イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

自分が好きな曲が世間とズレていると思う事案

昨夜ふと思い出したこの曲。実はアルバム未収録のバージョンのほうが好みだったりします。

宇多田ヒカルAddicted To You (UNDERWATER MIX)」(1999)

表題曲のうち、”UP-IN-HEAVEN MIX”がオリジナルアルバム『Distance』(2001)およびベストアルバム『Utada Hikaru SINGLE COLLECTION VOL.1』(2004)に収録されながら、このバージョンに関してはシングルのみの収録となっており、若干手に入れにくい状況といえるかもしれません。両方ともジミー・ジャム&テリー・ルイスによるプロデュース。ちなみに”UP-IN-HEAVEN MIX”は下記に。

”UP…”がハープ的なウワモノの効いたオリエンタルなアレンジ(それこそ当時、ブランディ&モニカ「The Boy Is Mine」(→YouTube)を大ヒットに導いたロドニー・ジャーキンス的な仕様。後にロドニー自身が宇多田ヒカルさんのシングル「タイム・リミット」(2000)に参加しています)を施し当時の流行に即したものであるのに対し、”UNDERWATER…”ではジャム&ルイス自身がプロデュースしたジャネット・ジャクソン「That's The Way Love Goes」(1993)を彷彿。動画サビ、1分46秒から挿入される音とかまさにジャネットのそれ。このアレンジをはじめて聴いたとき、R&B好きな自分は歓喜したものでした。「That's…」はリリースされた瞬間からクラシック化したといっても過言ではなく、ゆえに”UNDERWATER MIX”は(”UP…”の流行に即したのとは逆に)タイムレスと表現していいでしょうね。

2つのアレンジともにR&B的ではありますが、より流行りに乗っかった方をメインに選んだのは当時の時流を踏まえ、よりセールスをあげるためには自然のことではあるでしょう。とはいえ埋もれさせたくない名バージョンですので、ひとりでも多くの方に”UNDERWATER MIX”を手に取ることをお勧めします。

シングルCDは中古で100円台で手に入れること出来るかもしれません。

 

 

そういえば自分が好む曲が世間の支持とずれることは往々にしてあることだったりします。たとえばMISIAさんについては、1999年に同時発売された2つのシングル、「忘れない日々」と「sweetness」で後者が好きなのですが、セールス面では前者が4位、後者が7位(いずれもオリコンより)と差が開いたのみならず、15周年記念ベストアルバム『Super Best Records-15th Celebration-』(2013)には「忘れない日々」が収録されたものの「sweetness」が未収録というのは残念で仕方ありません。

実はこの考えは以前も記載していました。

日曜ラジオのスタッフと、”昔はシングル同時発売ってよくありましたよね”という話をした際に「忘れない日々」と「sweetness」も話題に上がったのですが、その際のスタッフからの、”もしかしたらJ-PopとR&Bという異なるタイプの楽曲を同時発売してセールスの結果を見ることで、今後の方向性を見極めようとしてたんじゃないか?”という意見に納得。なるほどもしかしたら「忘れない日々」の成功がMISIAさんの分岐点になったのかもしれませんね。