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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

【ラジオ春改編】InterFMの"攻めの改編"、そしてゴスペル新番組がはじまる

これまでのラジオ改編といえば、在東京の局でも3月最終週の発表というのが常だった気がしますが、今年の春改編では、AMはトップのTBSラジオを追いかけるニッポン放送と文化放送、FMはJ-WAVEを追いかけるInterFMがいち早く改編情報を公開し、いい意味でかき回しています。この流れで今後も改編期の情報解禁が早まると、聴取習慣を身につけようというリスナー側の準備も早くから可能となるでしょうから、好い流れだと思います。

特にInterFMは、昨年同局執行役員への"ピーター・バラカン就任"以降、めざましい変化が起きていると実感するタイムテーブルで、好い番組を用意することで好い曲がより多くかかるようになり、氏の目標とする『ラジオに魔法を取り戻す』を現実化しようとしているのが如実に伝わってきます。

 

(ただ…これは私見であると前置きした上で厳しいことを書くのですが、『取り戻す』という表記に違和感を抱くというのが正直なところです。たとえば昨年末以降街中のポスターで同様の表記がされているのを見ますが、こういう表現には"相手が(一方的に)悪い"というニュアンスが強く反映されている気がします。たしかにその側面は否定しないものの、実際は取り戻すと言う側も含めた全体の、これまでの積み重ねによって◯◯離れが起きたわけでしょうから、まずはそれを自分の責任として実感し自分から変えていかないといけないのではないでしょうか)

 

InterFMの春改編のタイムテーブル(4/1~)は【月~木曜】【金~日曜】とわかれて公開。"Listen To The MAGIC!"という大見出しが、氏の意気込みを物語るようです。氏の平日朝帯復活は勿論のこと、南美布『Good Times Boo!』での(J-WAVE以来の)平日昼帯復活、MC RYU『TOKYO SCENE』金曜夜担当など、J-WAVEを長く務めてきた(今でもライヴ告知CM等担当していますが)彼らの登場にはワクワクしています。

 

そしてその中で個人的に注目したいのは、小坂忠『ONEBODY』の登場(日曜8時)。

『ONEBODY』は元々、東日本大震災で被災した東北地域を支援しようという思いから昨年春にスタート、東北地方のコミュニティFM23局で放送されていますが、この春からはInterFMに半ば逆輸入の形で放送されることに。こちらでは土曜朝のOAなのですが、朝に心温まる語り口と心を刺激し洗い流してくれるかのようなゴスペル・ミュージックというのは、実に心地よいものです。

 

 

"小坂忠"といえば真っ先にこの曲を浮かべる方も多いでしょう。

小坂忠「しらけちまうぜ」(from『ほうろう』(1975))

『ティン・パン・アレイの面々に山下達郎吉田美奈子大貫妙子というコーラス隊を加えたしなやかでソウルフルな歌と演奏』(Amazonより) …という表記だけでも実にそそられるものがあります。無論、名曲。作詞した松本隆の作品集コンピレーションアルバム『風街少年』(2007)でも曲は入手可能です。

しかしながら自分はこの曲を(コンピレーション経由で遅ればせながら)知る前に、小坂忠ステージを観たことがありました。自分は2006年まで、200人前後の大所帯ゴスペルクワイアであるHIRO'S MASS CHOIRに所属していたのですが、クワイアがほぼ毎年行なっている約2000人収容のホールでのコンサートにゲスト出演してくださったのです(自分が観客として参加した2007年のコンサート)。自分は当時は名前を知っている程度だったのですが(今考えるととんでもなく恥ずかしい)、凄い音楽キャリアを積み重ねて来た方がゴスペルに転向してゴスペルを世に広め、そして自分が所属していたクワイアのステージに立つというのはものすごく光栄なことだったんですよね。それを機に、少しずつ小坂忠氏について知っていったという次第です。

 

後に、テレビの音楽番組『誰も知らない泣ける歌』(日本テレビ系)にて2008年に「勝利者」が紹介されたので、こちらでもこの曲を紹介します。

小坂忠「勝利者」(from『き・み・は・す・ば・ら・し・い』(2004))

 

ゴスペルの本場アメリカでは、たとえばR&Bの実力派ミュージシャンのR.ケリー(R.Kelly)やケリー・プライス(Kelly Price)などが、恋愛や性的なことを歌うR&B作品のリリースの間にゴスペル作品をリリースしており、"聖俗"の双方を歌い続けています。無論ゴスペルは宗教音楽でありともすれば強く敬虔なクリスチャンの方は世俗音楽を全くもって好まないのかもしれませんが、ポップスやR&Bとゴスペルをうまく歌い分け双方のジャンルとも音楽世界を確立しているのはやはり素晴らしいことだと思うのです。その点において、2000年代に入ってから世俗音楽もリリースしている小坂忠氏(ディスコグラフィー参照)は、双方のジャンルを歌い続けている日本では稀有なミュージシャンといえるでしょうね。

ちなみに『ONEBODY』にはこれまでに様々なジャンルのゲストが登場。人脈の広さ、聖俗双方のジャンルを別け隔てなく受け入れる姿勢が見て取れます。30-31回のゲストにピーター・バラカン氏が登場しているので、これが今回のInterFM放送開始のきっかけになったのかもしれませんね。

 

 

ゴスペルについては書きたいことが沢山あるのですが、今日はこの辺で。まずは日曜の朝、ゆっくりゆったりとラジオに委ねてみていただけたなら嬉しいです。

 

先の「勝利者」が披露されたコンサート(2011年7月27日 ゴスペル・チャリティ・コンサート@パリ・プロテスタント日本語教会)では、SUPER BUTTER DOGの代表曲もカヴァーされています。ゴスペルは宗教音楽ではありますが、希望と肯定を謳う音楽だということを、自分が歌う立場になって実感しています。この動画はその考えを再び思い出させてくれました。

小坂忠サヨナラCOLOR

 

 

 

 

追伸として。

以前とある局での『ONEBODY』放送終了直後、番組とくっついた形でキリスト教とは関係のない宗教団体のCMが流れていました。宗教団体のCMが放送されること自体は何ら問題ないのですが、ゴスペル番組の放送直後にOAというのはどうなんだろう…と違和感を覚えます。仮に"宗教音楽"というものを一括りにしてコミュニティFM局側が考えているのであれば、ぜひとも再考を求めます。