イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

「Uptown Funk」、各作者への著作権収入の取り分が明らかに

先日のエントリー、「Uptown Funk」作者名追加問題についての私見(5月9日付)で触れた同曲の著作権収入の配分に関して、新たな記事が登場しました。配分と共に、著作権収入額が明らかになっています。

ビルボードの記事は下記に。

How 11 Songwriters Split $2 Million From 'Uptown Funk!' | Billboard(6月22日付)

 

弊ブログの以前のエントリーでは、ギャップ・バンドのメンバー等がクレジットに追加というところに重きを置いて書いたのですが、彼らの追加以前にもこんなことが。

「アップタウン…」は元々プロデューサーのマーク・ロンソン(今回のアルバムの主人公)、ブルーノ・マーズ、フィリップ・マーティン・ローレンス、ジェフリー・バスカーが共同で書いた。リリース直前にアトランタのラッパー、トリニダッド・ジェームス(本名ニコラス・ウィリアムス)とそのプロデューサー、デヴォン・ギャラスピーの名前が加わった。これは「アップタウン…」がトリニダッドの「オール・ゴールド・エヴリシング」の一部をサンプリングしているため。この2人は「サンプリング」された作者としての取り分になる。

△# ブルーノ・マーズの「アップタウン・ファンク!」のクレジットにギャップ・バンドメンバーらが加|吉岡正晴のソウル・サーチン(5月6日付)より

サンプリングされたという2名の取り分は合計で13.2%、そして後に追加となったギャップ・バンド一派の取り分は12%。18.3%の取り分であるブルーノ・マーズ著作権収入が日本円で4,000万円強ということを考えると、後から追加となった方々の収入は決して少ない額ではありません。また、「Uptown Funk」が最新のビルボードチャート(6月27日付のThe Hot 100)で未だ6位にランクインしていることを踏まえれば、著作権収入の”伸びしろ”は大きいわけです。そう考えると、マーク・ロンソン側からすれば大きな収入源を失った痛手は大きいのではないかと。

尤も、ロンソン側が明らかにサンプリングしていながらクレジットを明記していなかったというのであれば分配は当然なのですが、あくまで私見と前置きした上で書くならば、ロビン・シック等による「Blurred Lines」訴訟以降、こういう後乗せの主張が通りやすくなったという空気感は恐ろしいものと実感しています(マーヴィン・ゲイの遺族側はあらゆるクリエイティビティを壊しかねない悪例を築いたかもしれない(3月21日付)でも私見を掲載)。特に大ヒットした曲に対する”金銭の要求”がなされやすくなったこと(「Blurred Lines」訴訟によって、雰囲気が似ているということだけでもクロと見なされやすくなったように考えます)、訴訟を避けようとすればクレジット追加以外に好い手段はないことを踏まえると、今後音楽を発信する側にとっては八方塞がりではないか?とすら。

 

「Uptown Funk」にはじめて触れたとき、格好良い、楽しい!と思い、アルバムを待ちきれずに先行配信分を購入した身としては、後から今回のような内幕が見えてしまうと、曲を純粋に楽しもうとする気概が削がれたようでいい気持ちはしませんね。