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紅蓮華、猫、夜に駆ける…今注目を集める一発録り企画のYouTubeチャンネル、THE FIRST TAKEが今後さらに飛躍するために望むこと

一昨日、ラジオの放送後記も兼ねて番組で語った内容をまとめた、YOASOBIが人気を獲得した要因を記載しました。その際4項目”プラスα”として、ソニー・ミュージックエンタテインメント(以下ソニー・ミュージック)の戦略の巧さを記載しました。

「夜に駆ける」のTHE HOME TAKEバージョンの映像が12日放送の『ミュージックステーション』のソニー・ミュージックCM枠にて登場したことで、YOASOBIがソニー・ミュージック系列に所属していること、また権利関係を容易にクリア出来る環境を踏まえればTHE HOME TAKEを含む一発録り企画のYouTubeチャンネル、THE FIRST TAKEがソニー・ミュージックが運営である可能性が高いと紹介しました。

 

実際、THE FIRST TAKEとソニー・ミュージックとの関係は名言されておらず、それこそYOASOBIが結成するきっかけとなったmonogatary.comがソニー・ミュージック運営と明記されていることとは対照的です。一方で、このTHE FIRST TAKEシリーズに登場した歌手を調べると、ほぼ全てがソニー・ミュージック系列に所属していることが解ります。

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Sony Music Shopではソニー・ミュージックに所属する作品も取り扱います(CD以外のフィジカルを含む)。解りやすいのは宇多田ヒカルさんの検索結果で、表示されるオリジナルアルバムは『初恋』のみ。エピックレコードジャパンに移籍する前のアルバムは登場しません。ゆえに、ソニー・ミュージック系列の作品のみが販売されている通販サイトでの購入可否を確認すれば、THE FIRST TAKEで曲を披露した歌手(の披露曲)がソニー・ミュージック系列かどうかが解るのです。

結果として、マカロニえんぴつおよびUNIDOTSは検索出来ませんでした。しかしOmoinotakeの最新EP『モラトリアム』(2020)やレーベル未表記の崎山蒼志さんの3曲入りシングルがSony Music Shopで取り扱われており、彼らが現在ソニー・ミュージック系列に所属していると言えるかもしれず、ならばマカロニえんぴつやUNIDOTSも今後そうなる可能性が高いと思われます。YOASOBIについてはフィジカルのリリースがないため取り扱いはありませんが、monogatary.comで開催されたモノコン2019で用意されたソニー・ミュージック賞のために結成されたことは、音楽コンシェルジュのふくりゅうさんによるAyaseさんインタビューや音楽ジャーナリストの柴那典さんのコラムで触れられており、また先述したようにTHE HOME TAKEバージョンの「夜に駆ける」がソニー・ミュージック枠のCMで用いられたことからも、ソニー・ミュージック所属であることは明らかです。

そう考えれば、THE FIRST TAKEシリーズのほぼ全ての作品がソニー・ミュージック所属の歌手で占められており、この独占状況を踏まえればソニー・ミュージック発のコンテンツと言えるでしょう。

 

個人的にはソニー・ミュージックの戦略は巧すぎる!と感じています。舞台裏が見えれば興ざめ、いや反発すらする方もいらっしゃるかもしれませんが、自分はLiSA「紅蓮華」や女王蜂「火炎」等に強く惹き込まれ、歌ヂカラの凄さや、きちんとフルバージョンで披露する意義を提示してくれたこのTHE FIRST TAKE企画は見事だと思っています。この企画に登場した作品に、背景を知らない状態で一度でも感動を覚えたならば、その歌手そして用意された企画に純粋な感謝を贈るのが好いと思うのです。

 

一方で懸念を記載するならば、ソニー・ミュージック所属歌手のほぼ独占状況がここまで続くと、先述した反発等のアレルギー反応を起こす方がいらっしゃるだろうということがひとつ。また最近はギターセッションも行われていますが、仮にひとりでもソニー・ミュージック以外に所属していればこのようなセッションや客演が出来ないという問題が発生します。そして歌ヂカラの凄さやフルバージョンでのパフォーマンスが音楽番組等に好い影響を与える可能性がありながらも、ソニー・ミュージックの専売特許ゆえに他のレコード会社が真似出来ず、ゆえにその影響が限定的になるのではないかということ。DISH//「猫」がTHE FIRST TAKEバージョンリリースに伴い音楽チャートを上昇、『ミュージックステーション』にも出演したことを踏まえれば既にその影響が表れているわけで、ならばさらに拡げる必要があると思うのです。

 

テレビを介して認知度がより高まった今こそ、ソニー・ミュージックはTHE FIRST TAKEを自社枠から少しずつ開放してほしいと願います。アレルギー反応も消え、音楽の素晴らしさがより純粋に広がっていくと思うのです。

ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」が2連覇達成…6月20日付米ビルボードソングスチャートをチェック

ビルボードのソングスチャートをチェック。現地時間の6月15日月曜に発表された6月20日付最新ソングスチャート、前週初の首位に立ったダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」が連覇を達成しました。

前週まで6週連続で首位が入れ替わり、その全てが初の首位を獲得していた状況から一転、ようやく落ち着いたと言えるチャートに。「Rockstar」はストリーミングで前週比3%アップの3570万を獲得し同指標4週目の首位を獲得。ダウンロードは同10%アップの12000(同指標3位)、ラジオエアプレイは同30%アップの2610万(同指標26位)となり、チャートを構成する3つの指標全てが上昇しています。

他方2位をキープしたミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」はストリーミングが前週比2%ダウンの2590万(同指標2位)、ダウンロードが同9%ダウンの12000(同指標1位)、ラジオエアプレイが同1%未満上昇し5380万(同指標6位)と、勢いに陰りが出てきています。なおラジオエアプレイ指標を制したのは今週もザ・ウィークエンド「Blinding Lights」(総合3位)で、同指標1%ダウンしたものの7520万を獲得し同指標10週目の制覇となりました。

ジャスティン・ビーバー feat. クエイヴォ「Intentions」が3ランクアップし5位に到達。ストリーミングは前週比2%アップの1300万(同指標17位)、ダウンロードは同7%アップの7000(同指標10位)、ラジオエアプレイは同5%アップの6060万(同指標3位)と全指標が上昇しています。ジャスティンにとって、今年に入ってからは4曲目のトップ5ヒットとなり、また「Baby」が2010年2月6日付で5位を記録して以来、10年強で16曲ものトップ5ヒットを輩出。この10年での5位以内獲得曲数ではドレイクに並びトップとなっています(次いでブルーノ・マーズおよびリアーナの15曲)。一方のクエイヴォにとってはソロとして3曲目のトップ5入りを獲得(いずれもDJキャレドの作品に、ジャスティン共々フィーチャーされた「I'm The One」(2017 1位)および「No Brainer」(2018 5位))。所属するヒップホップアクト、ミーゴスとしてはリル・ウージー・ヴァートを迎えた「Bad And Boujee」が2017年に首位を獲得しています。

TikTokのムーブメントでチャートを上昇し、フューチャーをフィーチャーした新バージョンの投入で前週初のトップ10入りを果たしたセイント・ジョン「Roses」が3ランクアップの7位に。ダウンロードは前週比23%アップの9000を獲得しています。

 

最新のトップ10はこちら。

 
 
 
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#Hot100 (chart dated June 20, 2020)

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[今週 (前週) 歌手名・曲名]

1位 (1位) ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」

2位 (2位) ミーガン・ジー・スタリオン feat. ビヨンセ「Savage」

3位 (3位) ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

4位 (4位) ドージャ・キャット「Say So」

5位 (8位) ジャスティン・ビーバー feat. クエイヴォ「Intentions」

6位 (6位) ドレイク「Toosie Slide」

7位 (10位) セイント・ジョン「Roses」 

8位 (7位) デュア・リパ「Don't Start Now」

9位 (9位) ロディ・リッチ「The Box」

10位 (5位) レディー・ガガアリアナ・グランデ「Rain On Me」

レディー・ガガアリアナ・グランデ「Rain On Me」は10位に後退。ダウンロード指標を伸ばすフィジカル施策で2週前に首位に初登場を果たし、前週はガガのアルバム『Chromatica』初登場週のタイミングゆえストリーミングはダウンしながらも幾分キープ出来ていたものと思われます。ここにきてラジオエアプレイが伸び、前週比38%アップの2420万を獲得。ラジオエアプレイがダウンロードを補完し、ストリーミングがキープ出来ればロングヒットもあり得るかもしれません。

 

さて次週は「Rockstar」の3週目の首位獲得なるかに注目。ライバルはシックスナイン & ニッキー・ミナージュ「Trollz」と思われますが、シックスナインの素行の問題を踏まえればラジオエアプレイの拒否が続くかもしれません(今年「Gooba」が首位になれなかった要因はラジオ局の拒否にもあっただろうという私見を以前掲載しています→こちら)。他方、ダベイビー feat. ロディ・リッチ「Rockstar」は「Trollz」がリリースされたのと同じ6月12日に同曲のBLMリミックスを配信。BLMとはBlack Lives Matter(運動)を指し、黒人への人種差別が続くアメリカの現状を、ダベイビーがリリックを変えて訴えた形となっています。

リミックスも合算対象となる米ビルボードソングスチャート、次週はどうなるのか目が離せません。

ラジオで特集したYOASOBI、その流行の理由4点プラスαを自分なりに考えてみる

自分がスタッフの一員を務める『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)、昨日の放送ではDJたくみくんによるYOASOBI特集をOAしました。

曲目リスト

01. YOASOBI「夜に駆ける」

02. Ayase「ハッピーエンダー」

03. YOASOBI「あの夢をなぞって」

04. 幾田りら「おまじない」

05. 幾田りら「ラブレター」

 

06. Ayase「フィクションブルー」

07. Ayase「ラストリゾート」

08. YOASOBI「ハルジオン」

09. Ayase「夜撫でるメノウ (Ayase ver.)」

番組では時折スタッフ持ち込み特集を開催するのですが、たくみくんは「ラストリゾート」を偶然YouTubeで見かけて好きになった…つまりはYOASOBI結成前からファンだったとのこと。チャートを追いかけてこの数ヶ月でYOASOBIを深く知るようになった自分は感嘆しながら、たくみくんのYOASOBI愛に聴き入った次第です。

 

YOASOBIはコンポーザーのAyaseさんとボーカルのikura(幾田りら)さんによるユニットで昨年11月に結成。ソニー・ミュージックによるサービスで、題目に沿って小説やイラスト等の投稿を募る【monogatary.com】の中で”モノコン2019”なるイベントが開催され、そこでソニーミュージック賞を受賞した小説を楽曲化したのが昨年12月にリリースされた処女作「夜に駆ける」でした(原作は星野舞夜『タナトスの誘惑』)。以降今年1月に第2弾として「あの夢をなぞって」(原作:いしき蒼太『夢の雫と星の花』)、そしてサントリーエナジードリンクZONeとコラボして生まれた「ハルジオン」(原作:橋爪駿輝『それでも、ハッピーエンド』)が5月にリリースされ、最新6月15日付ビルボードジャパンソングスチャートでは「夜に駆ける」が首位、「ハルジオン」が10位に入り、「あの夢をなぞって」も42位に上昇しています。Ayaseさんもikuraさんも音楽活動を開始したのが2010年代後半とのことで、その才能の開花の速さに唸らされます。

 

さて、ビルボードジャパンソングスチャートで「夜に駆ける」が3週連続で首位を獲得したことで知った方も多いであろうYOASOBIについて、その流行の理由を自分なりにまとめてみました。

① 楽曲表現の多角的な訴求

② ボカロやボカロP、歌ってみた系というジャンルの確立

③ 受け手が参加する姿勢

④ 運営によるファンとのエンゲージメントの徹底

 

楽曲表現の多角的な訴求については「ハルジオン」と『タナトスの誘惑』との相互関係に代表されるように、曲を聴いて小説を読む(その逆も然り)という流れが生まれます。またミュージックビデオは椎名林檎さんのツアー映像等を担当した藍にいなさんが務め、ビデオから曲の世界に入り込むという流れも生まれます。TikTokでも話題になっており、様々な媒体で表現されることで元の楽曲への注目度がどんどん高まっていく仕組み。”触れる”人の多さはチャートにも表れており、サブスクの再生回数に基づくストリーミング指標、およびYouTube等の動画再生指標といった接触指標群が3週連続首位となっていることからも明らかです。

 

Ayaseさんは昨年4月にボカロPとして「ラストリゾート」が初めて再生回数10万回に達したことでその名を広めています。また幾田りらさんは自身の音楽活動の他にいわゆる”歌ってみた”動画をアップしてきました。ニコニコ動画YouTubeにアップされるボカロPや歌ってみた動画の投稿はこの10年ほどで醸成されています。「Lemon」で2年連続ビルボードジャパンソングスチャートを制した米津玄師さんがハチ名義で活躍したこともあり、間違いなくボカロやボカロP、歌ってみた系というジャンルの確立は今の音楽業界の礎になっているはずです。この文化について自分は恥ずかしながら疎いので、例えばこちらのnote等を参照いただければと思います。

 

このジャンルの確立は、今になっては制作側だけではなく受け手が参加する姿勢も徹底されてきています。ニコニコ動画でのコメント入力にはじまり、現在ではTikTokで誰でも気軽に歌ってみた等の様々な動画をアップ出来るようになりました(昨日ラジオで、「夜に駆ける」のインストバージョンも支持されていると聞きましたが、歌ってみた動画に使う方が多いとなるとインストを用意するのはたしかに納得します)。またmonogatary.comではユーザーがコメントのみならずポイントを付けて楽しむことが出来るのも特徴で、こういった気軽な参加型もまた「夜に駆ける」の波及の一因になったと考えます。

 

そして運営によるファンとのエンゲージメントの徹底については以前のブログエントリー(こちらこちら等)でも書いた通り。曲は気になるけどファンというほどでもないというライト層を取り込み、さらに参加を呼びかけてコアなファン化させることに成功しています。

 

これら4つに加え、ソニー・ミュージックのSNS姿勢の巧さも挙げられるでしょう、YOASOBIはインディで曲を発信していますが、その結成理由も含めてソニー・ミュージックが背景にあるのはほぼ間違いありません。

6月12日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時)のCM、ソニー・ミュージック枠30秒の後半で流れたのが「夜に駆ける」のTHE HOME TAKEバージョン。このバージョンを発信した一発録り企画、THE FIRST TAKEシリーズの中でも高い再生回数を誇り、先に述べた楽曲表現の多角的な訴求につながっています。

実はTHE FIRST TAKEというYouTubeチャンネルもまたソニー・ミュージックが運営に関わっているのでは?という話を先日耳にしました。確証はありませんが、しかし出演者の多くがソニー・ミュージック系列に所属し、そして何より上記動画がCMに用いられるのは権利関係がクリアされた証拠と言えるでしょう。

とはいえソニー・ミュージックが背景にあることを責めるわけでは一切なく、純粋に凄いと思うのです。THE FIRST TAKEという企画の好さやmonogatary.comの盛り上がりを、ほとんどの方はその背景を知らずに支持しているわけです。ソニー・ミュージックに対しては1年以上前にこのような形で疑問を呈したのですが、一部解決されていない部分はあれども音楽の訴求方法については非常に巧くなったものと捉えています。

 

以上4点+αがYOASOBI躍進の理由と考えますが、如何でしょうか。

次回のチャート(6月17日発表の6月22日付ビルボードジャパンソングスチャート)からはシングルCDセールスが強い曲が毎週入れ替わる形で首位に立つことが想定され、YOASOBI「夜に駆ける」は首位を逃すことが予想されます。ただし順位は下がれどもポイント前週比でもってヒットしていることを判断してほしいと思います。他方、シングルCDセールスに長けた曲のチャート動向から真のヒットかを見極める方法については以前記載しています(→こちら)。

 

今回、スタッフのたくみくんがYOASOBI愛を語ってくれたことで、あらためて彼らの魅力、そして流行の背景を考えた次第。気付きをくれたことに感謝します。そして気になった方は是非YOASOBI、そしてAyaseさんやikura(幾田りら)さんの作品に触れてみてください。

リニューアルしたSHIBUYA TSUTAYAのレンタルCD在庫は自分担当のラジオ番組に勝てるのか?珍盤の在庫を掘ってみる

6月12日、SHIBUYA TSUTAYAがリニューアルしました。今回の目玉はレンタルCDコーナーのリニューアル。

記事を読むと”レンタルCD在庫が35万!?と一瞬勘違いしてしまいそうになりますが、実際はセル等も含めた総在庫数の模様。シブヤ経済新聞によれば『同店ではサブスク未配信音源に焦点を当て「出合いの場」を提供する。在庫は約6000枚を用意し、今後も増やしていくという』とのことですが、このサブスク未配信音源がイコールレンタルCD向け在庫なのかも不明であり、記事は不明瞭な気がします。しかしながらコロナ禍収束後に実際に取材に行きたいと思うくらい、魅力的なリニューアルではないでしょうか。

 

さて、自分がスタッフの一員を務めるラジオ番組『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時)では少なくとも東北イチ、毎週のように珍盤をかけるという勝手なコンセプトを自負しています。そこで今年OAした曲の中から珍盤と呼べる6曲を厳選し、SHIBUYA TSUTAYAで音源をレンタル出来るのかをチェックしてみます。チェックの方法は以前森口博子GUNDAM SONG COVERS』(2019)の在庫を検索したとき(→こちら)と同様、アプリを使用。商品検索すると登録店舗の在庫状況が在庫有り[○]、貸出中[×]および未導入の[ - ]で表示されます。

 

まずは2月2日放送、【くちびる・リップ】特集で紹介した三原順子「口唇からショット・ガン」。タイトルのインパクトが強いこの曲は『パーフェクト・ベスト』に収録されていますが、ベストアルバムは揃えられやすいゆえ、きちんと手に入ります。

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5月24日放送、【マッチョ・マッスル・筋肉】特集回でOAした、かたせ梨乃&カツヤクキン「ムキムキマンのエンゼル体操」。テレビのバラエティ番組発のヒットで、ムキムキマンは実は青森県津軽地方出身というのをこのときはっきりと理解しました。オムニバスアルバム『ALWAYS外伝~昭和爆笑伝説~』に収録され、レンタルも可能です。

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同じ回では藤波辰爾さんによる「マッチョ・ドラゴン」も紹介。こちらはプロレスラー歌唱曲を集めたオムニバスアルバム『格闘音楽大全プロレスQ第5回 プロレス紅白』に収録。こちらはありませんでした。

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4月12日、志村けんさんの追悼企画として【みんな大好き!志村けんドリフターズ】特集をOAした際、目玉として用意した「ウンジャラゲ」。さすがに8cmCDのみで発売され、未だに復刻されていないためかSHIBUYA TSUTAYAには無い模様(在庫状況は不明となっていますが、おそらくないものとみられます)。8cmCDを在庫で抱える事自体、難しそうです。

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5月31日放送、大学生スタッフのこうたくんが選曲した【お笑い芸人ソング】特集でリクエストをいただきOAしたダンディ坂野「OH! NICE GET's!!」はインディからのリリース。おそらくアルバム未収録ゆえシングルCDでしか手に入らないこの曲もありませんでした。

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最後は1月19日放送、【玉・ボール】特集回で紹介した元阪神タイガーストーマス・オマリーさんによる「オマリーの私を甲子園に連れてって-TAKE ME OUT TO THE BALL GAME-」。この曲が収録された『オマリーのダイナミック・イングリッシュ~オマリーの六甲おろし~』も在庫なし。たくさんのラジオ番組で盛り上ったことを受けて20年ぶりに復刻された作品ゆえ、あって然るべきだと思うのですが。

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6曲中在庫有りは2曲というわけで、自分の担当番組『わがままWAVE It's Cool!』の勝利と言ってもいいかもしれません。SHIBUYA TSUTAYAにはもっと頑張ってほしいと思いますし、そのSHIBUYA TSUTAYAに”サブスク未解禁作品はCD取扱店側に有利”と定義付けられた歌手やレコード会社側は、負けじとサブスクにどんどん配信してほしいと思います。そして珍盤も隈なく紹介する『わがままWAVE It's Cool!』は毎週日曜夕方5時からFMアップルウェーブでチェック出来ますので、遠方の方はFMアップルウェーブのホームページ経由、もしくは無料でダウンロード出来るTuneIn Radioアプリを使ってぜひチェックしてください。

ちなみに今回紹介した6曲のうち、トーマス・オマリーさんは(アルバムから厳選された形で)Spotifyにありましたので最後に紹介しておきたいと思います。

2020年上半期の社会的な、もしくはチャートを語る上で欠かせないヒット10曲を選んでみました

今年上半期に社会的にヒットした、もしくはチャートを語る上で欠かせない曲を10曲選んでみました。昨年については下記ブログエントリーをご確認ください。

邦楽についてはビルボードジャパンの上半期ソングスチャート(Hot 100)を参照。

これまでは邦楽洋楽共に5曲ずつを選んできましたが、今回は邦楽に比重を置いています。基本的には昨年12月~今年5月リリースの作品を取り上げますが、リリースがそれ以前でもこの時期にヒットしたものであれば取り上げます。

 

 

Official髭男dism「I LOVE...」

主題歌に起用されたドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS)共々大ヒットし、自身の「Pretender」に続く上半期ソングスチャート2位を記録。コロナ禍で新ドラマが開始見合わせとなり『恋つづ』が再放送されたことも影響し、首位在籍7週を含む14週連続2位以内を達成。この影響もあり、昨秋リリースのアルバム『Traveler』も上半期アルバムチャート2位に入るロングヒットに。下記ブログエントリーは「I LOVE...」および『Traveler』のチャート推移。

 

King Gnu「Teenager Forever」

上半期アルバムチャートを制した『CEREMONY』から、リリース直前にミュージックビデオが解禁されたリード曲。「白日」の大ヒットと『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)でのパフォーマンスで認知度や注目度を高めた彼らが、この曲のパフォーマンスで実力を存分に知らしめたことは間違いなく、アルバムは初週CDセールス24万を突破。「白日」共々アルバムの大ヒットを牽引した曲となりました。アルバムの動向は下記に。

 

星野源「うちで踊ろう」

コロナ禍の状況下で星野源さんが示した一筋の光と言える曲。曲に込めた思いは下記ブログエントリーで紹介した分を含め、『星野源オールナイトニッポン』(ニッポン放送 火曜25時)のみやーんさんによる書き起こしを参照してください。フリーダウンロードのためダウンロード指標が加算されないことや、サブスク解禁が後日になったことによりネットのバズがチャートには大きく反映されていませんが(最高13位、100位以内在籍7週)、男性アイドルグループが大挙入るようになったTwitter指標を制しチャート上昇の原動力にしたのは見事でした。

 

④ YOASOBI「夜に駆ける」

小説を基に曲を書き下ろすという新しいスタイルで音の世界感を多メディアで訴求、動画やサブスクといった接触指標群から大ヒットに至った未CD化曲。さらにTwitterアカウントにおけるファンとのエンゲージメントの徹底が、全ての歌手の運営側にとって手本となることは間違いありません。無論このヒットの前提には、ボーカロイドというジャンルやニコニコ動画等動画投稿の日本での醸成、そして曲のキャッチーさがあります。

 

⑤ 瑛人「香水」

完全インディペンデント、すなわちレコード会社にも芸能事務所にも所属しない歌手の作品がビルボードジャパンソングスチャートを制したのはおそらく初。コロナ禍の影響でCDリリースが延期され未CD化曲のヒットが目立つようになったことも、自粛期間でサブスクやTikTokを利用する方が増えただろうことも要因ですが、インディペンデントで活動する歌手を支えるサービス(「香水」におけるTuneCore Japan等)の存在が、日本の音楽業界に新たな可能性を示したと言えるのではないでしょうか。TikTokのカバー動画が大きな影響を及ぼしたことを踏まえるに、昨年「Old Town Road」で米ソングスチャート19週首位という新記録を樹立したリル・ナズ・Xを彷彿とさせるのです。

 

⑥ 藤井風「優しさ」

小学生の終わりに父親に”これからはYouTubeの時代”と言われたのを機に演奏動画を投稿しはじめた藤井風さん。「何なんw」「もうええわ」といった目や耳を惹くタイトルでも注目を集めましたが、ソウルや昭和歌謡等様々なジャンルを咀嚼して築いた世界観は唯一無二。アルバム『HELP EVER HURT NEVER』はビルボードジャパンアルバムチャートで初登場首位を記録し、現在までに3週連続トップ5入りを達成。レンタル解禁によりロングヒットも見込まれます。TikTokYouTube等、動画が高く支持される方がさらなる注目を集めているのが2020年上半期(後半)の特徴です。

 

Snow Man「D.D.」

ジャニーズ事務所所属、SixTONES「Imitation Rain」と同日CDデビュー(上半期ソングスチャートで順位がより高いこちらを選出)。レコード会社の異なる2組ながら、相手のシングルCDに自身のシングル表題曲を収録する手法を採り、両者を合算したオリコンシングルCDランキングでは初週ミリオンを達成。その勢いは純粋に凄いと思う一方、オリコンの姿勢(ミリオンを強く打ち出したメディアも含め、疑問を下記ブログエントリーに記載)、またトップ10入りはわずか5週という状況を踏まえれば、社会的ヒットに至ったと断言するのは難しく、次のシングルで真価が問われるものと考えます。”デジタルに放つ”というキャッチコピーを打ち出した以上、デジタルをきちんと解禁し接触指標群を充実させられるか、下半期に注目です。

 

⑧ ロディ・リッチ「The Box」

日本でもTikTok発のヒットが徐々に生まれてきていますが、今年アメリカで11週連続首位を達成したロディ・リッチ「The Box」はこのTikTokの影響が大きく、特にイントロのシンセの音が窓を拭く音を想起させるとして投稿された下記動画は現段階で180万ものいいねを記録。

@jaywill4real

This how Roddy Ricch made The Box 😂😂 ##music ##foryou ##foryoupage ##featureme

♬ The Box - Roddy Ricch

ビルボードソングスチャートではサブスクや動画の再生回数に基づくストリーミング指標で13週もの首位を獲得。TikTok発のヒットは接触行動につながりやすいという表れと言えるでしょう。

 

⑨ ドレイク「Toosie Slide」

コロナ禍の空気をうまく捉えたミュージックビデオも話題になったドレイクの米ソングスチャート首位獲得曲。この曲もTikTokがヒットの契機になりましたが、インフルエンサーがリリース直前にこの曲を用いたダンス動画をアップし、”ドレイクの未発表曲が!”と話題になったことも首位に至る要因に。実はインフルエンサーに前もって曲を渡していたというこの仕掛け、今後戦略的に用いられるかもしれません。ドレイクはこの曲を含むミックステープをリリースし、今年中にはアルバムもリリース予定とのこと。

 

⑩ ザ・ウィークエンド「Blinding Lights」

米ソングスチャートを通算4週制覇。アルバムは発表から2週間で複数回のデラックスエディションがリリースされており、サブスク時代においてこの試みは理解出来なくはないものの購入者への配慮がないのでは、という疑問を感じてはいます。

しかしながらこの策の成功もあってか、「Blinding Lights」は最新6月13日付ソングスチャートまで9週連続でラジオエアプレイ指標を制覇。総合ソングスチャートは6週連続で首位が入れ替わる中、この曲は現在も3位と好位置をキープしており、今年を代表する1曲となりそうです。R&Bを基軸としながらジャンルレスなサウンドを展開するのも、今の時代を如実に示しているものと考えます。

 

 

以上10曲、いかがだったでしょうか。厳しい指摘をさせていただいた曲については下半期以降の展開に期待しています。

自分がスタッフの一員を務める『わがままWAVE It's Cool!』(FMアップルウェーブ 日曜17時 サイマルラジオで全国どこからでも聴取出来ます)において今月後半から来月前半の間に、弘前大学ラジオサークルOBのしょうごくんによる上半期ヒット曲総ざらい特集を放送予定です。現役大学院生の彼が選ぶ今年上半期のヒット曲にも是非注目してください。

シングルCDが売れているイコール社会的ヒット曲と言えない? 真に社会的ヒット曲となったかを見極める4つのポイントを紹介します

ビルボードジャパンソングスチャートは次週以降、シングルCDセールスに長けた曲が首位を獲得することが予想されます。

コロナ禍の影響でCDショップが営業自粛したこと、テレビドラマの開始や映画の公開が遅れたこと等で発売延期となっていた作品が徐々に発売に至り、ドラマ『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ 土曜22時 今後開始予定)の主題歌であるKing & Prince「Mazy Night」が今週リリースされると既に45万枚を突破。ジャニーズ事務所所属歌手の作品では17日にKinKi Kids、24日にジャニーズWEST、7月1日にHey! Say! JUMPとリリースが続くことから、CD発売のスケジュールは通常モードに戻りつつあると言えます。

一方で上記速報では、ジェジュンBrava!! Brava!! Brava!!」が1万枚近くを売り上げ3位に登場しているのも興味深いところ。『今年3月に発売した同作に、ミュージックビデオやメイキング映像を収録したスペシャル盤を6月10日にリリース』(上記記事より)とのことで、ファン垂涎の作品と言えるでしょう。

 

さて、このようにシングルCDセールスに長けた作品が毎週のように登場すると、ビルボードジャパンソングスチャートの首位は毎週のように入れ替わることが予想されます。となると、このチャートを見てシングルCDセールスランキングと大差ないと疑問を抱き、ビルボードジャパンのチャートに懐疑的な見方すら示しかねない方も出てくるかもしれません。そこで、シングルCDセールスが強い曲が真に社会的ヒット曲であるかを見極めるためのポイントを4つ、紹介したいと思います。

 

① シングルCDセールス加算初週、シングルCDセールスのチャート構成比に占める割合は高すぎないか?

チャート構成比はビルボードジャパンのCHART insightより確認出来ます。

CHART insightには最新週のソングスチャート、アルバムチャート20位まで、およびアニメソングスチャート10位までの総合順位および指標毎の順位が掲載。過去に遡って確認することも可能。また曲名をクリックするとその曲の総合および指標毎の推移が登場し、最新週におけるチャート構成比も表示されます。

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こちらは最新6月15日付ビルボードジャパンソングスチャートで8位にランクインしたStray Kids「TOP」のCHART insight。順位の右側にある円グラフはチャートを構成する8指標(記載時点ではコロナ禍を考慮しカラオケ指標が集計取り止め中のため7指標)の割合を示しています。これをみると「TOP」は、今週はじめて加算された日本でのファーストシングルのCDセールスがチャート構成の8割近くとなっており、これが上昇の原動力となっていることが解ります。

ただし、気になるのは他指標の低さ。デジタル先行リリースのためか、ダウンロード(CHART insightでは紫で表示)やサブスクの再生回数を基とするストリーミング(青で表示)がCDリリース前にランクインしていますが、今週はダウンロードの再ランクインこそあれど、ストリーミングはポイント加算対象外(同指標300位未満)となっています。シングルCDセールスは所有指標であり一回買えばよいという特性上、翌週この指標のダウンは免れず、ゆえに他指標でカバー出来なければ次週総合チャートで急落することは必至といえます。

他方でロングヒットする曲は、ストリーミングがチャート構成比の5割、動画再生が2割から4分の1程度を占めるという法則があり、この法則をなぞることが理想と言えます。下記ブログエントリーはカラオケ指標を含めた上で法則を割り出していますが、カラオケ指標が集計取り止め中の現在においても当てはまるものと考えます。

 

② シングルCDセールス加算初週、シングルCDセールスに比べてルックアップの順位は低すぎないか?

ルックアップとは、パソコン等にCDを取り込んだ際にインターネットデータベースへアクセスされる回数のこと。この指標の存在により、ユニークユーザー数およびレンタル回数を推測出来ます。

ユニークユーザー数とは実際の購入者数のこと。100万枚売れていてもひとり平均10枚購入したならばユニークユーザー数は10万人となります。10枚買ったとして、盤の内容が全て同じならばパソコンに取り入れるのは1枚で済むわけで、売上枚数に比べてルックアップが少なくなることは自明と言えます。またレンタル回数が多ければ取り込む方が増え、ルックアップが伸びます。CDセールス順位とルックアップの順位が同等か、むしろ後者が高い作品はすなわちレンタルが多く、CDでの接触数が高いと言えるのです。今年度上半期のアルバムチャートにおけるKing Gnu『CEREMONY』およびOfficial髭男dism『Traveler』はルックアップが非常に強く、レンタルの多さも如実に示しています。

一方で、先に取り上げたStray Kids「TOP」はシングルCDセールス指標が1位に対し、ルックアップが51位と大きく下回っています。これはレンタル量の少なさ(というより、現在のレンタル店舗では大型店でない限り、著名な男性アイドルやK-Popアクトでなければ在庫自体置かない可能性もあるのですが)、そしてユニークユーザー数の多くなさを示しています。接触の多さはライト層(曲に興味はあれども歌手のファンというほどではない、という方)の多さ、所有の多さはコアなファンの多さを示していると考えれば、「TOP」はコアなファンによって支えられていると言えるのです。

 

③ シングルCDセールス加算2週目、総合チャートにおけるポイント前週比は低すぎないか?

①と②を踏まえた上での③とも言えるのですが、CDセールスに特化し他指標が伴わず、またコアなファンに支えられているとなると、シングルCDセールス加算2週目のチャートで急落することはほぼ間違いありません。その最たる例が近年のAKB48の動向です。

2018年秋以降のシングルCD表題曲はシングルCDセールス加算初週に総合チャートを制しながらも翌週は20位以下に急落。総合チャートは50位までポイントが表示されますが、AKB48の直近のシングル「失恋、ありがとう」はシングルCDセールス加算2週目に総合50位未満となり、ポイント前週比が計算出来ない事態となっています。

シングルCDセールスに長けたアイドル曲の動向をみると、ジャニーズ事務所所属歌手が10~20%の範囲、坂道グループが20%強(しかしながら最近は20%を切ることが増えています)、AKB48は5%未満というのがシングルCDセールス加算2週目の総合チャートにおけるポイント前週比と言えます。この水準を打破するにはシングルCDセールスに頼らない戦略が必要なのです。

一方で、今年度上半期ソングスチャートで2位にランクインしたOfficial髭男dism「I LOVE...」は、シングルCDセールスに長けた曲とは対照的な動きをしています。

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シングルCDセールス加算2週目のポイント前週比は9割超えを達成。主題歌となったドラマ『恋はつづくよどこまでも』(TBS)の再放送効果が薄れた5月以降はポイントがダウンする傾向にありますが、ポイント前週比は9割前後を推移しています。特徴的なのは所有指標(CDセールスおよびダウンロード)に対し、接触指標のストリーミングはダウンするとしても前週比9割台をキープしていること。接触指標が全体の落ち込みを抑えていることが解ります。

 

④ チャート構成比においてTwitter指標が高すぎないか?

こちらについては最近分析を実施し、ビルボードジャパンに対しTwitter指標のウェイトの見直しを図る必要があると提案しています。

Twitter指標を上昇させるためのファンによる積極的な活動が目立ってきたことが、上記ブログエントリーで記載したTwitter指標動向の定点観測からよく解ります。この指標の強さが、たとえばジャニーズ事務所所属の新人2組であるSixTONES「Imitation Rain」およびSnow Man「D.D.」が今年度上半期ソングスチャートでトップ10入りを果たした原動力と考えます。

ジャニーズ事務所所属歌手は基本的にデジタルに放たれていないためレンタルCD以外に接触する手段が乏しく(ミュージックビデオがショートバージョンであれば動画再生指標で思ったよりも伸びないことはLiSA「紅蓮華」等でも証明されています)、また他事務所所属歌手等は先述したようにレンタル在庫の少なさもあることから、彼らのファンの方々がTwitter指標の盛り上げに積極的になるものと思われます。しかしこの活動により同指標のウェイトが上昇するほど、社会的ヒット曲と言えなくなるのではと捉えています。

 

【シングルCDセールス加算初週、シングルCDセールスのチャート構成比に占める割合は高すぎないか?】【シングルCDセールス加算初週、シングルCDセールスに比べてルックアップの順位は低すぎないか?】【シングルCDセールス加算2週目、総合チャートにおけるポイント前週比は低すぎないか?】そしてチャート構成比においてTwitter指標が高すぎないか?…この4点を確認して、真の社会的ヒットに至ったかを見極めることをお勧めします。

ビルボードジャパンソングスチャートの首位が毎週入れ替わる状況を見てCDセールスランキングと大差ないと思うならば、少なくともシングルCDセールス指標加算初週と2週目を見て③を判断すること、あわせてYOASOBI「夜に駆ける」や瑛人「香水」といった上位曲(特にシングルCD未発売の曲)のポイント前週比をチェックすることを勧めます。自分は毎週、首位のみならず2位に入った曲の翌週の動向もあわせて確認しています。

また、今後はジェジュンBrava!! Brava!! Brava!!」のように豪華盤が後から登場する例が増えるかもしれません。コアなファンにとっては垂涎の作品と書きましたが、そんなファンの方々でも、後出しは金銭面でキツいと思う方はいらっしゃるかもしれません。この施策が正しくないとは思いませんが、ならばライト層の拡大施策も同時に図ったほうが好いというのが私見です。ライト層の拡大施策を図るべきなのはデジタル未解禁が多いジャニーズ事務所所属歌手も同様であり、そもそもシングルCDセールスに長けた歌手が接触指標群でも強ければ完璧なヒットと成るわけですから、デジタル解禁を前向きに検討してほしいと強く願っています。

YOASOBIが3連覇を果たした6月15日付ビルボードジャパンソングスチャート、DISH//「猫」の合算、および『ミュージックステーション』の改善を願う

毎週木曜は、前日発表されたビルボードジャパン各種チャートの注目点を、ソングスチャート中心に紹介します。

 

6月1~7 日を集計期間とする6月15日付ビルボードジャパンソングスチャート。YOASOBI「夜に駆ける」が3週連続で首位を獲得しました。

とりわけ、ストリーミングおよび動画再生といった接触指標群で強さを発揮。

総合ポイントの前週比は107.1%。前週の伸びが1%未満であったことを踏まえれば踊り場を抜けた印象があります。昨日はSpotifyでの伸びを紹介しましたが、この伸びもビルボードジャパンソングスチャートにしっかり反映されています。

 

さて今週は、DISH//「猫」の2バージョンが共に上昇しました。

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上記は初のトップ20入りを果たした”THE FIRST TAKE”バージョン。そして3年前リリースのオリジナルバージョンも最高位を更新しました。

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これは間違いなく、6月5日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日 金曜21時 以下『Mステ』)に北村匠海さんが出演し「猫 ~THE FIRST TAKE ver.~」を披露した効果と言えるでしょう。そして注目すべき、且つ気になるのはTwitter指標。”THE FIRST TAKE”バージョンが32位に対し、オリジナルバージョンは13位に登場、総合順位と逆転しています。これはおそらく『Mステ』を観て”THE FIRST TAKE”バージョンの意味で(別バージョンの記載を省いた)「猫」とつぶやいた方が多かっただろうことが原因と考えます。これまでも弊ブログでは、米に倣ってオリジナルバージョンと他のバージョンは合算すべきではないかと提言してきましたが、今回のTwitter指標の逆転現象が自分の仮説の通りだとすれば、受け手が2つのバージョンを一緒くたにしているものと思われるため、合算は尚更必須ではないかと強く思った次第。これまで合算すべきと考える理由は下記ブログエントリーでも記載しましたが、今回のTwitterの件を加えて今一度、ビルボードジャパンに提案したいと思います。

合算されないために「猫」の勢いが可視化されにくい状況は、歌手側にとって、また勢いの元となった番組の力が伝わりにくいという意味でも、すごく勿体ないと思うのです。

 

さて、『Mステ』に北村匠海さんが出演し、さらに所属グループであるDISH//の名がきちんと表記されたことに安堵しています。出演前にこのようなブログエントリーを記載していたゆえ尚の事です。

出演後、ヒャダインさんがこのようなツイートをしていたのが印象的でした。

このツイートは今のDISH//の環境(の問題)と希望とを巧みに示したものと受け止めています。個人的には、4年前『Mステ』に遂に初出演を果たした三浦大知さんがその出演から程なく、RHYMESTER主宰の音楽フェス”人間交差点”に出演した際に宇多丸さんが放った一言を思い出しました。

『Mステ』を注視すべきだとするブログエントリーには多数のアクセスをいただいた一方、『Mステ』と強い結びつきを持つジャニーズ事務所の所属歌手のファンの方から反論をいただきました。以前ツイートしたのですが、その内容をこちらにも掲載します。

(※上記ツイートは記載日における最新のビルボードジャパンソングスチャート(6月1日付)、もしくは記載日における再生回数を掲載しています。)

 

5日放送の『Mステ』はビルボードジャパンでヒット中の”愛される動画”発の曲を紹介しており、社会的ヒット曲を追いかけるという姿勢が見て取れました。”愛される動画”発のヒットについては下記ブログエントリー等をご参照ください。

『Mステ』は今後制作体制が通常モードにシフトしていき、また今週以降ジャニーズ事務所所属歌手が連続でシングルCDをリリースするため同事務所所属歌手が相次いで出演することになるでしょう。その中にあっても、社会的ヒット曲を追いかける姿勢を続けていくことを願いますし、ジャニーズ事務所のライバルたる方々が社会的ヒット曲を生んだ際はきちんと紹介することを強く願います。

また、”愛される動画”発のヒットにはダウンロード解禁は勿論のこと、ミュージックビデオのフルバージョンの解禁、サブスクの解禁は欠かせないわけで、ジャニーズ事務所所属歌手がこのようなヒットを勝ち得るにはデジタル解禁が大前提であると考えます。本来、彼らのファンの方々にとって重要なのは、デジタル解禁を事務所側に求めていくことではないでしょうか。