イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

リパッケージアルバムは日本の音楽業界の主流となるのか

昨日のブログにて、”リパッケージアルバム”について私見も含め取り上げたのですが、記載後、安室奈美恵『Uncontrollled』のリパッケージアルバムが出るということを知りました。

全11曲のMUSIC VIDEOが収録された「Uncontrolled」CD+Blu-rayが遂に発売決定!

CDにはスペシャル・ボーナス・トラックが収録!

MUSIC VIDEOで数々の賞を受賞し、新たな作品を発表する度に話題になる安室奈美恵の最新MUSIC VIDEOが高画質で堪能できる!

待望のBlu-ray化!

CDには「Uncontrolled」収録曲「SINGING "YEAH-OH"」「LET'S GO」「GO ROUND ('N ROUND 'N ROUND)」「Hot Girls」のRemix音源をNON-STOPでボーナス・トラックとして収録決定!さらに、初回生産分はスリーブ付!

VISION FACTORY - 安室奈美恵:『Uncontrolled』(CD+Blu-ray)の発売日変更について(11月7日付)

元来のオリジナルアルバムからは、DVDからBlu-rayに変更し、CDには4曲のリミックス版をノンストップミックスとして追加収録。一方、先月配信のみでリリースした「Damage」は未収録、また以前キャンペーンのプレゼントとして用意された「Hot Girls -SMIDI CLUB REMIX-」も未収録、となっています。

 

気になるのは、先に引用したニュースにて、『発売日が、「namie amuro 5大ドーム TOUR 2012 ~20th Anniversary Best~」初日の11/24に変更となりました』と書いてあり、”延期である”と記載していること。しかしながら、彼女の公式サイト・所属事務所のサイトにも、当初の発売日が記載されておらず、そもそも延期になる前にリパッケージアルバムが発売されるというアナウンスも見当たらないのです。で、調べてみると、公式サイトには『全11曲のMUSIC VIDEOが収録された最新アルバム「Uncontrolled」のCD+Blu-ray盤が、「namie amuro 5大ドーム TOUR 2012 ~20th Anniversary Best~」初日の11月24日に発売決定!』(安室奈美恵Official Website - Informationより。またエイベックスのニュースでも同様の文言有り)とあります。ゆえに、可能性としては、ファンクラブのみにアナウンスされていたか、もしくはそもそも11/24の発売だったのかの2つが考えられます。仮に後者だった場合は、なんだかスッキリしないなと思うのです。昨日のブログで嵐のリパッケージアルバムについて記載しましたが、それにおける”オリコン年間チャートに加算されるギリギリのタイミングで発売した可能性”を抱きかねません。無論、こちらの邪推の可能性もありますが。

 

昨日のブログでは、EP盤としての発売が最も望ましい、と記載しました。それを踏まえるならば、『Damage EP』として、「Damage」に加えアルバム『Uncontrolled』からのリミックス音源を多数収録させ(それも使い勝手あるように、1曲ずつきちんと)、そして最後にノンストップミックスを用意した方が好いと思うのです。

 

 

昨日書いたように、リパッケージアルバムは、アメリカで多用される販売手法です。アメリカではアルバムの売上を重視し、アルバムをより多く売るためにアルバムから次々にシングルカットしてラジオでのエアプレイ回数を増やす手法が採られます(ラジオエアプレイがプロモーションの有効な手立てであり、ビルボードのシングルチャートではラジオエアプレイ回数が大きなウエイトを占めます)。シングルはほとんどCD化されないため、CDを買う場合はアルバムを…となるわけです。そして、アルバムからひと通りシングルカットされた後、そのシングルの別ヴァージョンなどをひとまとめにして追加収録してリリースするようになった…というのがリパッケージアルバムの起源ではないかと推測しています(あくまで私見です)。ですので、シングルを複数出しその集大成としてアルバムを発売するという日本においては、リパッケージアルバムは親しまれにくいのではと考えます。集大成となるアルバムに瞬発力をつけるべく、DVDなどの特典をつける手法が採られてきたのもそのためでしょう。

 

安室奈美恵さんの場合、アルバムのみの収録曲が複数CMタイアップとして用いられていたので、アルバム発売後のシングルカットはなくともCMタイアップ曲を中心にリミックスが登場するのは自然であり、リパッケージアルバムの登場も自然なことといえます。ただ、そのリリースのアナウンスに不可解さが否めず、ゆえにリパッケージアルバム化についても素直に受け入れがたい部分があることは否めません。

 

 

日本ではリパッケージアルバムが少しずつではありますが浸透しているようです。しかし既に元のアルバムのリリース時に特典手法が採られており、さらに加えてリパッケージアルバムという手法を採るようになれば、ファンはいくら応援したくとも特に金銭面の疑問を抱くのではないでしょうか。売らんとすることは分かりますし、短期的には売上を稼ぎ潤うでしょう。しかしファンを思いやることを忘れれば、中長期的にファン離れを招き緩やかな売り上げ減少につながります。

その意味においては、リパッケージアルバムは日本の音楽業界の主流になってはいけない、と考えています。