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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

NHK青森放送局は夕方のニュース番組を育てる”つもりはない"

春改編はラジオのみならず、無論テレビ業界でも一大事。特に青森県ではこの春(一部局では初夏まで在籍)、各局いずれもアナウンサー(NHKはキャスター)が少なくとも一人は退職した他、青森テレビ(ATV)は昨年末に平日夕方の帯ワイドを持つと発表しローカルニュース枠を内包した番組を用意。そのためローカルニュース枠の18時台は青森放送(RAB)を除く全局が”改編”という流れに。青森朝日放送(ABA)の『スーパーJチャンネルABA』は金曜日に木邨・落合両アナウンサーといういわゆる『ハッピィ』コンビでの体制が先週から始まり、青森テレビは16時台から帯ワイド『わっち』が昨日スタート。そして同じく昨日は、NHK青森放送局の『あっぷるワイド』が新体制での初日を迎えました。

 

というわけで、これらローカル局の番組改編についても追いかけてみます。今日は『あっぷるワイド』の初日の雑感を書くのですが…正直言って良くありませんでした。

 

まずひとつ理由を挙げるならば。基本的にはリニューアル前の番組内容をほぼ踏襲しているためその段階からの問題ではあるのですが、書籍のベストセラーランキングのコーナーは必要なのかという疑問は拭えません。明らかに別の放送局で制作されただろうものを回してきただけのように感じられる作りであり、ナレーターも青森放送局の方ではありません。そしてそもそも論として、国営放送でベストセラー紹介ってアリなんでしょうか。まあ、『おはよう日本』の中に便利グッズ紹介コーナーがあったり、同番組では水曜日にエンタテインメントコーナーもあってNHKが軟化してきてはいることを踏まえればアリなのかもしれませんが。

 

そして。もっと深刻だと思ったのは出演者陣の問題。男性アナウンサー(週毎に松岡・宮崎両アナウンサーが入れ替わる形に。今週は宮崎アナウンサーが担当。なおNHKのアナウンサー/キャスター一覧はコチラに)の技術面にさほど問題は見られないのですが、毎日登場する女性出演者陣については、ニュース読みのレベルが高いとは言えず、それどころか一定のレベルにすら達していないと思います。リニューアルした『あっぷるワイド』のメインキャスターを務める新人の半澤実穂さんはとりわけ原稿読みに難がありました。また、今期も天気予報コーナーを担当する気象予報士の千種ゆり子さん共々、声がマイクに乗るタイプの発声ではなく、さらにかすれやこもりがちにもなることから聞き取り難いんですよね。画的には映える人選ではあるのですが。

 

半澤キャスターの声は『あっぷるワイド』以前にも聴くことが出来ました。NHK各局では、ラジオ放送において5~10分のローカルニュースおよび天気予報の枠を用意しているのですが、昨日午後のその枠に半澤キャスターが登場。偶然聴くことが出来ましたのですが、発音が不明瞭なところが目立っており、”よれる”というか、ら行が連続した時などの発音が特に気になってしまいました。その発音の問題が、『あっぷるワイド』でも残念ながら見えてしまっていました形です。発音と同時に、原稿読みに抑揚がなく一本調子だった点も気になった点です。

 

 

『あっぷるワイド』は先々週末まで担当していた田中知子前キャスターが退任(本人のTwitterによると、東京の本局に異動し『ニュースシブ5時』のディレクターを担当)。彼女は歴代女性キャスターの中でも安定していたので退任は実に惜しいと思っていました。その後、先週は松岡キャスターと千種さんのみというイレギュラー体制を敷き、さらにあっぷるワイドが松岡・宮崎・半澤体制で行くという次週予告が何度も流れていたために、入局を待ってでも起用したいと制作側に思われていた半澤キャスターってよほど凄い方なのかと思っていたのですが…それゆえ、非常に残念というのが正直なところです。初日の緊張はあったと思いますが、それを差し引いたとしても実力面で正直劣っているという印象は拭えません。ラジオ放送で(ビジュアル抜きに)声だけ聴いたのでその技術面の弱さは確信しています。

 

 

さて、半澤キャスターとはどんな方なのか調べてみると、コチラにたどり着きました。

球団初!初代「イーグルスキャンパスアンバサダー」が決定! | 東北楽天ゴールデンイーグルス オフィシャルサイト

上記リンク先は昨年のもの。大学時代に活動を行っていたということは半澤キャスターは新人としてNHK青森放送局に入局し、いきなり『あっぷるワイド』に抜擢されたということになります。また、おそらくは大学在学中に、元NHKアナウンサーで後にフリーになった故高橋圭三氏が設立した圭三プロダクションに所属(事務所内公式プロフィールはコチラ)、ある程度はアナウンスの基礎を身につけたものと思います(し、そう信じたいところです)。

(ちなみにNHKのアナウンサー・キャスター一覧に掲載されていますが、圭三プロダクションにもその名があるということは、もしかしたら圭三プロダクション所属でNHK青森放送局に出向みたいな形なのかもしれません。千種キャスターはウェザーマップ所属ということを本人のTwitterのプロフィール欄に記載しており、そういう所属の仕方がアリになっているのかもしれません)

 

彼女のプロフィールを見て思い出したのが、同じく『あっぷるワイド』で以前メインキャスターを務めていた乘田麻衣子さんでした。彼女は2011年に元ミスねぶたグランプリに選ばれた方。ゆえにビジュアル面では申し分なく、クールビューティーな感じが画面映えする方ではあったのですが、彼女も声がマイクに乗るとは言えないタイプで声に空気が余分に含まれがちなため聞き取りにくく、また噛むことも少なくありませんでした。そのため、ニュースを聞く側からすればストレスを感じることが多々あり、自分自身視聴の習慣化を断念したほど。それでも彼女はキャスターの座に居続けたのです(後に田中知子さんと隔週という形にはなったのですが)。

 

半澤キャスターの起用は、おそらく乘田麻衣子さんの流れを踏襲したものと言えるでしょう。ビジュアル面で強く訴求出来るために特に男性陣の支持を得られるだろうと制作側が見込んでのことだと思うのです。しかしながら、平日帯の番組は半年から一年かけてじっくりと視聴習慣を身につけてもらうという考えが通例(同様の文言が今月発売の雑誌、『日経エンタテインメント!』内、テレビ証券のコーナーに掲載)。目先の利益(視聴率)を得ることばかりに集中するあまり、実力が伴っているとはいえないけれど画的に映える人選ばかり行うことは、大変失礼な物言いですが、彼らの”メッキ”が剥がれたときには視聴者が離れてしまい最終的には視聴習慣が身につかないということをどうして理解しないのでしょう。半澤キャスターは楽天イーグルスのキャンパスアンバサダー出身であり、ミスねぶたとまではいかないまでも美貌が活きる世界を体現してきた方という点では乘田さんと共通点を見出すことが出来ます。半澤キャスターの起用は前例の失敗を反省しないNHK青森放送局の象徴なのかもしれません。無論、今後の成長にかかっていますし本人の頑張りを見守りたいとは思いつつも、本当に無礼なことを書くようで申し訳ないのですが。

  

 

実は以前、ある会合にて局の担当者とお会いした際、平日夕方のローカルニュースが視聴率的に苦戦しているのだがどうすればいいかと聞かれたことがあります。一年半ほど前のデータを見た記憶ですが、視聴率面でいえば平日18時台は最もストレートニュースに近い硬派な『RABニュースレーダー』が断トツで首位をキープし、他3局は団子状態ながらもラーメン特集等を用意し最も軟派な『スーパーJチャンネルABA』が一歩抜け出す形となり、『ATVニュースワイド』(先週終了)および『あっぷるワイド』が最下位争いをしている形となっています(この数字は質問を受けた当時とさほど変わっていないはずです)。その数字を理解した上で、率直な意見をとのことでしたので何様と言われるのを覚悟で、【画的にフレッシュにしようとすることばかり考えていないか。出演者の実力が伴っていないので視聴者に飽きられ視聴習慣が身に付いていない】と進言させていただきました。当時担当していたのは打越裕樹アナウンサー(現NHK長野放送局)および水口さやかキャスターで、打越アナウンサーは若手、そしてイケメンと言ってもいいビジュアルの方。ところがその打越さんの発声(声の乗り方)にも難があったほか、つっかえることが非常に目立ってしまい安定性に欠けるきらいがありました。その点を指摘すると、緊張しやすいタイプだということを担当の方が話してくださったので自分の見方はあながち間違ってはいなかったんだなと実感し、少しでもこの進言が活きれば…と思ったのですが…。

 

しかしながらその後も『あっぷるワイド』は同様のキャスティングを繰り返し続けていたわけです。無論、男性アナウンサーが3年前後で異動し女性キャスターが3年でもって契約期間を満了する(と伺ったことがある)というNHKのシステム自体にも、視聴者が馴染んだと思ったら交代してしまい視聴習慣がリセットされかねないという問題があるのですが。

 

他方、最も視聴率の高い『RABニュースレーダー』は、2006年10月から秋山博子・菅原厚両アナウンサーによる体制を維持しています。キャスティング面では最古参となるわけですが、その抜群の安定感と軟派ではない作りゆえにトップを独走し続けていると言えます。他局と違って天気予報を気象予報士が担当しているわけではないのですが、アナウンサーの基礎である技術面がしっかりしていることが視聴習慣につながっているものだと考えます。この視聴習慣は、イコール信頼性と呼んでも差し支えないものでしょう。

 

 

話を『あっぷるワイド』に戻すと、画的にフレッシュにというのを最優先事項として新人を入局直後に起用するということは、これまで頑張ってきた他のキャスターの意欲を削ぎかねないのではないかと危惧します。つまり、いくら頑張ったところで飛び級されてしまうことは、される側からすれば”おもしろくない”ということ。たしか3年目だと思うのですが宮川香織・成田りえ両キャスターのほうが半澤キャスターより実力があると言えます(ただ、宮川キャスターは声がこもりがちで、立ち位置的にもバラエティ向きではあるのですが)。その点で彼女たちを起用しないのは(他に理由があるかもしれませんが)非常に勿体無いと思うのです。

 

 

長くなりましたが、結論としてNHK青森放送局は”育てる”つもりはないのでしょう。育てるのを忘れているとも言えそうですが、キャスティングの面からすれば過去を反省していないと断言しても過言ではないはず。番組に軟派なコーナーを設ける迷走や実力に欠ける方のキャスティングは、視聴者側が受けるストレスを局側が考えていないように思います。ビジュアルの良さはあくまで一時的な効果に留まるはずで、たとえば家事等をしながらだと画を見ず音声を聞く形になるわけで、アナウンス面のストレスは視聴者の耳に余計な引っ掛かりを与えさせかねません。そして他のキャスターの機会を奪ってしまうという意味で局内の信頼すら勝ち得ていない、育っていないとも言えます。

視聴者との信頼関係、そして局内の信用を長い目で育てるつもりのない番組に勝ち目はないでしょうし、あってはならないと思います。他方、『わっち』の構成やニュースコーナーでのキャスターのレベルを見る限り、3位の座を争っている青森テレビが一歩抜けだせそうな雰囲気が感じられ、『あっぷるワイド』は視聴率面でも最下位になるのではと予想しています。無論視聴者に向けての”質”においても上位とはいえません。制作サイド、そして局の上層部には強く猛省を求めますが、走り出した以上は半澤キャスターの技術面の向上が最優先課題です。