face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

首都圏ラジオ全局個人視聴率の低下と、その詳細を考える

昨日のエントリー掲載以降、ブログへの訪問数が急激に増えています。多くの方が4月の聴取率調査結果を知りたがっていること、そして未だ発表されないことへの疑問という、何よりの証拠でしょう。

エントリーの最後で、TwitterにてTBSラジオ公式アカウントに向けて質問を投げかけたことを紹介したのですが、先方からは何のリアクションもありません。勿論想定の範囲内でしたが、なんだか寂しいですね。とはいえ、疑問や不安等があればSNSを介して直接やり取り出来る時代になっており、今後もダイレクトに質問する等の姿勢は変えずにいようと思います。

 

 

今日は、首都圏のラジオ局全体の聴取率についての私見。

最近よく、ラジオ離れが進んでいるという声を耳にします。先月、聴取率調査週間中に放送された『ぼんやり審議会』(TBSラジオ)では、特に若者におけるラジオ離れについて時間を割いて取り上げていました。弊ブログでも紹介しています(が、このエントリーでは同番組で”コサキン”を取り上げない問題がメインとなっています)。

さて、昨日の記事で引用した2017年5月24日(水)第15685号|映像伝送と通信のSIer:伊藤忠ケーブルシステム株式会社の中に、『全局SIU、前回値と同率の5.6%』とあります。このSIUとはセッツインユースの略であり、各局の個人聴取率を合算したもの。この数値が前回2月の調査結果と同じであるということでしたが、前回の5.6%という数値は、確認可能な範囲内でみる限り過去最低、なのです。過去最低...となると、先述した『ぼんやり審議会』で議論された危機感は各局共通の認識だということが如実に想像つきます。

上記記事は非常によくまとめられており、東日本大震災発生前の2011年2月調査以降における全局個人聴取率の推移がグラフ化されています。震災発生からおよそ1年間は7%前後をキープしていたもののその後は6%台で推移、2014年に入り落ち込んだ結果一時は5.7%を記録。2015年12月に6.5%まで急激に回復したものの今年に入り6%を大きく割り込んだ…というのが今に至る大まかな流れ。東日本大震災発生後の全局個人聴取率の上昇は、震災によってラジオが見直されたことを意味する(と同時に、震災の影響が少なくなるにつれラジオ離れが発生した)ことは上記サイトで言及されていますが、たとえば2015年12月調査での大きな上昇は、同月にTBSラジオニッポン放送文化放送がFM補完中継(通称"ワイドFM")を開始しており、そこであらためてラジオが注目を集めたからではないかと個人的には推測しています。

 

この折れ線グラフを、上記リンク先で示された2つ目のグラフ、【年齢階層別】でみると興味深いことが判ります。それは、50~69歳が大きな落ち込みを示し過去最低に至ったということ。35~49歳は前回より大きく上昇、20~34歳は復調に転じ、12~19歳は若干落ちたものの震災直後が1%未満だったことを踏まえれば比較的安定しています。にもかかわらず50~69歳においては4回連続で降下し、1年前の同月比で2%以上も減っているのです。

ということは、至極単純な考えですが、もしかしたら今に至る各局個人聴取率の合算値の落ち込みは、若者のラジオ離れではなく【50~69歳のラジオ離れが原因】であると断言していいでしょう。ともすれば、調査対象外である70歳以上に至ってはもっと落ち込んでいるのではと考えるのが自然ではないかと思うのですが如何でしょう。

(ただし、若者のラジオ離れというより、そもそもラジオに接する若者自体が少ないという意味では正しいゆえ、若年層(~34歳)に関しては聴取者の裾野を広げる必要があります。)

 

 

至極単純、且つあまりにステレオタイプなイメージをぶつけるようですが敢えて書くならば、50~69歳(以下”年配のリスナー”と記載)は他の世代に比べてネット等に疎いため、radikoらじる★らじるといったサイマル放送に慣れず、また新サービス自体へのレスポンスが鈍いためワイドFMにも疎い(とはいえアナログテレビの音声を聴くことが出来るラジオを持っていればワイドFMをチェック出来るわけで、そのラジオを最も持っている世代ではあるとは思うのですが)こともラジオ離れの原因かもしれません。定年退職後も働く人が増えたことでラジオに接する機会が減ったことも遠因でしょう。がしかし、個人的には【年配リスナーが安心して聴くラジオ番組が減っている】ことがラジオ離れの原因だとふと思い至ったのです。

 

たとえば、TBSラジオでは昨年春に『大沢悠里のゆうゆうワイド』が終了し、後番組に伊集院光さん(金曜は有馬隼人さんと山瀬まみさん)とジェーン・スーさんが入りました。前任と後任には、年齢的に親子以上の差があるわけです。仮にリスナーが、自身の年齢のプラスマイナス10歳程度のパーソナリティの番組を好んで聴くと仮定すれば(出典元は不明ですがそのようなことを聞いたことがあります)、番組終了時に70代だった大沢悠里さんの番組のファンのうち60代以上の方々が、後番組に馴染むかは難しいところでしょう。とはいえ両番組ともこれまで番組別聴取率トップ10の常連であり結果は残していたのですが、たとえば『伊集院光とらじおと』(TBSラジオ 月-木曜 8時30分)は前回2月の調査において、番組スタートから続いていた番組別聴取率トップの座を局内の別番組に譲ってしまいました(4月の番組別聴取率はまだ広く世間に発表されていないため詳細は判りかねます)。この首位陥落については下記に記載されています。

そして『ジェーン・スー 生活は踊る』(TBSラジオ 月-金曜11時)は、昨日の弊ブログの記事でも紹介した『土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送』(TBSラジオ 土曜9時)の5月20日の放送後記の写真から推察するに、4月の調査ではニッポン放送垣花正 あなたとハッピー』に同時間帯の首位の差を譲っています。ラジオはスタートダッシュも勿論大切ですが、半年一年…での聴取習慣が出来ているかもまた大事であり、むしろ中長期的な結果が長寿番組になるか否かの分岐点といえます。『大沢悠里のゆうゆうワイド』からそのまま後番組にスライドした年配のリスナーが徐々に脱落していった結果、各番組のみならず、TBSラジオの、そして全局個人聴取率の50~69歳の落ち込みに表れたのかもしれません。

 

 

では、ラジオ離れを起こした年配のリスナーがどの局に行くか…というと、正直行き場がないというのが現状ではないでしょうか。単純に"年配リスナーは堅い放送局に流れる"というステレオタイプに則ってNHKラジオ第一の現状を考えてみたのですが、たとえば平日午前午後の生ワイド番組ともに、番組震災から数年で一気に主要ターゲットが年配のリスナーから30~40代ににシフトしてしまっています。午前中の『すっぴん!』(月-金曜 8時05分)は、村上信夫アナウンサーと神崎ゆう子さんが担当した『ラジオビタミン』(2008-2012年)に替わり放送開始し、そのメインターゲットは30-40代。午後の『ごごラジ!』(月-金曜 13時05分)は昨年春に『午後のまりやーじゅ』に替わって開始された番組で、午前よりは主要ターゲット層が上の模様ですがそれでも40-50代がメイン。『午後のまりやーじゅ』以前は『ふるさとラジオ』『歌の散歩道』『つながるラジオ』が放送され、『ふるさとラジオ』『つながるラジオ』は柿沼郭アナウンサーと柴原紅アナウンサーが担当、『歌の散歩道』も日替わりでアナウンサー等が担当し、より大人の雰囲気を持っていました。しかしながら『午後のまりやーじゅ』で一気に若返りを図り、今に至っています。となると、NHKラジオ第一の現在の編成(『すっぴん!』『ごごラジ!』)では年配のリスナーが馴染みにくいと考えるのは自然なことかもしれません。尤も新しいもの好きだったり若い人と触れ合いたい年配のリスナーも少なくはないでしょうが、その逆もまた多いだろうことを踏まえれば、ラジオ局漂流を起こした結果ラジオから離れた人が実は多いと考えるのは自然なことだと思うのです。

 

 

先述したように、現在ラジオ業界では『ラジオ離れをどうするか』という声が叫ばれています。しかしそのラジオ離れを掘り下げていくと、年配のリスナーが急激に離れているだけでは?という疑問に行き着きました。

ならば放送局は、ラジオ離れを食い止める(そして同時に自身の局の聴取率を上げる)ために、どのような対策を講じればいいでしょう? 第一に浮かぶのは【年配のリスナー向けの放送局にシフトする】ですが、これを行うには現在のタイムテーブルを大幅に替えなければならないでしょう。先述した『大沢悠里のゆうゆうワイド』は11時を境として前半のほうが聴取率がよかったと伺っていますが、それは後半の裏番組に『テレフォン人生相談』(ニッポン放送系)という強力な番組があるのみならず、『大沢悠里のゆうゆうワイド』の前に大沢悠里さんと同年代の森本毅郎さんが番組を担当し『森本毅郎スタンバイ!』~『大沢悠里のゆうゆうワイド』という聴取習慣(流れ)により安定して高い聴取率を得ていたわけで、ゆえに一番組だけ年配のリスナー向けにシフトさせるとその番組だけ妙に浮きかねないのです。ならば逆に、【年配リスナー以外を現状通り主要ターゲット層とした編成等を行い、年配のリスナーには局の現状に慣れていただく】のが好いのかもしれません。その上で若年層を中心にリスナーの裾野を広げ、年配リスナー層の目減り分を補完するように動かないといけないでしょう。これは今以上に全局個人聴取率の落ち込みを招きかねませんが、とはいえ今後のラジオリスナーを増やすためにはある程度の落ち込みをやむなしとして断行しないといけないことだと思います。

 

 

実は【年配リスナー層向けの放送局にシフトする】については思いついたことがあるのですが、極めて難しいというか絵空事かもしれず...ですのでまとまったらまた報告させていただきます。