イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

上原りさ「ベイビーシャーク」のカバー元、パーラ選手の入場BGMで人気のピンクフォン版でないとは断言出来ない?

今週頭にブログで紹介した、上原りささんによる「ベイビーシャーク」についての追記。

おかあさんといっしょ』(Eテレ 月-土曜8時)で"パント!"のおねえさんとして昨年春まで活躍していた上原りささんによる「ベイビーシャーク」は、昨年アメリカでヒットしたピンクフォン版「Baby Shark」(元々は2015年発表)ではなく、その曲をリリースした韓国の幼児向け教育コンテンツブランド、スマートスタディー社に権利侵害を訴えているジョニー・オンリー版(2011年発表)をオリジナルとする"世界初のオフィシャル日本語カヴァー"と謳っています。しかしメジャーリーグで活躍したヘラルド・パーラ選手の入場曲は上原さんがカバーしたジョニー・オンリー版ではなくピンクフォン版であり、レコード会社の説明には違和感を覚える…ということを以前記載しています。

さて、上原りささんによる「ベイビーシャーク」は今週シングルCDがリリースされ、ミュージックビデオも公開となりました。

ピンクフォン版とジョニー・オンリー版は上記ブログエントリーからチェック出来ますが、カバーにおける"Do doo…"のメロディ(のリズム)はジョニー・オンリー版ではなくピンクフォン版に近い一方、イントロにピンクフォン版のような『ジョーズ』を模した音は用いられず、またピンクフォン版の日本語バージョン(上記ブログにて紹介)とは歌詞が異なります(上原りささん版の歌詞はこちら)。他方、終盤の"こわがらなくていいよ!"の部分はジョニー・オンリー版のみにあるメロディであり、さらにソングライターのクレジットをみるとジョニー・オンリー(ジョナサン・ライト)の名が記載されています。これらを踏まえれば、上原りさ「ベイビーシャーク」はジョニー・オンリー版のカバー寄りだけれどもピンクフォン版も意識したものであり、言い方を工夫すればいいとこ取りだと言えるでしょう。ともすれば、"Do doo…"のメロディが違う"とジョニー・オンリーから指摘されるかもしれませんが、そもそも「Baby Shark」が元は童謡である以上、ある程度のアレンジは可能だという言い訳は可能なのかもしれません。

 

さて気になるのは、昨年ピンクフォン版を用いて大活躍したヘラルド・パーラ選手がこのカバーをどう思うかということ。読売ジャイアンツ入りを果たしたパーラ選手は今年も「Baby Shark」を使いたいと意気込んでいます。

もしかしたら今頃、上原りささんの所属レコード会社が売り込みをかけているのかもしれませんが、だとしたら果たしてパーラ選手はすんなり受け入れてくれるでしょうか。気になるところです。

King Gnu「白日」のストリーミングチャート連覇に待ったをかけるか? Official髭男dism、「I LOVE…」リリースを機に「Pretender」が勢いを増す

最新2月3日付ビルボードジャパンソングスチャートはSixTONESSnow Manの対決が大きく注目を集めたものと思われます。実際に弊ブログでも記載しました。

実はこの週における、King Gnu「白日」(総合4位)とOfficial髭男dism「Pretender」(同5位)の対決も興味深いものがあります。

 

前週アルバムチャートを制した『CEREMONY』の勢いはソングスチャートに波及し、前週はサブスクリプションサービスの再生回数を元にするストリーミングソングスチャートで18曲、総合ソングスチャートで13曲を送り込んだKing Gnu。今週は総合こそ3曲減りましたが、ソングスチャートの10分の1を占めるのは凄いことです。なにより、「幕間」というインタールードが総合チャートでも入っているのはサブスクリプションサービスの強さを如実に示しています。

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アルバムチャートは今週『CEREMONY』が2連覇を達成。しかしながらここに面白い現象が起きています。

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ルックアップ指標ではOfficial髭男dism『Traveler』が『CEREMONY』を追い越しました。『CEREMONY』はレンタル解禁が2月1日であり、レンタル分のルックアップ(パソコン等に取り込んだ際のインターネットデータベースへのアクセス数)が次週以降のチャートに反映されれば『CEREMONY』の再逆転もありうるでしょうが、『NHK紅白歌合戦』(NHK総合ほか)効果も相俟ってOfficial髭男dismに触れるライト層が今も多いことが解ります。そしてそこには、この曲の影響も間違いなくあると考えます。

来月12日にシングルCDとしてリリースされる「I LOVE...」はドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS 火曜22時)の主題歌として、ドラマ初回放送の翌日となる1月15日にデジタル解禁(ミュージックビデオも同日)。アルバム『Traveler』のリリースからわずか3ヶ月後、コンサートツアー真っ只中の新曲配信(しかも『CEREMONY』リリースと同日)には驚かされますが、新曲の登場はストリーミング指標で旧譜の勢いをキープもしくは上昇させるというセオリーが。そこでSpotifyデイリーチャートをみると。

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『CEREMONY』が発売された1月15日以降「白日」がトップに立っていたものの、1月26日に「Pretender」が逆転、1月29日には「Pretender」が「白日」を1万回以上引き離すことに。2月3日付ビルボードジャパンストリーミングソングスチャートでは首位の「白日」が史上初となる再生回数800万を突破しましたが(【ビルボード】King Gnu「白日」が史上初の800万回再生超えでストリーミング2連覇 Official髭男dism「I LOVE...」が4位に浮上(1/30訂正) | Daily News | Billboard JAPAN(1月29日付)参照)、今週は700万台というハイレベルでこの2曲が争い、且つ「Pretender」が再逆転する予感がします。「白日」に一時逆転を許したタイミングで下降に転じなかったのは「I LOVE...」の投入も大きいでしょう。

 

このOfficial髭男dism「I LOVE...」における、"アルバムから程なくして新曲を投入"という施策、実はKing Gnuが昨年実施した、『Sympa』→「白日」→『Sympa』収録の「The hole」ミュージックビデオ公開、という流れに通じるものがあると思うのです。

Official髭男dismにおいては、「I LOVE...」のデジタルの勢いが一旦落ち着くかもしれないタイミングでシングルCDがリリースされ、昨夏の武道館ライブも映像化されて同時発売(個人的にはライブ音源のCD化が嬉しい限り)。これら畳み掛けの施策は歌手への興味や熱の持続に繋がります。さらにドラマの視聴率が比較的好調に推移していることも「I LOVE...」の勢いに寄与し、その勢いが「Pretender」をはじめとするOfficial髭男dismの他の曲へも波及することは、King Gnuの例からも間違いありません。

 

King Gnuのアルバムリリースの勢いに負けじと結果を残すOfficial髭男dism…今年もこの2組の勢いは間違いなく続き、音楽性は異なれど良いライバル関係となっていくでしょう。

SixTONES「Imitation Rain」およびSnow Man「D.D.」がロングヒットに至るために必要な指標とは? 2月3日付ビルボードジャパンソングスチャートをチェック

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点をソングスチャート中心に紹介します。

 

1月20~26日を集計期間とする2月3日付ビルボードジャパンソングスチャートは2曲が4万ポイントを超えるという熾烈な争い。SixTONES「Imitation Rain」がSnow Man「D.D.」を抑え、デビュー曲で初の首位を獲得しました。

昨日12時台にチャートが更新された直後からビルボードジャパンのホームページが開きにくくなったのですが、おそらくはSixTONESそしてSnow Manのファンが大挙チェックしに訪れたゆえと思われます(ビルボードジャパンのツイートはこちら)。それだけこの2組のどちらが制するかはコアなファンを中心に高い関心を集めていたわけです。ビルボードジャパンを制したことが判明して以降、SixTONESのファンが楽曲提供のYOSHIKIさんへ感謝の意を贈った際のツイートに添えられたハッシュタグ、"#YOSHIKIさんありがとう"がトレンド入りしたことも注目すべきでしょう。

ファンの取組はCD購入のみならずTwitter指標を押し上げる活動にも表れており、2組による6曲は3週連続で同指標6位までを独占。Twitter指標6位のSnow Man「Snow World」が同指標のみを得点源とし3322ポイントを稼いでいることを踏まえるに、その活動はあまりにも強固且つ熱烈だったように思います(昨年以降、同指標がアイドルやK-Pop等の一部ジャンルに人気が集中している傾向が強くなったこともあり、個人的にはウェイトダウンや同指標の撤去(米ビルボードのようにSocial 50チャートとして独立させる等の措置を採ること)を視野に入れるべきとは考えます)。活動の凄さや()内で書いたTwitter指標に対する自分の考えは、SixTONES「Imitation Rain」およびSnow Man「D.D.」が真のヒットに至るかを見極めるべきポイントも含めて昨日のブログエントリーにて記載しています。

 

さて、SixTONES「Imitation Rain」およびSnow Man「D.D.」のCHART insightをみると興味深いことが見えてきます。

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 シングルCDセールス指標を除いても2曲とも1万ポイント程度を稼いだことになり、その1万ポイントのおよそ半分がTwitter指標で賄われています。となると、ファンが競い合い疲れ切った(昨日のブログエントリーで紹介したファンの方の心理を踏まえれば、"疲れ切った"という表現がしっくり来そうですね)1月27日以降はこれら指標群が落ち着くでしょう。一方で未だダウンロードおよびサブスクリプションサービスが未解禁であり、YouTubeに公開されたミュージックビデオがエディットされたものであるため動画再生指標が伸びにくいこと(ミュージックビデオがフルバージョンでなければ動画再生指標が伸びないことについては以前からブログエントリーで記載しています)を踏まえれば、次週は2曲の急落もあり得るかもしれません。さすがに前週首位のSKE48「ソーユートコあるよね?」のような1→34位、ポイント前週比9.2%という状況は考えにくいかもしれませんが、気になるところではあります。

 

さて、この2組の前にジャニーズ事務所からデビューを飾ったのはKing & Princeでした。

ダウンロードおよびサブスクリプションサービス未解禁、ミュージックビデオは1分のティーザーのみという状況ながら、初週62万枚のシングルCDセールスを記録、34324ポイントを獲得し2018年6月4日付ビルボードジャパンソングスチャートを制覇。翌週は総合4位にダウンするもののポイント前週比は21.6%となり、シングルCDセールス加算2週目における総合ポイント前週比はジャニーズ事務所所属歌手の中でも高水準となりました(通常は10~20%の範囲内)。総合チャートで6週トップ10入りを果たしたのも同事務所所属歌手では異例であり、同年の年間ソングスチャートで同事務所所属歌手の楽曲では最高位となる12位を獲得しています。

さてこの「シンデレラガール」、シングルCDセールス加算以降一度として総合300位以内から脱落したことがないのです。

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黒の折れ線グラフが総合順位を示します。シングルCDセールス(黄)、ルックアップ(オレンジ)もまた目立つのですが、特に安定しているのは緑色で表示されたカラオケ指標なのです。
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総合チャートおよびカラオケ指標のみを抽出したのが上記。カラオケ指標は2019年度より登場した指標ゆえ2018年12月10日付からの登場となっていますが、高値安定を誇っています。シングルCDセールス等が未だに強いという特殊な動きをみせる曲ではあるのですが、カラオケという接触指標が強いとロングヒットとなることはこの点から明らかです。

 

ジャニーズ事務所所属歌手においては嵐を除くほとんどがきちんとデジタル解禁がなされておらず(とはいえ嵐の場合も、アルバムのみに収録された曲は未だに解禁されてはいませんが)、ゆえにSixTONESSnow Manもデジタル未解禁な状況を続ける限りは限られた接触指標群でロングヒットにつなげる必要があります。そんな中でSixTONES「Imitation Rain」が最新チャートにおいてカラオケ指標が300位以内に初登場を果たしたのは、ロングヒットの兆しと捉えてよいのかもしれません。無論、デジタルの充実も必要になることは書き添えておきますが、この2曲においてはカラオケ指標についても注目する必要があるでしょう。

SixTONESおよびSnow Manのデビュー曲が今後社会的ヒット曲に至るか、そして音楽業界は変わるのか? 5つのポイントで見極める

今日の午後には最新2月3日付ビルボードジャパンソングスチャートが公開、SixTONES「Imitation Rain」とSnow Man「D.D.」のどちらが勝つか注目されます。このジャニーズ事務所所属の2組が同時にCDデビューした件については、シングルCDセールスがレコード会社別に集計されるかそれとも一緒くたにされるのか、ビルボードジャパンとオリコンで判明したタイミングで一度記載しました。

そして最終的なセールスが判明しました。ビルボードジャパンは分けています。

一方のオリコンでは一緒くたとなり、"ミリオン"と記載されています。

気になったのはオリコンで謳った"ミリオン"について、たとえば1月17日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)でミリオン達成とアナウンスされたり、また上記記事においてメンバーの夢のひとつとして紹介されていること。1月18日には2組のメンバー15名が全国の情報番組に出演し、青森ではSnow Man佐久間大介さんが『ハッピィ』(青森朝日放送 土曜9時35分)に登場しましたが、MCによるプロフィール紹介後に佐久間さん自らがミリオン達成の旨を伝えていたこともまた印象的でした。これらを踏まえれば、メディアそしてメンバー自身の意識が【オリコンビルボードジャパン】となっているのではと考えてしまいますし、オリコンのカウント方法に疑問を覚えないのではとも思ってしまうのです。これらに関して、以前つぶやいた内容を引用します。

"ミリオン"が解りやすい言葉ゆえメディア等は容易に用いているのかもしれませんが、ならばサブスクリプションサービスで大ヒットしたOfficial髭男dism「Pretender」やそもそもCDをリリースしていないKing Gnu「白日」はどうなのかと思うなど。サブスクリプションサービスの再生回数における"ミリオン"的な言葉を早く日本レコード協会が用意しないといけないと思います。

 

さて、このSixTONESおよびSnow Manのデビュー曲の動向に関しては今日発表のビルボードジャパンソングスチャートにおける順位もさることながら、今後2曲が"社会的ヒット"に至るかどうかを以下の3点で判断しようと考えています。さらに今後の音楽チャートの動向について、2つの注目ポイントを提示します。

ビルボードジャパンソングスチャート、シングルCDセールス初加算週の係数

ビルボードジャパンソングスチャート、シングルCDセールス加算2週目におけるポイント前週比

SixTONESおよびSnow Manのデジタル解禁はあるか

④ デジタル解禁された際のオリコン合算シングルランキングの取扱

ビルボードジャパンソングスチャートにおけるTwitter指標の今後の見直し

①のシングルCDセールスの係数ですが、ビルボードジャパンは2017年度よりシングルCDセールスに独自の係数を用いています。売上枚数に対して実際の購入者(ユニークユーザー数)が著しく乖離する場合(特典商法で複数買いが積極的に行われた場合等)にはCDセールスのポイント化の際に係数を掛けて適正値に移行させます。係数の計算方法は不明ですが、今回はデビュー週に当たるゆえ果たして係数が用いられるのか、またその場合はどのくらいになるのかが気になるところです。この係数について、チャート好きの方の中にはおおよその係数を算出している方もいらっしゃいますので是非確認してみてください。

 

②について。昨年度の週間1位獲得曲においてはシングルCDセールス加算初週での首位→翌週の急落が幾度となく発生しており、それでは真のヒットと言い難いと踏まえるに、ならばシングルCDセールス指標の全体的なウェイトを下げる必要があるのでは?と以前記載しました。

上記ブログエントリーでは週間チャートの1位および2位獲得曲の翌週の推移を表記していますが、シングルCDセールス加算2週目の総合ポイントはジャニーズ事務所所属歌手の大半が10~20%となっています。2組の推移がこの数値の中に収まるのであればやはり真のヒットと捉えるのは難しいでしょう。デビュー曲の祝儀的な意味でロングヒットと成ることも考えられますが、デジタル未解禁の状況では厳しいと思います。

 

③においてはSixTONESSnow Manがそれぞれ公式YouTubeチャンネルを持っていることなどを踏まえれば、ダウンロードおよびサブスクリプションサービス解禁はあるものと思っていました。

(上記ミュージックビデオ(のYouTubeバージョン)は共にそれぞれのアカウント発。)

ゆえにこれらの未解禁はCD購入意欲を高めさせる施策とも捉えることが出来、言い換えればジャニーズ事務所(ともすればレコード会社も)がシングルCDセールスの高さを未だに強く意識しているのだということも理解出来ます。しかし現在社会的ヒットに至る曲がシングルCDセールスよりもサブスクリプションサービスでヒットする傾向にあり、また先述したKing Gnu「白日」や菅田将暉まちがいさがし」がシングルCD自体リリースしていない状況でヒットに至ったことを踏まえれば、やはりデジタル施策は必要だと思うのです。

 

で、仮に③が叶ったとして、オリコン合算シングルランキングについても思うところがあります。

オリコン合算シングルランキングは元々各指標の合算で構成されるビルボードジャパンとは異なり、また実際のランキングを見ても明らかなように、シングルCDセールスが大きなウェイトを占めます。また反映方法の考え方欄を見ると、曲単位でのダウンロードについてはシングル表題曲(リード曲)がほとんどとであることを前提に設定されています。しかしその場合、リード曲が複数用意(いわゆるダブルAサイドシングルと設定)されているならば2曲購入する方は少なくないゆえ、ダブルAサイドシングルは合算シングルランキングでも優位に働くのではないでしょうか。オリコンではレコード会社の異なる作品を一緒くたにしている以上、"SixTONES vs Snow Man"と"Snow Man vs SixTONES"をひとつと見なす限り、デジタル解禁され合算された際は合算シングルランキングでさらなる優位性が与えられるものと考えるに、これはちょっと違和感を覚えるというのが私見です。

 

最後に⑤について。後述するファンの方のブログエントリーで知ったのですが、ファンはビルボードジャパン対策としてTwitter指標を盛り上げるための施策を行ったとのこと。既に1月20日ビルボードジャパンソングスチャートから2組によるシングルCD収録の6曲が同指標で6位まで独占する状況が続いています。おそらく今週も間違いなく続くでしょう。しかしながらそれらは自然発生的ではなく狙って上昇させるためのツイートが主であると考えれば、Twitter指標はSNSの口コミによる社会的ヒットとみなすのは厳しいと考えます。これらTwitter指標への考えについては以前も記載しています。

上記エントリーの登場から半年あまりで、Twitter指標のウェイトは減少、もしくは米ビルボードと同様に独立させていいのではという思いが如実に強くなっています。

 

 

最後に、SixTONESSnow Manのファンの方の、2月3日付ビルボードジャパンソングスチャートもしくはオリコンシングルランキング集計期間最終日(1月26日)まで走り続けたとあるファンの方の行動とその心理について、赤裸々に記載したブログエントリーを勝手ながら紹介させていただきます(問題があれば削除いたします)。この内容(文章のドライブ感等、長文ですが非常に読みやすいのでお勧めです)がファンの方の主たる感覚なのだとしたら、歌手そしてジャニーズ事務所側は考え直してほしいと強く思います。

それと、ビルボードジャパンとオリコンがそれぞれ分けた/一緒くたにした理由についてはきちんとそのスタンスを明示していただきたいとも思っています。

ロディ・リッチ3連覇、エミネム feat. ジュース・ワールドが初登場…2月1日付米ソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の1月27日月曜に発表された、2月1日付最新ソングスチャート。ロディ・リッチ「The Box」が3連覇、前週2位に初登場を果たしたフューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」が勢いをキープし、エミネム feat. ジュース・ワールド「Godzilla」が3位に初登場を果たしました。

未だミュージックビデオが登場しない「The Box」ですが、ストリーミングではその勢いが持続。前週から3%ダウンはしたものの7500万を獲得しストリーミング指標では4週目の首位を記録しました。ダウンロードは前週比5%ダウンの13000(同指標8位)となった一方、ラジオエアプレイは同38%大幅アップの2560万となり同指標36位へ上昇しています。

前週初登場を果たしたフューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」は2位をキープ。ストリーミングは前週比19%ダウンながら4090万と高水準を維持(同指標2位)、一方でダウンロードは同64%ダウンの9000、同指標首位から13位へと大きく後退しました。

3位にはエミネム feat. ジュース・ワールド「Godzilla」が初登場。

1月17日に突如リリースされたエミネムのアルバム『Music To Be Murderd By』は279000ユニットを獲得し最新の米ビルボードアルバムチャートを制覇。今週はホールジー『Manic』が239000ユニット、マック・ミラー『Circles』が164000ユニットとなりトップ3すべてが15万ユニット超えを果たしていますが、この3作に収録された曲でソングスチャートにてトップ10入りを果たしたのは「Godzilla」のみとなりました。

Godzilla」はストリーミングで4110万を獲得、ダウンロードは24000となり2指標で3位発進(ストリーミングの回数においては「Life Is Good」より20万上回るものの、有料のサブスクリプションサービスと無料のとで1再生におけるウェイトが異なる等のウェイト差が影響していると捉えていいでしょう)。この曲でエミネムは22曲目のトップ10入りを果たし、トップ10ヒット曲数で歴代16位に。また初登場でトップ10入りとなると13曲目となり、こちらでは22曲のドレイク、15曲のテイラー・スウィフトに続く歴代3位となっています。一方、昨年12月に他界したジュース・ワールドにとっては「Lucid Dreams」(2018 2位)に次ぐ高位置での登場となり、通算3曲目のトップ10入りを果たしました。

 

最新のトップ10はこちら。

[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) ロディ・リッチ「The Box」

2位 (2位) フューチャー feat. ドレイク「Life Is Good」

3位 (初登場) エミネム feat. ジュース・ワールド「Godzilla

4位 (3位) ポスト・マローン「Circles」

5位 (4位) マルーン5「Memories」

6位 (7位) ダン+シェイ&ジャスティン・ビーバー「10,000 Hours」

7位 (8位) トーンズ・アンド・アイ「Dance Monkey」

8位 (6位) ルイス・キャパルディ「Someone You Loved」

9位 (9位) アリゾナ・ザーヴァス「Roxanne」

10位 (5位) セレーナ・ゴメス「Lose You To Love Me」

ラジオエアプレイ首位は引き続き、ポスト・マローン「Circles」(総合4位)が獲得。前週比1%アップの1億280万となり同指標6週目の首位を記録しています。トップ10をみるとセレーナ・ゴメス「Lose You To Love Me」が10→5→10位と大きく変動。この曲が収録され、前週のアルバムチャートを制した『Rare』が今週は6位、ユニット数では前週比66%大幅ダウンとなったことが曲単位にも影響を及ぼしていると言えます。そして前週10位のジャスティン・ビーバー「Yummy」は早くもトップ10落ちとなってしまいました。

 

次週は、日本時間で昨日発表されたグラミー賞の結果が反映されます。史上2組目となる主要4部門制覇を果たしたビリー・アイリッシュの動きに注目です。

日本版グラミー賞の主要部門ノミネーションをシュミレートしてみる(2019年度版)

ここ数年の恒例となっている、日本版グラミー賞があったなら...と仮定しノミネーションを考える企画、今年はスケジュールの都合で遅れてしまいました。2018年版は下記に。

グラミー賞は日本時間の今日開催。主役はビリー・アイリッシュかリゾか? さらには授賞式直前に噴出した賞内部の告発の行方も気になってしまいますが、良質な音楽に賞が与えられ、次年度以降改善してくれたならと切に願います。

 

さて、昨年から米グラミー賞が主要部門のノミネーションを5→8作品(歌手)と拡大したことに伴い、ここでも8作品(歌手)取り上げます。ビルボードジャパンチャート等を参照に、選んでみました。

○日本版グラミー賞 主要4部門ノミネート一覧

 ・対象:2018年12月~2019年11月発売の作品より選出

     (ちなみに米グラミー賞は2018年10月~2019年8月発売)

 ・新人賞(Best New Artist)についてはメジャーデビューしてからアルバム1枚以上リリースした歌手が対象(しかしながらその限りではない)

セレクトは昨日完了しました。

Record Of The Year (最優秀レコード賞)

・「Pretender」Official髭男dism

・「白日」King Gnu

・「黒い羊」欅坂46

・「まちがいさがし菅田将暉

・「馬と鹿」米津玄師

・「愛にできることはまだあるかい」RADWIMPS

・「紅蓮華」LiSA

・「Wasted Nights」ONE OK ROCK

これは昨年の日本レコード大賞発表終了後につぶやいた内容から変わっていません(ツイートはこちら)。昨年はシングルCDセールスのみに長けたアイドル曲が他指標でヒットすることは多くありませんでしたが、「黒い羊」は別のアイドルグループの問題でもピックアップされ注目されたこともあり選出。

Song Of The Year (最優秀楽曲賞)

・「Pretender」Official髭男dism

・「遠視のコントラルト」君島大空

・「白日」King Gnu

・「黒い羊」欅坂46

・「あなただけ」長谷川白紙

・「ロマンチシズム」Mrs.GREEN APPLE

・「海の幽霊」米津玄師

・「愛にできることはまだあるかい」RADWIMPS

大ヒットした楽曲もさることながら好事家の評判も中心に選定。『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日 日曜23時10分)で今月放送された"売れっ子プロデューサーが選ぶ年間ベスト10企画"でも取り上げられた君島大空、長谷川白紙両氏をセレクト。また、ビルボードジャパンソングスチャートにおいてどの曲がより愛されているかがより強く出ている指標がカラオケやストリーミング(サブスクリプションサービスの再生回数)であるものと考え、難解な曲ながらカラオケ指標でトップ10入りした「白日」や、年間ストリーミングソングスチャート29位に入ったMrs.GREEN APPLE「ロマンチシズム」も選出。

Album Of The Year (最優秀アルバム賞)

・『瞬間的シックスセンスあいみょん

・『Traveler』Official髭男dism

・『Sympa』King Gnu

・『834.194』サカナクション

・『THE ANYMAL』Suchmos

・『エアにに』長谷川白紙

・『POP VIRUS』星野源

・『だから僕は音楽を辞めた』ヨルシカ

こちらもヒット作、好事家の評判や各メディア(個人単位でブログ等にて発信しているものも含む)の年間ベスト等からバランス良く選んでみました。大ヒットしたONE OK ROCKBUMP OF CHICKENも入れるべきとは思いつつ、賛否両論は耳にすれどサイケデリックに振り切り音楽好きの評価を集めたSuchmosや、アルバム単位で世界観を構築したヨルシカを選ぶほうが"グラミー"らしいのではないかと。

Best New Artist (最優秀新人賞)

・Eve

・君島大空

King Gnu

・崎山蒼志

・SIRUP

・長谷川白紙

・milet

・ヨルシカ

前回の選定の際も書きましたが、この部門の基準は各賞で曖昧に。今年のグラミー賞では2013年にアルバムをリリースしたリゾが対象期間内にメジャーでファーストアルバムをリリースし、この部門に選ばれています。ゆえにここでも、対象年度に最初の作品をリリースした方から、メジャーファーストアルバムを出した方まで様々選出。日向坂46は選出に迷いましたが、その歌手にしか出せない世界観の構築という面では今回選んだ8組のほうがより優れているのかもしれません。

 

 

以上主要4部門、いかがでしょうか。

以前からの繰り返しになりますが、音楽業界には日本版グラミー賞的な賞の創設は必要です。世界に誇る音楽賞が形骸化し日本レコード大賞への疑問が毎年のように噴出する一方、それを指摘する方が前向きな意見を提示しないことは疑問を抱きます。ならばきちんとした賞を設定する、日本レコード大賞を変えるよう提言し続けることは必要です。

(追記あり) これから日本でも人気になるかもしれない「Baby Shark」、その日本語カバーへの疑問

メジャーリーグ(以下MLB)で昨年ナショナルズワールドシリーズ制覇に導き、今年読売ジャイアンツに招聘されたヘラルド・パーラ選手。

("ジェラルド"と書くところもありますが、上記記事を元にヘラルドと記載します。)

スポーツ報知が"サメ男"と呼ぶのは、彼が打席に向かう際のBGMが「Baby Shark」という曲ゆえ。この曲に合わせたシャークダンスも含め、MLBの公式YouTubeアカウントにて取り上げられています。

この「Baby Shark」を発信しているのは、ピンクフォンという幼児向け教育コンテンツのブランド。日本ではピンキッツという名で、韓国のスマートスタディー社が展開しています。そして下記動画は、本日の段階で44億回以上再生されているというのですから凄いことです。

実はこの「Baby Shark」、和歌でいうところの詠み人知らず、ゴスペルでいうところのトラディショナルという、元々は誰が作ったものかは不明な曲。ジョニー・オンリーが2011年に「Baby Shark」を作っていたため、ジョニーが韓国の裁判所に権利侵害を訴えたとのことですが、この曲が昔の童謡を元に作られているため似るのは自明と考えられます。聴き比べるとピンクフォン版のほうがキャッチーだと思うのですが、いかがでしょう。

ピンクフォン版はTWICE等韓国をはじめとするアジアの歌手が取り上げたのを機にSNSでチャレンジモノとして流行、一昨年にアメリカでもブームに。そこでヘラルド・パーラ選手もピンクフォン版を用いたようになったのかもしれませんし、アジア発の人気ゆえアジアに興味を抱き、最終的に日本球団への仲間入りを決めたのかも…というのはさすがに突飛な考えでしょうか。

『レイト×2ショー with ジェームズ・コーデン』(CBS)で、ジェームズがソフィー・ターナーおよびジョシュ・グローバンと共にパフォーマンスする映像も。

ピンクフォン「Baby Shark」は昨年、米ビルボードソングスチャートでトップ40入りを果たし年間チャート(→こちら)でも75位を記録するヒットを記録しています。この「Baby Shark」については下記記事を読むと一層理解が深まるでしょう。

ピンクフォン「Baby Shark」は海外の様々な言語版が用意され、日本語版も上記動画同様2016年には既に公開されています。曲名も「サメのかぞく」と訳されています。

 

さて、ここからが本題。『おかあさんといっしょ』(Eテレ 月-土曜8時)で"パント!"のおねえさんとして昨年春まで活躍していた上原りささんが今月デビューシングルをCDリリース。既に配信がスタートしているオリジナル曲「はみがきジョーズ」とのダブルAサイドとして収録されるのが「ベイビーシャーク」なのです。

が、レコード会社の説明には引っかかるところが。

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本日の段階でのホームページの文言を残すべくキャプチャさせていただきました(問題があれば削除いたします)。この「ベイビーシャーク」の説明において、詠み人知らずであり且つピンクフォン版が世界中の流行になったはずの「Baby Shark」が『オリジナル:Johnny Only』と表記されていることに違和感を覚えます。さらにヘラルド・パーラ選手がBGMに用いたのはピンクフォン版であることは上記MLB、そしてこちらのワシントン・ポスト紙のYouTube動画からも明らかであり、レコード会社の説明は誤りと言えるかもしれません。動画で確認可能な曲は、ジョニー・オンリー版とはサビのメロディのリズムが異なります。

上原りささんによるバージョンが『世界初のオフィシャル日本語カヴァー』とのことですが、この"オフィシャル"とは誰に対して許可をもらったのかも気になります。仮にジョニー・オンリーに許可をいただいたのだとしたら、サビのメロディはジョニー・オンリーの通りにしないといけないはずです。ピンクフォン版のメロディを拝借したのであれば(歌詞も引用したならば尚の事)、この説明文は間違いということになります。

仮にピンクフォン版を踏襲したならば。

2曲目は、全世界累計40億回再生の超話題曲で、世界の子どもたちに大人気の「ベイビーシャーク(Baby Shark)」(オリジナル:Johnny Only 童謡をベースに韓国の教育ブランド、ピンキッツが発表したバージョン)、世界初のオフィシャル日本語カヴァー!

と説明文を変えればよいはずですし、ジョニー・オンリー版が元ならばヘラルド・パーラ選手のくだり等は削除しないといけないでしょう。

 

レコード会社がこのような違和感の残る説明文を用いたのはなぜでしょう。ピンクフォンの名を出したくなかったのかそれとも韓国企業への過度な対応なのか…無論これは邪推と言われればそれまでですが、この表記はしこりを残すに十分であり問題だと考えます。

 

 

※追記 (2月1日8時16分)

上原りささんによるカバーバージョンが公開されましたので、聴き比べた上で私見を別エントリーにて記載しました。