face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

【Diggin'】J-Pop × ゴスペル...あの人を軸に各プロデューサーの作品を追う

今週リリースされた作品の中からひとつをピックアップ、より広くより深く掘り下げていこうというのが【Diggin'】。

さて今週、R&Bを得意とする実力派日本人プロデューサーが共にゴスペルアプローチの楽曲をリリースしました。【ゴスペル×J-Pop】のプレイリストは4年半前に一度掲載しています。

上記では、冒頭で自分なりに【J-Pop × ゴスペル】の定義を『心を解放させてくれる、前向きになれる曲』と書いたのですが、あらためて定義を具体的に書くならば、

① 歌詞が前向き、希望に溢れている

クワイア(コーラス)が参加したり、ボーカルが多重録音されている

③ ハンドクラップが入っている

④ 転調がみられる

(③・④はあればなお良し、という感じでしょうか)

こういうことではないでしょうか。

 

 

さて、2年前のプレイリストで取り上げた安室奈美恵「PINK KEY」はNao'ymt氏によるプロデュース(Nao'ymt氏のホームページはこちら。”WORK”に作品群が掲載)。Nao氏は安室さんのダンサブルなR&Bの方向性をより強固なものにする礎を築いた方ですが、まさかゴスペルアプローチが出てくるとは思わず、驚いた記憶があります。

 

そのNao氏が安室さん同様、深く関わってきたのが三浦大知さん(最新アルバム『HIT』でもプロデュースを担っています)。その三浦さんが今週リリースしたシングル「U」収録の一曲、「Life is Beautiful」でプロデュースを務めたのが、三浦さんと旧知の仲であるUTA氏(ホームページはこちら。下記”DISCOGRAPHY”に作品群が掲載)。この曲も前向きなメッセージソングですが今のトレンドを取り入れたアレンジおよびサッカーアンセム的なコーラスが施されており、ゴスペルアプローチという面ではむしろこちら。

渡辺直美さんが主演を務めるドラマ、『カンナさーん!』(TBS系 火曜22時)の主題歌として、放送日である8月1日に配信リリースされました。

歌詞はこちら。AIさんといえばゴスペル...というのは上記リンク先でも紹介していますし(「ハピネス」のプロデュースもUTA氏)、そもそも彼女の歌唱における突き抜け感、そしてポジティブで眩しいキャラクターがゴスペルにピッタリ。サビのラストに”We can fly”というフレーズが力強く謳われているのを聴いて、バラードであれどR.ケリーのゴスペルアプローチな「I Believe I Can Fly」(→YouTube)を思い出した次第。

 

 

そして、8月2日にリリースされたのが、声優として活躍する宮野真守さんのアルバム、『THE LOVE』。そのラストを飾る「POWER OF LOVE」も、まさしくゴスペル。

歌詞はこちら。そしてGYAO!ではフルバージョンが公開。動画の45秒あたりでいきなり転調というのが面白いですね。

この曲を手掛けたのは、以前から宮野さんとタッグを組んでいたSTY氏(ホームページはこちら。下記”WORKS”に作品群が掲載)。

STY氏が手掛けた、三代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEのヒット曲等に挿入される\フォーン/という音(個人的にプロデューサーによる”音の刻印”と呼んでいます)が「POWER OF LOVE」にも入っているので、これはSTY氏の曲だと解る方は少なくないでしょう。ちなみに宮野さんもこの曲について、きちんとゴスペルであると言及。

個人的にSTY氏のプロデュース作品の中で大好きな曲のひとつがARIA「Don't you」(2006)。

エイメリー「1 Thing」(→YouTube)を邦楽に巧く取り込んだナンバー。STY氏は最近、エイメリーのファーストアルバムを絶賛するツイートを発信しており、音楽の幅を広げながらもR&Bが氏の基本にあることが伺えます。

 

 

これらの楽曲が、偶然にも同じ週にリリースされていたことは非常に面白いこと。更には、UTA氏と同じプロダクションに所属するMANABOON氏(ホームページはこちら。下記”DISCOGRAPHY”に作品群が掲載)もゴスペルアプローチが多く、そちらについては以前取り上げています。

歌い手は異なれど、ライブ動画もありました(歌詞はこちら)。

 

 

Nao'ymt・UTA・STY・MANABOON…各氏はいずれも日本でR&Bが浸透してきた、日本人歌手がR&B的アプローチを行ってきた頃から活動し、R&Bを邦楽の一ジャンルとして根付かせてきた方々。そんな彼らには共通して、(R&B自体のルーツでもある)ゴスペルが源流にあり、時折原点に立ち返ろうとしているのかなとふと思った次第。

そして先述したNao'ymt・UTA両氏のみならず、STY・MANABOON両氏も三浦大知さんと仕事をしています(各氏と三浦大知さんの名前とを共に検索にかけるとわかります)。三浦大知さんの楽曲にはポジティブな力に溢れた楽曲が少なくないのですが、そのうちド直球なゴスペルナンバーが届けられるかもしれませんし、どなたかが手掛けてくれると嬉しいなと思っています。

実際、先述したUTA氏による「Life is Beautiful」(歌詞はこちら)のアカペラ映像(下記8分15秒頃から)からは、曲に強い説得力が宿っているのをひしひしと実感します。同曲を、たとえばバラード化させてゴスペルクワイアを取り入れる別バージョンを作成するのも面白いかもしれませんね。