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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」、アメリカでの最長1位記録更新は堅い? 特大ヒットに至った理由を考える

日本時間の昨日発表された、最新6月15日付米ビルボードソングスチャート。リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が10週連続10週目のトップを獲得したことは昨日お伝えした通りです。

チャート速報後間もなく、米ビルボードTwitterアカウントから「Old Town Road」は何週間首位になる?という問いかけが。

このエントリーを記載している段階で最も多い回答が17週以上で、投票数の3割を突破。米ビルボードソングスチャート60年の歴史の中で、これまでの最長記録はマライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」(1995-1996)およびルイス・フォンシ & ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(2017)の16週。つまり、「Old Town Road」は史上最高を更新するだろうと考える方が多いのです。

 

では今後、「Old Town Road」はどこまで伸びるのか? 個人的に、17週はほぼ確実ではないかとみています。というのも「Old Town Road」がずば抜けた数字を残しているため。

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上記はこの1年近くの米ビルボードソングスチャートを制した楽曲の、首位獲得週における3指標の数値および順位をまとめたもの。昨年7月14日付以降としたのは、同日付よりストリーミング指標の計算方法が変更となったゆえ((追記あり) ドレイクも不利に? 米ビルボード、ストリーミング算出方法を7月13日付分から変更(5月3日付)参照。ビルボードジャパンの記事を元にタイトルを”7月13日付分から”と書きましたが、実際は7月14日付から)。これをみると、「Old Town Road」の数値が他の曲に対して如何に高いかがよく分かります。さらには、急激に落ち込むことがないどころか10週目の首位となった今週は全ての指標が上昇。これを踏まえれば、最長記録更新は間違いないと考える人が多いのは自然なことだと思うのです。

 

「Old Town Road」のヒットの流れを振り返ると、リル・ナズ・X最初のヒット曲は元々TikTokで人気に火が付いています。当初は人気のゲーム『レッド・デッド・リデンプション2』の映像を用いたミュージックビデオ(的なもの)が用意されていました。

「Old Town Road」はインダストリアル・ロックを代表するバンド、ナイン・インチ・ネイルズによる「34 Ghost IV」(アルバム『Ghosts I–IV』(2008)収録)をサンプリング。

カントリー要素が強い楽曲を用いたこと、TikTokで同曲を用いてカウボーイ風に振る舞う投稿が多いことなどもあってか、当初は米ビルボードがカントリーだと定義したものの、後にカントリーとして十分ではないことを理由にカントリーチャートから除外。その決定に異を唱えたカントリー歌手のビリー・レイ・サイラスが加勢し、リミックスが制作されました。

「Old Town Road」はリル・ナズ・X単独バージョンで1位となりましたが、その翌週にビリー・レイ・サイラス参加のリミックス版が加算され、4月20日付でストリーミング新記録を更新、以下9週連続で同指標1億超えという前人未到の記録を更新しています(ストリーミングが1週間で1億超えを果たしたのはこれまで13週。「Old Town Road」は全体の7割近くを占めることに)。6月1日付ではミュージックビデオもストリーミングに加算され、加算初週には史上2位の記録を達成しました。

 

リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」、数値の上でも特大ヒットに至っていることがよく分かるのですが、爆発的な数値を獲得したのみならずそれを継続出来ている理由はどこにあるでしょう。無論TikTokの影響もありますが、それだけではないはずです。

 

① 尺が短いためスキップされにくい

「Old Town Road」の尺は、わずか2分37秒しかありません。

歌い出しまでに10秒強という数値も含め、ストリーミングでスキップされにくいタイプの曲になっていると言えるでしょう。

楽曲制作でスキップ(レート)を気にしすぎるのは健全ではないかもしれませんが、近年は2分台の曲のトップ10入りも当然となっており、マーケティングの面から「Old Town Road」の制作手法はアリだと言えます。ただ、リル・ナズ・X側がスキップ(レート)を見越して制作したかは不明。リル・ナズ・Xは3月23日にコロムビア・レコードと契約した(ことを発表した)のですが(Lil Nas X signed with Columbia. | Genius参照)、「Old Town Road」がメジャーレーベルの意向で2分台にしたとは考えにくいゆえ、偶然の産物なのかもしれません。

 

② とりわけ子どもに人気である

TikTok人気で若年層への人気は証明されたと思うのですが、「Old Town Road」の大ヒットを裏付けるニュースには若年層というよりも、子どもが登場するものがいくつか見られます。

ビルボードがカントリー要素が足りないことを理由にカントリーソングスチャートから下ろす出来事について、人種が理由ではないと弁明していましたが(TikTokからヒットしたLil Nas Xの カントリーラップ“Old Town Road”が「カントリーじゃない」という理由でカントリーチャートから外される - FNMNL (フェノメナル)(3月28日付)参照)、前回の大統領選で共和党が勝利したオハイオ州の学校では人種に関係なく多くの子どもたちが「Old Town Road」を合唱し、自由に踊っています。また自閉症男児が口ずさむ素晴らしい光景も観るに、「Old Town Road」が”素直に感じて楽しめる”曲であると感じられます。

日本ではよく、病院の待合室等で子どもが泣かないよう、親がスマートフォンタブレットでアニメを見せる姿を目にしますが、海外でもそういうことが、病院に限らず子どもを待たせたりあやすために用いることが当たり前になっているものと考えます。その際に用いるのは子どもが好む映像であり、「Old Town Road」はそれに合致したのではないかと(尤も待合室で騒ぐには好ましくありませんが)。ミュージックビデオ公開後にストリーミングが上昇しながら翌週下降傾向となることはチャートの常ですが(最も分かりやすいのはアリアナ・グランデ「Thank U, Next」の首位獲得4週目から翌週の推移)、「Old Town Road」のストリーミングが1億を切らないのはそれが理由かもしれません。

また、ビリー・レイ・サイラス加勢後の「Old Town Road」は、デジタルダウンロードセールスが69000を下回ったことがありません。保守的と言われるカントリーファンはストリーミングより購入を好む傾向があることから彼らが買ったとも言えるでしょうが、おそらく子どもに聴かせたいとして購入した方が多いのではと推測。子ども向けの曲といえば日本では「だんご3兄弟」「およげ!たいやきくん」等がおなじみですが、近年ではFoorin「パプリカ」が人気に。

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「パプリカ」のCHART insightから、下段はシングルCDセールス、デジタルダウンロードおよびストリーミングのみを抜き出したもの。「パプリカ」はストリーミング(青の折れ線グラフ)も強いものの(その一方で未だに動画再生が加算されていません。Foorin「パプリカ」がロングヒットの兆し…さらなるヒットのために改善すべき点が?(2月17日付)参照)、デジタルダウンロード(紫)は20位以内を、シングルCDセールス(黄)は40位以内を、最新6月3日付ビルボードジャパンソングスチャートに至るまで22週連続でキープ。CDの週間推定売上枚数は20週連続で1500枚を超えています。小学校の卒業式等各種イベントで子どもたちが「パプリカ」ダンスを披露すると伺ったことがあるのですが、その利用を目的としてストリーミングではなく購入行動を採る方が多いものと考えます。そしてアメリカでも同種の行動が生まれているのかもしれません。そうでなければデジタルダウンロードが全体的に下火になっている現状において高水準の数値を、9週連続で成し遂げることはあり得ないでしょう。子どもに人気の曲は特に購入の面で流行に左右されにくいことも、長期間人気を維持出来る理由と言えます。

 

③ ひとつのジャンルにとらわれない

ビルボードが「Old Town Road」をカントリーではないと判断したことは、言い換えればこの曲がひとつのジャンルにとらわれないということかと。カントリーとヒップホップはそこまで多くはないものの、カントリーとポップやR&B等他ジャンルの融合は、近年の総合ソングスチャートでヒットに至るひとつの潮流として既に確立されています。それらの楽曲は以前まとめて紹介しました。

さらにジャンルレスといえば、エド・シーラン「Shape Of You」も該当。この曲の世界中での大ヒット(そして日本でのロングヒット)の理由は、ジャンルレスがひとつの要因だと以前結論づけています。

複数のジャンルの融合は、双方のジャンルのファンから注目を集めます。ヒップホップのジャンルレス化における最善の例はロックとの親和性が高いポスト・マローンと言えるでしょうが、その彼はリル・ナズ・Xに対する一部カントリーファンからの非難に対し(暗に)擁護しています。

ポスト・マローンはこの5年で6曲を米ビルボードソングスチャートトップ10内に送り込み、うち3曲が首位に。最新週では自身の「Wow」およびスウェイ・リーとの「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」がトップ10内をキープしており、他ジャンルとの融合を遂げたヒップホップ(メロディアス…むしろ歌っている傾向もまたジャンルレスのひとつと言えるかもしれません)の代表格と言えます。そのポスト・マローンに擁護されたということはリル・ナズ・X「Old Town Road」もまたジャンルレスな楽曲と認められた証拠かと。ストリーミングよりデジタルダウンロード(特にアルバム単位で購入するパターンが多い)やCDを購入する傾向が強いカントリーファンの人気を獲得したことで、デジタルダウンロードの数字も、またヒップホップが強くないとされるラジオエアプレイでも数値を伸ばしていると言えるでしょう。「Shape Of You」~ポスト・マローン~「Old Town Road」はゆるやかにつながっているというのが大袈裟かもですが自分の認識です。

 

 

これら3つの理由が、リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が特大ヒットに至った要因と考えますが如何でしょう。日本ではヒップホップもカントリーも、ビルボードジャパンソングスチャートにおいてはマジョリティでないように見受けられ、ゆえに「Old Town Road」の認知度は今ひとつ高まっていないように思うのですが、「Old Town Road」のヒットの法則は日本でも活かせるのではないでしょうか。

リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」、衰え知らぬまま10週連続の首位獲得…6月15日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の6月10日月曜に発表された、6月15日付最新ソングスチャート。リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が遂に10週目の首位を獲得しました。

通算10週以上首位を獲得したのはリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が史上38曲目。そのうち”Road”が付く曲としてはボーイズIIメン「End Of The Road」(1992 13週)に次いで2曲目となります。リル・ナズ・Xにとって初のソングスチャートトップ10入りがこの「Old Town Road」でしたが、(主演曲が)ソングスチャート初登場曲で10週以上首位を成し遂げたのはフロー・ライダー feat. T-ペイン「Low」(2008 10週)、マーク・ロンソン feat. ブルーノ・マーズ「Uptown Funk!」(2015 14週)に次いで3曲目に。

10週以上首位を獲得したのはドレイク「In My Feelings」(2018 10週)以来となるのですが、「In My Feelings」の首位最終週となる2018年9月22日付での各指標をみると、ストリーミング3970万 (3位 前週比17%ダウン)、デジタルダウンロード21000 (5位 同23%アップ)、ラジオエアプレイ8400万 (5位 同3%ダウン)でトータル14%のダウン(米ソングスチャート、「In My Feelings」で10週連続首位のドレイクが数々の記録達成(2018年9月18日付)参照)。しかし「Old Town Road」は今週、ストリーミング1億1560万(前週比1%未満のアップ)、デジタルダウンロード87000(同7%アップ)、ラジオエアプレイ9830万(同3%アップ)と全ての指標が上昇。デジタル2指標を制し且つラジオエアプレイも1ランクアップの2位となり、失速には程遠い状態なのです。このままいけば史上最長記録(16週)を塗り替えることが出来る予感がします。

 

首位とはまだ大きく差がつけられているものの、先週から2位をキープしたビリー・アイリッシュ「Bad Guy」が好調に推移。ストリーミングは前週比3%アップの3990万(同指標2位)、デジタルダウンロードは同16%アップの23000(5位)、ラジオエアプレイは同15%アップの4410万(14位)と全指標アップしています。また3位のカリード「Talk」はデジタル2指標が記事には未記載のため不明ですが、ラジオエアプレイは前週比10%アップの9710万で同指標3位につけています。そのラジオエアプレイを制したのは今週5位につけているジョナス・ブラザーズ「Sucker」で、前週比1%ダウンの1億460万。ジョナス・ブラザーズは先週リリースしたアルバム『Happiness Begins』が次週チャートインする関係上、「Sucker」もデジタル中心に再浮上することが見込まれており、どこまで上昇するか注目です。

 

どこまで上昇するか注目…といえば、気になるのはケイティ・ペリー「Never Really Over」の動向。先々週リリースされたこの曲は15位に初登場しました。

ケイティにとって32曲目のエントリーとなる同曲はデジタルダウンロード31000(同指標3位)、ストリーミング1580万(20位)、ラジオエアプレイ2700万(42位)を記録しています。また、ひとつ下の16位にはカーディ・B「Press」がランクイン。ラジオエアプレイは710万で同指標50位以内には入らなかったものの、デジタルダウンロード20000(同指標7位)、ストリーミング2220万(10位)と2指標でトップ10入りを果たしています。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

2位 (2位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

3位 (3位) カリード「Talk

4位 (4位) エド・シーラン & ジャスティン・ビーバー「I Don't Care」

5位 (5位) ジョナス・ブラザーズ「Sucker」

6位 (7位) ポスト・マローン「Wow.」

7位 (6位) ポスト・マローン & スウェイ・リー「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」

8位 (9位) ダベイビー「Suge」

9位 (8位) サム・スミス & ノーマニ「Dancing With A Stranger」

10位 (10位) エイバ・マックス「Sweet But Psycho」

前週からトップ5はそのまま、トップ10内の入れ替えもありません。とんでもない台風の目となる曲が登場しない限り、「Old Town Road」は急失速さえなければ今年最大のヒットとなるのはほぼ間違いないでしょう。「Bad Guy」がどこまで勢力を拡大し首位の座を窺えるか、注目しましょう。

ラジオ局のスペシャルウィークは3形態化…ニッポン放送方式への疑問および最善な形態の私見

今日からの1週間、首都圏のラジオ局は2ヶ月に一度の聴取率調査週間です。

(※ 勝手ながら引用いたしました。問題があれば削除いたします。)

ちょうど半年前も同様に、聴取率調査週間の開始日でした。その日のブログエントリーでは、ラジオと聴取率(調査)に関して【放送局は無礼にならないでほしい】【聴取率データはきちんと公表してほしい】【(TBSラジオが新たに参照する)radikoのデータも公表してほしい】という3つの願いを記載しています。

が、その願いは今日に至るまで叶っていません。それどころか逆方向に加速させたラジオ局があり、自分の中での信頼度はどんどん下がっているのが正直なところです。

ニッポン放送の特別番組攻勢を全く理解出来ないというわけではないものの、それにより通常番組が多数潰れることが気になって仕方ありません。通常放送番組のタイムテーブルと照合すると。

・6月10日(月)

 18:00-21:30 『明石家さんま オールニッポンお願い!リクエスト』

 (差し替えられる番組)

  『板東英二プロ野球バンバン伝説』

  『週刊ワクワクエクストリーム』

  『政井マヤ 世界ぐるっとカフェトーク

  『磯山さやかのGoodナイト!Goodトーク!』

  『私の正論』

  『土屋礼央 SOUND RING』

  『劇団EXILEのREPROFILE』

  『すとぷりMonday』

  『ことばのチカラ ~成功へのターニングポイント』

・6月10日(月)~13日(木)

 22:00-24:00『吉田拓郎ラジオでナイト ~ディレクターズカット~ 総集編スペシャル』

 (差し替えられる番組)

  『オールナイトニッポン MUSIC10』

・6月16日(日)

 18:00-20:00『イルカのミュージックハーモニー 夜の増刊号』

 (差し替えられる番組)

  『渡部陽一 明日へ喝!』

  『マッスルRADIO』

  『玉城ティナとある世界』

  『SPECIAL BOX』(-20:00)

 20:00-22:00『令和元年 さだまさしと、ふるさとのはなしをしよう』

 (差し替えられる番組)

  『SPECIAL BOX』(20:00-)

  『刀剣乱舞2.5ラジオ』

  『MANKAI STAGE『A3!』ラジオ』

  『浦井健治 Dressing Room』

半年前のブログエントリーの再掲になりますが、『これでは休止されたレギュラー放送がどれだけの力を持っているかを数字で確認することが出来ません。また、差し替えられる番組が不憫でなりません』『ニッポン放送の姿勢がレギュラー放送を待っているリスナーにも、そしてレギュラー放送を担当する方に対しても失礼なのでは?と思わずにはいられません。そういう局が首位に君臨したところで、信頼度は生まれないのではと強く思います』…この思いはやはり今回も拭えないままです。”オールナイトニッポン”ブランドも差し替え対象になったことはさらなる衝撃となりました。

 

 

ニッポン放送のやり方は流石に露骨ですが、聴取率調査週間に合わせて豪華ゲストならびにプレゼントを用意することは、TBSラジオスペシャルウイークをやめるまで長きに渡る定番でした。しかしこの4月から、J-WAVEスペシャルウイークを実施しなくなった模様です(”J-WAVE スペシャルウィーク”で検索すると出てくる局のページは、今年2月のスペシャルウィークについてでした。また先に引用した『ラジオの時間』編集部のツイートからも行なわないことが推測されます)。ラジオ局のスタンスは【TBSラジオJ-WAVEのように行なわない(もしくは特段豪華にしない)局】【文化放送TOKYO FMのように豪華にしても差替をほぼ行なわない局】【ニッポン放送のような差し替えを積極的に実施する局】の3つの形態となり、どのスタンスを正しいと思うかはリスナーによって判断が分かれると思います。が、これみよがしに差し替えや豪華プレゼント等は行なわず通常放送を心がけ、ふとしたタイミングでいつも聴いてくださるリスナーへの感謝の意を示したプレゼント等を提供する程度が最善ではというのが私見。そのほうが、普段から愛聴しているリスナーが当選しやすいシステムになり、ラジオ局とリスナーとの関係性がより深まると思うのです。

ストリーミングサービス限定解禁では効果が薄い? 新しい地図 join ミュージック「星のファンファーレ」から考える

稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんによるユニット、新しい地図による”新しい地図 join ミュージック”名義の「星のファンファーレ」が、最新6月10日付ビルボードジャパンソングスチャートで6位に初登場を果たしました。

新しい地図 (join ミュージック)名義では「雨上がりのステップ」(3位)、「#SINGING」(8位)に次ぐ、またSingTuyo「KISS is my life.」(3位)も含めれば4曲目のソングスチャートトップ10入りを果たした「星のファンファーレ」ですが、今回はじめてストリーミング指標が100位未満(300位以内)ながらもランクインを果たしているのが特徴的といえます。「星のファンファーレ」についてはCHART insightのキャプチャを掲載、および各曲(「72」(11位)、稲垣吾郎「SUZUNARI」(22位)含む)のCHART insightについては曲名をクリック等すると確認出来ます。

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ストリーミングにおいて、「星のファンファーレ」はApple Music等各種ストリーミングサービスで聴取可能なのに対し、前作「#SINGING」はAmazon Music Unlimitedのみの配信(いずれも新しい地図 join ミュージック ディスコグラフィー | Warner Music Japanから楽曲を選び、”購入先をすべて表示”をクリック等すると確認可能)。ワーナーミュージック・ジャパンには2曲以外記載はありませんが、たとえばApple Musicでは「星のファンファーレ」のみだった新しい地図 (join ミュージック)の作品が、Amazonでは全曲配信されています。ストリーミングサービスの提供先を広げたことで今回はじめてソングスチャートでストリーミング指標が反映されたと言えるかもしれません。

 

歌手がひとつのストリーミングサービスに限定して配信を実施する…直近ではback numberの例があるのですが、LINE MUSICから他のサービスに拡大したところ、解禁初週分が反映された今年2月25日付ストリーミングソングスチャートでは100位以内に7曲がランクイン(うち6曲がリエントリーを果たし)、翌週は「青い春」も増えてストリーミング100位以内は8曲に。総合ソングスチャートでは2週とも5曲以上、100位以内に入ったのです。

ベストアルバム『アンコール』以降の楽曲群がストリーミング未解禁であることも含めて以前記したのですが、ストリーミングの提供先を広げた結果、ビルボードジャパンの今年上半期の歌手別チャートにおいてback numberは4位にランクイン、またストリーミング指標は5位となっています(各指標毎の順位はこちらを参照してください)。ストリーミング解禁がback numberの勢いをさらに加速させていること、解禁先を限定しなくなったことが大きいことは間違いありません。

 

back numberがLINE MUSIC限定で先行解禁した理由は様々あるでしょうが、ストリーミングの反響が知りたいという歌手およびレコード会社側の意向(手探り状態)に加えて、LINE MUSIC側の思惑もあったと考えます。とりわけ昨年末、LINE MUSICが「クリスマスソング」をCMに用いたこと(LINE MUSIC、「back number」の楽曲が独占先行で本日より配信開始|LINE株式会社のプレスリリース - PR TIMES(2018年11月29日付)参照)を踏まえれば、「クリスマスソング」をはじめとするback numberのLINE MUSICでの限定解禁は、同サービスの知名度向上のためにうってつけだっただろうことが伺えます。同様に、新しい地図 (join ミュージック)においても、Amazon MusicのCMに国内で初めて起用されたこともあって(稲垣、草彅、香取が”新しい地図 join ミュージック”として「Amazon Music」TVCMに登場!新曲「#SINGING」をAmazon Musicで独占ストリーミング配信開始! | 新しい地図(2018年12月12日付)参照)、ストリーミング解禁先をAmazon Music Unlimitedに限定したのかもしれません。それが販路を広げたことで今回の結果を招いたと言えます。

各種ストリーミングサービスの思惑は理解は出来ますし、もしかしたら歌手側等にストリーミングにあまり積極的ではない考えもあったかもしれません。が、今回の2組の動向をみるに、音楽を聴く範囲を限定する施策は好まれないとまでは言わなくとも、広がってはいかないということが解ります。少なくとも新しい地図 (join ミュージック)側には過去作のAmazon Music Unlimited以外での解禁を、back numberにおいては『アンコール』以降の楽曲の解禁を、早急にお願いしたいところです。

 

ちなみに、新しい地図 (join ミュージック)については元来、そして現在もアイドルとして活動しているのですから、CDがグッズの一環としての意味合いになることを念頭に置けば、CDでのリリースも必要だと考えます。待ち望んでいるファンはきっと多いことだと思うのですが、如何でしょう。

6月10日付ビルボードジャパンアルバムチャートを制したB'z『NEW LOVE』のデジタル未解禁を思う

一昨日発表された、最新6月10日付ビルボードジャパンアルバムチャートはB'z『NEW LOVE』が制しています。

しかしながらCHART insightを見ると、『NEW LOVE』のデジタルダウンロード指標はゼロ。300位以内にも入っていないのです。それもそのはず、『NEW LOVE』は今朝の段階でデジタル解禁されていません。

今年度のビルボードジャパンアルバムチャートでトップ3入りを果たしながらデジタル未解禁の作品は、ジャニーズ事務所所属歌手以外では初(ちなみにSF9『ILLUMINATE』が4月1日付で3位に登場していますが、その週のデジタルダウンロード指標は100位以下(300位未満)でありカウントされています)。デジタルダウンロード解禁が自然のこととなった現代において、B'z『NEW LOVE』の動向は特筆すべきではないでしょうか。デジタルダウンロードからストリーミングに移行していることが昨日発表の上半期チャートから見受けられるのですが(ということを弊ブログでも昨日記載しました)、それとは逆行している動きに映ります。

 

『NEW LOVE』からは、タイアップが付いた3曲のミュージックビデオ(もしくはスタジオライブの模様)はフルもしくはショートバージョンで、先月相次いで公開されています。

他にも「デウス」がこの春から車のCMソングに起用。

しかし、昨年からのタイアップ曲が複数あるにもかかわらず『NEW LOVE』からは先行してシングルCDが切られておらず、デジタルダウンロードも先行で解禁されていません。つまり、アルバムCDを購入することではじめて、音源を所有することになるわけです。

 

なぜオリジナルアルバム発売前に一切シングルCD化、デジタル解禁を行なわず、またアルバムリリース週にデジタル解禁をしなかったのか…おそらく下記ニュースにその答えがあるものと考えます。

オリコンランキングを『NEW LOVE』が制したことでアルバムの首位獲得は29作品目となり”アルバム首位獲得数”が、また今回のセールスにより”アルバムの総売上枚数”が共に歴代1位を更新しています(オリコンが無断転載や引用を強く禁じているゆえ、そのままの引用は控えました)。販売をCDに絞ることでデジタルダウンロードへの移行が出来ないためこれまで築き上げてきた記録を確実に伸ばしてニュースバリューを高める、シングルCD化もしくはタイアップ曲を単曲ダウンロード解禁して先行リリースするとアルバム購入をレンタル解禁まで控えられるのを恐れる、単曲での購入が可能な形でアルバムをデジタルダウンロード解禁すればタイアップ曲中心に買われアルバム単位での購入が減るのを懸念する…それらを踏まえての判断だったのかもしれません。アルバムは前々作以降、初週売上が21.0→20.1→20.7万枚といずれも20万枚を突破し、且つ『NEW LOVE』は前作超えを果たしています。仮にデジタルダウンロード同時解禁ならば今作が初週20万枚を切った可能性はあったのかもしれませんが、それでも立派な数字であることに間違いはありません。

 

 

もしかしたら今後、これまでCDのみのチャートでギネス(相当の)記録を継続している歌手の作品は、その記録を絶やさぬべく販売が慎重になり、デジタルを控えCDのみで販売することが出てくるかもしれません。ジャニーズ事務所所属歌手には記録保持者が少なくないため同事務所でのデジタル解禁はやはり近くないのではと考える自分がいます。

ならば、複合指標から成るビルボードジャパンアルバムチャートの認知度が高まり、その複合指標(アルバムCDセールス、デジタルダウンロードおよびルックアップ。ルックアップはパソコンにCDを取り込む際のインターネットデータベースへのアクセス数であり、CDレンタルも反映され、”所有(購入/売上)”と共に”接触”もカウントされます)をまんべんなく獲得した作品がデジタル未解禁の作品を凌駕したチャートアクションが見られ、フィジカル/デジタルで分けることなく発表したほうが好いということが広く世間に、そして音楽業界内でも広まるのが最善ではと思うのです。個人的にはビルボードジャパンソングスチャート同様、アルバムチャートにおいても総合ポイントが提示されるといいのかもしれません。

ビルボードジャパン上半期チャートが発表…数値および記事の表現が促すストリーミング等デジタル解禁への期待

ビルボードジャパンの2019年度上半期各チャートが今朝発表されました。

各部門のトップを獲得したあいみょんさん、米津玄師さんおよび星野源さんのコメント/インタビューが掲載された次のページに、各チャートおよび歌手別チャート(トップアーティスト)が紹介されています。

 

チャートの内容および解説は上記リンク先をお読みいただきたいのですが、ストリーミングがチャート全体に波及する強さが証明された楽曲ならびに歌手別チャートにおいて、記事がストリーミング、もしくはそもそもデジタルを未解禁でいる歌手に対して示唆しているの面白いというか、刺さるものがあったので紹介。その示唆の仕方、実に優しいんですよね。

今回の首位獲得を機に、ストリーミングが主流となりつつある今日において、あいみょんは国内音楽シーンのロールモデルのひとつとなった。

(省略)

一方、昨年度の年間首位となった米津玄師もまた、ストリーミング・ポイントが非解禁のためゼロであるにも関わらず、今年度上半期において、ダウンロード、ルックアップ、動画再生、カラオケで4冠を獲得、総合2位となった。(中略) とはいえ、“動画”ストリーミング指標とも言い換えられるYouTubeGYAO!合算の動画再生指標では、合計456,294,308回で1位となり、2位のあいみょんの305,889,824回との差は約1.5億回で、“オーディオ”ストリーミングが解禁となったときの強さは容易に予想できる。

・ 【ビルボード 2019年上半期TOP ARTISTS】ストリーミングで圧倒、あいみょん堂々の総合首位獲得(コメントあり) | Daily News | Billboard JAPAN(6月7日付)より

歌手別チャート上位20組の各構成毎のチャートはこちらに。2位の米津玄師さん、7位の星野源さんがストリーミング未解禁ゆえ同指標100位以内に登場していないことがひと目で解ります(ちなみに12位のAKB48も同指標100位未満ですが、AKB48の作品はストリーミング解禁済です)。米津玄師さんは4指標を制しまたラジオエアプレイおよびTwitterが10位以内に入っているゆえ尚の事、ストリーミング100位未満というのが悪目立ちするように思うのですが、『“オーディオ”ストリーミングが解禁となったときの強さは容易に予想できる』という一文は、仮に解禁していればあいみょんさんを逆転出来たはず…ということを示し、解禁したら面白いことになると提案しているようにみえます。

 

デジタル自体未解禁については、ソングスチャート発表の際にこのような表記が。

米津玄師はダウンロード、あいみょんはストリーミングと、それぞれ牽引指標は異なるが、両指標ともデジタル領域でのパフォーマンスを測るデータであり、一方の国内マーケットで大きなシェアを占めるCDシングルでは何が起きているか詳しく見てみよう。今年度上半期と昨年度上半期でのセールスを比べてみると、今年度上半期シングル総売上枚数は約1,946.7万枚(対前期:255.8万枚減)で、リリース・タイトル数は51,748タイトル(対前期:71タイトル増)となり、売上全体数が落ちている。またシングル・セールスを牽引するジャニーズとAKB、坂道グループの上半期シングル売上枚数合計は約885.4万枚(対前期:20.9万枚減)、タイトル合計数は760タイトル(対前期:34タイトル増)と、こちらもタイトル数は増えているものの、全体売上枚数は下落している。上半期でのAKBグループの売上枚数は昨年上半期よりも約124.7万枚増えており、むしろジャニーズと坂道グループのシングル売上枚数の減少が目立つ。それでも、坂道グループはデジタル領域でのセールスが堅調でフィジカルの減少を補える立場といえるが、一方のデジタル領域におけるジャニーズ勢の今後にかけられる期待は大きい。このことからもフィジカルからデジタルへヒットの萌芽が完全に移行したことが分かる結果となった。

【ビルボード 2019年上半期HOT 100】米津玄師「Lemon」2018年年間に続いて総合首位獲得 あいみょん 「マリーゴールド」が続く(コメントあり) | Daily News | Billboard JAPAN(6月7日付)より

坂道グループがいずれもシングルCD(フィジカル)のみならずデジタルダウンロードやストリーミング、動画再生指標が強いことでAKBグループを逆転していることは弊ブログでも以前から示してきましたが、今年AKB48選抜総選挙を開催しないことを決定し(AKB48選抜総選挙につきまして | AKB48 Official Blog 〜1830mから~ Powered by Ameba(3月13日付)参照)、投票シリアルナンバーが封入されたCDもリリースしないだろうことを踏まえると、年間ソングスチャートではシングルCDセールスでも失速し坂道グループとの差がさらに開くことが予想されます。となるとフィジカルに頼らず、”所有(購入/売上)”以上に”接触”の増加が必要であり、そのためにはシングルCDを確実に購入するコアなファンのみならずいわば”ライト層”を如何に取り込むかが重要というのは自明。NGT48の問題をきちんと解決することを含め、信頼を回復しライト層候補者が積極的に触れたいと思える環境、関係性を築き上げることが重要と思われます。記事の記載内容はそこまで言及してはいませんのでこれは私見に因るところが大きいのですが。

同時に記事では、ジャニーズ事務所所属歌手のデジタル自体未解禁についても語られていますが、『一方のデジタル領域におけるジャニーズ勢の今後にかけられる期待は大きい』とあり、デジタル解禁は(シングルCDセールスの減少を補う上で)必須ですよということを、”期待”という言葉を用いて背中を押そうとしています。なぜ解禁しないの?という表現ではないその前向きさは、ビルボードジャパンの下記のポリシーからも透けて見えるかのようです。

ストリーミング・サービスの売上が順調に拡大を続けるにつれ、ストリーミングがアーティストの新たな収益源としても確立しつつある現在において、フィジカルからデジタルへの移行が確定した2018年から、ダウンロードからストリーミングへの移行が本格化した2019年へと変容を続けるユーザー動向を、ビルボードは引き続き様々なデータを組み合わせて描出していく。

【ビルボード 2019年上半期TOP ARTISTS】ストリーミングで圧倒、あいみょん堂々の総合首位獲得(コメントあり) | Daily News | Billboard JAPAN(6月7日付)より

ジャニーズ事務所所属歌手では嵐が今月ベストアルバムをリリースすることで、今年度の年間歌手別チャートにも入ってくるでしょうが、他方シングルCDリリースの予定は今のところない模様。昨年はKing & Princeが「シンデレラガール」を年間ソングスチャート12位にランクインさせましたが今年は上半期上位20曲にジャニーズ事務所所属歌手の作品はなく、先述した嵐の動向も踏まえれば年間チャート上位登場は難しいものと思われます。だからこそ接触を主体に他指標も活用(補充)することが必要だと思うのですがいかがでしょう。CDレンタルの解禁を遅らせて接触をさらに減らす手段(6月3日付ビルボードジャパンソングスチャート首位曲からはじまる、ジャニーズ事務所所属歌手のシングルCDの展開手法を疑問に思う(5月30日付)参照)を採るよりも前向きな改革を行ってほしいと個人的には提示していますが、ビルボードジャパンの表現は至極前向きな提案であり、その思いが届くことを願ってやみません。

Official髭男「Pretender」、3週以上7000ポイント超えは大ヒットの証…6月10日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

5月27日~6月2日を集計期間とする、6月10日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、ソングスチャートは乃木坂46「Sing Out!」が制しました。

上位3強は総入れ替え。いずれもシングルCDセールス指標が強く、2位のSEVENTEEN「Happy Ending」はチャート構成比の9割近くを、3位のBOYS AND MEN「頭の中のフィルム」は9割以上を占めており、次週どこまで踏みとどまれるかに注目。他方「Sing Out!」はデジタルダウンロード7位、ストリーミングおよびラジオエアプレイが14位と比較的好調なことから、シングルCDセールス指標初加算の翌週におけるポイント前週比は、前年同様に2割を超えてくるものと予想されます。

 

さて、弊ブログではここ最近、Official髭男dism「Pretender」についてチェックしていますが、今週は順位を2つ落としながらも4位にランクイン。

この、3週(連続)7000ポイント超えというのが大ブレイク、大ヒットのひとつの基準だと漠然ながら考えていたのですが、昨年度(2017年12月11日付)以降で通算3週以上7000ポイント超えを記録した作品を調べてみると、ほぼ間違いなく大ヒットの基準であると言っていいでしょう。

・米津玄師「Lemon」(2018年度年間ソングスチャート1位)

  2018年2月26日付 25359ポイント獲得以降12週連続等、通算28週

欅坂46「ガラスを割れ!」(同3位)

  2018年3月19日付 45449ポイント獲得以降3週連続、通算3週

AKB48「Teacher Teacher」(同10位)

  2018年6月11日付 56934ポイント獲得以降3週連続、通算3週

DA PUMP「U.S.A.」(同2位)

  2018年6月18日付 7554ポイント獲得

  2018年7月9日付 7243ポイント獲得以降16週連続等、通算20週

・米津玄師「Flamingo」(同20位)

  2018年11月12日付 36088ポイント獲得以降3週連続等、通算4週

あいみょんマリーゴールド」(同48位)

  2019年1月14日付 7709ポイント獲得

  2019年3月4日付 8882ポイント獲得以降5週連続等、通算7週

・back number「HAPPY BIRTHDAY」

  2019年3月11日付 9744ポイント獲得以降3週連続等、通算5週

Official髭男dism「Pretender」

  2019年5月27日付 7986ポイント獲得以降3週連続、通算3週(現段階)

「Pretender」は錚々たる楽曲に仲間入りしたことになります。

あいみょんマリーゴールド」は昨夏リリースですが今年に入りはじめて7000ポイント超えを記録。また米津玄師「Flamingo」は昨年残り1ヶ月の段階で万単位のポイントを獲得し始めており、リリースがもう少し早ければ年間ソングスチャートトップ10入りもあり得たかもしれません。その昨年度の年間ソングスチャート、上記未記載ながらトップ10入りした他の曲をみると、TWICE「Candy Pop」(年間8位 2018年2月19日付から2週連続)、菅田将暉「さよならエレジー」(年間9位 2018年3月5日付から2週連続)、星野源ドラえもん」(年間5位 2018年3月12日付から2週連続)、乃木坂46シンクロニシティ」(年間6位 2018年5月7日付から2週連続)、同「ジコチューで行こう!」(年間7位 2018年8月20日付から2週連続)と、いずれも2週間7000ポイント超えを達成。年間ソングスチャートトップ10入りの残りの1曲はDAOKO × 米津玄師「打上花火」で、一昨年夏のリリースゆえ週間では7000ポイント超えはならずも、年間を通してチャートインしたことにより4位を獲得しています。今年度からカラオケ指標が導入され、また各指標のウェイトに変更があったかもしれませんが、自分の立てた”7000ポイント超えを通算3週以上記録したら大ヒット”という仮説はほぼ立証されたように思われます。

 

ちなみに昨年度はAKB48「Teacher Teacher」が年間ソングスチャート10位に入りましたが、シングルCDセールス指標初加算の前週は100位未満、そして3週連続7000ポイント超えを記録した翌週、2018年7月2日付では93位に急落しています。これはほぼ間違いなくCDに選抜総選挙投票シリアルナンバーが封入されていることの影響ですが、これを踏まえれば昨年度の年間ソングスチャートトップ10入りの必要ポイント数はおよそ82000~83000。仮に今年度の年間ソングスチャートが同水準で推移するならば、Official髭男dism「Pretender」は残りおよそ52000ポイントが必要となるのですが。

「Pretender」が歴代最高のストリーミング週間再生回数を記録したこと、主題歌となった映画『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』が登場3週目にして映画興行収入ランキング2位を記録し大ヒットしていることを踏まえれば、年度末までにはクリア出来る可能性が高いものと思われます。