face it

青森県在住。毎週日曜日17時から、FMアップルウェーブ発の番組の一員として参加。音楽・ラジオ好きによる"日々の音"やメディアの話

”Breathe”が訳しにくい問題と、色褪せない”Breathe”ソング

今週アルバム『ダンサブル』をリリースしたRHYMESTERのメンバー、宇多丸さんがパーソナリティを務める、『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(TBSラジオ 土曜22時)。先週2日、番組内の映画評論コーナー”ムービーウォッチメン”で『パターソン』を紹介した際、一部日本語字幕に疑問というか提案していた箇所がありました。

まさに、永瀬正敏さんが登場するセリフの中で、これは字幕の訳だと「詩は好きなんですか?」って聞かれて「詩は私の全てです」っていう日本語訳になっているんだけど、これ、元でなんて言っているかっていうと、「私は詩を呼吸しています」って言っているんですね。こっちの方がやっぱりこのテーマに合っていると思うんですよ。詩を、呼吸するように、ポエティックな見方をすると。そして、そういう営みの蓄積としての、人類の文化。その一部として、我々の営みがある。その、人類の文化史っていうすごい大きなものとも、我々の日々の営みは呼応しているんだ、という。

【映画評書き起こし】宇多丸、『パターソン』を語る!(2017.9.2放送) - ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル (9月5日付)より

呼吸する…英訳すると”Breathe(ブリーズ)”という言葉、日本では”Breath(ブレス)”こそ認知されている(であろう)言葉ながら、動詞となるとそこまで知られていないのではないかと思うのです。プリーズ(Please)と勘違いする人もいるのでは?とすら(尤もBreatheとPleaseではRとLの発音が根本的に異なりますが)。

 

この映画評を聴いて、”Breathe”がタイトルに用いられた曲を調べてみたのですが、洋楽に結構多く存在することに気付かされます。いや、日本でも息の曲は少なくないものの、”ため息”や”吐息”、単に”息”という名詞(および”Breath”)が用いられる曲はありますが、動詞となると洋楽に比べてかなり少なくなり、なかなかおもしろい対比だなあと思うのです。また、”呼吸”という名詞が用いられている曲もありますが、動詞になるとこちらもほとんどありませんでした。

ちなみに、”Breathe”で真っ先に思い出したのはこの曲。

デビューアルバム『Toni Braxton』(1993)からのシングルカットで、初のトップ3入りを果たしたシングル(最高3位)。さすがは美メロ職人、ベイビーフェイスによるソングライト、発売から四半世紀近く経ちますが色褪せることはありません。この曲には「熱い吐息」という邦題がつけられ、国内盤アルバムタイトルにもなりました。

 

ですが、歌詞を見ると吐息という言葉はしっくり来ない気がするんですよね。一方、”私は二度と呼吸しないでしょう”と直訳すると、なんて大袈裟な!とも思われかねず…ゆえに邦題設定も苦労したんじゃないかなとお察しします。”Breathe”が日本で用いられにくいのは、訳すと大仰になりすぎかねないゆえに敬遠する傾向があるからかもしれません。