イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

夏びらきMUSIC FESTIVAL 2015に行ってきました(日曜の雑感)

昨日帰宅し、仕事をしながらも余韻に浸っております。

 

日曜は埼玉県所沢市で行われた【夏びらきMUSIC FESTIVAL 2015】に参加。実はこれまで、ボランティアとしてフェス運営のお手伝いをさせていただく機会があったものの、もしくは大分前のサマソニ無料ブースでおおはた雄一さんやクラムボンのライブを見たりしたものの、夏フェスと銘打ったフェス(有料)の参戦は初、だったのです(ラジオ人としてどうか?と言われかねませんが)。年齢を考慮して無理は出来ないと後ろ向きな理由を言い聞かせたり、実際に体力面での不安はありましたが、音楽さらにはラジオパーソナリティとして大好きなRHYMESTERを一度生で拝みたいと思っていた気持ちが勝り、上京のタイミングをここに持って来たわけです。

 

不安は杞憂でした。そして、正直、初フェスが夏びらきで本当に好かった!と心から思っています。

大規模ではないのでステージの移動はなく、また屋根もあるため雨も凌げ体力は温存出来ますし服も汚れません(個人的にはここが特に気になっていたわけで)。子どもや赤ちゃん連れの家族が非常に多く、子どもたちがはしゃぐ姿に癒されます。アコースティックギター一本というライブアクトもあり、緩急ついたステージ進行に心地良さを覚えるほど。ライブ中後方では大きなキャンパスに画が描かれていったのですが、音楽を意識したその画の一番最初にインクレディブル・ボンゴ・バンドのあの手が描かれた瞬間心の中でガッツポーズ。アガりました。そして周囲の虫や鳥の声、隣の野球場の歓声とライブアクトの音が夏空に融け合い、外で聴くことの開放感、気持ちよさをあらためて実感した次第。

 

住岡梨奈さんの声の真っ直ぐな強さが所沢2日目の幕を開けるに相応しい役目を果たし、Schroeder-Headzを聴くとあたかも海の底にいるような(それでいてそこに光がキラキラと届いているような)たゆたう感じを与えてくれます。土岐麻子さんとの共演による熊本民謡「おてもやん」の、ジャズと民謡そしてコケティッシュな土岐さんの声のマッシュアップは面白すぎだけどめちゃめちゃアリ。曽我部恵一さんの「テレフォン・ラブ」は夏びらきとの相性抜群でまさに”ザ・夏フェス”という風格(とはいえ肩肘張らないのも彼らしい)でした。

 

RHYMESTERは新曲(シングル収録2曲とアルバム初出となる「Kids In The Park」)を中心に、「B-BOYイズム」(公園でのフェスにちなんで「Rock Creek Park」を下敷きにする粋な計らい!)、そして「ザ・グレート・アマチュアリズム」という新旧織り交ぜた構成。ステージと観客席の間にスタンディング(で観賞する)スペースがあるのですが、そこに集まった人の数、そして盛り上がりは同日最大だったのではないでしょうか。それにしてもRHYMESTER3人の余裕たるや。新曲も見事にこなし(Mummy-Dさんは手の甲に堂々とライムを書いていて、それもきちんとネタになっていました)、自己紹介を含め盛り上げ役に徹し、さらにはScoobie Doのステージラストに飛び入り参加しての「やっぱ音楽は素晴らしい」まで、夏フェス番長的役割を見事に果たしていました。今秋の全国ツアーでは、5大都市以外の中小のハコでの公演が新旧取り混ぜたステージングになると前日のラジオで宇多丸さんが宣言していたこともあって、「B-BOYイズム」をはじめとするクラシックはきちんと復習し、その上で再度彼らとの邂逅を果たそう、と心に決めました。

Scoobie Doは音チェックの段階でいきなり山下達郎RIDE ON TIME」を演奏してスタンディングスペースに音楽好きを大挙呼び寄せる、なんともニクい演出! 今年リリースされたベストアルバムからの楽曲中心というステージは、当日知り合った方の連れの方が言っていたのですが、”知っている楽曲は少なかったけど心からノレる、楽しめる”という感想がピッタリくるような、たとえ曲を知らなくとも(無論知っているに越したことはないのだけれど)聴くと笑顔になって身体が揺さぶられるような、ピースフルな空間に。”オープンディスコ”って言葉はあるかどうかわからないけど、そんな形容が似合う感じがしました。メンバー全員格好良いけど、ベースのナガイケジョーさんの余裕の表情があまりに素敵で、RHYMESTERの3人共々、自分にとっての”なりたい大人第一位”になっています。

 

個人的ハイライトはさかいゆうさん。RHYMESTERMummy-Dさん、DJ JINさんが後方から堂々と見守るそのステージは、マイケルやディアンジェロ、ファレル等R&Bのエッセンスを織り交ぜた音に、さかいさんがR&B好きという一面をあらためて実感。音合わせの際、♪これはただのマイクチェック~といいながら激情的に歌い奏でたり、「Headphone Girl」では勢い余ってバク転?まで披露したりというはしゃぎっぷりが楽しい一方で、CMソングとして有名な「薔薇とローズ」、またラストに演奏した「君と僕の挽歌」での集中力の高さは凄まじく、鷲掴みにされてしまいました。「君と僕の挽歌」はゴスペル的だと以前記載したのですが(さかいゆうとゴスペルは密接な関係にある(2013年1月17日付))、「薔薇とローズ」の”君”を神様に置き換えても(やや強引ながら)成立することを考えると同曲もゴスペル的であり(というより、そもそも歌詞において舞い降りてきたのは”ビーナス”。美しい女性という意味で用いられているものの、もしかしたら神様的な意味合いもあるのかもしれません)、ゴスペルに親しんだ身としては「薔薇とローズ」の”僕”同様に”赦された”ような思いを抱き、涙腺が緩くなったほど。大袈裟かもしれないけど、音楽を聴いてこのような感覚を抱いたのは珍しく、今度はワンマンを観に行って彼の音楽に没頭したいと心から誓いました。

 

 

土岐さんとさかいさんとの「How Beautiful」や、RHYMESTERとさかいさんとの「Magic Hour」があるかな?と思ってたので、それらコラボがなかったのは少し残念(望み過ぎと言われればそれまで)ですが、さかいさんを見守る先輩の姿や、ライブアクトの皆さんが一様に充実感溢れる笑顔をしていたのが印象的で、こちらも自然と笑みがこぼれました。夕方に終了するのも家族に優しい配慮でしたね。初フェスがここで本当によかったと心から満足しております。