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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

2019年、アメリカのハロウィンで最も流れたのはマイケル・ジャクソンではなかった?

ハロウィンの季節に流れる曲といえば、おそらく真っ先に浮かぶのはマイケル・ジャクソン「Thriller」ではないでしょうか。コスプレの参考として、そしてなにより長編ミュージックビデオの代表作としてお馴染みであり、ストリーミング指標が採り入れられて以降の米ビルボードソングスチャートでも幾度となくリエントリーを果たしています。昨年も同チャートで31位に再登場しました。

無論今年も、ハロウィン当日の10月31日木曜を集計期間に含む11月9日付米ソングスチャート(日本時間の明後日に発表)でリエントリーすることが予想されるのですが、ストリーミングおよびダウンロードの集計期間は木曜までであることや、カニエ・ウェストの大量エントリーも予定されるため、順位は昨年に及ばないかもしれません。しかし、ハロウィンといえばマイケル・ジャクソン「Thriller」が真っ先に浮かぶのはアメリカも同様といえます。

 

それが、今年に関しては異変が。

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米ソングスチャートを構成するストリーミング指標に含まれる、Spotifyの10月31日付デイリーチャートをみると、リエントリーを表す青丸がついた曲で最上位に登場したのは「Thriller」(15位)でも、またレイ・パーカーJr.「Ghostbusters」(17位)でもありません。ボビー・”ボリス”・ピケット&ザ・クリプト・キッカーズ「Monster Mash」(13位)なのです。

この「Monster Mash」誕生の経緯、そして歌っているボビー・”ボリス”・ピケットについては非常に面白いコラムがあるので下記リンク先を是非チェックしていただきたいと思います。

(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします。)

「Monster Mash」が今年人気を博した理由は、あのブーツィー・コリンズがカバーしたことも影響しているかもしれません。

ミュージックビデオから漂うB級感は、「Monster Mash」オリジナル版誕生の経緯に最大限の敬意を払っているかのようです。

 

先に紹介したアメリカにおける10月31日付Spotifyデイリーチャート(→こちら)トップ200には「Monster Mash」は13位に加えて121位にも別バージョン?が登場。一方で15位に登場したマイケル・ジャクソン「Thriller」は2003年バージョンが125位に登場していますが、仮に両曲共他のバージョンがなければSpotifyにおいては「Monster Mash」が「Thriller」に勝ることになります。明後日発表の米ビルボードソングスチャートがどうなるか、非常に楽しみです。

ゴスペルにラップは合わない? 米ビルボードゴスペルチャートからラップが除外されている問題

ゴスペル界、そしてヒップホップ界では先週末リリースされたカニエ・ウェスト『Jesus Is King』が賛否両論を呼んでいるようです。私見を述べるならば、伝統的なゴスペルとは呼びにくいものの、カニエの革新性ーカニエがゴスペルの新しい宗派を作っていると言ってもしっくりくるようなーは、11曲27分強という短さゆえに繰り返せば繰り返すほど染み込んでくるように感じます。

さて、ゴスペル界で活躍するラッパーはカニエ・ウェスト以前から存在しており、メディアは彼らに今回のカニエのアルバムについて感想を引き出しているのですが、2004年にアルバム『Real Talk』でデビューしたクリスチャンヒップホップラッパー、レクレーによるインタビューに興味深い一文が。

Traditionally gospel is seen as singing. Those of us Christians who rap were removed from the gospel charts on that technicality.

レクレーの言葉を訳すならば、『伝統的にゴスペルは歌うものとみられています。ラップする我々クリスチャンは、その専門性に関するゴスペルチャートから削除されました』でしょうか。つまり、福音を伝えるものが歌モノではないラップについては、ゴスペルチャートから削除されたというのです。

 

Wikipediaによるレクレーのディスコグラフィー(→こちら)をみると、2017年リリースのアルバム『Let The Trap Say Amen』以降は米ビルボードゴスペルアルバムチャートに登場していません。これまではクリスチャンアルバムチャートと共に登場していましたので、違和感が生じます。楽曲においても「Can't Stop Me Now (Destination)」(2016)以降は同様に、クリスチャンソングスチャートには登場してもゴスペルソングスチャートには登場しない状態です。

また、この10年におけるクリスチャンミュージック界を代表するラッパーといえるNFについても似た事態が発生(Wikipediaによるディスコグラフィーこちら)。アルバムについては『Perception』(2017)以降クリスチャンアルバムチャートから、楽曲については「No Name」(2018)以降クリスチャンソングスチャートからそれぞれ除外されています(ただし「No Name」は米ビルボードクリスチャンAC/CHRチャートには登場。以降数曲が同様の状態となっています)。総合チャート、クリスチャンソングスチャート共にランクインしたのが『Perception』収録の「Let You Down」(全米12位、クリスチャンソングスチャート1位)ですが、この次のチャートイン楽曲が「No Name」であることを踏まえれば、「Let You Down」がきっかけになっているのかもしれません。

 

レクレーによるチャート上の違和感の表明を記事にしたのがそのチャートを取り扱う米ビルボードというのが複雑な心境ではありますが。これを機に思い出したのがリル・ナズ・Xによる「Old Town Road」です。米ビルボードソングスチャートで19週連続首位となり最長記録を更新したこの曲は、当初その音使いからカントリーソングスチャートでもランクインしたものの、米ビルボードの方針転換により除外されたのです。それを不服としたベテランカントリー歌手のビリー・レイ・サイラスが客演参加したことで"よりカントリーっぽく"なり記録を達成したというのは痛快ではあるのですが。

ゴスペルチャートやクリスチャンスチャートにおけるラップの除外は、「Old Town Road」がヒットの兆しをみせたタイミングでカントリーソングスチャートから除外されたことと同様、「Let You Down」がヒットしたことでラップ×ゴスペルもしくはクリスチャンミュージックに違和感を覚え始めた人がそれを表明したことで米ビルボードがフレキシブルに対応したのかもしれません。ジャンル決めについてのチャートポリシー(変更)のアナウンスがみられないゆえ、楽曲毎の個別対応と捉えるのが自然でしょう。

(ただそうなると、スヌープ・ドッグが昨年リリースしたゴスペルアルバム『Snoop Dogg Presents Bible Of Love』収録曲が米ビルボードゴスペルソングスチャートにランクインしたこと(→こちら)の説明は難しくなりますが、ランクインした4曲は全て歌手が客演しているため、歌モノとして判断されたのかもしれません。)

 

個人的にはレクレーの違和感の表明を踏まえ、米ビルボードがきちんとチャートポリシーを表明してほしいですし、ヒップホップのジャンルレス化を踏まえていい意味でフレキシブルに応対してほしいと強く思います。ちなみに、ゴスペルとクリスチャンミュージックについては歌っているのが前者が黒人、後者が白人で分けられるという見方もありますが、それで全て分けて良いのかという疑問も拭えません。

 

カニエ・ウェスト『Jesus Is King』および収録曲の初週のチャート動向は日本時間の来週火曜に発表されます。ゴスペルソングスチャートにもランクインするのか、しっかりチェックしたいと思います。

『GUNDAM SONG COVERS』のヒットが活きなかった? 森口博子×鮎川麻弥「追憶シンフォニア」のソングスチャート100位圏外をどう捉えるか

弊ブログでは今夏、森口博子さんによる『機動戦士ガンダム』シリーズ使用楽曲のカバー集『GUNDAM SONG COVERS』について幾度となく記載しました。

GUNDAM SONG COVERS』はビルボードジャパンアルバムチャートで初登場5位、オリコンアルバムランキングでは同3位を記録。CDは売切状態が続く等人気にもかかわらず、青森県のほぼ全てのレンタル店舗では解禁日に未導入という事態が発生。TSUTAYAでは旗艦店と位置付けされたMORIOKA TSUTAYAでも同様なのは問題だと指摘しました。その後ようやく、自分の住む近隣のTSUTAYAでも取り扱いがはじまり、おそらくは全国的にも同様の措置が採られたこともあってか、『GUNDAM SONG COVERS』は最新11月4日付ビルボードジャパンアルバムチャートで66位をマーク。CDセールスとルックアップ(パソコン等に取り込んだ際にインターネットデータベースへアクセスする数)の順位が拮抗していることから、購入者の取込率やレンタル動向は高いとみていいでしょう。

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(上記は『GUNDAM SONG COVERS』のCHART insight。折れ線グラフの黒は総合順位、黄色はアルバムCDセールス、紫はダウンロード、オレンジはルックアップを示します。)

 

さて、森口博子さんはその後、鮎川麻弥さんとの共演作をリリースしました。10月23日リリースのダブルAサイドシングル「追憶シンフォニア / 果てないあの宇宙へ」は、SANKYO『フィーバー 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』搭載曲となっています。

鮎川麻弥さんも以前『機動戦士ガンダム』シリーズで楽曲が用いられており(テレビアニメ『機動戦士Ζガンダム』(1985-1986 名古屋テレビ / テレビ朝日)前期オープニング「 Z・刻をこえて―Better Days Are Coming―」等)、このタッグでのリリースは『GUNDAM SONG COVERS』同様話題になるかと思ったのですが、「追憶シンフォニア」はシングルCDセールス指標が初めて加算された11月4日付ビルボードジャパンソングスチャートで100位以内に入ることは出来ませんでした。

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(上記は「追憶シンフォニア」のCHART insight。折れ線グラフの黄緑はラジオエアプレイを、水色はTwitterを示します。Twitter指標は総合同様、3週連続で100位圏外(300位以内)となっています。ソングスチャートを構成する指標群については後述します。)

「追憶シンフォニア」が100位以内を逃した原因は、シングルCDセールスは19位と好調ながらルックアップが40位と乖離していることがまずは大きいと言えます。ルックアップはレンタル店の回転数やそもそもの導入動向を捉える指標であることを踏まえるに、もしや…と思い調べると、その予感は当たっていました。

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弘前地区のTSUTAYAは上記弘前店の他、弘前樹木店とも未入荷(他方MORIOKA TSUTAYAの導入は確認)、GEO弘前安原店でも同様でした。GEO青森柳川店は青森県のレンタル店で最も品揃えが多く、『GUNDAM SONG COVERS』もレンタル解禁日より導入したこともあってか今回のシングルもきちんと入っていたのですが、他店舗の状況を踏まえるに『GUNDAM SONG COVERS』の教訓が生きていない…厳しくもそう言い切っていいでしょう。1枚でも導入されていたならば、そして『GUNDAM SONG COVERS』と同時展開していたならば…と、その機会損失っぷりを強く残念に思います。

そして同時に、今作がデジタル未展開なのも気になります。ミュージックビデオが用意されていないこともさることながら。

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「追憶シンフォニア」はダウンロードサービスのiTunes Storeで未導入、サブスクリプションサービスのSpotifyでも未解禁を確認…その状況は、『GUNDAM SONG COVERS』が発売から1ヶ月以上経ってデジタルを解禁した展開をなぞっているように思われます。おそらく「追憶シンフォニア」等も後日デジタル解禁されるものと思われますが、この展開手法にも疑問が。ビルボードジャパンアルバムチャートは3指標で構成されているのに対し、ソングスチャートは8指標に基づくもの。今回加算対象となっているシングルCDセールス、ルックアップ(この2指標は乖離してはいますが)、ラジオエアプレイ(対象ラジオ局のOA回数に人口を加味したもの)、Twitter(ひとつのツイートに歌手名と曲名と共に記載したもの)は比較的強いと言える一方、ダウンロード、ストリーミング(サブスクリプションサービスの再生回数および歌詞サイトの閲覧回数)、動画再生、そしてカラオケ(この指標はリリースから数週経ってランクインするのが通常ですが)という4つの指標が未加算ゆえ、総合チャートでの100位以内ランクインを逃してしまったのでは、と考えます。

 

GUNDAM SONG COVERS』の好調っぷりを踏まえ、森口博子さんは今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)に復帰を果たす可能性があるのではと考えていました。しかし制作側が仮にアルバムのみで判断を保留した場合、今回のシングルで見極めるだろうと想像出来、今回のシングルがビルボードジャパンソングスチャートで十分な成績を残せなかったことで出場の可能性は微妙となったのではと懸念しています。『NHK紅白歌合戦』出演者の選出基準がオリコンよりビルボードジャパンのチャート成績にあると考えるゆえ、尚の事です。

 

デジタル導入を見送ったことの判断が正しかったのか、レコード会社は自問自答する必要があるでしょう。またレンタルチェーンにおいては、いわば"血の通った" "心がこもった"作品導入が出来ていないことを深く省みる必要があります。アルバムの傾向を踏まえれば、レンタルチェーンもレコード会社も今回のシングルが売れるだろうことを理解出来たはずであり(そして実際にセールス面では結果を出していたわけで)、レコード会社はレンタルチェーンに働きかけてよかったのではないでしょうか。

Official髭男dism「Pretender」最高ポイント更新、LiSA「紅蓮華」三度目のピークへ…11月4日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点をソングスチャート中心に紹介します。今週のソングスチャートを制したのはSexy Zone麒麟の子」でした。

Sexy ZoneTwitter指標でも強さを発揮。

シングルCDセールスが強い楽曲は前週のランクが極端に低いことが多いのですが(後述の今年度1位獲得曲一覧をご参照ください)、Sexy Zone麒麟の子」の前週は32位。デジタル指標群が弱いジャニーズ事務所所属歌手にあって、Twitter指標に長けていることが高位置に登場した要因と言えます。一方でシングルCDセールス指標がダウンする次週、どこまで踏みとどまるかに注目です。

 

さて、今回注目したいのはOfficial髭男dism。

Official髭男dism「Pretender」、最高ポイントを獲得

前週遂にソングスチャートを制したOfficial髭男dism「Pretender」。今週Sexy Zoneが1位を獲得することは予想出来ていましたが、「Pretender」はワンランクダウンにとどまった上、今週最高ポイントを更新したのです。

「Pretender」については前週、週毎のポイントを含むチャート推移を記載しています。

そして、今年度1位獲得曲における翌週の動向をみると、翌週のポイントが前週比100%を超えるのは今回が二度目。

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([前週]は前週の順位、左の[P]は首位獲得週の総合ポイント、[CD]は同週のシングルCDセールス指標の順位、[翌週]は翌週の順位、右の[P]は翌週の総合ポイント、[前週比]は翌週におけるポイント前週比、ポイントの[※]は翌週50位未満となったためポイントが不明であることを示し、翌週のポイントが不明なものは前週比の欄に[(計測不能)]と記載しています。)

前回は1月7日→1月14日付における米津玄師「Lemon」。ポイント倍増の理由は、1月14日付の集計期間が昨年の大晦日からの1週間であり、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出演効果とみられます。

 

今週なぜ数字を伸ばしたかについては、ビルボードジャパンストリーミングソングスチャートの記事に記載されています。

10月25日にはペンタトニックスによる「Pretender」アカペラ・カヴァーが公開、26日からは新アルバムを引っ提げた全国ツアーがスタートするなど、トピックの絶えないOfficial髭男dism。今週もトップ100に15曲がエントリーしており、その総再生回数は3,000万回を超えた。

ペンタトニックスによる日本語バージョンの「Pretender」は話題に。

このインパクトは大きく、カバーバージョンはTwitter指標でトップ10入り。そして同指標ではオリジナルバージョンも並んでランクインしています。

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(上記CHART insightにおける水色の折れ線グラフがTwitter指標。)

さらに、ツアー初日の模様についてはOfficial髭男dismの公式Twitterアカウントで発信。

その翌日、27日日曜にはアルバム『Traveler』特別CMがOA。

ペンタトニックスのカバーがOfficial髭男dismにとってサプライズだったかは判りかねますが、畳み掛けるようなスケジュールで彼らへの熱が持続した結果、ストリーミング指標のカウント対象となるサブスクリプションサービスにおいて史上初となる週間再生数600万回超えを達成したものと考えられます。

アルバム『Traveler』が前週末からレンタル解禁となったことで、アルバム収録曲の「Pretender」をはじめ「宿命」「Stand By You」のシングルCDセールスおよびルックアップ指標は今後収束するだろうとは思われます。しかしながら既にロングヒットの波に乗っていることや、今後年末年始の歌番組出演、『NHK紅白歌合戦』への出演(これは間違いないでしょう)を機に、米津玄師「Lemon」同様にOfficial髭男dismが年始のチャートを席巻する可能性があるかもしれません。

 

●LiSA「紅蓮華」、サブスクリプションサービス解禁で三度目のピークを目指す

LiSAさんがサブスクリプションサービスを解禁したのは10月21日月曜。公式Twitterアカウントをみると下記ツイートの発信が同日午前0時であり、集計期間をフルに活用していることが解ります。

ニューアルバムからの先行曲「unlasting」も同時に解禁され16位に初登場したのみならず、「紅蓮華」は15位に上昇。ストリーミング指標16位というのはLiSAさんの全楽曲の中で同指標最高位となります。

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(上記CHART insightにおける青の折れ線グラフがストリーミング指標。他方、後述する動画再生指標は赤で表示。)

「紅蓮華」は先行リリースされたダウンロードが初めて反映された5月6日付、およびシングルCDセールスが初めて反映された7月15日付で共に最高位となる5位を獲得。CDリリース後は一旦55位までダウンするもののその後はカラオケ人気と共に上昇し、今回ストリーミング指標が大きく飛躍したことで15位に達しました。この人気は4~9月に放送され、「紅蓮華」がオープニングテーマに起用されたテレビアニメ『鬼滅の刃』(TOKYO MXほか)に因るものが大きくまた映画公開も決定したことから、テレビアニメは終了したものの「紅蓮華」人気は続くかもしれません。

ちなみに自分は、Spotifyバイラルチャート(SNSで引用されている人気の楽曲を示すもの)でヒットしている、RADWIMPS野田洋次郎さんのソロプロジェクト、illionの2013年の楽曲「GASSHOW」から『鬼滅の刃』(の人気)にたどり着きました。その点について、Real Soundにて紹介しています。

LiSA「紅蓮華」がさらなるヒットを掴むためには、ラジオエアプレイ以外の接触指標群で唯一弱い動画再生指標を上げることが必要と思われます。YouTubeで現在公開されているミュージックビデオはショートバージョンであり、フルバージョンでないものが再生回数を伸ばさないことは弊ブログで以前から述べていること。レコード会社等の英断を願うばかりです。

 

●Foorin「パプリカ」、動画再生指標が遂に100位以内に

以前からずっと指摘してきたことが、ようやくという感じです。

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Foorin「パプリカ」については前週、動画再生指標が100位圏外(300位以内)に初めて登場したタイミングで一度記載しました。

そして今回、遂に動画再生指標が100位以内に入りました。NHKYouTubeアカウントから発信された動画に同指標加算対象の条件である国際標準レコーディングコード、ISRCが付番されたと考えていいでしょう。

(なお、動画説明欄に楽曲クレジットは未記載となっています。)

ビルボードジャパンソングスチャートの社会への浸透に合わせて、レコード会社や芸能事務所がISRC付番を意識するようになってきたかもしれませんが、YouTubeにアカウントを持つテレビ等のメディアもまた意識付けを徹底する必要があるでしょう。

カニエ・ウェスト、AIに取り上げられるゴスペル界の大御所、フレッド・ハモンドに注目

先週末、遂にリリースされたカニエ・ウェスト初のゴスペルアルバム『Jesus Is King』はチャート上でも好調で、米ビルボードソングスチャートでは前作『Ye』(2018)を上回る初動を獲得すると予想されています。ソングスチャートについてはブログ等で記載する予定です。

 

この『Jesus Is Kingにはタイ・ダラー・サインやクリプス、意外なところではサックスプレイヤーのケニー・Gが参加していますが、「Hands On」におけるゴスペル歌手のフレッド・ハモンドの客演クレジットにはいい意味で驚かされました。たしかにカニエ・ウェストは『The Life Of Pablo』(2016)でゴスペル歌手のカーク・フランクリンを招聘した過去があり、いや遡ればファーストアルバム『The College Dropout』収録のシングル、「Jesus Walks」ではARC(・ゴスペル)・クワイア「Walk With Me」をサンプリングしたことを考えれば、ゴスペルへの傾倒は昔からあるのですが。そんな中で今回カニエが客演に迎えたのはフレッド・ハモンドでした。

暗闇の中の波のような不穏な音に絡むのはフレッド・ハモンド独特のテナーボイスによる声の重なり。これが実にトラックに合っていますね。とあるブログでフレッドの声を苦手だとする意見を見かけたのですが、このトラックは最高に合っているように思います。

 

フレッド・ハモンドは1960年生まれで現在58歳。1985年、ゴスペルグループのコミッションドのオリジナルメンバーとしてデビュー。同グループには「Never Would Have Made It」で大ヒットを飛ばすマーヴィン・サップも在籍していたことで知られています。コミッションドとしてデビューする前にはゴスペルトリオのワイナンズにベースプレイヤーとして参加しており、フレッドは1980年代前半からゴスペル界で認知されているのです(フレッドがベース弾きであることは後のソロアルバム『Somethin 'Bout Love』(2004)のジャケットをみると解ります)。コミッションドを脱退した後、フレッドは自身のクワイアであるラディカル・フォー・クライストを率いてアルバム『The Inner Court』(1995)をリリース、以降ソロとしてのキャリアを築いていきます。フレッドはゴスペル音楽界における3大音楽賞…グラミー賞(ゴスペル部門)、ステラ-賞およびドーヴ賞を全て受賞し、現在も活動を続けるゴスペル界の大御所なのです。

 

実はつい先日、スタッフの一員を務めるラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)でゴスペル的J-Popという音楽特集を担当した際、自分が一時期在籍していたHIRO's MASS CHOIRのオリジナル曲を紹介したのですが。

クワイアではフレッドの楽曲もカバーしていて、個人的にはかなり好きな一曲でした。それが「Glory To Glory To Glory」。

ベストアルバムにも収められているのでCDとしても手に取りやすいと思います。

一方で、R&B好きからゴスペルを聴くようになった身には、フレッドがR&B的な音(コンテンポラリーゴスペル)も奏で、柔軟性が高いということも好きな理由のひとつ。ケニー・ラティモア&シャンテ・ムーアというカップルのゴスペル作を手掛けたり、またデイヴ・ホリスター、エリック・ロバーソンというR&B界のベテランおよびゴスペル界新鋭のブライアン・コートニー・ウィルソンと組んだユナイテッド・テナーズというグループも忘れられません。

 

ゴスペル界においてトラディショナルな形にこだわらないフレッド。実は1990年代中盤以降にヒップホップ界で名声を博したパフ・ダディことショーン・コムズが自身のレーベルであるバッド・ボーイからリリース予定だったゴスペルアルバムにフレッドが参加したという話があり、そこからもフレッドのフレキシブルな姿勢を感じられます。バッド・ボーイの所属歌手が大挙参加したこのアルバムはリリースされることはありませんでしたが、「You」という楽曲はリリース済。ちなみにこの曲にはフレッドは参加せず、同じゴスペル界の大御所であるヘゼカイア・ウォーカーがクレジットされています。

フレッドがヒップホップレーベル作品に参加したのが事実であれば、今回のカニエ・ウェスト『Jesus Is King』につながっているのかもしれません。

 

ちなみにフレッド・ハモンドには別角度からも注目が。来週の今日リリースされるAIさんのデビュー20周年記念アルバム『感謝!!!!! -Thank you for 20 years NEW & BEST-』にはフレッドの代表曲のひとつ、「No Weapon」のカバーが収録されるのです。

AIさんの今作にはこの他、自身の代表曲5曲のゴスペルバージョン、そしてゴスペル界の異端児ともいえるB・スレイドとのコラボレーションも収録されており、間違いなくゴスペルな一枚に。フレッドとB・スレイドとがひとつのアルバムで揃うというAIさんの幅の広さに感銘を受けると共に、カニエ・ウェストにも取り上げられたフレッド・ハモンドの、そしてゴスペル自体の音楽ジャンルとしての魅力がひとりでも多くの方に伝わったならば心から嬉しく思います。

ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」が遂に全米制覇、次週はカニエ・ウェストが席巻か…11月2日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の10月28日月曜に発表された、11月2日付最新ソングスチャート。前週首位に返り咲いたリゾ「Truth Hurts」が陥落、ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」が初の首位に輝きました。

「Someone You Loved」については、なかなかトップ10出来ない状況であったことからこの曲に特化したエントリーを書いたことがあります。

その際も紹介したのが、上記ミュージックビデオとは異なる新たな作品。

この2つ目のミュージックビデオ公開が功を奏し、エントリー記載の翌週(9月21日付)では9位に上昇。初のトップ10入りを果たした後は4→3→3→5→3位と順調に推移し、遂に今回初の首位を獲得したのです。ソングスチャート(Hot 100)初登場から24週目での1位獲得は、ローンスター「Amazed」(2000 31週)、ジョン・レジェンド「All Of Me」(2014 30週)、クリード「With Arms Wide Open」(2000 27週)、ヴァーティカル・ホライズン「Everything You Want」(2000 26週)に次ぐ歴代5位の遅咲き記録となります。

ソングスチャートを構成する3指標をみると、ラジオエアプレイは前週比2%ダウンの1億560万(同指標2位)、ストリーミングは同2%アップの2520万(同8位)、そしてダウンロードは同41%大幅アップの24000(同2位)に。ダウンロードの急伸は、アメリカのテレビ局ABCで放送されたダンスリアリティ番組『Dancing With The Stars』で用いられたことが大きいと見られます。

前週返り咲きで通算7週目の首位を獲得したリゾ「Truth Hurts」は2位に後退。ラジオエアプレイは前週比3%ダウンの1億1190万(同指標首位)、ストリーミングは同7%ダウンの2170万(同11位)、ダウンロードは同15%ダウンの17000(同5位)となり、「Someone You Loved」にはラジオエアプレイで勝るもののデジタル2指標で逆転された形となりました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (3位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

2位 (1位) リゾ「Truth Hurts

3位 (2位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

4位 (4位) ポスト・マローン「Circles」

5位 (5位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

6位 (9位) リル・ナズ・X「Panini」

7位 (6位) トラヴィス・スコット「Highest In The Room」

8位 (7位) リル・テッカ「Ran$om」

9位 (8位) ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」

10位 (11位) ダン+シェイ feat. ジャスティン・ビーバー「10,000 Hours」

今週は首位が入れ替わったほか、 ダン+シェイ feat. ジャスティン・ビーバー「10,000 Hours」がトップ10に返り咲いたのがトップ10内の主だったトピックですが、11位以下は新たなトップ10入りを狙う作品が続々と。11位にはマルーン5「Memories」が、13位にはエド・シーラン feat. カリード「Beautiful People」が共に1ランクアップ。またリゾ「Good As Hell」は20→14位に上昇。これはラジオエアプレイが前週比22%大幅アップの5240万を獲得したことが主な要因ですが、この曲は次週さらなる飛躍を遂げる可能性が。

先週金曜に公開されたのが、アリアナ・グランデを迎えたリミックスバージョン。デジタル2指標の集計期間が金曜はじまりであり、次週はこのバージョンが集計期間フルでカウントされることに。リゾにとって「Truth Hurts」に次ぐトップ10入りなるか注目です。

そして。

セレーナ・ゴメス「Lose You To Love Me」が15位に初登場を果たしました。リリースは前週水曜であり、デジタルの集計期間はわずか2日のみ(ラジオは日曜〆のため5日間)ですが、ダウンロードは36000を獲得し同指標首位、ストリーミングは1530万で同20位にそれぞれ初登場。ラジオエアプレイは50位未満ながら1410万を獲得しています。実はセレーナ、この翌日には新曲「Look At Her Now」もリリース。

Spotifyデイリーチャートを見る限りでは「Lose You To Love Me」が「Look At Her Now」よりも勢いがあることから、次週は「Lose You To Love Me」のトップ10入り、「Look At Her Now」も高位置に登場することが予想されます。

 

さて次週は、なんといってもカニエ・ウェスト初の(フル)ゴスペル作『Jesus Is King』の動向に注目。前作『Ye』(2018)は初登場でアルバムチャートを制し、同週のソングスチャートで8~36位に収録曲が軒並み登場したのですが。

『Jesus Is King』のSpotifyの動向をみると、アルバム収録の全11曲は10月27日付デイリーチャートにおいて1~26位に登場(それも「Jesus Is Lord」が26位で、その他は14位以内に10曲ランクイン)。『Jesus Is Lord』の初動が前作超えとなるのではという見方もあり、次週のソングスチャートはカニエ・ウェストとセレーナ・ゴメス、リゾによって一気に動くかもしれません。特に『Jesus Is King』からリリックビデオが公開された「Follow God」はサブスクリプションサービスで最も聴かれているゆえ要注目です。

昨日のラジオ音楽特集、【ゴスペル的J-Pop】曲目リスト

昨日、スタッフのひとりを担当するラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)にて【ゴスペル的J-Pop】回を担当しました。お聴きくださった皆さんに感謝申し上げます。なかなかにコアな特集ではありますが、新しい発見や気付きが生まれたならば幸いです。

ゴスペル的J-Popの楽曲群については先日もお伝えしましたが、Spotifyでプレイリストを公開中です。

プレイリストでの説明文に掲載した【】内がゴスペル的J-Popの条件(あくまでの自分内の基準)ですが、それに加えて【"You"を神様と差し替えても違和感のない歌詞】も該当します。ゴスペルにおいて、神様を示す言葉はJesusやGod、Lordなどがありますが、あなた(たち)を指す"you"のyを大文字にした"You"もまた、神様を示す言葉となります。

 

そんなわけで、昨日ラジオでおかけした曲を。特集以外の時間は本場ゴスペル曲をお送りしました。

2019年10月27日放送『わがままWAVE It's Cool!』

 音楽特集【ゴスペル的J-Pop】曲目リスト

 

01. エドウィン・ホーキンス・シンガーズ「Oh Happy Day」

02. Hiroyuki Kimura & HIRO's MASS CHOIR「主の御名をたたえよ」

(ここから特集)

特集OP. 中島美嘉「ALL HANDS TOGETHER」

03. AI「ハピネス」

04. Foorin「パプリカ」

05. 浜崎あゆみ「Bold & Delicious」

06. RADWIMPS feat. 三浦透子「グランドエスケープ (Movie edit)

07. 花*花「あ~よかった (setagaya-mix)」

08. Official髭男dism「Stand By You (Acoustic ver.)」

(特集終わり)

09. カーク・フランクリン「Love Theory」

では楽曲毎に解説を。

 

「Oh Happy Day」は日本でヒットした映画『天使にラブ・ソングを2 (原題:Sister Act 2: Back in the Habit)』(1993 日本では翌年公開)でも用いられたゴスペル有名曲。今回はエドウィン・ホーキンス・シンガーズによるオリジナルバージョンをOA。リリースからちょうど半世紀が経過しました。

 

「主の御名をたたえよ」は、自分が関東在住時代に在籍していたゴスペルクワイア、HIRO's MASS CHOIRのファーストアルバム『Unconditional Love』収録曲。自分がラジオで紹介するのは初めてかもしれません。レコーディングや大舞台でのライブも経験する等、沢山の刺激をいただきました。このことについては何度かブログで記載していますが、代表的なエントリーを下記に。以下、楽曲毎にエントリーを紹介します。

 

中島美嘉「ALL HANDS TOGETHER」はゴスペル的J-Popというよりもはやゴスペル。リリース前年に発生したハリケーンカトリーナで甚大な被害を受けたニューオーリンズへのチャリティシングルとしてリリース。前作のブルースナンバー「Cry No More」と合わせて彼女の本気度を強く感じたのは勿論のこと、作曲で参加したCOLDFEETのロリ・ファインさんとの相性の良さを実感。このタッグで一枚アルバム出してほしいくらいです。

 

AI「ハピネス」はこれからの季節を彩るもはやクラシックと化した楽曲。本場仕込の歌声は勿論のこと、ピュアな子どもたちの声をクワイアに代えればゴスペルとして成り立つこと必至。"君が笑えば"の"君"を神様に置き換えてもしっくりくるはずです。来週リリースされるベストアルバムにはこの曲をはじめ、代表曲5曲がゴスペルバージョンとして再録されます。

 

Foorin「パプリカ」はなぜかYouTube動画をきちんと貼付出来ないので、リンク先はこちらに。ゴスペル的ではないものの、歌詞にはゴスペルでよく用いられる"ハレルヤ"が使われています。また歌詞に出てくる"あなた"は子どもたちが歌うには大人びていると思うのですが、このあなたを神様に置き換えてもしっくりきそう。米津玄師さんがこの曲にゴスペル的な息吹を意識して与えたのかどうか、伺ってみたいところです。

 

浜崎あゆみ「Bold & Delicious」は個人的には彼女の曲の中で一番好きなのですが、彼女のファンの方からすれば首を傾げると聞いたことがあります。しかしここまでクワイアの現場感を出しているJ-Popは少なく、彼女の本気を感じた次第。

 

一昨日YouTubeプレミアで一度だけ公開されたのが「グランドエスケープ」ミュージックビデオ(一般公開はない模様)。映画『天気の子』は未見なのですが、「グランドエスケープ」が用いられたシーンではゴスペルが持つ希望や前向きな意志がシーンに合っていたと聞きます。RADWIMPSは以前、『RADWIMPS 4~おかずのごはん~』(2006)でゴスペル的アプローチを施しており、彼らにとってゴスペルは身近なものなのかもしれません。

 

「あ~よかった」はインディーズ時代から歌っていたものを花*花がメジャーデビュー曲として用意(その際"setagaya-mix"として再レコーディング)。当時はゴスペル的だと意識していませんでしたが、彼女たちが『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)でこの曲を披露したときにゴスペルだと実感。

 

今年を代表する歌手となったOfficial髭男dismが昨秋リリースしたEPの表題曲「Stand By You」。ミュージックビデオで描かれるのはバンド仲間と共に歩む姿ですが、アコースティックバージョンではシンプルにピアノとコーラス、ハンドクラップのみで構成。シンプルながらふくよかな音の鳴りがゴスペル的だと思ったのですが、とあるインタビューで録音(録画)場所が教会だと知り深く納得。しかも「Stand By You」自体、昨年観たチャンス・ザ・ラッパーのライブに感化されてゴスペル的にアレンジし直したとのこと。元々ソウルアプローチに長けているOfficial髭男dismですが、ゴスペルを手掛けても本格的で、実力派であることがよく解ります。 無論、歌詞の"You"を神様に置き換えても成立しそうですね。

 

特集終了後は、先月来日公演を行ったカーク・フランクリンによる、今年のゴスペル界を代表するヒット曲「Love Theory」を。米ビルボードゴスペルソングスチャートでは初登場から現在まで38週続けて1位を獲得。星野源さんがApple Music内ラジオ番組で(別曲ですが)紹介したり、先述したチャンス・ザ・ラッパーやカニエ・ウェスト等の作品にも参加するなど、ゴスペルのみならずヒップホップでも欠かせない存在となっています。

 

 

実は先週末リリースされた、ラッパーのカニエ・ウェストの最新アルバム『Jesus Is King』は、タイトルからも解るように全編がゴスペル。今年のコーチェラ・フェスティバルでもゴスペルパフォーマンスを披露したカニエが本格的に取り組んだこの作品は、サブスクリプションサービスで高い再生回数を誇っています。加えてこの1年でAIさん、Official髭男dism、RADWIMPSによるゴスペルアプローチ作品が用意され、またFoorin(および曲を手掛けた米津玄師さん)もゴスペルを想起させる作品を作っていることから、今後ゴスペルがトレンドとなるかもしれません。