イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

オリジナルを余裕で超えたB・スレイドによるカバー、「I Get Lonely」

カバー曲による”オリジナル超え”に出会うことはまれにあります。とはいえ、オリジナルをここまで余裕で超えてきたのはめったにないと思い今日紹介させていただきます。しかも、元来の曲が自分の好きな曲ゆえ、このカバーに出会った時はより衝撃的に感じました。

かつてゴスペル歌手として活動していた元トーネイことB・スレイド。ジャネット・ジャクソンが1997年に発売したアルバム、『The Velvet Rope』(→ iTunes Store)に収録され後にシングルカットされた「I Get Lonely」をカバーしたスタジオ録音版を自身のYouTubeアカウントなどで今週公開。これが実に素晴らしいのです。

オリジナルはコチラ。

オリジナル以上に、1990年代後半に頭角を現しはじめたティンバランドの”チキチキ”な音を意識したリミックス(ブラックストリートをフィーチャーしたバージョン。コチラ)のほうが個人的に好みなのですが、B・スレイドのカバーは前半がオリジナルに近いメロウネスを湛えつつ多重録音させた声が鋭さを持ち、後半は一転してリミックスを意識したチキチキ的な音(おそらくは自身の声)をリズムに反映、その上でB・スレイドが変態チックに飛び回る(無論、褒めてます)のが格好良過ぎるのです。突き抜ける高音、駆け抜ける音階…歌上手過ぎです。

 

この「I Get Lonely」、B・スレイドのお気に入りなのか彼のYouTubeチャンネルにはいくつかライブ映像が掲載されているほか(レイラ・ハサウェイとの共演版も。ただし、ファンが撮影したと思しきコチラのほうが画的にもお勧め)、2012年には『B.Slade Live at WitZend』というライブアルバムを配信でリリースしており(→ iTunes Store)、ここでは「I Get Lonely」のほか、同じくジャネット・ジャクソン「Got 'Til It's Gone」(1997 アルバム『The Velvet Rope』収録)もカバー、リプライズ版はレイラ・ハサウェイが客演名義となっています。ふたり、仲良いのかもしれませんね。

しかしながら(?)、それらライブ盤はいずれも全編がメロウなバージョンであり、いわばジャズ要素の強いアプローチが施されています。それゆえ、スタジオ録音版がああいった感じになるのはいい意味で意外でした。

 

今年に入ってからB・スレイドは、スペイシーな「1986 S**t.」(→YouTube)、アップテンポな「Sexy Bitch」と続けざまに配信リリース。個人的には後者がとりわけ格好良いなと愛聴しています。実にプリンスマナー全開なのです。

彼の公式YouTubeチャンネルでは既に10曲以上が公開されており、もしかしたらニューアルバム間近なのかもしれませんね。だとしたらどんな感じで攻めてくるのか、非常に楽しみです。