イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

米ソングスチャート、凪の状態に飛び込んだチャート常連女性歌手

ビルボードソングスチャートを定点観測。

現地時間の6月26日月曜(日本時間の火曜早朝)に発表された、7月8日付最新チャート。ルイス・フォンシ&ダディー・ヤンキー feat. ジャスティン・ビーバー「Despacito」が7週目の首位に、そしてDJキャレドがトップ5内に2曲ランクインを果たしました。

記事は下記に。

そしてトップ10はこちら。

全体的には凪の傾向ですが、DJキャレド feat. リアーナ&ブライソン・ティラー「Wild Thoughts」が4位に初登場。しかもこのチャートアクションが結構いいのです。

 

7週目の首位を記録した「Despacito」はデジタルダウンロードおよびストリーミングの2指標で首位、ラジオエアプレイでは1ランクアップし2位に到達。ラジオエアプレイの伸びは鈍化したものの前週比6%アップの1億3400万回を記録。デジタルダウンロードおよびストリーミングが共に僅かながら数値を落としているものの、未だ完全には衰えていないことが解ります。一方総合3位のブルーノ・マーズ「That's What I Like」はラジオエアプレイで8週目の1位(前週比2%ダウンの1億5200万回)。「Despacito」が追いつくにはまだまだ差があると言えそうです。

 

4位に初登場を果たしたのは「Wild Thoughts」。

今夏アイズレー・ブラザーズとのコラボアルバムをリリースする(それも当初の発表より前倒しで、輸入盤は7月28日に発売すると後日発表した)サンタナが、プロダクト・G&Bをフィーチャーして全米10週1位の大ヒットとなった「Maria Maria」(2000)をサンプリングしたのがこの曲。

6月16日にリリースされ、デジタルダウンロード、ストリーミング共に2位発進。ラジオエアプレイの23位発進も決して低くなく、最近ではメーガン・トレイナー「No」が昨年3月26日付で記録した21位以来となる、高位置での初登場となります。

2位の「I'm The One」、そして4位の「Wild Thoughts」はいずれも、先週23日にリリースされたDJキャレドのニューアルバム『Grateful』収録曲。豪華メンバーが参加していることで話題なのですが、そこからの先行曲がジャスティン・ビーバー、リアーナというチャートアクションに長けた面子の参加曲というのがマーケティングを熟知しているかのよう。なにせリアーナは、今回のランクインでトップ10入りが通算31曲目(トップ100においては60曲目)となり、2位のビートルズまであと3に迫っているのです(なお、1位はマドンナの38曲)。一方、DJキャレドにとっては3曲目、そしてブライソン・ティラーにとっては初のトップ10入り。ブライソンにおいては3週前にセカンド・アルバム『True To Self』をデジタルで前倒し発売し(自身はこの発売を当初から予定していたものと語っています)、アルバムチャートは制している一方、ソングスチャートにおいてはこれまで「Don't」の13位が最高ゆえ、念願のトップ10ヒットといえます。ブライソン・ティラーについては以前エントリーしていますのでよろしければ。

 

それにしても、今年のチャートアクションにおける”男性上位時代”たるや。「Wild Thoughts」でリアーナがトップ5入りしたことで、実は女性歌手が13週ぶりにトップ5にランクインしたのです。

4月8日付で3位を記録した、ゼイン&テイラー・スウィフト「I Don't Wanna Live Forever (Fifty Shades Darker)」以来13週ぶりとなる「Wild Thoughts」でのリアーナのトップ5入り。これは今から45年前に記録した14週ぶり以来となる長き不在(ロバータ・フラックダニー・ハサウェイと組んだ「Where Is The Love」(1972年8月12日付 5位)からヘレン・レディ「I Am Woman」(1972年11月18日付 4位)まで)。他方アルバムチャートではこの3週、ホールジー(6月24日付)→ケイティ・ペリー(7月1日付)→ロード(7月8日付)と女性ソロ歌手が立て続けに首位に。ソングスチャートでも女性がもっと活躍して欲しいなと。

 

 

11位以下をみると、イマジン・ドラゴンズ「Believer」が4ランクアップし11位に、セレーナ・ゴメス「Bad Liar」が3ランクアップし20位に。一方、凪に近いトップ10において、今週9位にコールドプレイとの「Something Just Like This」がランクインしたザ・チェインスモーカーズは、今週遂に連続トップ10入りが60週に到達しました。タイトルホルダーであるケイティ・ペリーの69週まではあと9週...今週2ランクダウンしたこともあり正直かなり厳しいかもしれませんが、どこまで伸びるのか期待しましょう。