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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

前田健さんの訃報を受けて

弊ブログではこれまでにも何度か、LGBTなどのマイノリティについて私見を記載してきました。自分自身または周囲の人たちが様々なマイノリティ(考え方含む)であり身近であることも理由ですが、社会がマイノリティに不寛容過ぎる実態を憂うためでもあります。

そんな中で、前田健さんの訃報、ただただ残念です。タレントのみならず、振付師や俳優、映画監督としても活躍された方でしたが、最後の仕事はロンドンハーツでの"オネエくくり"企画とのことです。

前田さんは自身がゲイであることを告白(カミングアウト)していました。ただ、オネエではないしオネエの枠にくくられることを快しとしなかったというTwitterでの発言があったとも伺っています(が、その内容を現段階で確認することは出来ませんでした)。その前田さんが、特にオネエイジりの多い(と個人的には考えている)『ロンドンハーツ』に出演し続けたのは、市井に蔓延るゲイイコールオネエという誤った認識、ステレオタイプなイメージを払拭するためなのかな…と勝手ながら考えています。ゲイの分類については、KABA.ちゃんが提唱?したゲイの分類が分かりやすいかと思います(→KABA.ちゃんが自らTVで解説した「ゲイの4つのタイプ」が分かりやすいと話題 | by.S)。

 

性的マイノリティを示すLGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアルトランスジェンダー)という言葉が徐々に認知度を高めていますが、子どもが持てないため可処分所得が高く消費者として優れている、という企業にとっての狙い目として用いられることが多いようにみえます。また、特にテレビやラジオといった娯楽メディアの世界では【ゲイイコールオネエ】という暴力的なくくりが未だ席巻しているようにも思います(そういった私見は以前も記載しました→昨日のラジオ特集、セクシャルマイノリティに関する(勝手ながらの)補足(2015年7月2日付))。それら企業やメディアにLGBTが都合よく扱われる現状にあって、彼はオネエタレントという偏った括り(としてメディアから出演を依頼されること)に従いつつ、その実逆らっていたのではないかと思うのです。前田さんは男性の格好のまま、また妙に声を高めたり女性らしい立ち居振る舞いをすることもなく登場し続けたわけです。女装や化粧、手術が間違っているわけではありません。が、ゲイのイメージが、女性の姿形を施した人または声質や言葉遣いが女性的である人という女性らしさを持つ男性を指すとメディアが定義付け、オネエとイコールであるかの如く偏って提示している現状では、ゲイについて正しく理解されません。マイノリティへの正しい理解がされないばかりか、同じマイノリティである”ノンケ(異性愛者)っぽいゲイ”と”オネエ(であるゲイ)”があたかも対立しかねない、互いに相手への差別的意識が芽生える可能性すらあるわけです。そんな中にあって、自分の立場をきちんと表明し続けた彼の姿勢は純粋に素晴らしいと思いますし、それゆえに彼の喪失は、男性の姿形で声質や言葉遣いが男性的であるゲイのタレントが他にほとんど見当たらない現状を踏まえれば、本当に残念で仕方ありません。

 

LGBTのみならず、どんな場所や環境においてもマジョリティとマイノリティが存在します。ネットの普及や特に昨今における誤った人への激しすぎるバッシング等を踏まえるに、マイノリティ側がどんなに正しくともまた間違いを犯した後反省して改心を誓ったとしても、マジョリティ側は自身の考えがどんなに間違っているとしても数の理論等を理由に社会的に正しいと都合よくすり替え非人道的にマイノリティ側を引きずり下ろすため、マイノリティ側がマジョリティ側に迎合(いや服従)しないといけないという風潮がとても強くなっていると危惧しており、自分自身を自信を持って表明することが難しい世の中になっている気がするのです。その中にあって、前田さんが持ち続けていた信念にはただただ感服します。

 

 

ご冥福をお祈りします。