イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ゴスペル meets マイケル・ジャクソン

グラミー関連。

 

今度の日曜(日本時間の月曜)に開催されるグラミー賞、そのうちゴスペルの2部門でノミネートされているのが、姉妹デュオ、メアリー・メアリーの姉エリカ・キャンベルの初のソロアルバム『Help』(2014)と、そこからのシングルでゴスペルラッパーのレクレー(Lecrae)を客演に迎えた「Help」(→YouTube)。アルバムの内容などについてはbmrの記事に詳細が載っています。

 

ゴスペルと聞いてもしかしたら敬遠する方もいらっしゃるかもしれません。たしかに歌詞は神様に向けてのものではありますが、音は様々。エリカの夫はゴスペルは勿論、R&Bからヒップホップまで幅広く手掛けるウォーリン・キャンベルですから、音はR&B的です(アーバン・コンテンポラリー・ゴスペルと呼ばれています)。また先述したレクレーはゴスペル界注目のラッパーで、昨年はゴスペルソングの年間チャート上位50曲中実に5曲をランクインさせており、ゴスペルの音楽性も聴く層も幅が広がっているといえるでしょう。ちなみに「Help」は年間チャート9位を記録、また余談ですが、デスティニーズ・チャイルドミシェル・ウィリアムズによる”デスチャ再結成”的な「Say Yes」(→YouTube)が年間7位にランクインしていたりして、こういった作品からゴスペルの世界に入ってみるのはいかがでしょう。

 

その流れで、エリカのソロ作『Help』から「Nobody Else」という曲をご紹介。タイトでファンク風味の実に格好良いこの曲、サビの盛り上がりやタイトルの連呼、そしてホーンの入り方はマイケル・ジャクソン「Wanna Be Startin' Somethin'」を想起させるのは自分だけでしょうか。DJプレイ用にこの曲を用意するのもいいかもしれませんね。

 

イントロに音が混じっているのが残念ではありますが、これはアルバムの前の曲が被っている影響。メアリー・メアリー時代でも、たとえばアルバム『The Sound』(2008)はラジオステーションからの発信的なコンセプトからか曲間に架空のラジオ局のジングルを挿入しているため、アルバムからの先行シングル「Get Up」(→YouTube)はトラックの頭出しをするとはじめにそれが聴こえてくるいう状況。ジングル自体は格好良いんですが、たとえば私的プレイリストに入れようとすると流れが遮られるんですよね。ジャネット・ジャクソンの曲を自分のプレイリストに入れようとして、でもオリジナルアルバムから抜くとなるとインタールードが曲の前後に被っている…「All For You」なんて当時の携帯の着信音(それも単音)が曲終わりに被るからプレイリストに入れたくても…的な状況(分かる方がいたら嬉しい)。なので、そういった曲がシングルカットされると前後に音が被っていないことを確認して購入することもありました。現代だとパソコンで容易に音源編集が出来なくはないとはいえ、またコンセプトアルバムで流れ上インタールードを差し込むなどの制作者の意図も承知の上で、それでもなるべくなら曲の前後に音を被せないでほしいと思うのは自分だけでしょうか。

 

ちなみにエリカ・キャンベルはレトロソウル的な新曲「More Love」(→YouTube)を発表。これら新曲とリミックスを加えた『Help』の"新装盤"を来月リリースするとのことです。ですが正直申し上げて、既にアルバムを持っている身からすれば、この作品に限らずアメリカで主流となっている"新装盤"という販売手法はどうなのでしょう。実質同じ作品をもう1枚買うことになるわけです(追加分のみ配信で購入すれば…とも思いますが、音質にこだわる等の理由で配信を避ける人も少なくないはず)。新曲も好いですしリミックスが気になるので困ったところです。

 

…と、最後は苦言が多くなってしまいましたが、ゴスペル界にもマイケルの息吹が感じられる曲があるので、格好いいゴスペルを探求してみるのもお勧めです。