったらば、「感謝カンゲキ雨嵐」はチャートインせず、「君のうた」が低い位置に登場したのみだったのではないかと考えると、あまりにも差があるように思います。しかも。

これを書いた後も、現段階までに10件前後しかつぶやかれておらず、嵐のファンの方々がチャートをどう捉えているのかが気になってしまうのです。

 

 

仮に嵐がデジタル解禁していたならば、安室奈美恵さんのようなチャートアクションを示したでしょう。ただこの(嵐のみならずジャニーズ事務所所属歌手全体の)デジタル解禁への願いについては以前から幾度となく記載しながら、終ぞ叶わないままです。

ファンの方々がチャートに爪痕を残したいと思っており、今回のチャートアクションが物足りないと捉えたならば、出来る範囲で何かしらの策を練る必要があります。今後も新曲リリースが考えられる(環境にある)ことからその曲を特大ヒットに至らせるというのも一案ですが、過去の楽曲を押し上げる施策も考える必要があったかもしれません。しかし、いい案がないと思うならば、デジタルについて前向きに考え、解禁を事務所側に提言しても好いのではないかと思うのですが、如何でしょうか。

ビルボードジャパン最新チャートにおける動画再生指標の不思議? 同社へ問い合わせてみました

水曜に発表された、2月11日付ビルボードジャパンソングスチャートでひとつ不可解なものが。それは動画再生指標における急上昇曲の多さ。同指標20位以内に入った曲には、他指標が伴わずほぼ100%を動画再生指標のみで占めている作品が多いのです。下記は最新チャートのCHARTinsightにおいて、動画再生指標順に並べ替えたもの。

f:id:face_urbansoul:20190208080415p:image

ダイナソーJr.「Over Your Shoulder」(1994 動画再生指標1位/総合18位)

U2「One」(1991 動画再生指標5位/総合78位)

・マッチボックス・トゥエンティ「If You're Gone」(2000 動画再生指標6位/総合84位)

ダーウィン feat. サイレント「Dessert」(2015 動画再生指標9位/総合300位以内)

・アズテック・カメラ「The Belle Of The Ball」(1993 動画再生指標14位/総合300位以内)

U2「Staring At The Sun」(1997 動画再生指標18位/総合300位以内)

Wink「愛が止まらない ~Turn it into love~」(1988 動画再生指標19位/総合300位以内)

あの米津玄師「Lemon」を抑えて首位に立ったのがダイナソーJr.「Over Your Shoulder」なのですが、公式アカウント発の動画の現段階の再生回数はなんと1200回未満。"Dinosaur Jr. Over Your Shoulder"で検索し、最上位に登場且つ動画の詳細に著作権管理団体のライセンス所持者がクレジットされているこちらでも現段階で28000強という数字…ゆえに他にも動画再生指標のカウント先はあれど、「Over Your Shoulder」がなぜ首位に立てたのかが不可解でした。

その旨を、水曜夜にビルボードジャパン宛に問い合わせたところ、翌日午後に回答をいただきました。尚、回答の掲載について許可をいただいていないため、内容を要約して紹介すると。

データ提供元に確認したところ、 (今回紹介した)楽曲の再生回数は正しい数字との回答をいただきました。

現在、楽曲を使用した該当動画について、YouTubeに確認中であり、現時点では明確な回答が申し上げられません。

とのことです。

 

実際、ビルボードジャパンによるチャート解説の段階で。

当週、YouTube再生ランキングにクイーン以外の洋楽も多数順位を上げており、チャート公開時刻の許す限り原因を究明したが、残念ながら原因となる動画を特定することが出来なかった。おそらくはそれらの洋楽楽曲を使用したユーザーによりアップロードされた動画が大きく再生数を伸ばしたものと思われる。

【ビルボード】ジャニーズWEST「ホメチギリスト」、シングル143,651枚を売り上げ3冠で総合首位獲得 | Daily News | Billboard JAPAN(2月6日付)より 

既にチャート側もギリギリまで異変を調査してわけです(ゆえに、いつもより30分以上チャート更新が遅れたことに)。自分の疑問は既にビルボードジャパン側も理解、共有しているわけですが、今回の質問により"YouTubeに確認中"という、現在も調査中である旨を理解出来ました。

 

今回の件、動画再生回数がきちんと増え正しい数字だと判明したならば問題ないのですが、仮に不正操作により第三者がいくらでも再生回数を改竄出来るという脆弱性が見つかったならば、早急な改善が求められます。仮に後者だとしたら恐ろしいことですが、そうだとして早期に問題が見つかったことは好いことゆえ、問題の根が少しでも速く絶えることを願ってやみません。

 

ビルボードジャパンは質問に対し丁寧且つ迅速な対応をしてくださいました。この場を借りて御礼申し上げます。SNSにて疑問点が見つかり次第同社に質問される方がいらっしゃるのですが、疑問点は疑問点のまま放置せずクリアにしていかないといけないと実感した次第です。

三浦大知「Blizzard」が勢いをキープする理由は? 2月11日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

1月28~2月3日を集計期間とする2月11日付チャートが昨日発表されたビルボードジャパン。同日付ソングスチャートでは5週連続、通算7週首位を獲得していた米津玄師「Lemon」が遂に陥落し、ジャニーズWEST「ホメチギリスト」が圧倒的なシングルCDセールス指標を獲得してトップに立ちました。

「ホメチギリスト」の初週におけるシングルCDセールス指標は、総合ポイント全体の4分の3以上。逆に言えば同指標が強ければ強いほど次週の急降下の可能性が高まるわけで、どこまで踏みとどまれるか気になるところです。昨年リリースの2つのシングルについてはいずれも2位発進ながら翌週には30位台に急落、且つ総合ポイントが前週比10%未満となっています。

今週は上位20位以内に初登場が実に9曲も入っており、ONE OK ROCK「Wasted Nights」(14位)を除けばいずれもシングルCDセールス指標初加算週ゆえの登場ですが、「Wasted Nights」(2月1日配信開始)を含めて総合ポイントの過半数をひとつの指標で占める曲がほとんどの中、美波さんのデビューシングル「カワキヲアメク」(19位)だけは該当していません。

f:id:face_urbansoul:20190207083047p:image

とはいえデジタルダウンロード指標がほぼ5割近いシェアとなっており、一指標に特化していることには変わらず。ゆえに今回初登場の上位陣が次週もその数値をキープ出来るかどうかは、シングルCDセールスやデジタルダウンロードといったいわゆる"一度手に入れれば満足"という指標以外のところをどれだけ押し上げるかにかかっています。

それゆえの、昨日のツイート。

上位陣と比較して満足いく順位にならなかったことで諦めていれば落ちるのみ。上位陣との比較のみならず自身と比較し、出来ることを行っていけば長期エントリーとなり他の浮き沈みに負けないチャートアクションとなるのです。これはすべての歌手のすべての曲に言えることです。

 

 

さて今日は、弊ブログで定点観測する三浦大知「Blizzard」について。今週トップ10から脱落し16位に後退しましたが、先述した初登場陣の次週の動向を踏まえれば順位の面で再浮上する可能性は十分考えられます(他方、次週初登場や急上昇組と戦うことにもなりますが)。

以前一度記載しましたが、同曲のチャート推移を今一度みてみると。

※各指標について

 ・ポイント:総合ポイント

 ・ポイント前週比:前週および当週共に50位以内にランクインした場合のみ計算(50位未満は総合ポイントが表示されない)

 ・上記の理由により50位未満、総合ポイントで比較不能時は※で表示

 ・各指標について

  (詳細はビルボードジャパンの自問自答 | Special | Billboard JAPANをご参照ください)

   CD:シングルCDセールス

   DL:デジタルダウンロード

   ST:ストリーミング

   RA:ラジオエアプレイ

   LU:ルックアップ

   TW:Twitter

   MV:動画再生

   KA:カラオケ

 ・各指標毎順位における[-]はランク圏外、[ ](ブランク)はランクインせず。これらはCHART insight | Billboard JAPANから曲名をクリックすると確認可能

三浦大知「Blizzard」

 (12月19日シングルCD発売、11月9日先行配信)

日付 ポイ
ント
前週
総合
順位
CD DL ST RA LU TW MV KA
2018/11/5   -           53    
2018/11/12                    
2018/11/19 1192 47   27       14    
2018/11/26 59   38 - 87   68 -  
2018/12/3 -   100 - 49   - -  
2018/12/10 1267 42   48 - 33   31 49  
2018/12/17 1667 131.6% 29   40 90 19   27 36  
2018/12/24 3518 211.0% 11   12 42 3   2 9  
2018/12/31 7400 210.3% 2 5 8 14 2 8 3 5  
2019/1/7 4828 65.2% 6 25 10 16 10 14 5 5  
2019/1/14 3548 73.5% 10 19 20 17 10 16 14 9 -
2019/1/21 3416 96.3% 10 37 23 17 22 19 3 14 -
2019/1/28 3559 104.2% 9 39 20 18 20 19 2 10 -
2019/2/4 2820 79.2% 10 59 36 24 50 22 4 12 -
2019/2/11 2711 96.1% 16 70 45 27 - 27 5 21 -

総合ポイントは前週とほぼ変わらず。今週のTwitter指標は総合ポイントのおよそ4割を占めています。一方前週はおよそ3割(下記はその時の解説ツイート)。

他指標でゆるやかに下降するものの、ファンを中心とした【ブリ活】によるTwitter指標の上昇が、勢いのキープに寄与したといえます。

総合ポイントの下降が急激になっていないのには他にも理由が。例えば1月17日、天皇陛下御在位三十年記念式典に参列し記念演奏することが発表されたり。

「Blizzard」が主題歌となった映画、『ドラゴンボール超 ブロリー』がアメリカで週間興行収入4位を記録したと報じられたのが1月23日。

映画は世界全体で興行収入1億ドルを突破した、と今週報じられています。

これらが三浦大知さんへの注目を高め、「Blizzard」のヒットを後押ししたと言えるでしょうが、個人的に注目したい"施策"が。

1月29日に行われたライブのリポートが同日付で報じられています。このライブは昨年開催予定だったものの悪天候により延期され、今日からはじまるアリーナツアーの直前に開催されたもので、終演に合わせて、昨年ツアーで披露された「Blizzard」のライブ映像が公開されたのです。

名古屋公演の延期自体は残念なことですが、アリーナツアーの直前にライブ開催且つ映像公開した結果、アリーナツアーへの期待がより膨らむのみならず、シングルCDの特典映像を公開することでシングル購入の動機が生まれたり曲への衝動に駆られてデジタルダウンロードやストリーミングを活用する方は少なくなかったはずです。リリースから2ヶ月近く経っていますが、リリースして終わりではなくここぞというタイミングで新たな施策を投じることは、新規ファン獲得のみならず既存のファンを満足させるという意味でも有効であり、それが"ブリ活"を好んで行いたいという思いを生み、活動のモチベーションを高める要因になるでしょう。

 

2月24日の天皇陛下御在位三十年記念式典での記念演奏、そしてアリーナツアーが終わる3月中旬まで、「Blizzard」が劇的にランクダウンすることはないかもしれません。このロングヒットを受けて『ミュージックステーション』や『うたコン』などが今一度三浦大知さんを招聘すれば、さらなる起爆剤になるものと考えます。

自分が♪エンダーより好きなホイットニーの名曲 (ラジオ”モヤモヤ”特集振り返り&次回予告)

担当ラジオ番組、『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時。サイマル放送で全国どこからでも聴取可能です。詳細はこちら)では2月3日、磯野ふさえさん持ち込み企画【モヤモヤ(ソング)】をお送りしました。

リスナーの皆さんからもモヤモヤソングをいただき、ありがとうございました。アレンジ(特に1980年代のミックスの仕方)だったり歌い方だったり歌詞だったり…人によって様々な見方があるんだなあと実感です。

自分のセレクトについては今回割愛しましたが、自分の理由は他の方とは異なり”自分の好きな曲が目立たないし売れていない”という、言わばイライラ感に基づくもの。お送りする予定だったのはMISIAさんによるこの曲でした。

理由は以前も記しています(この前取り上げた宇多田ヒカルAddicted To You」についても長文書いていました)。

R&B的な(それもより濃い目の)アプローチがウケてくれると嬉しいと思いつつ、なかなか難しいとは解っていながらそれでもなお、もう少し寛大に受け入れてほしい…と思う自分がいます(勝手な考えは承知ですが)。

 

 

その意味での”モヤモヤ”を抱いてしまうもう一曲が、ホイットニー・ヒューストン「I Have Nothing」。

映画『ボディガード』(1992)サウンドトラックからの3曲目のシングルで米ビルボードソングスチャート最高4位。大仰と揶揄されてもおかしくない曲(ゆえに先述したR&Bライクじゃない曲をなぜ選ぶと言われるかも)ですが、生涯ベスト級に挙げたいくらい大好きな曲なのです。

が、この曲およびその前のシングル「I'm Every Woman」(チャカ・カーンのカバー)も4位にとどまったのは、日本でも馴染み深い「I Will Always Love You」が実に14週もの間首位に立ち続け、アルバム収録の他曲の追随を許さなかったからではないかと。それだけ、ホイットニーにとっても、そして映画関連のヒットとしても世間が真っ先に♪エンダー を挙げることで、「I Have Nothing」が霞んでしまったように思うのです。ここまで大差つくのか…と驚かされます。

 

不思議なことに、ホイットニー・ヒューストンの公式YouTubeアカウントには「I Will Always Love You」は現時点で未掲載。これは極めて残念なことです。日本時間の来週月曜に発表される第61回グラミー賞では、ホイットニーのドキュメンタリー映画『Whitney (邦題:ホイットニー - オールウェイズ・ラヴ・ユー -)』ドキュメンタリー映画部門にノミネートされているため尚更。というわけで2010年、ジェニファー・ハドソンによる素晴らしいトリビュート映像を紹介します。

『ホイットニー - オールウェイズ・ラヴ・ユー -』青森県では今週末から公開。自分はこの映画を観ての思いも込め、2月10日放送の『わがままWAVE It's Cool!』でホイットニーの特集を組みます。映画はかなり踏み込んだ内容とのことで、気持ちがボロボロにならないか心配ですが、彼女の歌声の素晴らしさなどを伝えられたならと思っています。

この映画の予告編後半、「I Have Nothing」が用いられていることが何を示唆しているのか…想像しただけで胸が締め付けられます。