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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

真のヒットかの見極めはシングルCD加算2週目の動向を見よ、ストリーミング解禁は所有へも波及する…9月30日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

9月16~22日を集計期間とする、9月30日付のビルボードジャパン各種チャートが昨日発表されました。これを踏まえ、毎週木曜はソングスチャートを中心に、最新チャートを押さえていきます。

 

AKB48サステナブル」が”真のヒット”となるかは次週で判断が必要

サステナブル」は前作「ジワるDAYS」のシングルCDセールス初加算週時のポイントを上回る好成績を獲得。しかし気になるのはそのチャート構成比。

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次週シングルCDセールスが大きくダウンすれば、他指標が伸びない限り急落は必至。昨年の選抜総選挙投票シリアルナンバーが封入された(ことでセールスが伸びた)「Teacher Teacher」以降今回に至るまでのシングルは全て、シングルCDセールス加算初週の各指標の動向はほぼ一緒であることから、今回の「サステナブル」も同様の動きを示す可能性が高いと思われます。この動向についてはこの春記載しました。

サステナブル」のシングルCDセールス加算2週目におけるポイント前週比は5%未満の可能性大。坂道グループの20%強に比べて圧倒的な差が生じることとなるでしょう。次週、前週比5%未満且つ2週先行でシングルCDがリリースされた乃木坂46「夜明けまで強がらなくてもいい」(今週8位)を下回るならば、AKB48サステナブル」は社会的なヒットとは言えないというのが私見です。

 

・米津玄師「馬と鹿」VS 嵐「BRAVE」、2週目の動向は

前週、27.7万枚差のシングルCDセールスを逆転し総合で嵐「BRAVE」を破った米津玄師「馬と鹿」は2位に。嵐は2→5位とそれぞれダウンしました。しかしながら、シングルCDセールス加算2週目におけるポイント前週比にはちょっとした差が。

シングルCDセールス加算2週目におけるポイント前週比は、「馬と鹿」がドラマ主題歌等の共通点から比較対象となる「Lemon」に劣る一方、「BRAVE」は前作「君のうた」とほぼ変わらず。「君のうた」の2週目のシングルCDセールスが前週比6.9%に対し「BRAVE」が3.7%と、初週の好セールスの反動が生じているものの、他指標が高かったゆえか総合のポイント前週比は前作並となりました。

 

吉幾三「TSUGARU」、演歌歌手で異例のヒットの仕方

集計期間の前週にリリースされた吉幾三「TSUGARU」が総合43位に初登場。Twitter指標は51→13位となり前週から口コミはあったものの、ネットメディア等の記事が相次いで登場したことなどがダウンロードや動画再生に波及した形です。

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この曲は演歌ではありませんが、演歌歌手のヒットの図式はシングルCDの複数のバージョンをリリースしてシングルCDセールス主体に稼ぐ→翌週急落という形がほとんどだっただけに、所有と接触(口コミ含む)をバランスよく稼いでいるのは面白い動きです。一般的な演歌のシングルCDの販売手法について、および演歌に必要と思しきヒットの施策については以前書いています。

トラックを現代風にリミックスした作品もアップされているのですが、YouTubeの動画詳細欄には楽曲がクレジットされており、動画再生の加算対象となっているものと考えられます。

個人的には吉幾三さん側に「TSUGARU」の声等のパーツを用意していただきリミックスを募るのも面白いと思うのですがいかがでしょう。そして仮に次週以降もランクインし続けるならば、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)への出場もあり得るのではないかと、割と本気で思うのです。

 

Perfume安室奈美恵…ストリーミング解禁は所有も他の接触手段も伸ばす

アルバムチャートを制したのはPerfumeのベストアルバム『Perfume The Best "P Cubed"』。アルバムチャートを構成するアルバムCDセールス、ダウンロードおよびルックアップ全てで1位となる完全制覇を達成しています。このベストアルバムリリースのタイミングで、Perfumeはストリーミングを解禁。

この解禁が、ともすればベストアルバム買い控えを起こすかもしれないという見方もあるかもしれませんが、前のアルバム『Future Pop』(2018)のCDセールス80655枚→98818枚と2万枚近く上昇しています(一方ダウンロードは7716→5428とダウン)。ベストアルバムはオリジナル・アルバム以上に売れるという特性はありますが、これはストリーミング解禁が所有や接触(ルックアップ)を刺激したとみていいのではと思うのです。その理由が安室奈美恵『Finally』の動きから見て取れます。

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9月20日Apple Music以外のサブスクリプションサービスへストリーミング解禁を果たした安室奈美恵さんの楽曲群。この影響で『Finally』の全指標が上昇に転じているのです。ストリーミングはセールスを妨げる(から解禁しない)という理由で解禁していない歌手がいるのだとしたら、もしかしたらそれは思い込みに過ぎないかもしれません。

 

Official髭男dism、ストリーミングトップ3独占&「Pretender」1億回再生突破

ストリーミングを味方に付け大ブレイクを果たしつつあるのがOfficial髭男dism。

ストリーミングチャートにおける5曲同時トップ10入りは今年3月11日付におけるあいみょんさん以来史上2組目の快挙達成。ソングスチャートでも3曲がトップ10入りを果たし、さらに「Pretender」は史上4曲目且つ最速での1億回再生を突破しました。

10月9日にはメジャーファーストアルバム『Traveler』をリリースしますが、そこからの先行カットとなる「イエスタデイ」も6位に到達。面白いのはダウンロードも4位と上位に入っていること。アニメ映画『HELLO WORLD』(9月20日公開)の主題歌でありアニメタイアップ曲は所有されやすいという特性ゆえかもしれませんが、アルバムの到着まで待てないというファンの購入が好セールスに反映されたものと考えると、『Traveler』の動向はどうなるのか楽しみで仕方ありません。

 

今週のソングスチャートトップ10はこちら。

米津玄師さんスタッフの公式Twitterアカウントがビルボードジャパンソングスチャートトップ10のツイートを用いて感謝のコメントをつぶやいていますが、こういった動きによりビルボードジャパンソングスチャートが伝わっていくならば嬉しいですね。

 

最後に、前週のソングスチャートまとめで危惧していた、手塚翔太「会いたいよ」の動画再生指標について。

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ミュージックビデオ公開を期間限定としていたことで、動画再生指標が”遮断”という結果に。これは実に勿体ない動きです。期間限定にした理由は不明ながら、仮にミュージックビデオも収録された映像盤付のシングルCDを購入してほしいというレコード会社の判断だとしたら、シングルCDセールスは6→19→36位とダウンの一途であり、その施策は必ずしも有効ではないと思うのです。

(ご報告) 音楽メディアに寄稿しました

本日はご報告。

ブログを日々書き綴ったことがひとつの形になりました。この機会を与えってくださった方々に心から感謝申し上げます。そしてReal Soundを読んでくださった方々に何かしらの気付きを与えられたならば幸いです。ブログのほうも日々更新していきますので、今後とも宜しくお願いいたします。

 

ちなみに、このタイミングで遅ればせながら気付いたこと。

Apple Music利用の理由はゴスペルジャンルに強い(だろう)こと、およびiTunesiPhoneを用いていたからなのですが、Web版のSpotifyは本当に楽ですし楽しいですね。これは病みつきになりそうです。

リゾ「Truth Hurts」4連覇、リル・ナズ・X「Panini」トップ10入り…2曲の共通点は? 9月28日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の9月23日月曜に発表された、9月28日付最新ソングスチャート。リゾ「Truth Hurts」が4連覇、またリル・ナズ・X「Panini」が初のトップ10入りを果たしました。

リゾ「Truth Hurts」はラジオエアプレイで前週比4%アップの1億1640万を獲得し同指標初の1位を獲得。ヒップホップが同指標で首位を獲得したのは1年以上前、カーディ・Bがバッド・バニー&J・バルヴィンと共演した「I Like It」以来となります。ダウンロードは同12%ダウンの27000(同指標1位)、ストリーミングは同1%アップの2940万(同8位)に。「Truth Hurts」は今回4週目の首位獲得となり、女性単独(客演なし)によるヒップホップ楽曲の最長首位記録を更新しました(これまでの記録はこちらもカーディ・Bによる「Bodak Yellow (Money Moves)」(2017)の3週)。

前週はポスト・マローンがアルバム『Hollywood's Bleeding』を初めてチャートに送り込んだ影響でソングスチャート100位以内に全曲がランクイン、トップ10には4曲が登場したのですが今週は2曲にとどまっています。その中でルイス・キャパルディ「Someone You Loved」が抜け出し、前週から5ランクアップし4位に到達。ダウンロードは前週比20%アップの21000(同指標3位)、ラジオエアプレイは同10%アップの8690万(同5位)、ストリーミングは同9%アップの2420万(同13位)といずれも高成長。次週はトップ3入りの可能性も充分です。

そして5位にはリル・ナズ・X「Panini」が初のトップ10入りを果たしています。EP『7』に収録され7月16日付で16位に初登場したもののその後は22~40位を彷徨っていました。9月5日にミュージックビデオが登場した効果で前週14位まで上昇したのですが、今週さらに上昇した要因はダベイビー参加版の投入。

ダベイビーは「Suge」を今年最高7位に送り込んだほか、先のリゾ「Truth Hurts」に新たに参加し同曲を1位に押し上げる効果を果たしています。

ダベイビーの客演は、「Truth Hurts」に次いで「Panini」にとっても大きな"仕掛け"となったわけです。事実、ストリーミングでは前週比22%アップの4370万(同指標2位)、ダウンロードは同56%アップの9000(同17位)、ラジオエアプレイは同30%アップの2220万(同50位未満)と全指標大幅アップしています。

またこの曲はニルヴァーナの1993年作「In Bloom」を用いているのですが、ニルヴァーナが引用され、曲を書いたカート・コバーン(コベイン)がクレジットされた楽曲がトップ10入りしたのはジェイ・Z feat. ジャスティン・ティンバーレイク「Holy Grail」(2013 4位)以来となります。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) リゾ「Truth Hurts

2位 (2位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

3位 (5位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

4位 (9位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

5位 (14位) リル・ナズ・X「Panini」

6位 (6位) リル・テッカ「Ran$om」

7位 (7位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

8位 (3位) ポスト・マローン feat. ヤング・サグ「Goodbyes」

9位 (4位) ポスト・マローン「Circles」

10位 (11位) リル・ナズ・X feat. ビリー・レイ・サイラス「Old Town Road」

Truth Hurts」および「Panini」にダベイビーがクレジットされていないのは、ダベイビー参加版よりもオリジナルのほうが人気のため。また前週紹介した、アリアナ・グランデマイリー・サイラスラナ・デル・レイ「Don't Call Me Angel」は初登場13位という結果に。ダウンロードは26000(同指標2位)、ストリーミングは2630万(同11位)となり、初週に強くないラジオエアプレイ(750万、同指標50位未満)をデジタル2指標でカバー出来ませんでした。

 

(追記あり) ラジオからビルボードジャパンソングスチャート紹介枠が消える? ならば個人的なラジオ番組案を提示してみる

(※追記(10時50分):一部文言を追加しました。)

 

以前から疑問視していたラジオ番組が終了します。

いや、むしろ疑問視していたのは、毎週更新されるチャートの属性を無視するかの如く先月から連続して休止させたニッポン放送の姿勢にあるのですが。この疑問については以前から幾度となく記しています。

同枠の新番組開始は11月。"一ヶ月の休養を経て"とのことで、仮に番組が続いていたとしてもプロ野球の日本シリーズ等が優先され結果的に休止したと想像出来ます。そして新しい番組からはチャート紹介要素が外れるとのこと。

ビルボードジャパン関連では、在阪放送局のFM COCOLOBillboard PREMIUM PLUS』(金曜23時)にも変更が。担当DJのKIYOMIさんが降板し、10月以降は八木早希さんが担当、時間帯も金曜22時台へ移行します。番組ではビルボードライブ大阪のライブ情報を発信しながら、時にチャート紹介も行っていたと伺っています。ただ、秋以降この番組がリニューアル等実施するかは不明であり、チャート紹介の縮小への懸念は拭えません。

 

この2つの番組にビルボードジャパンがどれだけ関わっていたのかは不明です。スポンサーとなっていたならばおそらく、前者においては局が番組を柔軟に休止出来る時間帯に据えることはなかったでしょう。しかし番組名に"ビルボード(ジャパン)"と記載されていれば、一聴してスポンサーだと思うリスナーは少なくないかもしれません。

 

10月以降のラジオ改編情報が出揃っていないゆえ断言は出来ませんが、ビルボードジャパンのチャートを追いかける番組を他に聞かないため、この秋以降はゼロかもしれません。テレビ番組では『ミュージックステーション』(テレビ番組 10月以降は金曜21時)や『めざましテレビ』(フジテレビ 月-金曜 5時25分)でも紹介されている一方、じっくりその中身をチェック出来るラジオ番組がないのは、ビルボードジャパンソングスチャートの認知度を高められない、そして社会的なヒット曲はどれか伝わりにくいという点で機会損失と言わざるを得ません。

 

あくまで個人的な希望を提案するならば、イレギュラーな放送に潰れることのない枠(それも聴取率にこだわらない局で)、出来るならばチャート更新時間の水曜正午前後にも枠を用意出来るところが好いでしょう。理想を申せば、NHK-FMの21時半もしくは16時40分枠の平日帯を金曜だけ(即時性を踏まえれば木曜のほうがより好い)ビルボードジャパンソングスチャート紹介番組とし、水曜12時30分枠の『ごごラジ!』はラジオ第1と同時放送のためFMだけを速報紹介枠とするのが最良かと。NHKでの放送ならば特番も少なく、ビルボードジャパンがスポンサーとして関わることもなく、NHKがチャートをきちんと追いかけていると訴求出来る点でもアリだと思うのです。同局の『NHK紅白歌合戦』がビルボードジャパンソングスチャートを強く意識した人選を行っていると思うゆえ尚の事。是非検討していただきたいと思います。

『凪のお暇』VS『これは経費で落ちません!』、今クール満足度2強対決は主題歌で大きな差が

一昨日最終回を迎えた連続ドラマ『凪のお暇』(TBS)は高い評判を集めており、今週火曜に発表される視聴率および後に出る総合視聴率が気になるところですが、実はこの『凪のお暇』の裏で、同様に高い評判を集めていたのが多部未華子さん主演による『これは経費で落ちません!』(NHK総合)。視聴率は『凪のお暇』に及ばないものの、コンフィデンス誌のドラマ満足度調査によると『凪のお暇』と『これは経費で落ちません!』が今クールの満足度2強とのこと。この2作品が別の時間に放送されていたならと思うのは贅沢な悩みでしょうか。

 

弊ブログでは以前、『凪のお暇』主題歌のmiwa「リブート」について、そのチャートアクションを紹介。

あれから2週間が経過、最新のCHART insightはこのようになっています。

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ビルボードジャパンソングスチャートは15→18位と推移。ストリーミングが安定し、且つレンタル解禁後のルックアップの伸びを踏まえるに、今日までを集計期間とする次回9月30日付チャートではこの位置をキープするか伸びる可能性もあるでしょう。

 

一方、『これは経費で落ちません!』主題歌、阿部真央「どうしますか、あなたなら」はどうでしょう。

7月26日金曜、ドラマ初回放送日にミュージックビデオフルバージョンが公開。同日深夜ラジオOA解禁、翌27日にはデジタル先行配信となり、8月21日にCDリリースおよびレンタル解禁されたこの曲。全方位抜かり無く訴求するこの曲のCHART insightをみると。

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シングルCDセールス初加算週となる9月2日付ソングスチャートで74位を記録したものの、100位以内のランクインはこの1週のみ。ラジオエアプレイも同日付で5位に達しているのですが他指標が伸びていない状況です。前のシングル「君の唄(キミノウタ)」(→CHART insight)は5月20日付で最高38位を記録したものの、この曲においても100位以内在籍はシングルCDセールスが初加算となったこの1週のみであり、実に勿体ないと思うのです。

元来NHKがタイアップ曲に対して宣伝をする局ではないという事情も影響しているのかもしれませんが、「君の唄(キミノウタ)」そして「どうしますか、あなたなら」に共通しているのはストリーミングおよび動画再生の両指標で一度も300位以内に入っていないということ。接触を示す指標が弱い状況は、発売と同日にレンタル解禁されていながらもルックアップが弱いことからも見て取れます(シングルCDセールス初加算週において、「君の唄(キミノウタ)」はシングルCDセールス33位に対しルックアップは77位、「どうしますか、あなたなら」は56位/97位)。ドラマ主題歌の影響でしょうか、「どうしますか、あなたなら」はダウンロードで4週連続100位以内をキープしており所有の側面では一定の水準に達しながらも接触指標群が弱すぎる状況を考えるに、阿部真央さんにおいてはライト層の拡大が重要なのかもしれません。

 

とはいえ、「どうしますか、あなたなら」は先週末の日本でのSpotifyバイラルチャートでmiwa「リブート」のひとつ下となる9位にランクイン。ドラマの影響でSNS等にてシェアされたことが如実に表れています。Spotifyの再生回数は現状においてビルボードジャパンソングスチャートにおけるストリーミング指標のカウント対象外ではありますが、今週放送の最終回が高い評判となればSpotify以外でも上昇し、接触指標群を稼いでふたたびソングスチャート100位以内へ浮上する可能性もあるでしょう。ライバルである『凪のお暇』の放送は既に最終回を迎えており、『これは経費で落ちません!』のドラマ自体への注目は高まるかもしれません。

9月21日の夜を覚えているかい?…アース名曲をはじめとするカーク・フランクリンのゴスペルカバー集

今日は9月21日。この日の夜を振り返る曲が、アース・ウインド&ファイアー「September」。

一昨日放送の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)でtofubeatsさんがこの曲関連の縛りDJを披露していたのもあって、否が応でもこの曲が頭から離れません。

tofubeatsさんの当日のミックスでは多くのカバーやサンプリング曲が披露されていますが、個人的にはカーク・フランクリンによるゴスペルカバーが大好きなので今日はそちらを紹介。アース・ウインド&ファイアーのトリビュートアルバムでこの曲を担当したのがカーク・フランクリンというのは面白いですね。

カーク・フランクリンはビル・ウィザース「Lovely Day」もカバー。「September」共々、以前弊ブログにて紹介しています。

アレンジは原曲に(比較的)忠実でもきちんとゴスペルの要素を取り入れ、クワイアにより楽曲に希望を注入するのがカーク・フランクリンの特徴ですが、一昨年の映画『The Star』に収められたクリスマスキャロル「We Three King (邦題:われらはきたりぬ)」のカバーについては、原曲が1857年と古すぎるためか、自己流な解釈となっています。

出だしがほんの少し、ドクター・ドレー feat. スヌープ・ドッグ、コラプト&ネイト・ドッグ「The Next Episode」っぽく感じるのは自分だけでしょうか。カーク・フランクリン独特のゴスペル味付け、聴くときっと癖になることでしょう。なおカークは今日から3日間、ビルボードライブ東京でライブを開催。チケットはまだある模様なので時間等のある方は是非。

 

ちなみに、 カーク・フランクリンにカバーされたアース・ウインド&ファイアーは、5年前の冬にセプテンバーならぬ「December」としてセルフカバーしています。 

ここで振り返っているのは12月25日…つまり「December」はクリスマスソングになったという次第。

新曲のヒットが過去曲へ波及、シングルCDセールス加算2週目の総合ポイントが鍵…9月23日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

9月9~15日を集計期間とする、9月23日付のビルボードジャパンソングスチャートの上位2強、その"頂上決戦"については昨日記載しました。チャートの仕組み等も理解していただけるならば幸いです。

毎週木曜は前日に発表される最新ビルボードジャパンソングスチャートの上位陣をざっと、でも深く振り返るブログを書きますと先週宣言したばかりですが、今週木曜は頂上決戦を優先した次第。というわけで今週は一日遅れですが、ソングスチャートを押さえていきましょう。

 

・米津玄師「馬と鹿」が関連曲へ波及

とはいえ頂上決戦の影響は大きく、最新9月23日付ビルボードジャパンソングスチャートには米津玄師さんの楽曲および提供曲が多数ランクインしています。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) 米津玄師「馬と鹿」

9位 (9位) 米津玄師「Lemon」

10位 (12位) Foorin「パプリカ」

11位 (11位) 菅田将暉まちがいさがし

45位 (69位) 米津玄師「海の幽霊」

48位 (43位) DAOKO × 米津玄師「打上花火」

50位 (初登場) 米津玄師「でしょましょ」

54位 (40位) 米津玄師「パプリカ」

76位 (95位) 米津玄師「Flamingo」

80位 (78位) 米津玄師「アイネクライネ」

86位 (88位) 米津玄師 + 菅田将暉「灰色と青」

92位 (再登場) 米津玄師「LOSER」

米津玄師さんの作品が10曲、提供曲が2曲の計12曲がチャートイン。新曲が登場すると過去曲も牽引されるのはストリーミングが強い曲によく見られるのですが、ストリーミング未解禁(「打上花火」は除く)でこの状況というのは、米津玄師さんの作品がライト層に広まっているというより、ライト層がコアなファン化している証拠ではないでしょうか。また、「馬と鹿」のカップリングである「でしょましょ」が50位に初登場したことは、曲単位ではなくシングル全曲をデジタルで買おうとするユーザーが多いことが見て取れます。「でしょましょ」はダウンロード7位に入り、チャート構成比の全てがダウンロードで占められています。

 

Official髭男dism「イエスタデイ」が過去曲を牽引

総合13位ですがストリーミングは11位ととなりトップ10を逃しています。しかしこの曲の登場が功を奏したか、「Pretender」(総合3位)の総合ポイントが前週比101.1%と僅かながら上昇。「宿命」(総合7位)は夏の高校野球終了に伴ってか3週連続でダウンするも前週比93.4%となり前2週の80%台からは回復、新曲の登場により過去曲を聴くという流れが生まれているように思います。「Pretender」の再生回数も前週5670277回今週5725402回(リンク先はそれぞれビルボードジャパンの記事より)と増加しています。

 

乃木坂46、坂道グループの水準に回復

シングルCDセールス加算2週目の総合ポイント…それこそ昨日のブログエントリーで次週注視すべきと指摘した部分ですが、今作「夜明けまで強がらなくてもいい」は20%台に戻してきました。シングルCDセールスに係数が用いられるようになった2017年度以降の乃木坂46のチャートアクションは以下のエントリーでまとめていますが、坂道グループの水準と思しき20%をクリアしています。

それでも2作前のシングル「帰り道は遠回りしたくなる」(2018)と比べると、シングルCDセールス加算2週目の総合ポイント、ポイント前週比、総合および各指標順位、CD売上枚数およびCD売上前週比は全てダウン。今作でどこまで持ちこたえ次作へつなげるか注目です。

 

森口博子GUNDAM SONG COVERS』アルバムチャートトップ10返り咲き

こちらはアルバムチャート。

前週デジタル解禁されたことでトップ10へ返り咲きました。たとえばiTunes Storeでアルバム単位での購入が出来ないことは以前指摘したのですが。

今回、アルバムチャートを構成するダウンロード指標はきちんとカウントされています。今作のロングヒットを踏まえれば、アルバム第2弾の可能性もあるかもしれません。

ガンダム関連ではこちらも。

 

・手塚翔太「会いたいよ」、次週ランクダウンは必至?

ドラマ『あなたの番です』に主演した田中圭さんが役名の手塚翔太名義でリリースした「会いたいよ」。今週のチャートではドラマ最終回直後からの1週間ということもあり堅調に推移。総合チャートこそ10→19位とダウンするも前週がシングルCDセールス初加算週ゆえであり、総合ポイント前週比は65.8%でその反動は小さかったとみていいでしょう。CHART insightをみると、ソングスチャート上位20曲中8指標が全て100位以内なのはOfficial髭男dism「Pretender」「宿命」そしてこの「会いたいよ」のみであり、バランスよく獲得しています。

しかし来週のダウンは必至かと。ドラマの影響が薄れることもありますが、問題は動画再生指標。実は「会いたいよ」のミュージックビデオは期間限定であり、現在は削除されています。削除のタイミングは不明ながら、今週44位だった同指標が100位未満になる可能性は高いでしょう。ドラマや俳優との公開期間の取り決めもあったのかもしれませんが、もしかしたらソニー・ミュージックの戦略なのかなと考えてしまいます。

初回生産限定盤は「会いたいよ」のほかに”手塚翔太”が歌う新曲が2曲、合計3曲に加え、それぞれの楽曲のインスト音源も収録され、付属するDVDにはすでに公開されているMusic Video”ドラマ・スペシャルカットVer.”に加えて、その映像からドラマ映像を抜き、田中圭演じる手塚翔太のノーカット映像を収めたMusic Video”ノーカットVer.”や Music Videoのメイキング映像も収録される。

このイベントは既に終了済なのですが、残っているリンク先に貼られていた「会いたいよ」のドラマ・スペシャルカットバージョンは消えており、且つ形跡が残った状態。映像盤同梱CDの購入を促す目的もあるのでしょうが、ミュージックビデオの消去はあたかもそれがなかったことになってしまうようで寂しいですね。ソニー・ミュージックの…と書いたのは、Foorin「パプリカ」の動画再生指標未加算の件等今年幾度となく指摘しているからであり、チャートへの意識やユーザーフレンドリーな対応を願うばかりです。

 

今週のトップ10はこちら。

次週はAKB48サステナブル」の首位は堅いとみています。オリコンデイリーランキングではシングルCDセールスが前作「ジワるDAYS」の1割増となっており、「ジワるDAYS」がシングルCDセールス初加算週の42895ポイントを超える可能性も。とはいえ大事なのはシングルCDセールス加算2週目の総合ポイントであり、「センチメンタルトレイン」(2018)以降3作続けて2週目が3~4%台に落ち込んでいるAKB48にとっては、ここをどう改善するかが鍵。個人的には『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場資格獲得もこの点にかかっているように思います。