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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ここにもミーゴス化? クリスチャン/ゴスペルラッパー、レクレーの最新ヒット「Blessings」

最新6月10日付、米ビルボードクリスチャンソングスチャートで2位に到達したのが、クリスチャン / ゴスペルラッパーのレクレーによる「Blessings」。R&Bシンガーのタイ・ダラー・サインをフィーチャーしたこの曲、ライムのクリスチャン的な部分を気にしないのであれば(という言い方は誤解を招きかねませんが、”聖的”なライムやリリックが悪い意味で引っ掛かる人はいらっしゃいます)、非常に格好いいのではないでしょうか。

この曲は、ビルボード総合アルバムチャートを制した『Anomaly』(2014)以来となるアルバムからの先行シングルという位置付けでしょう。ちなみに『Anomaly』からは、クリスチャンソングスチャートで1曲、ゴスペルソングスチャートで3曲の1位を輩出しています。双方のチャートを制した「All I Need Is You」は下記に。

この3年の進化?かもしれませんが、「Blessings」ではまさに今流行中の手法を取り入れています。「Bad And Boujee」で今年総合ソングスチャートを制したラッパー、ミーゴスが得意とする”二拍三連”というのがそれ。ミーゴスが二拍三連を取り入れた最初期の作品は「Versace」(2013)と言われています。

二拍三連とは、そしてミーゴスとは。

ミーゴスはトラップの隙間が多いトラックに乗せるために最適なラップのスタイルを爆発的に流行させた。それが二拍三連のフロウと呼ばれるもので、二拍の中に3つの音節で言葉を入れることで、独特のシンコペーションを生む彼らのスタイルは、2013年に発表されたシングル“ヴェルサーチ”がヒットすると、瞬く間に他のラッパー達に模倣され、最新のラップ・フロウとして広まっていった。

(中略)

二拍三連のフロウも、ダブも、本当のオリジネイターが誰なのかは諸説あるようだが、少なくともミーゴスがいなければ今ほど爆発的に流行ってはいなかったはず。

Migos / CULTURE | ミーゴス | The Sign Magazine(2017年3月16日付)より

引用した記事では『リル・ヨッティー(シカゴ)、リル・ウージー・ヴァート(フィラデルフィア)、レイ・シュリマー(ミシシッピ)、デザイナー(NYブルックリン)、フェティ・ワップ(ニュージャージー)といった新鋭ラッパー (中略) それらの新世代は、程度の差はあれど、全員がミーゴスの影響下にあると言っていい』と断言していますが、新世代ではなくとも2004年にデビューしたレクレーが、それも聖俗の壁を越えて柔軟に取り入れているわけですから、如何にミーゴスが大きな影響を及ぼしているか理解出来ますし、聖の方向へシフトさせた曲を作りチャートアクションも良好というのですから、レクレーも流石だと言えます。

 

レクレーのアルバムはしばらく先かもしれませんが、最近ではレイラ・ハサウェイの新曲「Don't Give Up」にも参加しており、もしかしたらアルバムリリースが近いゆえか露出を増やしてきているのかもしれませんね。しばらくは彼の動向に注目したいと思います。