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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

【Diggin'】15. 有名歌手の妹だって凄いのだ

毎週金曜日恒例の【Diggin'】。その週にリリースされる作品からひとつをピックアップし、それを元にちょっと広く、ちょっと深く掘り下げていきます。

 

 

ソランジュ(Solange)、御存知ですか?

…と書くとファンには怒られるかもしれませんね。ソランジュは、今年の"スーパーボウル"のハーフタイムショー出演が決まっているビヨンセ(Beyoncé)の妹。R&Bファンにはお馴染みのミュージシャンですが、世間一般的には(客観的指標としての)大ヒットの不在のため、どうしても姉のビヨンセに比べれば…というところは否めないかもしれません。

とはいえ、2枚目のアルバム『Sol-Angel and the Hadley St. Dreams』(2008)がレトロソウル的な風情で格好良く高い評判を獲得しビルボードR&Bチャートで3位、総合でも9位を記録し25万枚をセールス、そこからの3枚のシングル(「I Decided」「Sandcastle Disco」「T.O.N.Y.」)が全て、ビルボードのホット・クラブ・プレイチャートを制覇しているわけで、好事家やクラブDJからの信頼は厚いとみていいでしょう(チャート成績は米Wikipedia - Solange Knowles discographyより)。

そのソランジュ、昨年11月にリリースしたEP『True』が非常に評判高いのです。前作が60年代回帰だとすれば、『True』からのシングル「Losing You」は80年代の香りに溢れた逸品。多重コーラスやミックスの雰囲気がいかにもマドンナ的。ソランジュの音世界ってどれだけ幅広いんだ!と驚かされます。今年リリース予定のフルアルバムが(詳細に関してのアナウンスはまだありませんが)、今から楽しみでしょうがありません。

ソランジュの『True』に関する詳細は、bmr末崎氏のブログを是非参照してください。非常に分かりやすくまとめられています(・bmr - coco tottööto - 2012′s Best Indie-Soul Releases by MTV Hive )

『True』は配信リリースから1ヶ月以上経て、今月8日にフィジカルで発売されています。

・Solange「Losing You」(from『True』(2012))

 

ちなみに姉のビヨンセも個人的に大好きです。以前ブログで紹介した「Love On Top」が最強だと思っているのですが、「Déjà Vu」(2006 総合最高4位)も格好いいですね。終盤の"アホの坂田”的ダンスも含めて。

・Beyoncé「Déjà Vu」(from『B'Day』(2006))

 

 

というわけで、今回は"姉と妹"に注目してみましょう。姉だけではない、妹だって凄いんだという特集です。

 

 

●姉:トニ・ブラクストン(Toni Braxton) - 妹:テイマー・ブラクストン(Tamar Braxton)

90年代を代表する女性R&Bミュージシャン、トニ・ブラクストン。セルフタイトルの処女作(1993 邦題は『ラブ・アフェア』)にてグラミー賞の最優秀新人賞を受賞、1996年のセカンド『Secrets』からは「You're Makin' Me High / Let It Flow」「Un-Break My Heart」の全米No.1ヒットを放つなど順風満帆でしたが、その後の自己破産や体調不良等で私生活は安定とは言い難い状況となり、ブラックグラウンド(Blackground)移籍以降は音楽面でも目立った活躍がないのが淋しい限り。彼女の低音の響きはワンアンドオンリーだと思うので、余計に。

Toni Braxton「You're Makin' Me High」(from『Secrets』(1996))

 

一方の妹、テイマーは当初はトニも在籍していたブラクストンズ(The Braxtons)としてシングルがメジャーレーベルよりリリースされるもアルバムは頓挫、トニのみがデビューした後に3人組としてのブラクストンズで1996年にアルバムデビュー、2000年にソロアルバムをリリースしますが大ヒットには至りませんでした。

(ちなみにソロアルバム『Tamar』収録の「Money Can't Buy You Love」は個人的に大好きだったりします。ジェラルド・リヴァート(Gerald Levert)やシルク(Silk)をスマッシュヒットに導いたダレル・ディライト・アランビー(Darrell "Delite" Allamby)の重厚なアレンジとテイマーの声がピッタリハマっている佳曲です)

・Tamar Braxton「Money Can't Buy You Love」

 

彼女にスポットが当たり出したのは、プロデューサーのヴィンセント・ハーバート(Vincent Herbert)との結婚、そしてブラクストン姉妹でリアリティ番組に出演するようになったことがきっかけと言えるでしょう。ヴィンセントはレディ・ガガ(Lady Gaga)を発掘し、その功績からかレーベルを設立。そのストリームライン・レコード(Streamline Records)にテイマーを在籍させ、シングル「Love & War」はそこから昨年配信でリリースされました。テイマーとヴィンセントにスポットを当てたリアリティ番組が別途設けられたこともあってか、「Love & War」はビルボード・R&B・チャートで現段階で最高10位を記録、現在も上昇中です。

・Tamar Braxton「Love & War」(2012 Download only)

今年出るであろうアルバムが非常に楽しみです。

 

 

●姉:カイリー・ミノーグ(Kylie Minogue) - 妹:ダニー・ミノーグ(Dannii Minogue)

カイリーがコンスタントにヒットを飛ばしているのに対し、3人姉妹の末っ子であるダニーは過去5枚のオリジナルアルバムのうち最新作となる『Club Disco』(2007)がイギリス、オーストラリア共にチャートインせず(Wikipedia - Dannii Minogue discographyより)。しかしながら同作からは実に6曲もが英ダンスチャートを制覇しており、ダニーとクラブとの関係はかなり密接といえます(もっとも以前からクラブミュージックを多数リリースしており、小室哲哉氏プロデュースによるユーログルーヴ(Eurogroove)のゲストヴォーカルであったことも知られていますね)。

 ちなみにその姉妹、似たアプローチで楽曲をリリースした経緯が。

Kylie Minogue「Can't Get Blue Monday Out of My Head」(from『Boombox』(2008))



・Dannii Minogue vs Dead Or Alive「Begin To Spin Me Round (I Begin To Wonder (Remix))」(from single(2003))

カイリーは「Can't Get You Out Of My Head」ニュー・オーダー(New Order)「Blue Monday」を、ダニーは「I Begin To Wonder」にデッド・オア・アライブ(Dead Or Alive)「You Spin Me Round (Like A Record)」をそれぞれマッシュアップ。このマッシュアップを姉妹が、それも有名な元ネタを用いて共に80's風味たっぷりに仕上げるのだから面白いですね。それもこの場合は妹が先行して仕掛けているわけで、いいライバル関係なのかもしれないですね。

 

 

さて、ここからは邦楽編。ちょっと違った角度から。

 

 

●姉:中山美穂 - 妹:中山忍

姉は1980年代後半以降トップアイドルとして君臨。一方妹は、姉のデビューから3年後の1988年7月にドラマ出演でデビュー。同年11月に歌手としてもデビューを果たします。

中山忍「小さな決心」(1988)

振り付け、ステップの踏み方、か弱さを見せる歌詞…まさにアイドルチック。歌唱力は当時のアイドルの中でも特に…ですが、それも含めて彼女の魅力となっていたのかもしれません。

(ちなみに弊ブログで彼女の「光のオペラ」について取り上げました。”ざわつき”の件にも触れています)

 

 

●姉:叶恭子 - 妹:叶美香

厳密には血縁関係ではない"姉妹"(という設定)ではありますが、おそらく"姉妹といえば?"の質問で真っ先にあがってきそうな気が。そしてなぜか妹の美香さんだけがCDを複数リリースという不思議なディスコグラフィー。なぜか自分は一時2枚所有していた「サルサ!アマイエクスタシー」(映画のイメージソング的な位置づけでリリース)は、オケこそ本格的なサルサでありながら、美香さんのヴォーカルがちょっと安定しないところが可愛らしい(♪エッ、とか♪アッ、のところでのダブルフラットとか)。リミックスがYouTubeにありますが、そこでも分かるようにジャケには恭子様が、しっかりと登場していますね。

そして、"スーパービューティーミカリン+K with キューティーモンすたーズ"名義でリリースした「O・SU・SO・WA・KE~プルプルンのキュッのボン!~ 」。曲は意外と?しっかりキャッチー。そしてそこに乗る美香さんのヴォーカルが…やはり微妙に安定しないのはある種曲のミソ、なのかもしれません。ちなみにここでも恭子様が参加し、"そうね"と相槌を打っていらっしゃいます。しっかりと刻印。

・nicovideo viewer - O・SU・SO・WA・KE~プルプルンのキュッのボン!~  

 

 

●姉:中森明菜 - 妹:中森明穂

最後はこちらも80年代以降一世を風靡したスーパーアイドルとその妹について。いや、音楽活動はしていませんが、あまりに友近さんのモノマネの決まり文句(というかオチ?)に出てくるので、備忘録的に記載。

 

 

というわけで、6組を取り上げてみましたが、邦楽編に関しては人選どうなの?と言われるかもですね。無論、まだまだ姉妹共に活躍という方はいらっしゃいます。

これは兄弟でも言えることですが、どうしても一方が活躍すると他方は霞みがちになったり、”○○の妹”(もしくは”○○の姉”などと言われがちですが、そういう過剰なイメージをもたらすのは、受け手である私たちなんですよね。なので、私たちがしっかりとその実力を見極め、優秀ならばそれを広め、”○○の妹”などの言葉を用いずひとりの優れたパフォーマーとして向き合う方が好いんじゃないかと思います。