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旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

デボラ・コックスとリミックスの相性の良さ、2017年版

ビルボード、総合ソングスチャートが長らく凪に近い状態の中、クラブでの人気曲を示すダンスクラブソングスチャートは目まぐるしく変化。ほぼ毎週のように首位が入れ替わるのは、如何にクラブDJや観客が流行に鋭く反応し、ゆえに新曲へのニーズが高いかが解ろうというもの。

そんな中、8月5日付チャートで9ランクアップの14位に急上昇したのがデボラ・コックス「Let The World Be Ours Tonight」。

ツイートの発信源であるラディカルレコードは今回のリリース元となるインディレーベルです。

デボラ・コックスは”ポスト・ホイットニー(・ヒューストン)”として1995年にデビュー。その際はポップ寄りなR&Bが受けなかったのかスマッシュヒットに留まりますが、しかし1998年のセカンドアルバム『One Wish』からのシングル、「Nobody Supposed To Be Here」が特大ヒットに。全米最高2位ながら1999年の年間チャートで9位という大成功を収めています。このシングルにはヘックス・ヘクターによるリミックスが用意され、1998年秋にダンスクラブソングスチャートで1位を記録。

リミックスは下記に(ただし元来のバージョンは10分を超える長尺版)。

 

”歌える”歌手はリミックスのオケに映えること、そして当時の所属レーベルだったアリスタがリミックス版の制作に精力的だったこととが合わさって、デボラ・コックスといえばダンスリミックスというイメージを持つ方は少なからずいらっしゃることでしょう。実際、ダンスクラブソングスチャートでは10曲以上で1位を獲得しているのです。その期待に応えるかのように、今回の新曲のリミックスも凄いことになっています。たとえば。

レーベルのYouTubeアカウントに掲載されているのは(現段階で)3種類。しかしこの曲には上記を含めなんと10バージョンも存在するのですから物凄いですね。

おそらくは配信のみのリリースに留まるでしょうが、それでもこういうシングルの複数リミックスを用意してくれるというのは嬉しいものです。クラブDJにとっては好きなバージョンでかけようと思いますし、リミキサーにとっては大ヒットを飛ばす彼女の作品を手掛けることで箔がつきます。日本ではリミックス集自体が減っていると先日【Diggin'】今や希少価値? 2010年代にリリースされた1組の歌手によるリミックス集(7月14日付)で書きましたが、クラブフレンドリーな対応を行ってくれるデボラの活動はもっと評価されるべきではないかと思うのです。