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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

【Diggin'】08. アイドル×ディスコティック

今週リリースされたCDの中から一作品を取り上げ、その音世界をちょっと広く、ちょっと深く掘り下げていく金曜日の特集、"Diggin' "。

今週の特集は、【アイドル × ディスコティック】です。

 

今週は松任谷由実、リアーナ、加藤ミリヤ…とリリースラッシュゆえ特集に迷ったのですが、先週末に突如入ってきたTomato n' Pineの"散開"(弊ブログに掲載)を受け、彼女たちの名曲「ワナダンス!」に関連させて、近いうちに"アイドルとソウルミュージックの素敵な関係"曲をまとめてみたいと思っていました。その矢先、-PopグループのSHU-I(シューアイ、と読みます)が今週シングル「大逆転」をリリースしたことを知ったのですが、これがモロにディスコティックなわけで…なおさら早急にまとめねば!と実感して、今回の特集掲載に至りました。

 

その「大逆転」はMANABOONによるプロデュース。彼の手がけたミュージシャンは清水翔太、加藤ミリヤ、三浦大知久保田利伸等実力派が多く、2000年代中盤以降の邦楽R&B~ポップスを担う若手プロデューサーの一人といえます。ちなみに、ここにきて格段と認知度が上昇している(個人的には昔から注目していたので嬉しい限り、なのです)三浦大知ですが、その彼にピアノを教えたのがMANABOONプロデューサーなのです(詳細はブログに)。

で、今週のTwitterで面白い流れが。

で、それを見た方と、その後の彼のやり取り。

このやり取りを呼んで、「大逆転」と「ヒマワリと星屑」はたしかにつながるかも…こうなったら【アイドル×ディスコティック】曲でプレイリスト作ってみなきゃ、と思った次第です。今回は誌上プレイリスト(ミックステープみたいな感じ?)で、10曲掲載してみます。

 

 

 

【アイドル×ディスコティック】

 

01. 矢島美容室「ニホンノミカタ - ネバダカラキマシタ -」(アルバム『おかゆいところはございませんか?』(2010)収録)

いきなり"矢島はアイドルじゃないだろ!"とツッコミきそうですが、企画モノ系もかなり広義の意味でアイドルとして取り扱わせていただきます(かなり強引ですけれども)。とんねるず関連作品は何気に良曲の宝庫なのですが、矢島美容室のこの曲でのモロソウル~ディスコ路線、そして「はまぐりボンバー」でのサザン踏襲(そしてかなりエロティックな歌詞)は単なる模倣の域をゆうに飛び越えた凄い曲になっています。とんねるず自体、最近歌っていないのはなんだか勿体ないですね。

 

 

02. レキシ feat. シャカッチ「ペリーダンシング」(アルバム『レキツ』(2011)収録)

企画モノ系アイドル…というとかなり失礼かもですが、ここで取り上げてみます。

SUPER BUTTER DOGおよび100s池田貴史のソロプロジェクト、レキシ。名は体を表すかの如く、歴史にちなんだ歌詞満載のアルバムを2枚リリース。『レキシ』(2007)、そしてこの曲収録の『レキツ』(2011)とも、タイトル等はバカバカしくみえてその音もネタは満載だけど、名曲多し。とはいえさすがにイントロの♪ねえペリー、開国してほしい?というフレーズはいい意味でくだらなすぎ!

ちなみにレキシのアルバムでは多数のミュージシャンが仮名の名義にて客演しているものの、レキシのWikipediaによるとこの曲に参加した"シャカッチ"だけが実名を明かしていない模様。とはいえこの写真と、SUPER BUTTER DOGが得意とする超ド級ファンクを踏襲…と考えれば誰なのかが分かるかも。

 

 

03. Tomato n' Pine「ワナダンス!」(アルバム『PS4U』(2012)収録)

以前弊ブログで書いた内容はコチラ

驚いたのは、今日からスタートした今年のJ-WAVE冬のキャンペーンが"Wanna Dance?"なんですよね…これ、多分にトマパイを意識?と勝手に想像。

 

 

04. 東京女子流「ヒマワリと星屑」(アルバム『鼓動の秘密』(2011)収録)

弊ブログで以前「Bad Flower」を取り上げた東京女子流。その際記載しましたが、シングル4作品目となるこの曲も松井寛がアレンジを担当(この曲のWikipediaより)。自分は7枚目のシングル「Limited Addiction」で彼女たちを知った後、遡る形でこの曲を知り、「Limited Addition」と共に彼女たちの曲の中で最も好きな曲になった程、ともかく格好良いのです。特にギターフレーズが終始ワウワウいっているのが最高(楽器弾けないため、"ワウワウ"という表現が合っているかは微妙なところですが…)。またブラスの挿入も曲をより立たせている感じがあり、この曲を生演奏で披露したら映えるでしょうね。

 

 

05. SHU-I「大逆転」(シングル『大逆転』(2012)収録)

"日本発、合えるチワワ系韓国アイドル"というキャッチフレーズが脱力感ありすぎやしないか?と思いつつ、それでいて曲の冒頭に♪チワワ、と挟んだり"長男"という恋の歌に似つかわしくない言葉を用いたり、サビ最後に真似しやすいポージングを用意したり…と結構ネタっぽい感じもするんですが、そういったのが確信犯となって、曲をよりキャッチーにするんだろうなあと思った次第。そう考えると、彼らと音楽チームの作戦勝ちだと思いますね。作詞がm.c.A・Tというのがよりキャッチーさを生み出す勝因かも。

 

 

06. 太陽とシスコムーン「宇宙で La Ta Ta」(T&Cボンバー『太陽とシスコムーン/T&Cボンバー メガベスト』(2008)収録)

つんく♂プロデュースのハロー!プロジェクト出身アイドルの中では”大人感”という意味で異質だった、太陽とシスコムーン。彼女たちに用意された曲は常に"黒い"のが特徴で、個人的にはアン・ヴォーグ(En Vogue)「Free Your Mind」をおそらく意識したであろう「ガタメキラ」が最も好きなんですがどちらかと言えばR&B的ゆえ、よりディスコティックなこの曲を。(時期的に仕方ないものの)チープなPVがアース・ウインド&ファイア的だったりもして、多角的にディスコティックを踏襲しているのも面白いですね。

 

 

07. モーニング娘。「恋愛レボリューション21」(アルバム『モーニング娘。ALL SINGLES COMPLETE~10th ANNIVERSARY~』(2007)収録)

2000年前後、「LOVEマシーン」以降のモーニング娘。の勢いは本当に凄まじいのですが、その頃のシングルの大半のアレンジを担当したダンス☆マンの手腕は本当に大きかったといえるでしょう(ダンス☆マンの公式サイトに掲載された外仕事集を見ると、シングル7枚目の「LOVEマシーン」から14枚目の「そうだ!We're ALIVE」までの大半(「I WISH」「Mr.Moonlight~愛のビッグバンド~」は除く)を手がけています)。

ダンス☆マン編曲作品では別の曲との類似性が指摘されることがたまに見られますが、ダンス☆マンのバックバンド、ザ・バンドマンのターンテーブル担当、DJ ICHIRO(ピストン西沢)が以前ラジオか書籍で、それが意図的だったと明かしているのを聞いた(見た)ことがあります。ソースは出てこないので記憶のみで申し訳ないのですが、キャッチーとわかってて使用するという計画犯っぷりが逆に潔かったなと思ったりします。

そういえば、PVでの下からのアングルでの撮影はTLC「No Scrubs」的でもあれ、どちらかといえばR&Bグループ、トータル(Total)による「Trippin'」(1998)が近いかもしれません(一方で衣装は「No Scrubs」的)。

 

 

08. NEWS「恋のABO」(アルバム『NEWS BEST』(2012)収録)

今夏4人体制で初のシングルとなった「チャンカパーナ」があまりに素晴らしく、今年の私的邦楽ベストに入る勢いなのですが、「チャンカパーナ」同様に歌詞が遊びゴコロに溢れ、(「チャンカパーナ」以上に)ディスコティックなサウンドで思い出したのがこの曲。イントロ間もなくの音の加工もさることながら、確実に事務所社長を意識したであろうセリフも意図的で、冒頭で一気に惹き込まれる良曲。

そういえばジャニーズ事務所所属のアイドルって確実にディスコティックな曲がある気が。もしくはソウルクラシックを模した曲。Hey! Say! JUMP「Magic Power」はディスコ以前のジャクソン5(The Jackson 5)を多分に意識しているはずですし。

 

 

09. AKB48「これからWonderland」(シングル『Everyday、カチューシャ』(2011)収録)

アサヒ飲料WONDA』CMソング。シングル表題曲のインパクトの陰に隠れがちかもしれないものの、この曲の"ディスコティックの継承度"は凄いです。ファルセットの多用、バックコーラスの"本場感"(アレンジ等は真似できても、特にアイドルに関しては歌唱力が弱いことが多く、それゆえコーラスのパワフルさは大きな存在感となり得ます)、そしてストリングスの存在感…これが井上ヨシマサ仕事(Wikipediaより)というのですから、アレンジャーの手腕に拍手(ちなみに、弊ブログで以前井上ヨシマサ仕事を取り上げています)。

 

 

10. 星屑スキャット「星屑スキャットのテーマ」(シングル『マグネット・ジョーに気をつけろ(シングル・バージョン)』(2012)収録)

試聴→iTunes Store

ちなみにシングル表題曲のPVはコチラに。

ミッツ・マングローブギャランティーク和恵、メイリー・ムーからなるユニットの初のシングルのカップリング曲。シングル表題曲はカヴァーで、オリジナルは1978年、ギャルによる2枚目のシングル(ギャルについては、B級歌謡 猟色図鑑 赫いわななき - ギャルを参照)。なんと阿久悠作詞ながら、そもそも"マグネット・ジョーって?"という疑問が出たからか、怪曲(扱い)となってしまい、『伊集院光選曲 おバ歌謡』(2004)に収録されるほど。その曲が好きだったからなのか、敢えてカヴァーしようとした星屑スキャットの挑戦に最初は疑問を抱いたものの、歌唱力やコーラスワークから真摯な姿勢がひしひしと伝わってきて、本当に歌好きなんだなと実感します。

配信先行のシングル表題曲のCD化に際し用意された(と思しき)「星屑スキャットのテーマ」は、ストリングス×ブラス×コーラス(イントロからずっとコーラスが続き、歌い出しが1分21秒から)のアンサンブルが実に流麗な曲。なんと中塚武による作・編曲でした(というより、表題曲を含め全曲のアレンジが彼によるものでした。日本コロムビアより)。資生堂やマクドナルドなど有名企業・商品のCM等を手がける職人を起用するあたり、ミッツ・マングローブがテレビで"紅白に出たい”と言っていたのは本心からなんだな、そこまで歌への情熱が強いんだなと実感します。そして、この曲は是非フルで聴いてほしいと思います。こちらも私的邦楽ベストに入れたいくらい、です。

 

 

 

ということで10曲を用意したのですが、【アイドル×ディスコティック】はまだまだあるはずです。先述したダンス☆マンの外仕事を見れば企画モノも多数で、今回の第2弾もできそうですし、非アイドル×ディスコティックな楽曲群だって本当に多いわけで。未だに映画『サタデー・ナイト・フィーバー』での印象的なポージングが振り付けに用いられた曲もあったりして、今後も次々に生まれてくるでしょうね。

ディスコ世代には懐かしさを、クラブ世代には”逆に新しい”感覚を抱かせるゆえ、ディスコティックサウンドは幅広い世代を取り込む一番の武器に今後もなっていくのかもしれません。新たな名曲の誕生を心待ちにしています。