「夜に駆ける」のTHE HOME TAKEバージョンの映像が12日放送の『ミュージックステーション』のソニー・ミュージックCM枠にて登場したことで、YOASOBIがソニー・ミュージック系列に所属していること、また権利関係を容易にクリア出来る環境を踏まえればTHE HOME TAKEを含む一発録り企画のYouTubeチャンネル、THE FIRST TAKEがソニー・ミュージックが運営である可能性が高いと紹介しました。
実際、THE FIRST TAKEとソニー・ミュージックとの関係は名言されておらず、それこそYOASOBIが結成するきっかけとなったmonogatary.comがソニー・ミュージック運営と明記されていることとは対照的です。一方で、このTHE FIRST TAKEシリーズに登場した歌手を調べると、ほぼ全てがソニー・ミュージック系列に所属していることが解ります。
Sony Music Shopではソニー・ミュージックに所属する作品も取り扱います(CD以外のフィジカルを含む)。解りやすいのは宇多田ヒカルさんの検索結果で、表示されるオリジナルアルバムは『初恋』のみ。エピックレコードジャパンに移籍する前のアルバムは登場しません。ゆえに、ソニー・ミュージック系列の作品のみが販売されている通販サイトでの購入可否を確認すれば、THE FIRST TAKEで曲を披露した歌手(の披露曲)がソニー・ミュージック系列かどうかが解るのです。
結果として、マカロニえんぴつおよびUNIDOTSは検索出来ませんでした。しかしOmoinotakeの最新EP『モラトリアム』(2020)やレーベル未表記の崎山蒼志さんの3曲入りシングルがSony Music Shopで取り扱われており、彼らが現在ソニー・ミュージック系列に所属していると言えるかもしれず、ならばマカロニえんぴつやUNIDOTSも今後そうなる可能性が高いと思われます。YOASOBIについてはフィジカルのリリースがないため取り扱いはありませんが、monogatary.comで開催されたモノコン2019で用意されたソニー・ミュージック賞のために結成されたことは、音楽コンシェルジュのふくりゅうさんによるAyaseさんインタビューや音楽ジャーナリストの柴那典さんのコラムで触れられており、また先述したようにTHE HOME TAKEバージョンの「夜に駆ける」がソニー・ミュージック枠のCMで用いられたことからも、ソニー・ミュージック所属であることは明らかです。
そう考えれば、THE FIRST TAKEシリーズのほぼ全ての作品がソニー・ミュージック所属の歌手で占められており、この独占状況を踏まえればソニー・ミュージック発のコンテンツと言えるでしょう。
個人的にはソニー・ミュージックの戦略は巧すぎる!と感じています。舞台裏が見えれば興ざめ、いや反発すらする方もいらっしゃるかもしれませんが、自分はLiSA「紅蓮華」や女王蜂「火炎」等に強く惹き込まれ、歌ヂカラの凄さや、きちんとフルバージョンで披露する意義を提示してくれたこのTHE FIRST TAKE企画は見事だと思っています。この企画に登場した作品に、背景を知らない状態で一度でも感動を覚えたならば、その歌手そして用意された企画に純粋な感謝を贈るのが好いと思うのです。
一方で懸念を記載するならば、ソニー・ミュージック所属歌手のほぼ独占状況がここまで続くと、先述した反発等のアレルギー反応を起こす方がいらっしゃるだろうということがひとつ。また最近はギターセッションも行われていますが、仮にひとりでもソニー・ミュージック以外に所属していればこのようなセッションや客演が出来ないという問題が発生します。そして歌ヂカラの凄さやフルバージョンでのパフォーマンスが音楽番組等に好い影響を与える可能性がありながらも、ソニー・ミュージックの専売特許ゆえに他のレコード会社が真似出来ず、ゆえにその影響が限定的になるのではないかということ。DISH//「猫」がTHE FIRST TAKEバージョンリリースに伴い音楽チャートを上昇、『ミュージックステーション』にも出演したことを踏まえれば既にその影響が表れているわけで、ならばさらに拡げる必要があると思うのです。
テレビを介して認知度がより高まった今こそ、ソニー・ミュージックはTHE FIRST TAKEを自社枠から少しずつ開放してほしいと願います。アレルギー反応も消え、音楽の素晴らしさがより純粋に広がっていくと思うのです。
ジャスティン・ビーバー feat. クエイヴォ「Intentions」が3ランクアップし5位に到達。ストリーミングは前週比2%アップの1300万(同指標17位)、ダウンロードは同7%アップの7000(同指標10位)、ラジオエアプレイは同5%アップの6060万(同指標3位)と全指標が上昇しています。ジャスティンにとって、今年に入ってからは4曲目のトップ5ヒットとなり、また「Baby」が2010年2月6日付で5位を記録して以来、10年強で16曲ものトップ5ヒットを輩出。この10年での5位以内獲得曲数ではドレイクに並びトップとなっています(次いでブルーノ・マーズおよびリアーナの15曲)。一方のクエイヴォにとってはソロとして3曲目のトップ5入りを獲得(いずれもDJキャレドの作品に、ジャスティン共々フィーチャーされた「I'm The One」(2017 1位)および「No Brainer」(2018 5位))。所属するヒップホップアクト、ミーゴスとしてはリル・ウージー・ヴァートを迎えた「Bad And Boujee」が2017年に首位を獲得しています。
レディー・ガガ & アリアナ・グランデ「Rain On Me」は10位に後退。ダウンロード指標を伸ばすフィジカル施策で2週前に首位に初登場を果たし、前週はガガのアルバム『Chromatica』初登場週のタイミングゆえストリーミングはダウンしながらも幾分キープ出来ていたものと思われます。ここにきてラジオエアプレイが伸び、前週比38%アップの2420万を獲得。ラジオエアプレイがダウンロードを補完し、ストリーミングがキープ出来ればロングヒットもあり得るかもしれません。
6月12日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)のCM、ソニー・ミュージック枠30秒の後半で流れたのが「夜に駆ける」のTHE HOME TAKEバージョン。このバージョンを発信した一発録り企画、THE FIRST TAKEシリーズの中でも高い再生回数を誇り、先に述べた楽曲表現の多角的な訴求につながっています。
実はTHE FIRST TAKEというYouTubeチャンネルもまたソニー・ミュージックが運営に関わっているのでは?という話を先日耳にしました。確証はありませんが、しかし出演者の多くがソニー・ミュージック系列に所属し、そして何より上記動画がCMに用いられるのは権利関係がクリアされた証拠と言えるでしょう。
とはいえソニー・ミュージックが背景にあることを責めるわけでは一切なく、純粋に凄いと思うのです。THE FIRST TAKEという企画の好さやmonogatary.comの盛り上がりを、ほとんどの方はその背景を知らずに支持しているわけです。ソニー・ミュージックに対しては1年以上前にこのような形で疑問を呈したのですが、一部解決されていない部分はあれども音楽の訴求方法については非常に巧くなったものと捉えています。
最後は1月19日放送、【玉・ボール】特集回で紹介した元阪神タイガースのトーマス・オマリーさんによる「オマリーの私を甲子園に連れてって-TAKE ME OUT TO THE BALL GAME-」。この曲が収録された『オマリーのダイナミック・イングリッシュ~オマリーの六甲おろし~』も在庫なし。たくさんのラジオ番組で盛り上ったことを受けて20年ぶりに復刻された作品ゆえ、あって然るべきだと思うのですが。
完全インディペンデント、すなわちレコード会社にも芸能事務所にも所属しない歌手の作品がビルボードジャパンソングスチャートを制したのはおそらく初。コロナ禍の影響でCDリリースが延期され未CD化曲のヒットが目立つようになったことも、自粛期間でサブスクやTikTokを利用する方が増えただろうことも要因ですが、インディペンデントで活動する歌手を支えるサービス(「香水」におけるTuneCore Japan等)の存在が、日本の音楽業界に新たな可能性を示したと言えるのではないでしょうか。TikTokのカバー動画が大きな影響を及ぼしたことを踏まえるに、昨年「Old Town Road」で米ソングスチャート19週首位という新記録を樹立したリル・ナズ・Xを彷彿とさせるのです。
上記は初のトップ20入りを果たした”THE FIRST TAKE”バージョン。そして3年前リリースのオリジナルバージョンも最高位を更新しました。
これは間違いなく、6月5日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時 以下『Mステ』)に北村匠海さんが出演し「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」を披露した効果と言えるでしょう。そして注目すべき、且つ気になるのはTwitter指標。”THE FIRST TAKE”バージョンが32位に対し、オリジナルバージョンは13位に登場、総合順位と逆転しています。これはおそらく『Mステ』を観て”THE FIRST TAKE”バージョンの意味で(別バージョンの記載を省いた)「猫」とつぶやいた方が多かっただろうことが原因と考えます。これまでも弊ブログでは、米に倣ってオリジナルバージョンと他のバージョンは合算すべきではないかと提言してきましたが、今回のTwitter指標の逆転現象が自分の仮説の通りだとすれば、受け手が2つのバージョンを一緒くたにしているものと思われるため、合算は尚更必須ではないかと強く思った次第。これまで合算すべきと考える理由は下記ブログエントリーでも記載しましたが、今回のTwitterの件を加えて今一度、ビルボードジャパンに提案したいと思います。
披露された「Love Is The Final Liberty」はオリコン最高8位。順位がさほど高くなくとも出られたという証拠と言えるかもしれませんし、その後さらに上回る順位の曲が出てきているのに出ていないこともあり、順位を”実績”とするには説得力に欠けるでしょう。同曲のWikipediahttps://t.co/CEFnFetA1Q