イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

洋楽の国内盤遅れ問題、マーク・ロンソンについて

問題です。

マーク・ロンソンのアルバム『Uptown Special』、国内盤はいつ出るでしょうか? 次の4つから選んでください。

 ① 「Uptown Funk」に次ぐ2曲目の全米/全英大ヒット曲が誕生する時

 ② 単独公演や夏フェス、もしくはプロモーションで来日を果たす時

 ③ 来年のグラミー賞にノミネートされると仮定して、その時

 ④ そもそも国内盤は発売されない

 

…以前にマーク・ロンソンの国内盤遅れについて記載した後、上記を思いついた自分は非常に意地が悪いかもしれません。

 

 

ブルーノ・マーズを客演に迎えた「Uptown Funk」(→YouTube)が昨日発表の最新ビルボードチャートで5週連続の1位を獲得しアルバムも3週連続トップ10入り。全英チャートでも1位をキープ。1月25日付のJ-WAVE TOKIO HOT 100チャートでは1位を獲得…と華々しい記録を打ち立てているのですが。国内では輸入盤やiTunesなどでの配信にて購入出来るものの、肝心の国内盤のアナウンスが1月後半まではないままでした。 

 

一方、今月発売の雑誌『日経エンタテインメント!』3月号にて【洋楽シーン日米最新事情】という特集が組まれ、そこには国内盤の発売事情としてアリアナ・グランデサム・スミスのファーストアルバムを例に出し、最も話題を集めそうなしかるべきタイミングを見計らってリリースする…という、【意図的に国内盤販売を遅らせる戦略】が掲載されていました。

それゆえ、『日経エンタテインメント!』の特集を踏まえると、来日がいつかは分からないものの、先述の問題の回答は②だと思っていました。他方、マークのアルバムは2作目の『Version』(2007)と3作目の『Record Collection』(2010)が海外での発売から間髪入れずに国内盤がリリースされており(ディスコグラフィーコチラ)、にもかかわらず今回はアナウンスがないことを踏まえれば最悪の場合④の可能性も…と懸念していました。

 

 

が、その考えは裏切らました。良い意味で。

実は答えは【3月4日】。HMVによるマーク・ロンソンの新譜紹介記事に昨日付けで国内盤が追記されています。クイズで用意した選択肢に答えはありませんでした(しいて言えば、春までに次のシングルが切られてヒットするならば、①が答えと言っていいかもしれません)。「Uptown Funk」のあまりの大ヒットの流れをレコード会社側が無視出来なくなったかもしれませんし、もしかしたら来日することが決まったのかもしれません。

 

なのでこれで一安心…ではあるのですが、あくまで『Uptown Special』ついて安心したわけであり、今後も不安は拭えません。先述した『日経エンタテインメント!』にて近年の洋楽販売における手法が【敢えて遅らせる(それにより売上拡大を狙う)】であるとハッキリしたこと、そしてその手法は、マークのようにオリジナルアルバムの国内盤が複数出ていても関係なく行われるという非情さを、今回ひどく実感させられました。

無論、CDセールスの落ち込みなどでレコード会社が冒険したくないという気持ちを全く理解出来ないということではありません。しかしながらそれら戦略は、あくまでレコード会社の考えが優先であり音楽ファン不在となること(曲を手に入れたくてもフィジカルで入りにくいという問題において)、また音楽を文化の拡大よりもビジネスの駒という側面ばかりで見てしまってることを確信してしまいました。あくまで個人的な考えですが、洋楽売上"復興"の一案を再掲しますので(無論これが最善というわけではありませんが)、音楽ファンにとって有益な策を用意していただきたいと切に願っています。