イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

”三連”ソングブック (R&B編)

少し前に加藤ミリヤさんの「少年少女」について言及して以来、自分の中で三連リズムが熱くなっています。というわけで、思いつくままに3連リズムの曲を。バレンタインデーは終わりましたが、今回は恋愛にまつわる曲に絞って。

 

 

TLC「Red Light Special」(1995)

ベイビーフェイス制作、前年リリースの大ヒットアルバム『Crazy Sexy Cool』からのセカンドシングル。全米シングルチャート最高2位。「Creep」と「Waterfalls」に挟まれて彼女たちの曲の中ではそこまで目立った存在じゃないかもしれないけど、好スロウ。T・ボズの低音の余韻が見事にハマってますね。動画は”ダーティー・ヴァージョン”。

ちなみにTLCは、ソーシャルファンド・サイトのKickstarterを通じて、何の制限もなく自分たちだけで完成させる予定の”最後のアルバム”の制作資金の募集を先月19日に開始。目標額として設定していた15万ドルはわずか3日にして達成、それもケイティ・ペリーなどの多額の支援もあったとのこと。TLCに憧れて音楽の世界に飛び込んだ歌い手も多いでしょうから、その人たちにとっての”生ける伝説”にもう一度頑張って欲しいと願う気持ちがTLCを後押しするんだと思います。

 

Babyface「Whip Appeal」(1990)

上記を手掛けた童顔氏がアーティストとして前年リリースしたアルバム、『Tender Lover』からのシングル。全米6位。”セックスアピール”を意味するタイトルの曲がチャート上位にランクインしたのは、3連リズムにたゆたうメロディの美しさと芯がありながらしなやかなヴォーカルとにより、曲がより昇華されたから…と言えるかも。

昨年のこの時期に発売されたトニ・ブラクストンとのコラボアルバムにて今年のグラミー賞を受賞した童顔氏、ソロアルバムは今年の9月に出せればと語っているとか。”美メロ”の伝道師の新作を期待せずにはいられません。

 

Musiq (Soulchild)「Halfcrazy」(2002)

セカンドアルバム『Juslisen』からの先行シングルにして、チャート最高位は自身最高の16位を記録。映画『Vivre Pour Vivre (邦題:パリのめぐり逢い)』(1967)に用いられたフランシス・レイによる「Live For Life」をサンプリング使用。洒落た音使い。それがむしろ主人公の抱える愛の苦悩をより浮き彫りにしているかのようです。

 

Bobby Valentino「My Angel (Never Leave You)」(2005)

先述した「Halfcrazy」のイントロを想起させるこの曲は、ボビー・ヴァレンティノ(後のボビー・V)の処女作にしてセルフタイトルアルバムからの一曲。非シングル曲ではあるもののミュージックヴィデオが制作されていて、それだけ人気の曲ということでしょうか。全米アルバムチャート最高3位は立派の一言に尽きますし、なによりプロデューサーチーム、ティム&ボブの手掛ける流麗な音世界は、ベイビーフェイスの美メロにも似て、”純粋に曲が好いと支持される”ということを再認識させられます。後に彼らがが手掛けたゴスペル作、デイトリック・ハッドンによる『7 Days』もボビー・ヴァレンティノを踏襲した音使いによるR&B色の強い好盤となっています。

 

 

思いつくままに書いてみましたが、三連ソングはまだまだあります。今回選んだのはセックスアピールや愛への苦悶、真っ直ぐな愛情を注ぐなど、いずれも恋愛に関する曲ばかりですが、三連リズムによって曲に込められた思いが増幅され、聴き手に対してより深く伝わって来るような気がします。