イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

【Diggin'】19. The Other Side Of MISIA - MISIA(私的)裏ベスト

毎週金曜日恒例の【Diggin'】。その週にリリースされる作品からひとつをピックアップし、それを元にちょっと広く、ちょっと深く掘り下げていきます。

 

 

昨年『NHK紅白歌合戦』に初登場したMISIA。その彼女がキャリア15年を総括したベストアルバム『MISIA SUPER BEST RECORDS -15th Celebration-』を今週リリースしました。CD3枚組・45曲という大ボリュームで、まさしく”スーパーベスト”といえる内容です。

その一方で、ベスト盤リリース時には必ずといっていいほど、”この曲が入っていない…!?”という不思議が生まれるもの。全ての方が納得できるベストアルバムは無理というものでしょうが、ヒット曲や名曲が多ければ多いほど、やはり(この曲が入ってないのは)勿体無い…!と思うのは自然なことかもしれません。

そこで今回は、『The Other Side Of...』というサブタイトルを冠し、自分なりにベストアルバム未収録のMISIAの”裏ベスト”を選んでみました。ベストアルバムを手にとった方が、ベストを機により深いMISIAの世界を掘り下げていただけるならば嬉しいです。全10曲。

 

 

01. 久保田利伸 feat. MISIA「FLYING EASY LOVING CRAZY」

  (from  久保田利伸 feat. MISIA『FLYING EASY LOVING CRAZY(Single 2008))

 試聴はコチラ

久保田利伸名義(MISIAは客演として)のシングルではありますが、大人のデュエットナンバーとして実に相性ピッタリであり聴き逃し厳禁。サビのメロディがとにかく秀逸で、出発点がともかく洒落ていながらちゃんと歌謡曲的着地点にたどり着く構成は見事。

 

02. MISIA「sweetness」(from『sweetness』(Single 1999))

「忘れない日々」とシングルを同時発売し、「忘れない日々」が週間4位であったのに対し「sweetness」は7位と水を開けられた結果となったのが個人的にショックでした。メロディがJ-Pop(いや、歌謡曲)ど真ん中的「忘れない日々」(無論それはそれで好きなのですが)がより支持を集めたということは、以降の彼女の(特にシングル曲における)音楽性でも、同時に広くJ-Pop業界においても歌謡曲的サビが重視される方向に至ったのではないかな、と。流麗でメロウ、J-Pop/歌謡曲感を排した「sweetness」は、もっと支持されて好いと思うのです。

ちなみにイントロそしてサビの展開の美しさはトニー・トニー・トニー(Tony! Toni! Tone!)「Lovin' You」を彷彿とさせます。

 

03. MISIA「REMEMBER LADY」(from『ASCENSION』(2007))

「sweetness」の音の流れを引き継ぐ形でこの曲を。サビ入りのスムースな美しさたるや。昔個人的によく聴いていた曲なのでセレクト(ゆえに、今回選んだ中で最も私的思い入れ?が強い曲といえます)。

 

04. MISIA「Escape (星空のライヴVersion)」

  (from『星空のライヴ 〜The Best of Acoustic Ballade〜』(2003))

 試聴はコチラ

オリジナルは2000年リリースのシングル。好きな曲であったりするのですが、新世紀に突入せんとする時に90年代中盤のバキバキなビート…?と思ったのも正直なところでした。なので、この曲のアコースティック版を聴いて曲自体の素晴らしさをあらためて実感した次第、なのです。

(そして、曲評価とは直接は関係ないのですが、アルバムリリース時期および発売元の関係で当時のCDの大半がCCCDだったにも関わらず『星空のライヴ…』はCDでリリースということも、実はかなり嬉しかったということも付け加えさせていただきます)

 

05. MISIA「CATCH THE RAINBOW」(from『CATCH THE RAINBOW(Single 2008))

同曲については弊ブログで以前触れたのですが、今回ベストアルバムに収録されたヴァージョンは現行のEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)をかなり意識しており、80年代サウンドをうまく取り入れたオリジナル版がオリジナルアルバムのみならずベストアルバムにも未収録となってしまったのは残念でした。ちなみにシングルのカップリングに収録されたリミックスのうち、”GOMI'S OLD SCHOOL REMIX”はモロにマドンナ(Madonna)「Holiday」。いい意味で驚かされます。

 

06. MISIASweet pain」(from『LOVE IS THE MESSAGE』(2000))

「CATCH THE RAINBOW」が80年代ならばこちらは70年代のディスコティックを非常に上手く咀嚼したサウンドに仕上がっています。それもそのはず、作曲・筒美京平、編曲・松井寛(東京女子流などを手がける)というコンビの作品なんですね。”2000年代版ディスコティック”が生まれるのも納得というものです。

それにしても、筒美京平MISIAの接点はこれだけではないでしょうか?

 

07. MISIA feat. Erykah Badu「赤い命」(from『MARS & ROSES』(2004))

MISIAと、ネオソウル(と呼ばれるR&Bの一ジャンル)の担い手であるエリカ・バドゥが共演…というのがにわかに信じ難かったのですが、曲を聴いて納得。曲に添えられたエリカのコーラスが優しさや芯の強さとなってあらわれ、曲をより強いものにしてくれています。

 

09. MISIA + DCT「I miss you 〜時を越えて〜」

  (from MISIA + DCT「I miss you 〜時を越えて〜」(2001))

MISIA吉田美和という邦楽女性”最強”ヴォーカリストの共演というだけでも胸躍るのですが、そこに中村正人によるサルソウルを踏襲したアレンジが相俟って非常にディスコティックな名曲が誕生。(発売日が2001年元日であり、)新世紀の幕開けを飾るに相応しい1曲。

ちなみにこの曲のリリースと同じ月にはm-floが、2ステップを取り入れた「come again」をリリースしており、サルソウルを時を越えてアップデートした曲と、(当時の流行である)2ステップで勝負した曲の2つの異なるダンサブルな名曲が誕生したことになります。

 

10. MISIA「KISS AND HUG」(from『Royal Chocolate Flush』(Single 2007)

 試聴はコチラ

J-WAVE『KISS AND HUG』(毎週土曜6時)のテーマソング。オリジナルアルバム未収録ですがラジオファンには馴染みがあると思います。作詞はあの谷川俊太郎。『同番組では絵本などでも馴染みのある詩人・谷川俊太郎さんの詩を毎週紹介。その縁もあって今回は番組からのラヴコールに応える形で番組に向けてオリジナルな詩をいただき、その詩をもとにMISIAがさらにオリジナル楽曲を制作。ここに超プレミアな番組テーマソング「KISS AND HUG」が誕生』(プレイヤーズライフ - MISIA J-WAVE公開録音で限定100人の親子とプレミアLIVE実施!!(2007年3月5日付)より) 実に貴重なコラボレーションですね。シングルのカップリングのみというのは非常に勿体無い気がします。

 

 

 

というわけで、以上10曲を選んでみましたがいかがだったでしょうか。無論これ以外にも名曲は数多くありますし、リミックスでは特にMISIAの”ディーヴァ”的部分が活きた曲もあります。

ベストアルバムをリリースしたタイミングで、自分なりのベストをセレクトしプレイリストに構築してみる、というのはいかがでしょうか。