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青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

音楽への技術も愛情も、今のラジオDJは求められていないのか

J-WAVE土曜午後の生放送『ATELIER NOVA』が3月に終了して以降、担当ナヴィゲーターのクリス智子さんが生放送に戻ってきてくれました。

1ヶ月で戻ってきただなんて大袈裟かもしれませんが、5月5日の9時間特番を聴くとやはり抜群の安心感を誇っていたのです。安定した喋りと時折織り交ぜるユーモアで心地よく聴くことが出来たのみならず、やはりイントロ乗せの上手さに唸らされました。そう感じるたびに、クリス智子さんが担当していた『ATELIER NOVA』がなぜ終わったのか...と思ってしまいます。というのも、差し替わった『SEASONS』(毎週土曜12時)を担当するモデルのマリエさんにはイントロ乗せの技術がないというか、そもそもイントロ乗せするつもりはないのではと聴いていて実感。その技術がナヴィゲーターの絶対条件ではないと言われればそれまでですが、でもあるに越したことはないはず。彼女がラジオ慣れしていくにつれ改善していくかも、という期待を抱き、あらためて昨日の放送を聴いたところ...一曲目に流れたレディオヘッド(Radiohead)を"ラジオヘッド"と言っていたことに、期待感は完全に消滅してしまいました。

誤りは誰にでもあること。しかしこの"ラジオヘッド"発言により、マリエさんには音楽の知識がないことが露呈してしまった感は否めません。実はレディオヘッドをはじめとして、今年に入ってからカニエ・ウェストリアーナビヨンセジェイムス・ブレイクが突如配信にてアルバムをリリースしています(レディオヘッドは5月8日リリース予定。レディオヘッド、新曲第2弾を発表。アルバムは日曜日リリース。 | Radiohead | BARKS音楽ニュース(5月7日付)より)。音楽業界にドラスティックな動きが生まれているとなれば、その動きをきちんと紹介出来る音楽知識に長けた人材がラジオ業界には必要になってくるはず。にもかかわらず昨日の"ラジオヘッド"発言は、レディオヘッドの緊急リリースの動きも知らなければレディオヘッド自体知らないだろうことを自白したと言っても過言ではないでしょう。仮に歌手について明るくなくとも代わりに曲をきちんと紹介出来ればよかったのですが、イントロ乗せがきちんと出来ないとなると、大きな動きがあったときにこの人の放送から情報を得ようとしてチャンネルを合わせるリスナーは減ると思うのです。

 

ちなみに、イントロ乗せについては以前記載しました。

イントロ乗せは、トークパートと曲とをスムースにつなぐ役目を果たすのみならず、曲の印象をより好くしてくれる技術でもあります。ですからイントロ乗せがきちんと出来れば、紹介された曲がより多くのリスナーにより好い印象で伝わっていくものです。そしてこの技術はそんなに難しくなく習得可能だと思うのですが(実際にラジオDJセミナーで学んだことがありますので断言出来ます)。しかし今、ラジオDJのクオリティはここ10年で一気に下がっているように思うのは気のせいでしょうか。しかも歌い出しに被っても平気で喋る人すらいる始末、なのです。

 

 

さて、イントロ乗せが出来ないことに関連して言うならば、このような音楽を大事に扱っていない姿勢は何もラジオDJだけのものではなくなっています。

 

たとえば『NHKニュース おはよう日本』の平日6時半の挨拶。番組は二部構成で、後半の開始となる6時半ちょうどにBGMが流れるのですが、それが鳴り終わる3秒ほど前、BGMの音量がまだ大きな状態で出演者が"おはようございます"と言うのです。挨拶がBGMに被って聞き取りにくいのみならず、出演者の気が急いているかのような印象を抱かせかねません。わずか3秒ずらせばよいだけの話なのですが、待てないのでしょうか。心地良いBGMが台無しです。

 

また、一昨日入った地元のブックオフであらためて痛感したのですが、こちらのBGMで用いられる曲は最近ずっと酷い扱われ方をされています。店内で販売していますとして紹介されるCD収録曲の、サビ後半になると決まって歌声に被る形で曲紹介がされることには、はっきりと不快感を示したいと思います。この日はサザンオールスターズ「東京VICTORY」が流れていたのですが、サビ後半の最大の盛り上がりを削ぐかの如くDJが曲紹介等のトークを被せてきました。曲紹介は大事ですが、果たして曲の"キモ"をかき消してまで伝えるべき内容でしょうか。しかも曲の出だしでも曲紹介はされているわけで、本当に余計なことしてしまっています(その出だしの曲紹介の終わりが歌い出しと被ることもしばしであり、より強い違和感を抱くのです)。

 

 

これらはあくまで一例であり、近頃ではあらゆるところで音楽をぞんざいに扱う例が見られる気がしてなりません。曲の紹介者はイントロ乗せ等の技術を覚えれば、NHKブックオフは曲に被せなければいいだけの話なのです。そして音楽知識やそれ以上に音楽への愛情があれば、ぞんざいな扱いをすることに良心が咎めるはずなのですが。余裕の無さが原因かどうかは判りかねますが、ひとつはっきり言えることは、曲を大事に思っていないという姿勢が、たとえ当事者はそのつもりはなかったとしても受け手にはそう受け止められてしまう可能性があるのです。

 

 

そしてJ-WAVEに関していえば、特に上層部の方々には、昨日の『RADIO DONUTS(通称ラジド)』(J-WAVE 毎週土曜8時)の渡辺祐さんが仰っていたことの行間を読んで欲しいと思うのです。曰く"(ラジドの前の番組を担当する)ハリー杉山さん、(今月のラジド代打ナヴィゲーターを務める)浦浜アリサさん、そしてマリエさん...陽のあたる道を歩む人が増えすぎ"という、ラジオDJ専門じゃないモデルばかりが起用されていることの是非を考えていただきたいものです。尤も祐さんは自分が裏道の人であることを半ば自虐的に例えるつもりで例えたのかもしれませんし、もしくはモデルの中にも音楽知識や愛情、DJ技術に長けた方はいらっしゃると思いますが、なによりもっとラジオ向きの人を選んで欲しいですし、仮に現在の路線を貫き"陽の当たる道の人"を雇うのならば雇った人たちに最低限の知識や音楽への姿勢を身につけさせてほしいと心から思います。マリエさん自身のラジオへの資質には強い疑問を抱きますが、彼女を雇った局側の姿勢こそ問題で、最早局側は音楽への愛情や技術をナヴィゲーターに求めていないのかと思わざるを得ません。現在局のメインを張る人たちのレベルが低下していることは以前から指摘していますが、その根本に蔓延る問題を垣間見た次第です。

 

 

『SEASONS』の冒頭に愕然として、自分はInterFMのRYUさんにチャンネルを替えました。同様のリアクションをした人がSNS上に見られ、J-WAVEへの危機感を感じています。