イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

タマフルのスペシャルウイーク『ヒット洋楽・盗作裁判再検証!特集』に先立って、盗作に関する私見

SPWとはスペシャルウイーク(という名目の聴取率調査週間)のこと。首都圏の放送局では偶数月のある一週間を聴取率調査週間に設定しており、その週は豪華ゲストやより面白い企画を用意することで”数字を獲りに”いきます。

タマフルこと『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』(毎週土曜22時)がスペシャルウイークに用意した企画は、「ブラード・ラインズ」が盗作か否かの裁判を基にしたもの。「ブラード・ラインズ」については自分のブログでも私見を書きましたが、実はこの曲の他にも裁判沙汰になったケースは少なくないんですよね。音楽ジャーナリストの高橋芳朗さんと宇多丸さんがどんな切り口で紹介するのか、気になるところです。実際に盗作した(とされる)曲と盗作された(とされる)曲を聴き比べて検証するということですから、(著作権の関係上音楽が割愛される)ポッドキャストではなく生放送を聴くことをオススメします。

 

 

ちなみに、裁判には至らずとも、盗作されたと指摘されてもおかしくない楽曲(やエッセンス)というのは実に多いよなあというのが、自分が抱いている印象です。とりわけ、新しい音が誕生するとそこから数年間はその音を意識したサウンドが数多登場する…というのは”スクリレックス的な音”が入っています(2012年11月13日付)の項でも書きました。スクリレックスの音に関してはブログ掲載後も続々登場している印象があり、たとえば現在のJ-WAVE TOKIO HOT 100(J-WAVE 毎週日曜13時)のオープニングテーマもスクリレックス的ひずみなどが取り入れられていますね。

とはいえ、これらの指摘はイコール糾弾するということではありません。唯一糾弾する権利を持つのは盗作された(可能性がある)側だと思っていますし(スクリレックスの項でも触れましたが)、自身が作り上げたものが多くのフォロワーを生んだと考えると音楽家冥利に尽きるというものではないかと思うのですが、さすがにそれは都合のいい考えでしょうか。

 

 

と、持論を述べたところで、スペシャルウイークの”タマフル”では取り上げられない、”邦楽”で”裁判沙汰にならなかった”曲をひとつだけ取り上げてみます。いかがでしょう?

 

・シェール「Believe」(1998)

と。

・嵐「感謝カンゲキ雨嵐」(2000 ミュージックビデオが見当たらないのでコチラとか)。

 

ホワンと浮かび上がるようなシンセの音、そしてそのシンセのリズムの刻み方はほとんど同じではないでしょうか。サビなどは特に、終わりの部分(♪嵐~)を除いてそれぞれのメロディをすげ替えて歌ってもしっくり来ます。

「Believe」が好きな曲ゆえ、「感謝カンゲキ雨嵐」が登場した当初は驚きましたが、「Believe」がとりわけメロディラインにおいてアイドルソング、J-Popとして無理なく昇華出来たという技術力の高さに感嘆したというのが今抱く正直な感想です。これがもし、イントロまでそのまま拝借した…というあからさまなところが見られたのであれば個人的な印象は違っていたかもしれず、「Believe」からの「感謝カンゲキ雨嵐」における”咀嚼力”の高さこそが音楽制作側には問われているのかもしれませんね。とはいえフォロワーになるより、新しい音を作るパイオニアになることこそが音楽家にとって最高の立ち位置なのでしょうが。