イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

radiko新機能スタート、そして浮き彫りになる20局以上のradiko不参加

昨日10月11日火曜日、ラジオにとって画期的な【シェアラジオ】そして【タイムフリー聴取】というふたつの機能がradikoでスタートしました。

また、昨日からの一週間、民放101局で特別番組『宇多田ヒカルのファントーム・アワー』がOA開始。番組でも宇多田ヒカルさんが機能について説明しています。下記リンク先で各機能が掲載されていますのでご確認ください。

大ヒット中のアルバム『Fantôme』の制作秘話のみならず、最後にかけた曲に個人的に驚き、そしてもしかしたらその曲が今回の『Fantôme』の原点ではないかと勝手ながら解釈した次第。

 

それにしても宇多田ヒカルさんの予言、そして呼応したradikoの対応にはただただ感謝するばかり。

彼女が約2年半前(2014年3月)、ラジオレギュラー番組「KUMA POWER HOUR with Utada Hikaru (InterFM)」最終回のエンディングでこのように語りました。

「今後、ラジオが例えば、番組が放送されたあと一定期間ストリーミングでネットで聴けるとか<中略>そうゆうようなポジティブな変化が今後どんどん進んでいくといいなと思っています。ラジオと現代の生活スタイルとか、他のメディアをこう全部繋げるような変化があるといいな」と。

今回、「タイムフリー聴取」「シェアラジオ」というラジオメディアの大きな転換点で、この特別番組はそのアンサーとしてラジオ側が宇多田ヒカルからの提言に対して応えたものでもあります。

・上記リンク先より

テレビが未だ地域格差が根強い中、ラジオは地域の垣根を越え、どんどんユーザー(リスナー)フレンドリーになっています。現行著作権がネット時代に合わないと思うので個人的には再構築が必要とすら思っているのですが、そんな雁字搦めの状況下でよくぞここまで...と嬉しくなります。

 

 

とはいえ。

シェアしようと思った矢先、ラジオの”地域格差”をまざまざと実感させられました。それは未だ21局もの放送局がタイムフリー聴取未参加なのです。上記特別番組のリンク先の下部で”タイムフリーで聴く”を選べないところが該当局であり、東北や四国、沖縄に多い印象。都道府県単位となると秋田県香川県・宮崎県がタイムフリー聴取不可であり、またほとんどの局でradiko自体不参加という事態なのです(ただし、宮崎放送radikoプレミアムに参加しており、なぜタイムフリー聴取不可なのかは不明)。

正直言ってradikoを未だ見送っている局の姿勢は、個人的には納得出来るものではありません。いや、radikoサービス開始の際には多額の費用がかかるだろうことは容易に想像が出来ます。が、radikoの認知度(およびプレミアム会員数)が徐々に上昇し、そして今回画期的なサービスがはじまった上にその記念番組で宇多田ヒカルさんが何度も言及している新機能-つまりradikoがあってはじめて楽しめるそれら機能-を楽しもうにも楽しめないというのは悲し過ぎます(民放FM・AM局双方がradiko未参加だとしてもラジオNIKKEIはあるので、たとえば先述した秋田県などのユーザーは一応機能を試すことは出来ますが)。radiko不参加は単にユーザー(リスナー)アンフレンドリーであるのみならず、たとえば東日本大震災直後に県外へ避難した方や現地の情報を知りたいと思う方に向けてradikoが被災地のラジオ局を(プレミアム開始前に)エリアフリーにして多くの人を安堵させた経緯や経験を未だ理解しようとしていないのではないかと考えると、ラジオの重要性を無視した判断は無礼と言わざるを得ません。他にも、たとえば旅行しようと思い秋田の竿燈まつりの情報を仕入れるべくradikoプレミアムで聴きたくとも聴けないため旅行先を変更する例も(極端ではありますが)あり得るため、地方のファンになる人を獲得する機会を逸することになるかもしれません。

 

自分が見聞きしたものとして、たとえばある放送局においては最近、匿名掲示板において財政難が囁かれています。そのようなことはないと思いたいですが、radikoがここまで浸透してきた状況においても不参加であることは、予算がないと思われてもおかしくないのではないでしょうか。FM局ならば他サービス(ドコデモFMLISMO WAVE)で聴けるところもあるかもしれませんが、radikoが一歩抜きん出たサービスを行っている状況を勘案すれば、radikoへの参加が、悪い噂を払拭するという意味でも必要なことと考えます。

 

 

radikoが進化の一途をたどる以上、radiko不参加が局自体のイメージ悪化を招く可能性はより強くなるでしょう。不参加局の、主に上層部の意識改革こそ急務かもしれません。

 

 

ちなみに。radikoの新機能について、昨日のあるradiko(プレミアム)聴取可能局の番組に、機能を試したリスナーの方からメールが届いたものの、男性パーソナリティが”機能の概要書いて送ってくれ、やり直し”と半ば突き放すように言っていたのはさすがに唖然としてしまいました。たしかにメールの文章は機能を知らない人には解りにくいものでしたが、そういう新機能を一切触れようとしない番組の憮然とした態度こそ釈然としません。その番組は男性パーソナリティによる女性アシスタント弄りやリポーターへの冷たい対応も目立つ印象があり、相手が明るいキャラクターだからまだ和やかな空気に感じられるものの、言われている言葉を冷静に精査すればいかに酷い内容が羅列されているかが解るというもの。果たして言っている本人は解らないのでしょうか。そしてラジオの画期的な機能がはじまった日にきちんと触れようとしない姿勢には、そのパーソナリティにラジオを背負う資格がないようにすら感じてしまう自分がいます。

 

それと、シェアラジオやタイムフリー聴取の機能を”行うことが出来ない番組”も存在するそうです。理由は定かではありませんが、仮にその理由が著作権云々ではなく何かしらの”エゴ”によるものだとしたら、そのエゴこそラジオ全体の未来の足枷になっているものと捉えても差し支えないでしょう。そういうエゴの変革もまた求めたいと思います。