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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

”ラジオDJは誰でもなれる” そののいくつかの方法、そして”脳外上場”

『ラジオDJは誰でもなれる』などというと、この思いあがりが!など言われそうですが、実は誰でもなれるものと考えています。間口が決して狭いというわけではないんですよね。

以下、自分が思い知る限りの方法を記載してみます。

 

 

① 放送局のアナウンサーになる

アナウンサーは局の顔、出演しないアナウンサーなどいません。謹慎等の不祥事を起こさない限りは安定して出演出来ます。しかしながらテレビとラジオの兼営局の場合、”テレビ向き”と判断されればラジオ出演が減ることでしょう。また他部署への異動も少なくなく、ずっとアナウンサーでというのは実は至難の業なのです。ラジオディレクターなどラジオの部署に異動してディレクター兼DJとしてならば出演は可能かもしれませんが、生ワイド番組で喋ることはほぼ出来ないでしょう。

そして放送局とはいえども一般企業と同じ。そのため、特に若手には給与面でしわ寄せがやってきます。実は最初の3年程度は契約社員であることが多くの放送局にみられ、芽が出ないと判断されれば契約期間満了時に辞め(させられ)る可能性があります。それゆえ、必ずしも安定とは言い難いのです。そして最も大きな問題は、たとえ上司が技巧面で問題あれども彼らが”自分たちのいいように仕切っている”ために居続け、彼らに特段気に入られない限りは在籍し続けるのは難しいという点。あくまで個人的な見解ですが、上司が技巧面で問題ある放送局は部下も同様のレベルで悪い意味で落ち着いてしまいます。そして、逆にレベルの高い部下はステップアップを阻まれ居辛くなってしまうのです。負のスパイラルを繰り返す放送局か否かは、上司のレベルを見れば自ずとみえてくると考えます。その環境を我慢するか、よほど影響力を持つ人をすぐ近くに抱えない限り、所属し続けるのは実は至難の業なのです。

 

 

フリーアナウンサーとして起用される

他の放送局で技巧を磨き、いや仮に技巧面に難があったとしても高い知名度を持つようになり、その知名度を名刺代わりにしてフリーとして採用される手段。会社員のような拘束時間がないため自由な時間を持つことが出来ます。

他方、これは②以下全てにおいて言えますが、”ラジオのギャラだけでは食えない”という現実は知るべきでしょう(以前アナウンスセミナーで講師の元アナウンサーの方に言われました)。看板番組を持っていても、改編時に番組が終了してしまう可能性は常にあるので、よほど安定した人気がないと安定した収入の確保は難しいでしょう。

また、地方においては、ひとつの放送局に出ると他の放送局には出られないという暗黙の了解(ルール)が存在します。視聴者(リスナー)にとっては理解し難い問題ですが、たとえば青森テレビ青森朝日放送などで番組を持つ青森県住みます芸人のキューティーブロンズがRAB(青森放送)ラジオに初めてゲスト出演した際、DJがその暗黙の了解について触れていました。いやいやキューティーブロンズの場合はテレビ2局掛け持っているじゃないかと思われそうですが、彼らは青森テレビでは基本的に生出演、青森朝日放送では基本的にVTR出演のため被らないことになっているのです。とはいえ、昨秋開始のRABラジオ『GO!GO!らじ丸』では、いずれも生放送で青森テレビ出演の黒石八郎さんやエフエム青森出演の坂本サトルさんを生ワイド番組に起用しており、暗黙の了解という悪しき慣例は破れつつあります(それでも完全ではないという印象がありますが)。

 

 

③ タレントもしくは歌手として起用される

アナウンサーが看板番組を持つことは、特に首都圏の放送局では難しいこと。TBSラジオで言えば『小島慶子 キラ☆キラ』(小島慶子さんのTBS社員時代からスタート)や『安住紳一郎の日曜天国』などが挙げられますが、タレントや歌手が番組を持つことの方が圧倒的に多く、ましてはアナウンサーの名前を冠した番組はよほどの実力や人気などが無い限り難しいでしょう。

地方局ではアナウンサーが仕切る番組は少なくないものの(アナウンサーが一人で録音、編集し作る録音番組が実は多い)、やはり生ワイド番組となるとタレントや歌手の起用のほうが一見さんなどを呼び込みやすいものです。喋りやネタに自信があるならばタレントに、音楽に秀でた才能があるならば歌手になって実績を積み、放送局に呼ばれるようになるのを求めたほうが好いかもしれません。当然ながら、タレントや歌手としての実力や知名度がある程度ないと箸にも棒にもかからないので注意が必要です。

 

 

④ 局のオーディションに合格する

大きな放送局ではオーディションを開催することがあります。たとえばJ-WAVEでは昨年開催され、荒戸完さんがこの春からのレギュラー番組に起用が決定

とはいえオーディションはいつも開催されるとは限らないこと、そして荒戸さんは既にDJ事務所に所属(新人。オーディション自体がプロ・アマ経験不問というものでした)。そういった方を破ってオーディションに受かるには、よほどのラジオへの技巧やセンスがないと難しいと思われます。

 

 

⑤ DJ事務所に所属する

ひとつ上でも触れましたが、ラジオセンスを磨くためにDJ事務所に所属するのも手です。ラジオDJ事務所などが主催するアナウンスセミナーを受講し、かなりの実力もしくは可能性があると認められれば所属につながることもあると伺っています。そこからのレッスンは厳しいでしょうが、レギュラー番組を持つ先輩DJが休暇や休養中の際にチャンスが回ってくることも。そこで認められたり面白いと評価されれば一気にステップアップというのも夢ではないでしょう。

地方の場合は事務所そのものが存在しないでしょうが、ラジオ番組の制作を請け負う会社に所属することも手です(ただし採用は不定期ですが)。ディレクター業務が多いかもしれませんが、中には制作を受け持つ放送局でニュースの時間を任せられることもあります。それを足がかりにすることもひとつの手段です。

 

 

コミュニティFMを足がかりにステップアップする

青森県の場合は特に有効な手段かと思われます。FMアップルウェーブの元アナウンサー、稲葉みどりさんが現在エフエム青森の契約アナウンサーだったり(フリーアナウンサーという形ですが、ほぼエフエム青森専属の形)、同じく元FMアップルウェーブの柳沢ふじこさんも現在エフエム青森『産地直送旅番組 津軽へ行こう!』を担当(柳沢さんの場合は芸能事務所所属の形ではありますが)。局専属のアナウンサーより出演は限られてしまうのですが、それでも『津軽へ行こう!』では毎度時流を取り込んだ面白いCMを制作しており飽きさせず、活躍しています。

また、これはFMアップルウェーブ特有の環境かもしれませんが、一部の放送枠はNPO法人コミュニティネットワークCASTが制作しています(FMアップルウェーブのタイムテーブル内、右下にCASTの黄色い四角が掲載された番組が該当)。年会費を支払いCAST会員となれば、番組のDJもしくは裏方として参加可能。ギャラはありませんが、ラジオ好きな方ならば間口が広いといえるでしょう。CAST経由でアナウンサー職に就いた方もいますので、こういう環境が他の地方にもあると好いのですが。

(ただこれは私見ですが、ラジオの愛情が本当に深い方じゃないと難しいかもしれません。一方で、強すぎて周りが見えないのもよくありません)

 

 

⑦ 緊急雇用創出事業の番組経由でステップアップする

特に東日本大震災の発生以降、市町村や県が緊急雇用創出事業としてラジオ番組を用意していました(青森県においては、主にエフエム青森にて放送。過去の緊急雇用創出事業に関するブログエントリーを参照)。そこで採用された方にはコミュニティFM出身者や歌手活動を行う方もいて、後に県域放送局の番組に出演する稲葉みどりさんや(現在RABラジオのDJ/リポーターを務める)張間陽子さんも緊急雇用創出事業番組の出演をきっかけにステップアップしたと考えています。緊急雇用創出事業番組の出演者の方にはラジオDJ未経験という人も少なくなく、特に番組開始当初は聴いてるこちらがハラハラすることもあるのですが、喋りに長けた稲葉さんなどの経験者がいることで番組が引き締まるわけで、起用する側もそれを見越しての採用だったのでしょう。そこでの実績が認められて今につながるわけです。

問題は、現在において緊急雇用創出事業の番組がほとんどなくなってきたこと。復興が少しずつなされつつある(ように見える)から、という側面もあるかもしれませんが、もしかしたら市町村や県側が緊急雇用創出事業の予算をラジオ番組に充てることへの関心が薄れてきたのでは、とも考えます。市町村や県には過去の番組を振り返り成果を確認することをきちんと行ってから判断していただきたいですし、枠を提供する放送局側も放送の成果の確認のみならず放送時間帯の再考などを行い(枠のゾーニング等を含む。以前からブロフで書いてきましたが)、ただ枠を貸すだけではなく市町村や県側と一緒になってより好いものを創り上げてほしいと思います。

 

 

 

と、思いつく限り書いてきました。自分自身は⑥および⑦に該当し、実は足がかりやチャンスを人一倍持ち合わせていたのですが、空想(妄想)はあっても現実に引き寄せることを正直疎かにしてしまい、より高みに行ける可能性を自ら逸していた状態に。

そんな自分、現在『ジェーン・スー 相談は踊る』(TBSラジオ 毎週土曜19:00-21:00)のパーソナリティを務めるジェーン・スーさんが以前ラジオで放った言葉、【脳外上場】にガツンとやられてしまいました。スーさんは【脳外上場】を経てラジオパーソナリティの機会を手にし、現在では多方面で活躍されている同年代の鑑と言える方(ジェーン・スー『わたプロ』ドラマ化記念インタビュー(3)「やりたいことはまず“脳外上場”すべし」 - Woman Insight参照)。自分の【脳外上場】はここだと据えて、昨年末より書き記している次第です。スーさんの言葉に出逢えたことに感謝し、より必要とされるラジオDJ、ラジオ人になるべく精進します。