イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ビルボードジャパン最新チャート、ロングヒットの可能性を秘めたループソング

ビルボードジャパンのソングスチャート(JAPAN Hot100)を定点観測。個人的に気になる部分をピックアップしていきます。

 

昨日発表された、2月27日付最新チャートはこちら。詳細については下記のチャートトピックスを参照してください。

首位獲得曲の総合ポイント数は28000台。CDセールスに比重が高い気がするのですが気のせいでしょうか。

さて今回の個人的注目は、AAA「MAGIC」。鈴木おさむ氏が脚本を務めるドラマ、『奪い愛、冬』(テレビ朝日系 金曜23時15分)の主題歌のために書き下ろしたという楽曲。ドラマは視聴率以上にマニアック受けしている印象があり、たとえば星野源さんも大好きなようで、『ミュージックステーション』や『星野源オールナイトニッポン』(ニッポン放送 月曜25時)でも語っています。

みやーんさんの書き起こしを拝借させていただきましたが…この水野美紀さんが夢に出そうなくらい怖いです。

 

さて「MAGIC」。1月18日に配信先行でリリースされ、翌々週にシングルCD化、さらに今週2月22日には同曲を収録したオリジナルアルバム『WAY OF GLORY』を発売…と怒涛の攻勢をかけているゆえ、今後はアルバム先行曲としてラジオでかかることも増えてくるかもしれません(そのラジオにおいて、他部門でトップ10入りしているのに対しラジオエアプレイのみ24位と伸び悩んでいる印象があります。詳細はCHART insightを参照してください)。ラジオエアプレイが伸び、アルバムが好セールスを記録すれば「MAGIC」のロングヒットが期待出来るでしょう。

 

この「MAGIC」、メロディラインが特にサビ前半と着地点においてJ-Popらしいなと思いつつも、安易な落とし込みになっていないように聴こえるのは、ウワモノに使われているアルトサックスが、コードを変えることなく繰り返される”ループ”ゆえでしょうか。

SNSでこのループについて書いたところ、”安室奈美恵「FAST CAR」(アルバム『Past<Future』収録)を思い出した”という声があり、納得した次第。

このサックス等のループによるウワモノで有名どころといえばやはりこれでしょうか。

この曲のサビはメイシオ&ザ・マックス「Soul Power 74」(→YouTube)の一節を元に構築。ゆえにサックスに合う曲が出来たのですね。「Get Right」のプロデューサーであるリッチ・ハリソンはかつてあのビヨンセ feat. ジェイ・Z「Crazy In Love」を作っているのですが、そこではシャイ・ライツ「Are You My Woman? (Tell Me So)」(→YouTube)の印象的なイントロでのブラス隊を用いており、ハリスンは管楽器をより印象的に使うのに長けたプロデューサーといえるかもしれません。

管楽器をループしてウワモノに用いることで曲に立体感や浮遊感が生まれますし、純粋に格好良さが増すわけです。「MAGIC」の場合は妖しさもプラスされ、より曲を、そして曲を用いるドラマを濃密に彩ることに成功しているといえそう。メロディとループが少し分離しているように聴こえつつ、それすら癖になってくるから不思議なものです。