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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

岡村靖幸さらにRHYMESTER「マクガフィン」本日リリース、その前に松任谷由実が抱いた違和感の正体を考える

岡村靖幸さんとRHYMESTERによるコラボレーション曲、"岡村靖幸さらにRHYMESTER"名義による「マクガフィン」が本日デジタルリリースされました。

さて、リリース前の動きで気になったのが、先週金曜にRHYMESTER宇多丸さんが松任谷由実さんを論破した?という話。この日放送の『松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送 月一回金曜22時)に宇多丸さんがゲストで出演し、「マクガフィン」の感想を松任谷由実さんに尋ねたところ、松任谷さんが微妙なリアクションをしたこと。宇多丸さんは曲がかかっている最中に説明し、納得してもらえたようです。この日の放送はみやーんさんが書き起こされていますのでそちらを是非(勝手ながら紹介させていただきました。問題があれば削除いたします)。

で、個人的に引っ掛かったのは『結局はライムのものなんじゃないかな?』という松任谷さんの問いかけ。RHYMESTERをライムと呼ぶのは個人的には新鮮でしたがそれはさておき、そこで考えたのは、松任谷さんと宇多丸さんで、"岡村靖幸そしてRHYMESTER"の"そして"の部分に認識のズレがあるのでは?ということ。【シンガー feat. ラッパー】の曲構成は通常、2番サビまでシンガーが担当した後ラッパーが登場し最後のシンガーによるサビへと繋がります。逆に【ラッパー feat. シンガー】の場合はサビの部分をシンガーが、その他の部分はラッパーが担うことが慣例ではないでしょうか。"岡村靖幸さらにRHYMESTER"については、仮に"さらに"をfeat.に置き換えれば2番サビまで岡村さんが、その後RHYMESTERが務めて岡村さんの最後のサビに至るというのが一般的であり、もしかしたら松任谷由実さんはその一般的な【シンガー feat. ラッパー】理論を当てはめようとしたのかなと。尤も宇多丸さんはラジオで初のコラボ発表の際にfeat.的な意味合いでの"さらに"だと話してはいたのですが(宇多丸 岡村靖幸さらにライムスター『マクガフィン』初披露を語る - miyearnZZ Labo(10月21日付)参照)、とはいえRHYMESTER客演参加曲において彼らはシンガーと同等の活躍をする場合が多く、一般的な【シンガー feat. ラッパー】構造には当てはまらないのは過去の作品例からも言えるわけです。

そういう意味で、"岡村靖幸さらにRHYMESTER"はfeat.ではなく"&"と捉えるのがいいのかもしれません。

(ちなみに日本におけるfeat.の概念が"loves"や"joins"などで言葉遊び的に言い換えられたり、グループに所属しながら"feat."がつくことでスポットを当てたりする傾向もあり、また海外ではEDMプロデューサーの楽曲にシンガー等が招かれる際EDMプロデューサーは歌っておらず客演者のみの声が聴こえるわけで。フィーチャーモノの形式はどんどん変わってきていると言えそうです。)

 

その、岡村靖幸さらにRHYMESTERマクガフィン」は今日ミュージックビデオも解禁されました。

水曜リリースに間に合わせて制作されたという(前日の『アフター6ジャンクション』(TBSラジオ 月-金曜18時)では鋭意制作中との話でした)、このミュージックビデオの見事なところは、同曲を初披露した岡村靖幸さんのライブにおける実際の音声を終盤に重ねる点。スクラッチを強調したり曲中のMCを挟むことでライブ感が増幅されるのは勿論のこと、配信された楽曲とは音声が異なるためダウンロードでの所有やサブスクリプションサービスでの接触を促すことも可能となりミュージックビデオにおけるいい意味での差別化、プレミアム化が図れているのです(無論、ライブを体感出来るという点においても)。月曜リリースにしていたならばビルボードジャパンソングスチャートでも1週間フルにカウント出来たのにと思いつつ、このひたすらセクシーな両者の化学反応を聴きまくって溺れようと思います。

ポスト・マローン「Circles」が首位到達、次週はグラミー賞ノミネート&アメリカン・ミュージック・アワード効果が出るか…11月30日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードソングスチャート速報。現地時間の11月25日月曜に発表された、11月30日付最新ソングスチャート。通算3週首位を獲得したルイス・キャパルディ「Someone You Loved」が陥落、ポスト・マローン「Circles」が初のナンバーワンに輝きました。

ストリーミングは前週比2%アップの2340万(同指標5位)、ダウンロードは同7%ダウンの14000(同6位)、ラジオエアプレイは同3%アップの9110万(同3位)と各指標が堅調に推移し、ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」を逆転しました。ポスト・マローンはこれで通算4曲目となる首位を獲得(トゥエニーワン・サヴェジをフィーチャーした「Rockstar」(2017)、タイ・ダラー・サインを招いた「Psycho」(2018)、スウェイ・リーとの「Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)」(2019)に次ぐ)。「Rockstar」が初の首位を獲得した2017年10月28日付から現在に至るまでに4曲の首位を輩出したのはポスト・マローンのみとなり、2018年に3曲が1位を獲得したドレイクを逆転しました。「Circles」は2019年のチャートで13曲目の首位獲得となり、2011年以来のハイペースとなります。

リゾ「Good As Hell」がワンランクアップし自身2曲目となるトップ3入り、またマルーン5「Memories」も同様にワンランクアップし最高位となる4位に到達しています。共にラジオエアプレイが好調で、前者は前週比10%アップの9420万(同指標1位)、後者は同24%アップの5370万(同13位)に至っています。

ビリー・アイリッシュ「Everything I Wanted」が前週の74位から8位に急上昇、自身2曲目のトップ10入りを果たしました。この曲のリリースは11月13日水曜であり前週のチャートではデジタル2指標が2日間、ラジオエアプレイが5日間分の集計期間でしたが、今週は集計期間フルでカウントされたことでストリーミングは750万→2640万(同指標2位)、ダウンロードは10000→17000(同2位)と上昇。ラジオエアプレイは前週の数字が米ビルボードで表示されていないものの今週は490万を獲得しています(同指標50位未満)。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (2位) ポスト・マローン「Circles」

2位 (1位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

3位 (4位) リゾ「Good As Hell」

4位 (5位) マルーン5「Memories」

5位 (8位) セレーナ・ゴメス「Lose You To Love Me」

6位 (3位) ショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Señorita」

7位 (7位) クリス・ブラウン feat. ドレイク「No Guidance」

8位 (74位) ビリー・アイリッシュ「Everything I Wanted」

9位 (10位) ダン+シェイ & ジャスティン・ビーバー「10,000 Hours」

10位 (6位) リゾ「Truth Hurts

もうすぐトップ10。アリゾナ・ザーヴァス「Roxanne」が12位に上昇しています。

レコード会社未所属ながらTikTokで火が付き、米Spotifyデイリーチャートを制覇したこの曲、今週はビリー・アイリッシュを押さえてストリーミングで初の首位を獲得しました(前週比44%アップの2990万)。今月半ばにレコード会社と契約を結んだことで、ラジオエアプレイ等でもヒットするか注目です。

 

さて次週は、先週発表された来年開催のグラミー賞のノミネーション効果が集計期間フルに反映されるため対象作品に注目。また11月24日日曜に開催された【2019 アメリカン・ミュージック・アワード】の受賞結果も活きてきます。前者では最優秀アルバム賞を逃しながらも後者ではノミネートされた5部門全てを受賞したテイラー・スウィフトは、最新シングルでありショーン・メンデスの客演版も加わった「Lover」がどこまで上昇するでしょうか。なお「Lover」は今週ダウンロードが20000を獲得し同指標首位に、またストリーミングは前週比56%アップの1590万(同指標21位)、ラジオエアプレイは同6%アップの3520万(同25位)となり、総合では26→15位と上昇しています。

上記のスノードームを用いた動画は先週金曜に公開されたもの。クリスマスを意識したようなアプローチは2年前のエド・シーラン「Perfect」を思わせます。ちなみに「Perfect」は後にビヨンセを招いたバージョンも制作され、全米1位を獲得するに至っています。

今年度のトップ10ヒットはわずか2曲…日本で洋楽がヒットしなくなった状況を懸念する

今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場歌手発表後、演歌枠の変化のなさ等を憂い問題提起したところいつも以上の反響をいただきました。何かしらのヒントになるならば嬉しく思います。

 

さて、演歌共々ちょっとピンチではないかと思うのが洋楽。K-Popはムーブメントが続き人気が常態化していること、韓国語版がリリースされても後に日本語版も登場しビルボードジャパンソングスチャートでは合算されるのでここで言うところの洋楽からは除きますが、一方でアメリカやイギリス等の作品がこのところあまりヒットしていないという状況には驚かされます。シングルCDセールス指標に係数が用いられはじめた2017年度以降、2017年度年間ソングスチャートでは50位以内に洋楽が5曲(2位にエド・シーラン「Shape Of You」、11位にオースティン・マホーン「Dirty Work」、21位にジャスティン・ビーバー「What Do You Mean?」、28位にザ・チェインスモーカーズ feat. ホールジー「Closer」、38位にブルーノ・マーズ「24K Magic」)だったのが、翌2018年度は14位に「Shape Of You」が入ったのみにとどまっています。そして今年は年間チャート50位以内に1曲も入らないのではないかと懸念し、今年度のビルボードジャパンソングスチャート、週間チャートで1週でも20位以内に入った曲を調べてみました。

 

・クイーン「Bohemian Rhapsody」(期間内最高11位)

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マライア・キャリー「All I Want For Christmas Is You」(期間内最高16位)

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ダイナソーJr.「Over Your Shoulder」(期間内最高18位)

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アヴィーチー feat. アロー・ブラック「SOS」(期間内最高19位)

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・ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」(期間内最高17位)

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テイラー・スウィフト feat. ブレンドン・ユーリー(パニック!アット・ザ・ディスコ)「Me!」(期間内最高6位)

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エド・シーラン & ジャスティン・ビーバー「I Don't Care」(期間内最高10位)

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・メナ・マスード & ナオミ・スコット「A Whole New World」(期間内最高19位)

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・フィッツ & ザ・タントラムズ「HandClap」(期間内最高20位)

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調べる限り9曲が登場。動画再生指標の強いダイナソーJr.に関しては同曲が以前用いられていたバラエティ番組が違法アップロードされその動画にISRCが付番されていたこと、フィッツ & ザ・タントラムズTikTokの動画が人気になり日本のYouTuber等も投稿、そこに付番されていたことが理由と考えられます。

この中で年間チャート50位以内を狙えるのはクイーン「Bohemian Rhapsody」でしょうか。映画の大ヒットに伴い過去曲が(リバイバル)ヒットする状況は、動画再生指標の強い先述した2曲についても同様です。

ビリー・アイリッシュ「Bad Guy」については、客演有無やリミックスは別扱いとなるビルボードジャパンのチャートポリシー(ルール)により、ジャスティン・ビーバー客演版が別カウントとなっていました。これが加算されればもう少し伸びたわけで勿体無いと考えます。リミックス等は音楽の楽しさを増やす点において、また戦略という意味でも合算すべきと考えます。

一方、戦略を用いたのはテイラー・スウィフト。「Me!」が秋になってストリーミング指標が突如急伸したのは以下のキャンペーンに因るもの。

Taylor Swiftの楽曲「ME! (feat. Brendon Urie of Panic! At The Disco) (feat. Brendon Urie)」をたくさん聴くと、11/6(水)に開催される「Taylor Swiftスペシャル・ファン・イベント」へご招待!

(中略)

③Taylor Swiftの楽曲「ME! (feat. Brendon Urie of Panic! At The Disco) (feat. Brendon Urie)」をより多くLINE MUSICでフル尺再生で聴いた上位30名様が当選となります。

( キャンペーンは終了しています。)

上記キャンペーンはTwitterにてフォロワーの方より教えていただきました(この場を借りて御礼申し上げます)。「Me!」は11月4日付でストリーミング指標11位、総合44位に再浮上しましたが他指標が伴っていないこともあり、この不自然さは果たして社会的ヒットと言えるのかという違和感が拭えないのですが、逆に言えばビルボードジャパンソングスチャートの特性を活かした戦略とも言えますし(ならば他指標も同時に伸ばす戦略にしないと違和感を招くだけとは思いつつ)、そしてこういう戦略に至らない限り洋楽をヒットに至らせるのは極めて難しいのではないかと捉えています。

 

国内の大型フェスでは海外歌手が多く招聘され、またコーチェラ・フェスティバルをはじめ海外フェスの生配信も楽しめるようになった日本において、洋楽がヒットしていない状況は問題と考えます。洋楽が人気を獲得していない理由はいくつか考えられますが、たとえばラジオエアプレイの弱さも一因ではないでしょうか。

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これは昨年と今年の、ここ1ヶ月のラジオエアプレイ指標トップ10。洋楽は黄色で示しています。ラジオエアプレイは総合チャートとの乖離が大きく、またウェイトは高くないため影響力が強くないとはいえ、洋楽在籍率はさらに低くなり、今年度はトップ10に洋楽が不在という週も。ラジオ局が洋楽を推さなくなったこと、レコード会社側からの仕掛けが薄い(もしくはラジオ局を重要視しなくなった可能性も?)ことも考えられ、洋楽がさらにヒットしにくくなるのではという懸念を抱いています。今の洋楽をどうやってヒットさせるかをレコード会社は真剣に考えないと、フェスやキャンペーンを含む来日は減るのではないでしょうか。個人的には、いわばジリ貧とも言える状況にありながらしかし未だに洋楽CDのレンタル解禁を半年から1年後のままにしていることは機会損失だと思うのですが。

米ビルボード、この10年で決定的な影響をもたらした"2010年代を定義する100曲"を発表

実に面白い試みです。

ビルボードは21日(現地時間)、ホームページに「過去10年を定義した100曲」リストを発表した。過去10年間に音楽と文化に「決定的影響」を及ぼした歌100曲を通じて2010年代の音楽産業を説明しようという試みだ。ビルボードは「これらの曲は過去10年間で最高の音楽であったり、最も人気があった曲であったからではなく、2010年代の音楽と文化を形成し反映した曲だからこそ選定された」と明らかにした。ビルボードはアーティストや作曲家、プロデューサー、レーベル関係者、批評家などの業界関係者にインタビューし、これをもとにそれぞれの曲についてのエッセーを載せた。

詳細はこちらに。各曲毎にクリック(タップ)するとエッセイが登場します。

Spotifyのプレイリストは下記に。ジェイ・Zは同サービス未提供ゆえか見つからず割愛しています。

日本語での記事は韓国ハンギョレ新聞のもの。ビルボードジャパンに翻訳記事が未掲載であり、一方でBTSや少女時代、PSYの3組が選ばれたことで韓国紙が取り上げたことから同メディアを紹介したのですが、2010年代におけるK-Popはやはりムーブメントだったということがここからも解ります。チャート的にはまだ弱い指標もありますが("所有>接触"という構成比率が他のジャンルより強い傾向に)、今後はK-Popが定着するものと思われます。またここでの100曲はソングスチャートでヒットした以上にいわば革新的な曲が選ばれる傾向に。スクリレックス「Scary Monsters And Nice Sprites」がその後の洋楽、そして邦楽に与えた影響は計り知れないわけで、納得の選出です。

 

この米ビルボードの試みと同じものを日本でもやってほしいと思うのですがいかがでしょう。ヒットチャートも意識しながら、日本の音楽界に影響を与え方向性を定めた楽曲100曲、基本的に1歌手1曲として選出するという試みです。こういう試みにて紹介され、また著名な音楽メディアや評論家が関わることで選ばれた曲にはさらなる箔が付き、さらにサブスクリプションサービスでプレイリスト化すればユーザーはそこからどんどん掘り下げていくはずです。

仮に企画するならば、ビルボードジャパンが適切でしょう。2008年2月にソングスチャート(Hot 100)がスタートしたビルボードジャパンは、それまで集計対象だったシングルCDセールス、ラジオエアプレイにダウンロードを追加したのが2010年12月6日付であり、デジタルを追加してちょうど10年になります。つまりこの10年はデジタル指標群が日本の音楽業界に影響を与えた歴史でもあり、企画はチャートにも箔を付けることが可能。今から企画立案し原稿を集めるのは至難の業でしょうが、来年明けた頃にでもこのような企画を実施して欲しいと期待しています。

今月発売、イギリス発最新ヒット曲コンピレーション『Now 104』注目曲を紹介

イギリス発、ヒット曲を網羅した老舗コンピレーションアルバム"Now"シリーズの最新作、『Now 104』が今月リリースされています。弊ブログではこれまで、トラックリストを順位やミュージックビデオ付で紹介していましたが今回から簡素に、しかし要点を押さえる形で紹介します。

Spotifyプレイリストは"Now"側が用意したもののようです。11月23日朝の段階で、アリアナ・グランデ & ソーシャル・ハウス「Boyfriend」等一部抜けはあるものの、ほぼ全ての曲を押さえています。

 

イギリスのソングスチャートで首位を獲得した曲はきちんと網羅。とはいえ『Now 104』に収録されている首位曲はエド・シーラン feat. ストームジー「Take Me Back To London」(5週)およびトーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」(現在まで7週)の2曲のみであり、この前に首位を獲得したショーン・メンデス & カミラ・カベロ「Senorita」は前作『Now 103』に収録されていますのでそちらを是非。「Dance Monkey」、および米ビルボードソングスチャートでもトップ5入りしたマルーン5「Memories」についてはReal Soundに寄稿しています。

『Now 104』のブックレットには、「Memories」は『パッヘルベルのカノン』のメロディをベースに…』と記載。リリース後間もなく情報が少ない段階で上記記事を執筆したゆえカノン進行については恐る恐る触れた程度だったのですが、ブックレットは堂々としていますね。

 

注目は「Dance Monkey」やリル・テッカ「Ransom」といった、サブスクリプションサービスで大ヒットした曲も押さえているということ。

Nowシリーズはクリーンバージョンでの収録ゆえ注意が必要ですが、未CD化のままの楽曲がCDとして手に入るのが利点。ちなみにリル・テッカのアルバム(ミックステープ)は8月末にリリースされながらCD化は12月はじめまで待つこととなり、また「Old Town Road」が世界的に大ヒットしたリル・ナズ・Xについては今回「Panini」が収録されていますが、その2曲が収録されたEP『7』は来年開催のグラミー賞で最優秀アルバム賞にノミネートされながら未だCD化されていません。ゆえに「Panini」は今作で、「Old Town Road」(ビリー・レイ・サイラス客演版)は前作『Now 103』でいち早くCD化されていることとなります。

 

嬉しいのは、カイゴ & ホイットニー・ヒューストン「Higher Love」が収録されること。スティーブ・ウィンウッドのナンバーをホイットニーがカバーし、日本でのみCD化していた作品(『I'm Your Baby Tonight』(1990)のボーナストラックとして収録)。ホイットニーの財団から公式オファーを受けたカイゴによりリミックスされ、米63位、英2位を記録。米ビルボードダンスクラブソングスチャートでは首位を獲得しています。

 

また、米4位、英7位を記録し今後の伸びも期待されるリゾ「Good As Hell」は元来EP『Coconut Oil』に収録されたものが現在ヒット中。このEPもCD化されていないため、貴重な収録となりました。

リゾは来年開催のグラミー賞で主要4部門(最優秀レコード賞、最優秀アルバム賞、最優秀楽曲賞および最優秀新人賞)全てにノミネート。同じく主要部門を網羅したビリー・アイリッシュ共々注目の的に。なおビリー・アイリッシュ「All The Good Girls Go To Hell」も『Now 104』に収められています(ビリーのオリジナルアルバムはCD化されています)。

 

今作『Now 104』はイギリスの首位曲や未CD化の注目曲を押さえている点で良質なコンピレーションアルバムと言えます。イギリスでの発売から2週経過し、日本でも手に取りやすくなったと思いますので是非チェックしてみてください。

三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBE、デジタルシングル「Rat-tat-tat」が彼らの今年最高ヒットとなるか

今年の『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場を逃した三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE。同枠はGENERATIONS from EXILE TRIBEが半ば引き継いだ形ですが、カウントダウンライブに三代目 J Soul BrothersをはじめとするEXILE一派がGENERATIONSを除いて出演することも、三代目 J Soul Brothersの落選/GENERATIONSの初出場の要因かもしれません。

しかしながら、三代目 J Soul Brothersの今年リリースのシングルがそこまで好成績を収められなかった(広く世間に浸透したとは言い切れなかった)ことも紅白落選の要因と捉えることが出来そうです。

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今年シングルCDでリリースした2曲の最初の11週の動きをみると、シングルCDセールスのピークに合わせて総合順位も最高位に達していますがその後はシングルCDセールスに比例するかのように降下。アフロジャックを招いた「SCARLET」は動画再生やストリーミングといった接触指標群の落ち込みが速いのが気掛かりでした。

しかしその流れにあって、突飛な動きをみせているのが初のデジタルシングルとなった「Rat-tat-tat」なのです。

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シングルCDセールスおよびルックアップの2指標が稼げないためか総合でトップ10入りは逃しているものの、45位まで落ち込んだこの曲が最新11月25日付では17位まで復調。動画再生は強くありませんがしかし、ミュージックビデオが存在せず公式はオーディオのみという状態でこの成績なのは十分と言えるでしょう。

この曲「Rat-tat-tat」について、ビルボードジャパンでは今月11日に栗本斉さんがコラムを寄稿。11月11日付で突如47位に上昇した動画再生指標について興味深い指摘をされています。

もともとこの曲はPVは作られておらず、オフィシャルのYouTubeチャンネルでも静止画像のもの。普通に考えるとこれ以上伸びる要素はなさそうなのだが、Tik-Tokや素人のダンス動画なども含めて、別の角度からブレイクする可能性もある。そうなると、ツイッターやカラオケなどのポイントとも連動して急上昇することも考えられるだろう。

調べてみると、三代目J Soul Brothers側の仕掛けが見られます。

応募は今月中であり、スペシャルムービーは後にSNSで公開されるとのこと。ハッシュタグから反応を辿るとTikTok等に投稿している方もみられており、動画投稿者が元の楽曲をチェックしようとした結果、再生回数が伸びたことが想像出来ます。

 

今のヒット曲には、TikTokで人気に火が付きサブスクリプションサービスでの流行を経て広く浸透するものが多く、その象徴といえるリル・ナズ・X「Old Town Road」はのちにビリー・レイ・サイラスの助太刀もあって米ビルボードソングスチャートで史上最長となる19週連続首位を達成しました。今回の「Rat-tat-tat」は歌手側から仕掛けたものでありTikTokユーザーの自発的な利用とは少し異なるかもしれませんが、このような方式をいち早く採り入れるLDHの姿勢は見習うべきかと。あとはこの「Rat-tat-tat」がコアなファンのみならずライト層にまで浸透するかどうかで今後の明暗を分けそうです。ムーブメントに至れたならばこの曲で来年の紅白に復帰する可能性もゼロとは言えないでしょう。

嵐のデジタルシングルの動向は? NHK紅白歌合戦が如実な効果をもたらす…11月25日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点をソングスチャート中心に紹介します。

今週のソングスチャートを制したのはKis-My-Ft2「Edge of Days」でした。

シングルCDセールス、ルックアップおよびTwitterの3指標で首位。ただしチャート構成比に占めるシングルCDセールスは8割以上であり、これまでの例をなぞるならば次週の急落は免れないでしょう(下記の表にてその傾向を示しています)。

 

さてTwitter指標について、強い私見と前置きして苦言を呈させていただくならば。木村拓哉さん主演のドラマ『グランメゾン東京』(TBS 日曜21時)にKis-My-Ft2のメンバー、玉森裕太さんが出演しているのですが、玉森さんの登場シーンになるとドラマとは関係のないKis-My-Ft2「Edge of Days」をドラマのハッシュタグと共に記載したツイートが散見されます。ファンによるCDの自発的宣伝、もしくはビルボードジャパンソングスチャートのTwitter指標を押し上げるための策かもしれませんが、ドラマの反応を楽しみにしてツイートするまたは見る者にとってはノイズでしかなくむしろ逆効果ではないかと思うのです。その意味でも、Twitter指標のウェイトダウンは必要な措置だと考えています。

 

前週首位を獲得したNMB48「初恋至上主義」は20位へ急落しました。

今年度1位を獲得した曲の大半はシングルCDセールス指標初加算週でありCDセールスの効果が大きかったわけですが、それら楽曲は翌週大きくポイントを落としています。

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アイドル楽曲はシングルCDセールス加算2週目のポイント前週比が10~25%で収まってしまっています(AKB48は極端に低く5%未満)。その中で50%以上をキープ出来た作品は極端に少なく、またそれらの作品はシングルCDセールスに頼っていないことが解ります。つまり他指標をどれだけ稼ぐかが鍵であり、そのような楽曲ほど社会的ヒットとなっているものと考えます。

では、今回初のデジタルシングルとなった嵐「Turning Up」はどうでしょう。

11月3日19時に解禁された「Turning Up」は集計わずか5時間で11月11日付ソングスチャート10位に初登場し、翌週は2位(前週比363.0%)、そして今週が29.4%。ダウンロードという所有指標も稼ぎながら、やはりサブスクリプションサービスという接触指標が強かったことがポイント前週比が高い要因と言えます。ただ、高い水準なのは『アイドルの中でも』であり、広く世間に「Turning Up」が浸透しているのかはまた別の話かもしれません。11月17日までの「Turning Up」のダウンロード数は110921であり、たとえばシングルCDとして直近でリリースされた「BRAVE」が9月23日付ソングスチャートで獲得したシングルCD初週セールス708595枚とは大きな差が生じています。無論CDとダウンロードの単純比較は出来ませんし、嵐ファンの全てがデジタルに明るいわけではないでしょうが、ここからはユニークユーザー数もある程度見えてきます。今後ロングヒットにつなげるためにはダウンロード購入者の増加もさることながら、やはり所有から接触への移行が鍵と言えるでしょう。

 

今週は『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)の出場者が発表されたことが如実に反映されています。上記ビルボードジャパンの記事でも触れられていますが、ソングスチャートトップ10入りを果たした楽曲におけるポイント前週比をみると。

NHK紅白歌合戦出場組>

・1位 Kis-My-Ft2「Edge of Days」 ポイント前週比1053.7%

・2位 Official髭男dism「Pretender」 ポイント前週比110.8%

・3位 Official髭男dism「宿命」 ポイント前週比100.1%

・4位 Official髭男dism「イエスタデイ」 ポイント前週比100.0%

・5位 King Gnu「白日」 ポイント前週比110.0%

・8位 嵐「Turning Up」 ポイント前週比29.4%

・9位 Foorin「パプリカ」 ポイント前週比114.4%

・10位 LiSA「紅蓮華」 ポイント前週比147.2%

NHK紅白歌合戦不出場組>(※今後出演の可能性は否定出来ず)

・6位 米津玄師「馬と鹿」 ポイント前週比78.7%

・7位 あいみょんマリーゴールド」 ポイント前週比93.9%

シングルCDセールス初加算週のKis-My-Ft2、先述した嵐は極端な推移ゆえ置いておくとして、しかし他の作品は出場組が100%超え(もしくはキープ)、不出場組は100%割れとなっています。これは今年初出場を果たす菅田将暉まちがいさがし」(11位)がポイント前週比113.0%であったことからも、『NHK紅白歌合戦』効果が非常に大きいことが解ります。その意味では不出場は機会損失と言えるかもしれません。

さて、『NHK紅白歌合戦』初出場組ではLiSA「紅蓮華」が今後化けることが予想されます。

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過去2回のトップ10入りのタイミングはダウンロード初加算週、シングルCDセールス初加算週であり所有指標初加算の勢いに因るものでしたが、今回は『NHK紅白歌合戦』初出場効果はあれども何かしらの初加算週ではないタイミングでトップ10入りしたため、今後は所有および接触の両指標群をバランスよく獲得して上昇気流に乗るものと予想します。ただ、気になるのは動画再生指標の高くなさでありこれは間違いなくショートバージョンが影響しているものと考えます(ショートバージョンがチャートに寄与しにくいことは以前から指摘しています。それでも急上昇したのは流石ですが)。レコード会社や所属事務所等が英断を下せば、さらなる上昇も見込めるかもしれません。

 

そして今週目立つのはヒップホップの好調っぷり。

プロデューサーが如何に凄いかについては下記が分かりやすいと思います。

デジタル、それもiTunes StoreおよびApple Music限定で配信した作品がこれだけの成績を収めるインパクトは大きいですね。日本に少しずつでも着実にヒップホップが浸透していることが解ります。その要因のひとつはヒプノシスマイクの存在ではないでしょうか。

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ヒプノシスマイクのオオサカ・ディビジョンによるどついたれ本舗が躍進。『あゝオオサカdreamin'night』はアルバムチャートで3週連続トップ10入り。初登場週には総合2位、ダウンロード1位となっています。制作したCreepy Nutsの人気も勿論のこと、ヒプノシスマイクが新しいブランドを確立した確たる証拠と言えるでしょう。先週末からレンタルも解禁され、次週はルックアップの伸びも期待出来ます。

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ソングスチャートでも2週前に最高7位を記録したのですが、アルバムより落下のスピードが速いですね。CDがアルバムとしてカウントされること(それによりルックアップは含まれず)もさることながら、所有指標における動画再生が急落しているのも大きく、これはやはりショートバージョンの問題だと捉えています(未だ日本で根強いショートバージョン文化には強い疑問を呈したいと思います)。

NHK紅白歌合戦』では昨年刀剣男士が特別企画枠で出演しましたが、今年はヒプノシスマイクがその役割を担ってもよいのではないでしょうか。