イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

青森県南津軽在住者のCDレンタル事情が変わる? TSUTAYA弘前店が一石を投じはじめた件

音源はなるべく圧縮しない形で持ちたい、ラジオで使いたい(放送局に頼らず使用したいしそうしなければならない事情がある)…そんな理由からサブスクリプションサービス加入共々、CDレンタルを愛用しています。しかし昨夏、最寄りのTSUTAYAがシングルCDのレンタル料金を値上げしたことで大分使いにくくなりました。

この前年には、GEOアプリでのCDレンタル半額クーポンが”新作含む全品”から”1点(新作OK)”に変更となりました。現在も月1ペースで全品半額クーポンを配信しているのはありがたいのですがこちらも改悪であり、TSUTAYAの件共々以前記載しています。

TSUTAYAが旗艦店と銘打った盛岡店(MORIOKA TSUTAYA)で常時行っている新作OKの10点1000円(税抜・郵送料込)を選ぶか、半額クーポンが出たタイミングで県内一在庫が多い青森市柳川のGEOを狙うかが最適解であり、その他にTSUTAYA DISCASを用いてなんとかやりくりしていますが、青森県津軽に住む身にはCDレンタル環境は好いとは言えません。TSUTAYA弘前店が稀に、盛岡店を模した10点まで1000円サービスを行っていたものの、旧譜のみというサービスに”それじゃない…”と思ったものです。

そんな矢先、遂に。

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盆の連休のタイミングではじめて、盛岡店と同等のキャンペーンを銘打ってきました。旗艦店の盛岡店が弱いシングルCDにおいても弘前店は幾分充実しているゆえ、尚の事魅力的にみえます。店頭でも10枚まで1000円のポスターやPOPが踊り、力強く訴求していました。嵐やBUMP OF CHICKEN菅田将暉さん等のアルバムが解禁されて間もないわけで、恩恵に預かる方は少なくないことでしょう。ちなみにこのキャンペーン、弘前樹木店でも行われていました。

 

弘前店が今回はじめて新作OKの10点まで1000円キャンペーンを実施した理由は分かりかねます。旧譜のみでは支持を得られなかったかもしれませんし、CDレンタルの採算を踏まえるに単価は安くても回転数を上げて利益を得たほうがという苦肉の策かもしれません。が、これでCDレンタル事業に再度光が当たるならば好いことではないでしょうか。一部POPは盛岡店と同じものを用いていたわけで、もしかしたら10枚まで1000円キャンペーンは常時開催する可能性もあるのでは?と睨んでいますがいかがでしょう。だとしたら相当助かるのですが。

リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が次週20週目の首位を狙う…8月17日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の8月12日月曜に発表された、8月17日付最新ソングスチャート。先々週単独での最長首位記録を達成したリル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」がその記録を19週に伸ばしました。

前週の段階で、今週はアリアナ・グランデとの首位対決が…と書いたのですが、実際アリアナはトップ10入りしたものの、大差に。

ここまで差がつくのかと驚きつつ、結果的に煽ったかもしれない先週の表現をお詫びいたします。

 

「Old Town Road」は首位獲得週数を19週に伸ばし、歴代2位のルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」(2017)およびマライア・キャリーボーイズIIメン「One Sweet Day」(1995-1996)の差を3週に広げています。「Old Town Road」はストリーミングで19週連続の首位となりましたが前週比13%ダウンし5880万。ダウンロードは通算15週目の首位を記録しましたがこちらも前週比28%ダウンし34000。一方、ラジオエアプレイは遂にトップ20から陥落し、前週比11%ダウンの3850万(同指標21位)となりました。この結果「Old Town Road」は全体で15%、大きくダウンすることに。

しかしながら2位のビリー・アイリッシュ「Bad Guy」はストリーミングの前週比22%ダウンが響いて全体では12%のダウンとなり、「Old Town Road」との差はわずかに縮んだものの両者のポイント差は「Bad Guy」を1とすれば「Old Town Road」は1.2。「Bad Guy」は首位を獲得出来ずじまいのまま今週で通算9週目の2位となり、ミッシー・エリオット「Work It」(2012)およびフォリナー「Waiting For A Girl Like You」(1981)の持つ最長記録にあと1週と迫ってしまいました。

 

前週その動向を注目した、アリアナ・グランデ & ソーシャル・ハウス「Boyfriend」は8位に初登場。

ストリーミングは2590万で同指標7位、ダウンロードは31000で同2位、ラジオエアプレイは2460万で同40位。初登場時のラジオエアプレイ50位以内は非常に高いのですが、デジタル2指標が思ったより伸びなかった印象です。もしかしたら「Boyfriend」がソーシャル・ハウスのEP収録曲でありアリアナのリーダー作ではないことが影響したのかもしれません。とはいえ彼女にとっては14曲目のトップ10入りとなり、初登場でのトップ10入りはちょうど10曲目。初登場でトップ10入りした記録ではドレイクの20曲が最も多く、テイラー・スウィフト(15曲)、エミネム(12曲)、リル・ウェイン(11曲)に次いでアリアナが歴代5位に。一方、ソーシャル・ハウスにとっては今回が100位以内初登場となります。

 

さてドレイクですが、これまでストリーミングで配信していなかった曲をまとめた『Care Package』が今週のアルバムチャートで初登場首位を記録し、そこから複数の楽曲が100位以内に登場。

上記「Trust Issues」の58位を皮切りに6曲がランクインしたことで、ドレイクのソングスチャート100位以内ランクインは203曲となり、遂に200の大台を突破。グリー・キャストの持つ最高記録、207曲まであと4曲に迫りました。記録達成は時間の問題です。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

2位 (2位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

3位 (3位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

4位 (4位) リゾ「Truth Hurts

5位 (5位) カリード「Talk

6位 (6位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

7位 (7位) エド・シーラン & ジャスティン・ビーバー「I Don't Care」 

8位 (初登場) アリアナ・グランデ & ソーシャル・ハウス「Boyfriend」

9位 (8位) ポスト・マローン feat. ヤング・サグ「Goodbyes」

10位 (10位) リル・テッカ「Ran$om」 

実はほぼ凪に近いチャートだったと言えそうな今週。ラジオエアプレイで9週目の首位を獲得したカリード「Talk」は前週比2%ダウンの1億2720万と緩やかにダウン。「Old Town Road」は次週、史上初の20週目の1位の座を狙います。

米津玄師「馬と鹿」は自身の大ヒット曲「Lemon」のスケジュールをなぞる…チャートアクションに期待

9月11日にリリースされるシングルCDから、表題曲となる米津玄師「馬と鹿」が本日0時からダウンロード開始となりました。

馬と鹿 - Single

馬と鹿 - Single

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥250

「馬と鹿」の先行配信と聞いて、あの「Lemon」とスケジュール設定が同じではないかと思った次第。

調べてみると「Lemon」は昨年2月12日月曜に先行配信、同年3月14日シングルCDリリースというスケジュールであり、「馬と鹿」も同じ日数のインターバルが設定されています(「Lemon」のスケジュールについては米津玄師「アンナチュラル」主題歌「Lemon」先行配信決定 - 音楽ナタリー(2018年2月9日付)を参照)。月曜未明の解禁も同様で、ビルボードジャパンソングスチャートで集計期間(月曜始まり)フルにカウントされることに。仮に、「Lemon」がダウンロード配信とシングルCD発売の間となる昨年2月26日にミュージックビデオを解禁したように「馬と鹿」も再来週の今日ミュージックビデオを解禁したならば、「馬と鹿」は「Lemon」の流れを完全に踏襲するのです。

デジタルダウンロードとミュージックビデオの解禁を月曜に設定しチャートに最大限に反映されるようにしたこと、デジタルダウンロード解禁→ミュージックビデオ解禁→シングルCD発売を2週おいて段階的に行うことは米津玄師さん側の見事なまでの戦略といえるでしょう。これにより高い勢いと話題性を保ったままシングルCD発売を迎えることが出来たわけです。

さらに、このブログエントリーには未記載ですが、シングルCDセールス後のレンタル解禁には共に17日のタイムラグが用意されています(「Lemon」は昨年3月31日 「馬と鹿」は9月28日。リンク先はTSUTAYAより)。となるとビルボードジャパンソングスチャートにおいて、シングルCD発売の次にレンタル解禁という4つ目のピークが用意されることに。この点においても「馬と鹿」は「Lemon」をなぞっています。

 

「Lemon」はビルボードジャパンソングスチャートにおいて、トップ10内に史上最長となる74週連続で在籍し、昨年の年間チャートを制したのみならず2年連続首位獲得の可能性も高いとみられています。タイアップ先のドラマ『アンナチュラル』(TBS 2018)との親和性やドラマ満足度の高さも「Lemon」の大ヒットにつながり、初登場以降25359(昨年2月26日付 ダウンロード初加算)→13461→17755(動画再生初加算)→14697→37407(シングルCDセールスおよびルックアップ初加算)→20512→13721(レンタル解禁に伴うルックアップ加算)→10984(レンタル初の1週間フル加算)と、8週連続で1万ポイントを突破。戦略が見事に功を奏した形です。

 

今日先行配信された「馬と鹿」においても、『ノーサイド・ゲーム』の口コミの高さが聞こえてくることから、「Lemon」に近い動きをするのではないかとみていますがいかがでしょう。まずは来週水曜に発表される8月26日付ビルボードジャパンソングスチャートの結果を楽しみにしたいと思います。

弘前ねぷたまつりのマナー問題は遂に”全国区”へ…自治体のルール策定は最早避けては通れないでしょう

弘前ねぷたまつりにおける観客のマナー問題は遂に”全国区”になってしまいました。

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上記キャプチャは今朝7時過ぎのYahoo!JAPANトップページ。弘前経済新聞が昨日掲載した記事がみんなの経済新聞ネットワーク発として、トップで紹介されています。

自分も今夏は2度、マナー問題について記載しています。

今日もラジオ番組生放送のために会場となった下土手町に行くのですが、跡が残っていそうだと想像するだけで既に幻滅する自分がいます。

 

弘前経済新聞が今回記事にした理由は判りかねますが、『現在、市民の間で意見が交わされている』というのはおそらくSNS掲示板の反応を見たゆえでしょう。とりわけ、青森市ねぶた祭りにおけるマナー問題を指摘し率先して陣取り剥がしを実施した方のツイートには数千ものリツイート等がされています。つまりはマナー問題を疑問視する方が顕在化したように思うのです。

他方、弘前ねぷたまつり運営委員会が『いたちごっこ』と、平川ねぷたまつりが『対応できないのが現状』(『』内は弘前経済新聞の記事より)と、行政側の言葉がなんだかふわっとしてやいないかと思ってしまいます。マナー問題は以前から散見され、しかも記事からは陣取りが地元住民によるものだと解るゆえ、厳格なルールの策定に乗り出し祭り期間中のスタッフを増員するよう以前から計画を立てておけば、地元住民にもマナー問題の深刻さが浸透し陣取り等が行われにくくなると思うのですが。『』の行間からは、ハナから諦めてやいないかという感じが伝わってくるように思うのです。厳しい物言いかもしれませんが。

今回、記事を介して弘前ねぷたまつり等のマナー問題が全国に知れ渡ってしまったことで、次回からの祭り観賞を控える人が出てくるかもしれません。ならば、今こそルールを策定し浸透させ、それを全国にアピールしないと、津軽の祭りのイメージは悪化したままで止まってしまうでしょう。ルール策定が功を奏したならば他の自治体にも成功事例を伝達し共有することで、津軽自治体の株は上がるはず。策定に乗り出さない手はないと思います。

 

ちなみに先週の今日、担当ラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)の放送終了後、弘前ねぷたまつりの当日の運行コースであった土手町の人だかりが一斉に動きだしていました。車両通行止めにした道路で観客に陣取る許可が与えられた瞬間だったのです。これだと祭り開始30分前ゆえ陣取りテープを貼る必要もなく、また熱中症を敬遠し一時的に場所から離れることもほぼないだろうと考えると、たとえば陣取り許可を祭り開始の直前に一斉伝達したり、どうしてもという方には許可制にして市側が場所を用意する…というアイデアが浮かんだ次第です。

 

なお今回の弘前ねぷたまつり期間中、駅前運行が行われた翌日にねぷた集合場所の北大通りを通ると、中央分離帯のラベンダー畑に第3のビールの空き缶が置かれていました。弘前経済新聞の記事にもあるように、5年前の死亡事故を教訓として『すべての参加者の合同運行コースを運行する際の飲酒を禁止する』ことが制定されています(『』内は弘前ねぷたまつり運行安全指針より)。中央分離帯に、それも直立していた空き缶の不自然さを思うに、ねぷた運行関係者が捨てた可能性は低くありません。仮にそうならばマナー問題同様大きな問題ではないでしょうか。

 

仮に自治体が本腰を入れてルール策定に動くならば、積極的に参加したいと思う自分がいます。

Foorin版「パプリカ」はビルボードジャパンソングスチャートで数万ポイントを逃した? ミュージックビデオをアップする際のISRC付番の重要性

一安心です。

Foorinへ提供した「パプリカ」のセルフカバー版が米津玄師さんの公式YouTubeアカウントにてフルバージョンで公開。これを”一安心”とした理由は、FoorinバージョンがYouTubeで多数再生されながらもビルボードジャパンソングスチャートの動画再生指標においてカウント”非対象”のため。それゆえ、米津玄師さん版はどうなるのか気掛かりでした。

来週水曜公開のソングスチャート、Twitterと動画再生の2指標でどこまで上昇するか楽しみです。

 

さて、セルフカバー版公開のタイミングで、Foorin版「パプリカ」のダンスバージョンが1億回再生を突破しました。

これで両バージョンに注目が集まるのは必至でしょう。とはいえ、”同じ轍を踏まない”ブログエントリーでも書いたように、1億回再生されても1ポイントも動画再生に加算されていないのは勿体無いと思ってしまいます。

 

この動画再生指標によるポイント、実に大きいのです。最新8月12日付ビルボードジャパンソングスチャートの解説からその大きさを予測することが出来ます。

RADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」は前週3位から5位にランク・ダウン。国内週間動画再生数は、前週4,900,877回から当週5,066,978回へ増加して1位を守っており、注目度の高さは変わらず。

RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」の今週の総合ポイントは7222、そしてCHART insightからは動画再生指標がチャート構成比の22%程度を獲得していることが判ります。

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ここから、「愛にできることはまだあるかい」が動画再生指標から得られたポイントはおよそ1589となり、再生回数で割ると1再生あたり0.00031ポイントに。この【1再生あたり0.00031ポイント】をFoorin版「パプリカ」に充ててみましょう。

Foorin版「パプリカ」のダンスバージョンはおよそ55週で1億回再生に至りました。1週あたりの再生回数は182万弱となり、動画再生指標に換算すると564ポイント。つまり、「パプリカ」の動画に動画再生指標の加算対象となるISRC付番がきちんと成されていたならば、1週あたり564ポイント前後が上乗せされたことになるのです。ISRC付番については以前記載したこちらをご参照ください。

Foorin版「パプリカ」は昨年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)を機に総合チャートを上昇しているため、今年度以降の動画再生指標加算分は1週あたり少なくとも600ポイントと考えられます。これを年間チャートに当てはめれば、「パプリカ」はISRC未付番のために3万ものポイントを逃してしまっているのです。しかも今日で公開されてから丸1年となる世界観バージョンは現段階で2100万回再生を突破しており、この分も含めると尚の事、動画再生指標未加算の原因である登録ミスは大きな誤りと言えます。

 

実は昨日、NHKのYouTubeアカウントでも米津玄師さんバージョンの「パプリカ」が公開されています。が、Foorinバージョンの例を踏まえるに、こちらを再生しても動画再生指標にはカウントされない可能性が高いでしょう。米津玄師さん版が観たい方は米津さんのYouTubeアカウント発の動画をチェックしてほしいと思います。そしてレコード会社や芸能事務所側には、今後NHKが自身のYouTubeアカウントでミュージックビデオをアップすることにした際はISRC付番をきちんと確認し、Foorinのような機会損失を招かないようにしてほしいと切に願います。いや、アップした動画でも後からISRCを付番することは可能ゆえ、今からでもNHKに問い合わせることを勧めます。

全米で新記録樹立の「Old Town Road」、日本でのチャートアクションは低いながら今週伸びている

日本時間の先週火曜早朝に発表された8月3日付米ビルボードソングスチャートでは、リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」が単独で歴代最長首位を獲得したことは、記録樹立日に紹介した通り。

今週もさらに記録を伸ばし、18週目の首位に立っています。

 

一方、日本では「Old Town Road」をあまり耳にすることがないと思っていたのですがそれもそのはず、ビルボードジャパンソングスチャートでは4月22日付以降17週連続で総合100位未満(300位以内)に滞在、一度も100位以内にも入ったことがないのです。

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(「Old Town Road」のCHART insightより。ちなみに日本ではアメリカと異なり、リル・ナズ・X単独のオリジナルバージョンとビリー・レイ・サイラス客演参加のリミックスを分けて算出するため、以下に取り上げる「Old Town Road」はビリー・レイ・サイラス参加版に統一します。)

しかしながら、チャートを構成する各指標の動向をみると、この曲がどのタイミングで広がっているかが見えてきます。

 

チャートアクションに大きく寄与しているのはラジオエアプレイ。特に今週は20位に入り、これまでの最高位(5月20日付 58位)を大きく更新しました。

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(CHART insightより、ラジオエアプレイのみを抽出。)

ラジオエアプレイは「Old Town Road」が総合300位以内に初登場(ビリー・レイ・サイラス客演参加版がリリース)された週から常に300位以内に在籍しており、ラジオエアプレイがチャート構成比の柱になっていることは間違いありません。現に今週も総合ポイントの半分強をこの指標のみで稼いでいます。ラジオというメディアの、ヒット曲を伝えるという姿勢(気概)を感じられると言っても過言ではないでしょう。

しかしながら今週はストリーミングがおよそ3割、ダウンロードも15%近くを占め、他指標も貢献する形に。

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ストリーミングは2週目に一度300位以内に入り、4週目から8週連続で300位以内に登場。米チャートで長期政権に入った頃、一度は聴いてみようとする消費(接触)心理が見えてきます。しかし1ヶ月以上のブランクを経て再度チャートインしたのはおそらく、米チャートでの新記録樹立を知った方のアクションに因るものではないかと。そして、ここまで売れているならば所有しておきたいという心理が、今週ダウンロード初の300位以内ランクインの形で表れたように思います。

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最新8月12日付ビルボードジャパンソングスチャートの集計期間中には、7月31日水曜放送の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)で音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんが「Old Town Road」のチャートアクションについて紹介したり、8月4日日曜放送の『J-WAVE TOKIO HOT 100』(J-WAVE 日曜13時)内コーナー、”SHU-KAN CHRISPAPER”でも最長記録達成を取り上げています。前者についてはみやーんさんの書き起こしも紹介しながら、今月始めにブログエントリーを記載しました。

またネットメディアや一部テレビでも最長記録更新のニュースが流れており、それら情報に触れて聴いた方が少なくないことが予想されます。結果的に各指標を伸ばしラジオエアプレイでは最高位を更新したのみならず、Twitter指標で300位以内に入ったことから口コミでの広がりも解ります。

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ここにきてようやく認知度が高まってきた感のある「Old Town Road」ですが、とはいえ日本ではこの曲によって米ソングスチャートで首位の座を阻まれたテイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュエド・シーラン等が圧倒的に高い地位を獲得しています。リル・ナズ・Xの知名度の問題と言われればそれまでですが、ビリー・アイリッシュと同時期にブレイクしたならば同等の取り上げ方をされて好いはずで、おそらくはヒップホップとカントリーという日本で馴染みの薄いジャンルをベースにした作品ゆえのアクションかもしれません。ならば、このようなジャンルの曲を日本でヒットさせることこそ、レコード会社やメディアの課題ではないかと思うのです。

 

たとえば「Old Town Road」のオリジナルとビリー・レイ・サイラス客演参加版の双方が収録された初EP『7』は未CD化ゆえ、デジタル浸透度が海外より低いと思しき日本では馴染みにくいのかもしれません。以前つぶやいている方がいらしたのですが、たとえばオリジナルと各種リミックスとをまとめてコンパイルした作品を日本独自で出してみるのはいかがでしょう。このような例もありましたので尚の事。

もしくはリミックス1曲のみをレンタル店で貸し出す実験を行う…等、アプローチの仕方は様々あると思っています。コストはかかるでしょうが、議論の余地はあるはずです。

Official髭男dism「宿命」の急伸はレンタルにあり?…8月12日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

7月29日~8月4日を集計期間とする、8月12日付のビルボードジャパン各チャートが昨日発表され、シングルCDセールス首位のSTU48「大好きな人」が総合ソングスチャートでも首位を獲得しました。

前週総合2位(シングルCDセールス首位)のSKE48「FRUSTRATION」のミュージックビデオがショートバージョンだったのに対し、「大好きな人」はフルバージョン。

それでも「大好きな人」の動画再生指標は300位未満というのが気掛かりです。

 

さて今週、Official髭男dism「宿命」が7位に入り、3週ぶりにトップ10入り。この返り咲きにはシングルCDセールスに伴い関連指標群が初めて加算されたことが影響しています。

ソングスチャートを構成する各指標毎の動向をみると、ストリーミングの順位こそ変わりませんが、初登場したシングルCDセールスおよびルックアップ以外は全指標が順位を上げています。

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特に「宿命」が長けているのは、様々な形で”接触”されていること。

チャートを構成する8指標は所有と接触とに大分され、その接触にも様々な種類があります。4週ぶりに首位の座に就いたラジオエアプレイが受動的(リクエストが必ずしも採用されるわけではなく選曲は局や番組側)に対し、ストリーミングや動画再生は能動的(プレイリストや自動再生でかかることもあれど選曲は自分主体)。受動と能動の双方で高い位置を獲得しているのです。

 

そして見逃せないのがルックアップ。パソコン等にCDを取り込む際のインターネットデータベースへのアクセス数を示すこの指標が2位を獲得しています。購入したCDを取り込んだ場合も加算されるゆえ所有の側面もありますが、こちらを接触指標とみなしたのは「宿命」がレンタルで高回転していることが予想出来るため。

今週同じくシングルCDセールスが初加算され、30万枚近く売り上げたSTU48「大好きな人」のルックアップは12位。7000枚強のCDセールスを獲得した「宿命」と大きく離れています。アイドル作品の場合はジャケット違いや特典を目当てとした複数買い等があれど、「大好きな人」のルックアップが1万を切るとは考えにくい気がします。それでも「宿命」がシングルCDセールスの順位と大きく乖離しルックアップで2位となったのは、発売同日にレンタルを解禁したことでその分が大きく上乗せされているゆえでしょう。STU48「大好きな人」も同日解禁されていますが、たとえば自分が立ち寄ったレンタル店では「宿命」が圧倒的に大きく展開されていました。

 

発売と同日のレンタル解禁の重要性は、あいみょんさんの例からよく解ります。今週ルックアップを制した「真夏の夜の匂いがする」は前週シングルCDセールス指標が初加算。シングルCDセールスが20→39位と推移するのに対しルックアップは2→1位。前作「ハルノヒ」も同様の動きを見せた一方、発売直前にシングルCDのレンタル解禁をアルバムと同じ17日後に遅らせた「今夜このまま」は17→42→72位と推移するシングルCDセールスに比例してルックアップも29→60→100位圏外(300位以内)とダウン。しかし4週目にはレンタル解禁効果が如実に表れ、シングルCDセールス81位に対しルックアップは5位を記録しているのです。

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(上記グラフは3曲のCHART insightから、総合チャート(黒の折れ線)、シングルCDセールス(黄色)およびルックアップ(オレンジ)を抽出。)

 

シングルCDが売れるに越したことはないのですが、あいみょんさんにおいては「今夜このまま」のレンタル解禁日を遅らせたものの思うほどの勢いを得られなかったとして「ハルノヒ」以降はレンタル解禁を同日に設定したものと思われます。その”CDセールスとレンタルで分けずに全指標で曲を売り込む”手法をOfficial髭男dismも踏襲し、成果が出たと考えるのですがいかがでしょう。これによりシングル表題曲自体がトップ10入りするのみならず、”過去曲を押し上げ歌手の勢いを高める”効果にもつながっているように思われます。あいみょんさんの場合は「マリーゴールド」がロングヒットを続け、前週は昨年12月31日付以来トップ10落ちとなりましたが今週9位に再浮上。そしてOfficial髭男dismは今週、「Pretender」が自己最高タイの2位に再浮上したことに加え、過去最高の総合ポイントを叩き出しているのです。

 

シングルCDセールスに長けた歌手は他指標が伴わないと急落することは以前から書いてきました。他指標に長け、シングルCDセールスも多いならばレンタル解禁をずらしても、セールスとレンタルで2つのピークを築くことが出来ます。他方シングルCDセールスがそこまで強くない場合、あいみょんさんやOfficial髭男dismのようにCDセールスとレンタルを同一日とすればより高いピークが作れるはずで、且つレンタル店では関連する過去作の掘り起こしにつながります(事実、今週「Pretender」のルックアップは10→8位へ浮上しています)。シングルCDはレンタルで済ませながらアルバムは買うという層もいるだろうことを踏まえると、その歌手のファンというわけではないが曲等に興味はある”ライト層”への訴求の仕方を徹底することが大事になるでしょう。彼らは後にファン化する可能性が高いのです。

Official髭男dismは10月9日にメジャーファーストアルバムとなる『Traveler』をリリースしますが、この動向がより楽しみになってきました。