イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

レコード大賞を責めるよりもまずやるべきことがある

今回はある報道への私見を。表題が答えの全てではありますが。

 

 

こういう記事が出た昨日、”レコード大賞出来レース”だとか、”ハナから信用していなかった”という言葉がSNSを介して、目に耳に飛び込んできました。ジャーナリストの津田大介氏もこのようなことをつぶやいています。

『今更買収があったと聞いても別に驚きはしない』という言葉に強い違和感を抱いた次第。その違和感とは、レコ大を非難する人も含め、記事元になんら疑問を抱かず鵜呑みにしている点。とりわけジャーナリストであれば、そして音楽の分野に精通する方ならば、その信憑性を確認すべく深掘りする立場にあると思うのですが。

 

ただ...それ以上に考えてしまったのは、こういった業界に精通している方や社会的地位のある方、さらに市井も含め、誰一人として(と言っても過言ではないくらいに)、”レコ大をどう変えるか?”、もしくはレコ大の立て直しも含め”日本にきちんとした権威ある賞を用意するには?”を考えようとする人、そういう議論を進言、提言する声が聞かれないのが、はっきりいっておぞましいなと。”レコ大は信用できない”と今回の問題に乗っかって安易に言う人が多すぎる一方で、”レコ大に代わって日本版グラミー賞創設したらどうか”などと誰も言わなかったり、似た現象としてオリコンチャートと社会的ヒットとの乖離においても”オリコンの順位とか、いくら売れたかとかもう関係ないよね”と放言する一方で”複合指標を用いてより社会的ヒットとの乖離がないビルボードジャパンのチャートがもっと普及していいんじゃないの?”という声が聞かれなかったり…より正しい答えはあるでしょうが、まずは提案したり議論する風潮、空気を醸成させようとすることはまず見られないんですよね。今回のように問題が誰かの手で噴出した時に限ってこぞって非難するばかりというのはちょっと無責任すぎやしないか?というのが個人的な本音です。音楽を評価する指標がレコ大やオリコンではないと思っている人は多いはず。ならば新しい基準の創設もしくは今まで標準と思っていたものの修正や差し替えでもって早いうちに新指標を用意しないと、日本だけがどんどん”量と質の乖離”甚だしくなっていくばかりだと思うのですが。

なお弊ブログでは、チャートにおいてはオリコンよりもビルボードジャパンのほうが社会的ヒットが見える(分かる)と考えています。賞レースについては日本版グラミー賞の創設が必要だと思っていますが現実的な落とし込みを行うならば、少なくともレコ大の”放送局の定期的変更”、”放送時期の変更”を行うだけでも変わっていくのではないかと考えます。一”局”集中が避けられるため権威の偏りが減ったり、年末の慌ただしい時期を外すことで(今回の報道が仮に正しいと仮定するならば)今回の問題の肝になっている年末年始プロモーションを切り離すことが可能となるでしょう。

 

 

責めるよりもまずやるべきこと...それは市井の一人間であれども、前向きな提言をすること。そのほうが音楽業界の未来につながると思います。SNSを介して上に直接届きやすい社会になっているわけですから発言はどんどんすべきかと。問題は市井が、まして社会的地位のある方が後ろ向き発言を平然と行うことこそが未来を暗くしているのではないか...と本気で思うのですが。