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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

2015年、”ストック・エイトキン・ウォーターマン”が邦楽ディスコティークの本命に

…なるのか?と言われたら断言は出来ないのですが、面白い動きがありまして。

まずはKANさんのニューシングルが今月登場。

『桜ナイトフィーバー』

 

ストック/エイトケン/ウォータマンのサウンドを強く意識した80年代調のビートに、KAN作品特有の流麗なストリングスが美しい、とことんポップなユーロディスコナンバー。

近年、多くのアーティストがテーマとして描いてきた「桜」。KANが満を持して発表するこの楽曲は、植物としての桜側からの気持ちを描くという、過去にない独自のアプローチで制作されました。

一年中立ち続ける桜の木を、花が咲いた時だけよってたかってもてはやし、ライトアップしてドンチャン騒ぎ。どころか、本来“日本人の心”であるはずの「桜」が、今や街の期間限定企画商品のネタになっている。そんな現代に於けるなんとも軽薄な“桜フィーバー”に問題を提起する“社会派ディスコ”。

この歌が桜シーズンの定番ソングになり得る健全な日本が戻って来る日はまだ遠い。

KAN オフィシャルウェブサイト New Single『桜ナイトフィーバー』 - www.kimuraKAN.comより

発売は2/25。カップリングがオー・シャンゼリゼの日本語版カバー、「表参道」というのも面白いのですが、桜フィーバー(無論、桜ソングも)への皮肉という着眼点も面白いところ。同日発売には嵐「Sakura」が…というのは無論偶然でしょうけれども。

 

そして気になるのは、”ストック・エイトキン・ウォーターマン”のサウンドを強く意識したという点(ストック・エイトキン・ウォーターマンWikipedia情報に倣い、エイトケン→エイトキンとして表記します)。カイリー・ミノーグやリック・アストリーなど、80年代後半に一世を風靡したあのサウンドが現代に登場するという点も面白いですね。KANさんは昨年のコンサートでも既に披露していて(『完全にまっさらな新曲でありながら、振り付けを強要しました』というところにニヤリ)、KANさんのファンには既に馴染みのある楽曲なんですね。音源はまだ公開されていないものの、楽しみで仕方ありません。

 

そうそう、【KAN×ストック・エイトキン・ウォーターマン】といえば、「君から目がはなせない」(4枚目のアルバム『HAPPY TITLE -幸福選手権-』(1989)収録)も、モロにその作風でして、KANさんの柔軟な咀嚼力には驚かされます。

(曲は4:03から)

 

DJフクタケさんが昨年リリースしたミックスCD、『ヤバ歌謡 SUPER NONSTOP MIX ~Mixed by DJフクタケ』にこの曲が収録されたことで知った方も少なくないでしょう(自分もその一人)。”ヤバ歌謡”が特集された『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(TBSラジオ 以下『タマフル』と記載)にて、曲に触れた宇多丸さんの第一声が、”ヤバい!超いい曲じゃん!”と絶賛だったのも印象的です。

 

(ちなみに、「桜ナイトフィーバー」と同じ2/25に、『ヤバ歌謡』の第2弾が発売されます。TVテーマに絞った選曲とはいえマニアックだなあと(勿論褒めてます)。沢口靖子「Follow me」からの宇野ゆう子「サザエさん」という流れとか気になり過ぎる…)

 

 

KANさんと同様、2015年に”ストック・エイトキン・ウォーターマン”関連作をリリースするかもしれないのが藤井隆さん。一昨年の松田聖子さんプロデュースによるシングル(特に「I just want to hold you」は自分の2013年邦楽ベストに入れた程の素晴らしさ。そしてカイリー・ミノーグの咀嚼力の高さ!)、昨年のtofubeatsさんとの「ディスコの神様」もそれぞれ素晴らしく、いよいよ今年はアルバムの形として出て欲しいと思っていたところ。

(ちなみに、昨年に至るまでの藤井隆さんの音楽活動復帰への流れについては、今になって「歌手・藤井隆」が再評価されているワケ - NAVER まとめが分かりやすいです)

 

そんな矢先、昨日の『タマフル』に西寺郷太さんが出演。藤井隆さんのアルバムについて言及しています。

西寺郷太が宇多丸に語る 藤井隆・吉田凜音アルバム制作 - miyearnZZ Labo

既に素晴らしい作家陣(筒美京平さん、堀込高樹さん、松本隆さんなど)と組んだ経験があるのだから藤井隆さんに作詞作曲の双方を担当させても大丈夫だという郷太さんの決断。80's愛に溢れる郷太さんがスーパーバイザーとしてバックについているのですから、きっと間違いないものが出来るでしょう。

藤井隆さんのアルバム(既に『COFFEE BAR COWBOY』という仮タイトルが存在)で西寺郷太さんに声をかけたいと言っていたのが昨年10月の『タマフル』での特集でのこと。ダンスミュージックがやりたいと断言した藤井さんは実はこんな興味深い発言を残しています。

(藤井) もちろんユーロビートは、絶対押さえにいこうと思ってます。だから、(中略) ストック・エイトキン・ウォーターマンの事務所に行って、なんか余ってるものないですかって言いたいぐらいです。

(27:29あたりから)

TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(2014年10月25日放送分)より。当日の放送後記はコチラ

藤井隆さん、良い意味で本気が過ぎます。この特集の中で、一緒に仕事がしたいと言っていた西寺郷太さんとは実際に作業を行っているわけで、次の有言実行は是非、ストック・エイトキン・ウォーターマンへの直談判を!と期待せずにはいられません。

 

藤井隆×ストック・エイトキン・ウォーターマン】といえばやはり浅倉大介さんの手による「ナンダカンダ」を真っ先に思い出す方は多いでしょうね。こちらはジェイソン・ドノヴァン「Too Many Broken Hearts」(→YouTube)をあまりに踏襲しており賛否両論の作品ではあるのですが…もしかしたら藤井隆さん、この頃から既に今のビジョンを想像していたのかもしれませんね。

 

 

余談ですが、藤井隆さんが一昨年InterFMに出演した際、ストック・エイトキン・ウォーターマン関連で、彼らがプロデュースした日本人歌手、KAKKOがイギリスでリリースした「We Should Be Dancing」を紹介していました。KAKKOは帰国後、”鈴木杏樹”として現在に至るまで活躍を続けていますが、歌手として何ら違和感無い、非常に格好良い作品ですね。

顔立ち的に田中美奈子さんに似てるかなと思いつつ。こういう作品も再評価されてほしいなと思うところです。