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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

ジャパネットたかたラジオショッピングを踏まえた、ラジオ"原稿レス"化の願い

先日、とあるメディアの会合に参加しました。テレビやラジオについて老若男女(とはいえ会場で一番若いのは30代の自分)が率直な意見を語り合う場で、ある年配男性が語っていたのは、

『せっかくラジオを聞いてるのに、ラジオショッピングがはじまると腹立たしくなってチャンネルを変える』

ということ。発言者と同年代の男性も賛同しており、もしかしたら同様の行動をとる方は少なくないんだろうなあと実感しました。

 

が、よくよく考えたら、自分だってチャンネルを変えることが幾度となくありました。名指しは好くないと思いつつ、親会社の倒産が理由か?ラジオショッピングに登場しなくなった長瀬真さんの出演コーナーなどはその好(悪?)例だったり(しかし出演がなってしまった今ではあの早口が恋しくすらなるのがなんだか不思議)。様々な”違和感”を感じて一時的にチャンネルから離脱してしまったことはたしかにあります。そして変えたチャンネルに没頭し最終的には元のチャンネルに戻らないこともしばし。

 

 …と考えてみると、ラジオショッピングの中で唯一スルーしない、それどころか楽しみにしているのが、【ジャパネットたかた】だということに気付きました。同じ商品の紹介を何度か聞いているはずなのに、ジャパネットたかただけは"それでも聞いてみたい!"と思わせる魅力があるのです。その魅力の中には、スペックやセット内容といった商品自体の良さもあるのですが、推測するに、ジャパネットたかたとそれ以外のラジオショッピングで大きな違いがあると思ったので、記載してみます。

 

 

違い① 原稿がない

 

ジャパネットたかたの特集番組はテレビで何度か放送され、そこでは"原稿がない"ことがラジオショッピングの大きな特徴として取り上げられています。ジャパネットたかたのラジオ担当者(以下、ラジオMC)の手元にはラジオショッピングの放送局の担当DJの名前や顔写真、そして絶対に言わないといけないことが用意されますが、それ以外…たとえば商品の特徴については原稿がなく、ラジオMCが頭にインプットしているのです。

ですので、その日によって商品を紹介する際の"角度"が異なります。すなわち、ラジオMCにとっては【どこから攻めるか、自由自在】なのです。たとえば掃除機を取り上げる場合、その掃除機に『排気のほうが綺麗』という特徴があり放送局のDJに小さなお子さんがいらっしゃるならば、ラジオMCが”お子さまのいるご家庭でも安心”と伝える表現することができます。それによってまずDJ自身にとって商品が身近に感じられることで関心を持つことができ、DJがラジオMCに対して興味深く応対することによってやり取りを聴くリスナー側の関心も高まるのです。

 

他のショッピングでは…これは推測の域を出ませんが、でも確実に原稿が存在しています。その証拠として、DJがショッピングキャスターのフリを知っているのか、双方の言葉がクロスすることはほとんどみられません。また、普段どんなにフリートークが巧いDJでもラジオショッピングの喋りだけは大根役者っぽくなってしまっている人も散見されます。原稿の存在は、言い換えればショッピングキャスター(とその会社)側がDJにアドリブを許さないということかもしれませんが、それが大根役者然としたぎこちないやり取りを生み、結果そのやり取りに面白い膨らみが生まれることはないため、リスナー側にもそれが如実に伝わってくるのです。

 

 

違い② 言葉のキャッチボールが生まれる

 

違い①とほぼ被るのですが、また番組も限られるのですが。

これは『デイリーフライヤー』(JFN系 月-金 13:00-)の水・木曜担当DJ、井門宗之アナウンサーとジャパネットたかたのラジオMC、小野村さんのやり取りに顕著に表れます。とにかく、楽しんでやろう!という感じが全開なのです。小野村さん登場直前の井門アナの強引な前振りとそれに困惑しながらもうまくまとめようとして撃沈する小野村さん、価格紹介時に値引きや下取り前の価格には"まだ驚かない"と言いつつ最終的な価格に前のめり気味に"これはすごい!"と驚く井門アナの押し引き、など。

小野村さんを気持よく乗せる井門アナと、乗せられながらもウィットに富んだ商品紹介をする小野村さん…原稿のない、言葉のキャッチボールが生まれることによって、10分以上あるラジオショッピングが飽きないどころか、"今日はどんなやり取りなんだろう?"という思いをリスナーに抱かせ、ショッピングを聴いてみたいと思わせることに成功していると思います。

 

 

違い③ 社長の喋りがテレビとは違う

 

ジャパネットたかたといえば高田明社長と、社長の甲高い声を真っ先にイメージする方が多いと思います。しかしながら、ラジオショッピングでまれに社長が登場することがあるのですが、甲高い声はほぼ皆無といっていいでしょう。ほぼ低音で通し(それでもきちんと抑揚があって分かり易い)、最後の価格のところで少し甲高い声が出るくらいです。そのギャップを感じるだけでも楽しいと思います。

 

 

これらの理由により、機会がある限りジャパネットたかたラジオショッピングを聴いています。特に違い①・②において顕著ですが、【自然なやりとり】があることが何より重要だと思います。

 

他方、他のラジオショッピングではおそらく原稿があると書きましたが、これはラジオショッピングに限ったことではないんですよね。ラジオを聴くと、ゲスト出演者や新人DJの言葉に、一字一句読んでいないか?と思うことが幾度となくあります。ラジオに不慣れなゲスト出演者が緊張のため原稿を用意することはやむ無しかもしれず、彼らに原稿の排除を求めるのは酷なことです。しかしながら、原稿の存在が透けて見える言葉達には血が通っているように聴こえず、そのぬくもりの弱さ(無さ)が言葉の魅力を損なわせるのではと考えると、もの凄く勿体無いなあと思うのです。

 

 

そこで、ジャパネットたかたラジオショッピングを踏まえて、"原稿レス"に向けた改善案を記載するならば以下のようになります。

●ゲストコーナーにおいて

・ゲスト出演者は最低限言わなければならないことをメモして手元に置く

・DJも最低限言わなければならないことを把握しておく

・DJはゲスト出演者にリラックスしていただくよう努める

・コーナー中は会話を楽しむこと(言葉のキャッチボール)を念頭に置き、

 DJはゲスト出演者が最低限言わなければいけないことを引き出させる

・コーナー中、最低限言わなければならないことが万一出なかった場合、

 DJは後ほどきちんと補足する

こうすれば、ゲスト出演者は義務感を抱かずに自発的に言葉を発することができるでしょう。そして会話の楽しさはリスナーに如実に伝わるのではないでしょうか。極端かもしれませんが、こういったことを心がけることで、ゲスト出演者(宣伝内容に注目が集まる)、DJ(トークの引き出しの巧さが評判になる)、そして番組や局(あの番組や局で宣伝すれば間違いないと評判になり出演依頼やCMが増える)…という【WIN-WIN-WINの関係】が成立するようにすら思うのです。

 

 

もしかしたら、原稿を用意するということは、先述したようにアドリブを許さない(不用意な発言を認めない)ということかもしれません。が、それは自由を奪うことであり、不自然さだけが際立ちます。また、これは邪推であることを承知で書きますが、原稿を用意する側は用意される側のアドリブ力(りょく)等の器量や能力を認めていない(だからアドリブを許さない)とも言えるのではないでしょうか。だとすれば、そこには原稿を用意する側とされる側との信頼関係は成立しないものと考えます。

そういった原稿の用意を繰り返すことで、ラジオショッピングも番組も、最終的には自ずと魅力を削いでいるとすら思います。原稿があった方が進行上安心かもしれませんが、徹底した安全はプラスαの魅力を生みません。保守に走り過ぎることなく、相手を信頼してみてほしい…そう切に願います。

 

 

ちなみに、原稿を用意することが必要な場合(特にミュージシャンやタレントがDJを務め、バックに放送作家等がいて彼らが原稿を書く際)、ほんの少しでもいいので、DJに対しては"原稿を自分の言葉で読む術"を考えることを、併せて願っています。