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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ビルボードゴスペルソングスチャートに異変、新人”以前”の歌手が初登場首位

昨日は総合ソングスチャートの速報をお送りした米ビルボードチャート。そちらは凪の状態でしたが、一方でゴスペルソングスチャートでは大きな変化が。最新6月3日付ホットゴスペルソングスチャートでは16週連続で1位を続けていたJJ・ヘアストン&ユースフル・プレイズ「You Deserve It」が陥落、新たに首位に立ったのがクリス・ブルー「Take Me To The King」だったのです。しかも初登場! 同チャートで初登場首位というのは極めて珍しいのではないでしょうか。

その曲の動画は下記に。もしかしたらタイトルを聴いて”あの曲?”と思った方もいらっしゃることでしょう。

「Take Me To The King」は5年前にタメラ・マンによってリリースされ、ゴスペルソングスチャートを制した楽曲。あのカーク・フランクリンが提供しています。

そして先程の動画でお分かりかもしれませんが、クリス・ブルー版はアメリカのオーディション番組『The Voice』USシーズン12の準決勝にて披露されたもの。放送直後にダウンロード等が開始された模様で、その影響で初登場にて1位に躍り出たという次第。

元々オーディション番組発のヒットは、今のオーディション番組の人気の火付け役となった『American Idol』発が多く、クレイ・エイケン「This Is The Night」を皮切りに数曲が総合チャートで初登場1位を獲得しています。一方、ゴスペルにおけるオーディション番組は先述したカーク・フランクリンが関わった『Sunday Best』(2007-2015)がありましたが、多岐にわたるジャンルを手掛ける『The Voice』からゴスペルチャートに登場というのは意外、ましてや初登場で首位とは...と驚きました。ちょっと言い方がよくないかもですが、新人”以前”の方がチャートを制したという形になります。

 

クリス・ブルー、Twitterのプロフィール欄には”Gospel/Pop&Soul Singer/Songwriter”等と表記。真っ先にゴスペルと書いているということは、仮にメジャーデビューに至ればゴスペルを主体に活動するということかと思いきや、決勝で披露したのはジャネット・ジャクソン「Rhythm Nation」のカバーでした。

優勝するかも不明ですし、メジャーデビューするかどうかもわかりませんが、『Sunday Best』終了の今、新たなゴスペルスターが生まれるかもしれないこの状況を見守ってみようと思います。

 

そして、今この混乱に満ちあふれてしまった時世において、ゴスペルをはじめとする希望の歌が怒りに勝ってくれたなら...と、個人的には強く願っています。