face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

今年のグラミー賞を予想する

日本時間の明後日、いよいよ開催される第58回グラミー賞。昨年の主役はサム・スミスでしたが、今年はいったいどの作品が受賞するのか…ここで勝手ながら予想してみます。ちなみにタワーレコードとInterFMでは予想キャンペーン実施中ですので、お急ぎください。

【GRAMMY AWARDS】賞の行方を予想してタワレコ・ギフトカード10万円分を山分け! - TOWER RECORDS ONLINE

The 58th GRAMMY Awards Special | GRAMMY Official Radio InterFM897

 

では主要4部門について、タワーレコードでの掲載内容を元に考えてみます。参考までに、昨年の米ビルボード年間チャートの順位を()内に掲載。参考になれば幸いです。

Top Billboard 200 Albums : Year End 2015 | Billboard Chart Archive

Hot 100 Songs : Year End 2015 | Billboard Chart Archive

 

さて、前回および前々回のグラミー賞には大きなテーマがありました。大きく言えば”多様性を認めよ”ということ。同性愛者、そして黒人への差別を捨ててほしいという願いが見られ、特に昨年は黒人の人権を主張するBlackLivesMatterが強く現れていた年でした。

今年のノミネーションの段階でも、ケンドリック・ラマーが最多ノミネートを受けたり、救世主を冠した『Black Messiah』なるアルバムで15年ぶりに復活したディアンジェロ(&ザ・ヴァンガード)が主要部門にノミネートされている等、BlackLivesMatter 謳った作品が支持されています。また最近では、ビヨンセは新曲「Formation」にてBlackLivesMatterなメッセージを込めています。同曲に関してはライターの渡辺志保氏のブログを是非参照してください。

ビヨンセスーパーボウルでの「Formation」パフォーマンスを、(BlackLivesMatterを訴えることイコール)警察非難である、もしくはスーパーボウルという娯楽イベントに社会的な曲を持ち込むことが問題であるとして”アンチビヨンセ”なる抗議集会が行われる…と報じられています(ビヨンセ、スーパー・ボウルでの政治的パフォーマンスを受けて抗議行動が実施されることに | NME Japan(2月11日付)より)。抗議活動がビヨンセのツアーチケット発売日と同日開催というのも、スーパーボウル直後で世間が注目しているタイミングでのということにもいやらしいと思ってしまいますが、この賛同者に元ニューヨーク市長のジュリアーニ氏がいることには果てしない違和感を覚えます。こういう曲が警察攻撃というなら世の中の曲の多くは非難対象になるでしょうし、そういった差別助長にも繋がりかねない発言を政治家(だった人間)が堂々と言い放っているのも恐ろしいことです。正直この一件だけでみても差別がなくなることはないのだろう…と痛感していますが、逆に言えばBlackLivesMatterは差別が蔓延る限りムーブメントではなく当然のものとして存在し続けるのだろうと実感しています。

 

 

では、それらの流れを踏まえて、ノミネーションを見ていきましょう。なお歴代受賞者についてはグラミー賞受賞者一覧 - Wikipediaがを参照してください。

 

【年間最優秀レコード】(Record Of The Year)

●「Really Love」 / D'ANGELO AND THE VANGUARD (年間100位未満)

●「Uptown Funk」 / MARK RONSON Featuring BRUNO MARS (年間1位)

●「Thinking Out Loud」 / ED SHEERAN (年間2位)

●「Blank Space」 / TAYLOR SWIFT (年間7位)

●「Can't Feel My Face」 / THE WEEKND (年間12位)

「Really Love」はアダルトR&Bソングスチャートで年間11位という成績ですのでチャートアクションが他の4曲とは大きく異なるのですが、意義のあるノミネートだったと考えられます。が、ここは素直に「Uptown Funk」を本命視。一昨年のダフト・パンク「Get Lucky」同様に過去のソウル/ファンクをリスペクトして生まれた楽曲で、”保守的”と揶揄されることもあるグラミー賞の投票者にとっても票を投じやすい楽曲といえそう。「Uptown Funk」はパクリ問題が発生し作者名が追記されたという騒動もありましたが(「Uptown Funk」作者名追加問題についての私見(2015年5月9日付)より)、昨年の最優秀楽曲賞を受賞したサム・スミス「Stay With Me」がトム・ペティの楽曲と似ていると指摘されながら受賞したこと(グラミー賞候補の曲が80'sのパクり? 著作権料支払いへ(2015年2月3日付)より)、そして先日のスーパーボウルでの「Uptown Funk」の盛り上がりを踏まえれば受賞は自然なことと思うのです。ただ、マーク・ロンソンが今回のグラミー賞でパフォーマンスはおろかプレゼンターにもその名が挙がっていないのが気掛かりではあるのですが。

 

【年間最優秀アルバム】(Album Of The Year)

●『Sound & Color』 / ALABAMA SHAKES (年間92位)

●『To Pimp A Butterfly』 / KENDRICK LAMAR (年間16位)

●『Traveller』 / CHRIS STAPLETON (年間68位)

●『1989』 / TAYLOR SWIFT (年間1位)

●『Beauty Behind The Madness』 / THE WEEKND (年間13位)

本命はケンドリック・ラマー。とはいえテイラー・スウィフトとの一騎打ちの予感がします。極端な言い方をすれば”質対量”の対決。ケンドリックのアルバムはアメリカの各媒体(ローリングストーン、コンプレックス、SPIN)で昨年の年間1位を記録しています(ケンドリック・ラマー、話題の最新作が米RS誌など多くのメディアで年間ベスト・アルバムに | bmr(2015年12月3日付)より)。ヒップホップに”保守的”投票者層が果たして積極的に票を投じるかという疑問はありますが、ならばそもそもグラミー賞においてBlackLivesMatterたるメッセージ性を前面に打ち出すようなことはしないはず。今回のテーマの核たるアルバムを最優秀アルバム賞に選ぶ可能性はあるでしょう。他方、テイラー・スウィフト『1989』は一昨年秋のリリースで一昨年は全米年間3位、昨年は年間1位を記録。さらにシングルカットされた楽曲も「Shake It Off」「Blank Space」そして「Bad Blood」(シングル化にあたりケンドリック・ラマーを客演に招く)の3曲が1位を獲得という、いわばモンスターアルバムであることは間違いないのですが、各媒体の2014年の年間チャートを見るとローリングストーンが10位、コンプレックスが8位そしてSPINが34位と振るわず…ということで質の面を重視してケンドリック・ラマーを本命に据えました。

 

【年間最優秀楽曲】(Song Of The Year)

●「Alright」 / KENDRICK LAMAR (年間100位未満)

●「Blank Space」 / TAYLOR SWIFT (年間7位)

●「Girl Crush」 / LITTLE BIG TOWN (年間63位)

●「See You Again」 / WIZ KHALIFA Featuring CHARLIE PUTH (年間3位)

●「Thinking Out Loud」 / ED SHEERAN (年間2位)

アルバムの質、また先行曲「i」が昨年グラミー賞のヒップホップ部門で2個受賞したことを踏まえればケンドリック・ラマー「Alright」も捨てがたいのですが、本命はエド・シーラン「Thinking Out Loud」でしょうか。昨年のグラミー賞で主役をサム・スミスに譲ったものの、アルバム『x』はそのサムを上回る年間2位を記録。そこからの同曲は週間では最高2位にとどまったものの年間でも2位ということを考えれば、どれだけ長く支持され続けてきたかが解かろうというもの。ジャスティン・ビーバーに提供した「Love Yourself」が週間1位を記録したことも追い風になりそうです。個人的には、アリシア・キーズ「If I Ain't Got You」やカニエ・ウェスト「Jesus Walks」を破って2005年に同部門を受賞したジョン・メイヤー「Daughters」に通じるものがあると考えています。

 

【最優秀新人賞】(Best New Artist)

●COURTNEY BARNETT (アルバム『Sometimes I Sit and Think, and Sometimes I Just Sit』年間200位未満)

●JAMES BAY (アルバム『Chaos And The Calm』年間167位)

●SAM HUNT (アルバム『Montevallo』年間11位)

●TORI KELLY (アルバム『Unbreakable Smile』年間132位)

●MEGHAN TRAINOR (アルバム『Title』年間5位)

カントリーシンガー、サム・ハントの年間11位というのも素晴らしいですが(しかもアルバムからのシングル曲は4曲が総合シングルチャートトップ30入りを記録)、メーガン・トレイナーがずば抜けている印象があります。アルバムからは「All About That Bass」が1位、「Lips Are Movin」が4位、ジョン・レジェンドを迎えた「Like I'm Gonna Lose You」が8位を記録、「Dear Future Husband」がトップ10入りは逃すも14位という好成績となりいずれもヒットしていることを踏まえれば、メーガンを本命に据えるのが適切かと思われます。

 

 

というわけで、個人的には主要4部門はバラける結果になると予想していますが、これまで十年以上予想してきたものの、すべて的中したことは一度たりともないんですよね…なので当たれば万々歳、外れても賞レースを純粋に楽しもうと思っています。

ちなみにタワーレコードでの予想キャンペーンの途中経過は下記に。

【グラミー賞】2/15締切!現時点でのトトカルチョ結果発表! : タワレコ販促スタッフぶろぐ(2月12日付)

自分と似た考えの方が結構いらっしゃるようで、仮にすべて的中しても山分け金額は少なくなりそうですね。