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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

タンクから”無償の愛”のバレンタインプレゼント『If You Were Mine』

今週開催されたグラミー賞。自分自身も私見を記載したのですが、昨日深夜放送の『荻上チキ Session-22』(TBSラジオ)にて、音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんが今回のグラミー賞についての総括…とりわけ”Black Lives Matter”について非常に分かりやすく語っています。ポッドキャストもありますので是非。曲は聴くこと出来ませんがリンク先に曲名が掲載。1ヶ月前後でポッドキャストは消えるようですのでご注意ください。

2015年02月12日(木)高橋芳朗「グラミー賞特集」Session袋とじ - 荻上チキ・Session-22

 

 

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R&B歌手のタンクが、バレンタイン直前に『If You Were Mine』というEPを公開しました。ピアノの流麗な旋律とタンクの歌声のみというシンプルな構成ながら、非常に聴き応えがあり、そして聴き惚れること必至の内容です。そしてダウンロードは無料という心意気。

[free EP] Tank ‘If You Were Mine’ | bmr

2001年のデビュー以来、リリースした6枚のアルバム、さらにはジニュワイン・タイリースと組んだコラボレーションアルバムがいずれも全米R&Bチャートトップ10入りを記録(うち5枚は全米R&Bチャート制覇)。その鍛えられた筋肉(ジニュワインもタイリースもですが)も相俟って(?)、R&Bファンに支持されているタンク。その彼がEP収録の唯一となる新曲「If You Were Mine」ではなんと弾き語りを披露しているのですが、2分弱の小品なのにあまりに流麗で、またボーカルの一人多重録音効果も相俟って聴いてるこちらがとろけること必至なのです。どれだけモテ要素持ち合わせているんですか!と激しく問いたいところ。

 

そしてカバー集でピアノを担当しているのがティム・カーモン。上記リンク先には詳細はないのですが、これまでにエリック・クラプトンスティーヴィー・ワンダーマーカス・ミラーボブ・ディランなどジャンルを問わずそうそうたるメンバーと組んできた方かと思われます(Wikipediaより)。そのティムのピアノに触れることが出来る(それも、あらためて書きますが無料)というのも素晴らしいこと。そして、時によりロマンティックに、小粋に崩したアレンジやコード進行で展開するティムのピアノに、一人多重録音のタンクの声が乗ると、あたかもブライアン・マックナイトがより逞しくなったような趣が。失恋曲もあれど、まさしくバレンタインやホワイトデーのために用意されたといっても過言ではないタンクからのプレゼントですね。

 

 

無料EPをリリース、それもカバー集も収録ということについて、アメリカでの著作権がどうなっているのか(そしてカバーの場合原曲への支払は、など)気になるところではあります。カバーの発表については、今週ニューアルバム『Love, Sex, Passion (A Place Called LoveLand Pt. 2)』をリリースしたばかりのR&B歌手、ラヒーム・デヴォーンが、アルバム発売とほぼ同時期にジャネット・ジャクソンやジョデシィのカバーを公開(無料ダウンロードは出来ません)。カバー曲はアルバム未収録なのが残念ではありますが、おそらくは多くの方が知っている曲(のカバー)をきっかけに自身の世界観を知ってもらい気に入ったらオリジナルアルバムを手にとってみてほしい、という考えかもしれません。尤も、タンクの場合は最新作『Stronger』が昨夏発売であり時間は経過していますが、無料EPをきっかけにタンクのことが気になり過去作を手に取るという方はいらっしゃるでしょうね。

 

 

日本では曲の無料提供やカバーの特別公開というのは、特にメジャーレーベルではほとんど考えられないことでしょう。タンクやラヒームのような形で、お洒落だったり格好良い曲が提供されることで歌手の実力を知らしめることが出来、ゆくゆくは歌手の支持を集めセールス上昇に繋がる…という中長期的な戦略がアメリカでは浸透しているのかもしれません。