イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

ストークリーの新譜から辿る「I Can't Help It」な作品集

先月リリースされたストークリーのアルバム、『Introducing Stokley』が良いのです。ミント・コンディションのメンバーとして四半世紀以上活動してきた彼が遂にソロでのアルバムデビューを果たしたこの作品。先行シングルでありアルバムの冒頭を飾る「Level」が最新の米ビルボード7月22日付アダルトR&Bソングスチャートで最高となる4位に達し、またチャート上のみならず質の面でも、アルバムが好事家を中心に好評。1967年生まれで今年50歳とはとても思えないくらいの溌剌としたボーカルには驚かされます。

個人的に強く惹かれた曲は「Cross The Line」。冒頭の2小節分のベースラインがマイケル・ジャクソン「I Can't Help It」を彷彿とさせるのです。しかもサビではほんの少し「Don't Stop 'Til You Get Enough」を意識しているようで、まるでストークリーによるマイケル・ジャクソン、それも『Off The Wall』オマージュではないかとふと。しかも「I Can't Help It」は「Don't Stop ’Til You Get Enough」のBサイドに収録されシングルリリースされたということもあり、ストークリーの幼少期にはこのシングルが手元にあったのではないかと勝手ながら推測しています。

そんなわけで、今回はマイケルの名曲「I Can't Help It」とその関連曲をざっと掲載してみます。今回はWhoSampledを参考にしました。

 

マイケル・ジャクソン「I Can't Help It」(1979)

スティーヴィー・ワンダー等による曲提供、プロデュースはクインシー・ジョーンズ。日本の歌謡曲じゃあり得ないメロディの浮遊感と着地の仕方(というか、永遠に続くかの如きサビの旋律)には衝撃を受けたものです。この曲に関する素晴らしい考察等が記載されたブログを勝手ながら紹介させていただきます(問題があれば削除させていただきます)。

ちなみにスティーヴィーによるセルフカバーもありますが、CD収録版なのかは不明です(→こちら)。

 

エスペランサ・スポルディング「I Can't Help It」(from『Radio Music Society』(2012))

グラミー賞最優秀新人賞受賞歌手によるカバー。ベース弾きゆえか、ベースが印象的なマイケル曲に惹かれたのかもしれませんね。適度な崩し方がいかにも。

 

・テラス・マーティン「I Can't Help It」(from『3ChordFold』(2013))

アルバムの”ヒドゥントラック”(アルバム本編終了後に流れる)として収録された作品。ケンドリック・ラマーの出世作『good kid, m.A.A.d city』をはじめ、今やヒップホップ、ジャズ、R&Bとジャンルレスに活躍するプロデューサーによる、センス溢れるカバー。

 

ダヴィーナ「I Can't Help It」(from『Best Of Both Worlds』(1998))

クールな質感を持ったR&Bが登場したなあと、当時彼女のサウンドを聴いて実感したものです。メジャーからはこの1作のみで、2007年にはセカンドアルバムをリリースした模様。このカバーでは原曲の輪郭をよりくっきりさせているように思います。

 

メアリー・J・ブライジ feat. ジェイダキス「Sexy」(from『Mary』(1999))

オリジナルの大胆過ぎる引用で、ある種カバーと言っても過言ではない作品。ジャケット写真で傷口を曝け出したことで、音楽面そして精神面でも転換点となったであろう傑作アルバム、『Mary』収録曲。

 

・インプロンプ2「Summer Nights」(from『You're Gonna Love It』(1995))

モータウン傘下のジャズ・フュージョンレーベル、モージャズからデビューした男性2人組による、この時期にピッタリのナンバー。オケをほぼそのまま拝借というのはズルいと思いつつ、原曲が好いので抗えないんですよね。

 

 

そういえばストークリーの「Cross The Line」のクレジットをブックレットで確認すると、サンプリング等の記載はなし。アレンジはストークリー本人。彼の音楽面のルーツにマイケルがあるだろうからこそ自然とああいうアレンジになったのかな...そう勝手に解釈しています。