イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

紅白”出場/不出場”の報道には静観したほうが好い

NHK紅白歌合戦に関しての記事が目立つようになっています。ただ、それをどう見るかについて、私見を述べるならば、表題の通りだと考えます。

 

では検証してみます。今週の日刊スポーツの記事から。まずは、ももクロ

5人組アイドルグループ、ももいろクローバーZが今年のNHK紅白歌合戦に初出場することが23日、分かった。今年8月、埼玉・西武ドームで3万人ライブを成功させる活躍などが認められ、この日までに出場が内定した。

(中略)

ももクロが悲願の紅白出場を果たす。今月、NHKと所属レコード会社側が協議を重ねた。

日刊スポーツ - ももクロ悲願!紅白出場内定(10月24日付)より

と、ももいろクローバーZの紅白出場内定の報が出ていますが、所属事務所側がこれを”即座に”否定しています。

「日刊スポーツ」は24日、ももクロが紅白出場に内定したと報じた。ももクロは今年に入ってテレビ出演の機会が増え、知名度が上昇したことなどから、NHKや所属レコード会社側が協議を重ねて合意に至ったとした。

この報道に対し、ももクロの所属事務所スターダストプロモーションは、「先方から何の連絡も来てません」としている。

RBB TODAY - ももクロ、紅白内定に“待った”! 運営側には内定の連絡なし(10月24日付)より

彼女たちの勢いからすれば、紅白出場は自然なことかもしれません。しかし日刊スポーツの記事には、誰が出場することを明かしたのかについて、一切触れられていないんですよね(だからといって”関係者への取材で分かった”というのも、”関係者”が一体どこまでの影響力を持つ者かが不明瞭なため信用に欠けると思いますが)。ファンを中心に出場に喜ぶ声は聞こえてきますが、冷静に記事を読み返してみると、日刊スポーツの記事が非常にぼやけたものになっていることが解ると思います。

 (とはいえ、RBB TODAYの記事でも、所属事務所の誰が発言したのかが書かれていないため、こちらも信憑性に欠けるものと考えます。)

 

 

他方、その前日に流れてきた小林幸子さんの”不出場”報道についても、違和感を覚えます。

演歌歌手小林幸子(58)の34回連続NHK紅白歌合戦出場の可能性がなくなったことが22日、分かった。(中略) NHKの出場候補者リストから、名前が消滅した。

お家騒動が契機となり、話題になった新曲「茨の木」は、オリコン週間チャートの演歌・歌謡部門では2位にランクインした。総合では38位。だが、売り上げ枚数は、1890枚にとどまった。前作「おんな酒場」の初週売り上げ1542枚を上回っているとはいえ、ここまでトラブル続きだった小林の「最後の大勝負」にしてはアピール不足。同時にNHKの紅白出場候補リストからも漏れたことが、関係者への取材で判明した。

日刊スポーツ - 幸子の紅白消滅!勝負曲売れず(10月23日付)より

一応は”関係者への取材”で分かったとなっていますが、先述したように関係者発言は完全な信用には至れません(しかしながら、政治を中心にこの”関係者”発言がいかに多いか、現代の報道を注視すると気づきます)。

さて、この記事では小林幸子さんの”不出場”の理由として3点を掲げています。以下は先述した記事より。

①4月に表面化した個人事務所のトラブル

②その余波で、日本コロムビアとは契約を解除。自主レーベルで新曲発売にこぎつけたが、ヒットとはいかず

③ほかの演歌・歌謡歌手の活躍

スキャンダルには厳しいNHKの対応ならば①は納得できますし、③については記事で挙げられた由紀さおりさんなどに出場枠が譲られる可能性はたしかにあるでしょう。

ただ、②に関しては首を傾げます。売上増加率は前作比約123%であり、インディからの発売とすれば大健闘だという見方もできます。仮に、インディレーベルからの発売そのものがネックとなると見ている向きがあるならば、それは違うといえます。なんせ、五木ひろしさんが既に10年も前からインディーズで活動しており(『2002年、自身のレコード会社「ファイブス・エンタテインメント」の設立を果たし、長年所属してきた徳間ジャパン・コミュニケーションズから移籍。メジャー・ディスリビューションはキングレコードが担当』とWikipediaにあり)、また自身のレーベルに移籍した後に矢沢永吉さんが特別枠で出場した経緯もあり、メジャー/インディーズは関係ないといえます。

 

 

 

ちなみに…ここからはいやらしい見方を敢えて記載しますが、下記ブログに一昨年の紅白出場歌手の、同年の最高売上枚数一覧表が掲載されています。これを見ると、1000枚前後の売上でも出場可能という事実が解ります。

WASTE OF POPS 80s-90s - 2010年12月30日

ちなみに、ブログで言及されている和田アキ子さんについてですが、今年の新曲リリースの際に握手会を開催し(7月29日)、開催日のデイリーチャートで21位に急上昇しています(それら内容はコチラに。ただし握手会が、言及されているようないわゆる”AKB商法”とは個人的には思いません。彼女以外のタレントを握手会に動員したことはさすがに”商法”と揶揄されてもおかしくないかもしれませんが。ただ握手会そのものはそもそもAKB48以前から沢山の歌手が実施していたわけで、握手会を否定すると商売自体が成り立たなくなるように思います)。しかし、同日の売上を内包した8月6日付週間ランキングでは50位以内にもランクインしていません。調べる限りでは総売上枚数は解りませんでしたが、おそらくは週間順位・売上ともに小林幸子さんには及ばないでしょう。紅白の出場指標は売上だけではないとはいえ、ここ最近の売上枚数の高くなさ(コチラの冒頭部分を参照)に関わらず紅白に出場できることを考えれば(イヤミに聞こえてしまうでしょうが…)、小林幸子さんの売上水準は紅白出場ラインにあるといえるのではないでしょうか。

 

 

 

ももクロ、そして小林幸子さんの件から浮かび上がってくるのは何か?というと、記事が曖昧な表現でとどまっていること、そして、”NHKの公式発表がある日までは出場者は紅白担当者以外解らない”ということに尽きるのではないでしょうか。毎年のように今年の目玉は?との記事が踊りますが、その大半は外れていますよね(曖昧な表現にとどめることで、記事がハズれていた場合の責任をうまく回避できるのではと解釈します)。そして出場内定という記事には記者もしくは報道機関の期待値が込められていて、逆に小林幸子さんのようにスキャンダルの渦中にある人ならば平気でバッシングしてもよいという記者等の勝手な解釈で、客観的な分析を欠くのも構わずに書き立てているように見えます。言い換えれば、記事には”逆期待値”が込められている、とも。

(この期待値、逆期待値が記事に込められているという状況は、先述した関係者発言と同様、ここ最近の記事には多く見受けられます。受け手はそれら記者等の感情的見方等を排して記事に接した方が好いものと考えます。)

 

ゆえに、紅白の出場云々については、正式発表ではない限り静観したほうが好いものと考えます。推測は楽しいですが、だからといって推測の域を超えないものを記事にするのは違うのではないでしょうか。