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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

北海道新幹線開業の裏にある不満をなぜ報じないのか

明日いよいよ北海道新幹線が開業。青森県でも祝賀ムード一色になっている様子がメディア経由で伝わってくるのですが、そのムードに強い疑問が。

 

自分の母親は札幌など北海道に親族がいて度々そちらに行くのですが、その際よく使っていたのが急行はまなすでした。新幹線開業に伴い青函トンネルを新幹線仕様にするため、はまなす等が使えなることを知った母親は強い不満を漏らしていました。曰く、はまなすの良さは【夜中に移動して朝には札幌に着くので時間を有意義に使える】【とにかく安い】そして足が弱くなったため【足を伸ばせるカーペット車は身体に負担がかからない】にあったこと、逆に言えば新幹線は深夜便がなく高い、そして椅子席のみという点において、”行きたくてもなかなか行けなくなった”と漏らしています。

実際、このような不満等、問題点が記事になって登場しています。

 JR北海道は、はまなす廃止の理由に、青函トンネルが新幹線仕様となり、客車を引っ張れる電気機関車がなくなることを挙げる。岩村さんは「せめて札幌―函館間で夜行列車を運行し、新函館北斗で北海道新幹線に接続させてほしい」と切望する。

 鉄道史に詳しく、20日のラストランを札幌駅で見送った真船直樹・酪農学園大教授(65)は「夜行列車は高齢者を含め誰もが横になって移動できる居心地の良い乗り物だ」と強調。

「札幌―函館間で復活を」 夜行列車ファン切望 (北海道新聞) - Yahoo!ニュース(3月21日付)

同様の要望を抱いている人がいらしたら、是非JR北海道JR東日本に嘆願してほしいと思います。母親のみならず不満を抱いている人がいるんだということに安堵しました。

 

さて、自分が”祝賀ムード一色”に疑問を覚えたのは、今回の記事に掲げられたような疑問点が、青森県のメディアからほとんど聞こえてこないという点でした。はまなすラストランで多くのファンが別れを惜しむという報道も見たのですが、ファンの声は”寂しい”等の言葉ばかりで、少数派であれど間違いなくいたであろう”復活を望む”という声は終ぞ流れませんでした。もしかしたらメディアには、はまなす等を綺麗に終焉させ新幹線一色にしたい狙いがあったのではないか、と。穿った見方と言われればそれまでですが、しかしいわゆる【街の声】はメディアが報道をどう意図したいかに合わせてどの意見を採るか自由に選べる性質があります(それゆえ個人的には街の声自体あまり信じていません)。良い言葉ばかり出てくる今回の報道における街の声に、メディアの狙いが透けて見えたように思います。

 

以前、東北新幹線新青森駅延伸の際、延伸に至るまでの歴史を各局が特集を組んで報じていたのですが、青森まで長らく来なかった悪しき原因…すなわち、物理的に難しいにもかかわらず元来あった青森駅に新幹線を誘致したいという商工会の固執した考えと折り合いがつかず盛岡止まりになったという経緯を、民放各局は報じていなかったと記憶しています。民放が商工会等に対しておもねる姿勢が見て取れ快くなかったのですが、今回の北海道新幹線におけるはまなす廃止等問題においては、NHKも復活の声を報じていないように考えます。全体的により好い社会を作るにはどうするかを考えるには、様々な声があり様々な疑問が発生していることをまずは提示することが必要なのではないでしょうか(それが見えるからこそ、どう解決していくかを考えるようになるわけです)。それを敢えて見せないというのであれば問題は先送りになるばかり。マジョリティや権力者の意向ばかり伝えるのではなく、マイノリティな意見や見方にも耳を貸すべきでしょう。