イマオト - 今の音楽を追うブログ -

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藤井隆『light showers』から90年代の名曲を想起する

藤井隆さんが今週リリースしたアルバム、『light showers』が素晴らしいのです。溢れる90年代感、そしてそれを猛烈に形に示した"プロモーション"も含めて。 

(勝手ながら引用させていただきました。問題があれば削除させていただきます。)

面白いのは、90年代前半に"ジャンパー当たる!"というキャンペーンを実施していたサントリーBOSSが、このタイミングで再度ジャンパーが当たる企画を展開。

偶然とはいえ、なんという見事なタイミングでしょう。

 

さて、音楽ナタリーのインタビューで、今作のプロデュースを務めた冨田謙氏は『狙って90年代感を出してるものとは違う』と語っています。たしかに楽曲から安易にこの曲が連想されるということはないのですが、『light showers』からは90年代の名曲の薫りを感じるものが少なくありませんでした(だからこそ架空CMにBGMが合わさった時により説得力が高まったはず)。というわけで、あくまで個人的にと前置きした上で、想起した楽曲群を掲載してみます。

 

・キャンディ「Don't Think I'm Not」(2000)

いきなり2000年の曲で申し訳ないのですが、アルバム冒頭を飾る「Going back to myself~再生のリズム~」が唯一のバラードアプローチながらサビでBPMが倍速になるように聴こえるというその展開が、元エクスケイプ(今夏活動再開)のキャンディによるこの曲を想起。

また、歌詞のテーマである"再生"からは、曲調こそ全く異なりますが中森明菜「Dear Friend」(1990 リンク先はYouTube)を思わせます。「Dear Friend」が彼女の活動再開曲になっているという意味合いを踏まえれば尚更。

 

・ANRI(杏里)「嘘ならやさしく」(1991) 

先行配信された「守ってみたい」の持つアーバンな空気感を携えたのはこの曲ではないかと。これも歌詞のアプローチは全く異なりますが、実は昨年12月の『星野源オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のカラオケ企画にゲストで登場した藤井さんがセレクトしたのがこの曲で、「守ってみたい」を作り上げた頃にきっと頭の片隅にこの曲があったのではと思ったり。

 

・クリスタル・ウォーターズ「Gypsy Woman (She's Homeless)」(1991)

・マドンナ「Vogue」(1990)

ホイットニー・ヒューストン「I'm Every Woman」(1993)

西寺郷太さんが提供した「カサノバとエンジェル」はアレンジにおいてアルバム中最も解りやすく90年代感を漂わせている気がします。全体に敷き詰めた「Gypsy Woman」感、パーカッションの盛り上げ方が「Vogue」や「I'm Every Woman」のそれっぽいなと思いますし、またBメロの畳み掛ける展開はジャネット・ジャクソン「All For You」(2001)を彷彿(西寺郷太さんはマイケル・ジャクソンの著書もあるのでジャネットについても意識したのかな?とふと)。これらの楽曲をはじめとして90年代前半は特にハウスリミックスが多く登場していることから、リミックスっぽいアプローチに憧れがあったのかなと考えています。藤井さんは実際に今夏リミックスアルバム『RE:WIND』をリリースしていますし。

ちなみに「カサノバとエンジェル」の次に配置された「ドライバー」、そのイントロから想起したのはマイケル・ジャクソン「Human Nature」でした。で、同曲をサンプリングしたSWV「Right Here (Human Nature Remix)」がリリースされたのは1992年だったり。

 

 

他にも想起出来た曲はいくつかあるのですが、"これに違いない!"とまで至らなかったので現段階ではこれだけにとどめておきます。

ちなみに、アルバム2曲目の「mode in the end」に関しては...90年代感の咀嚼っぷりがベッド・インっぽいなと思うのです。下記は昨年リリースのアルバム『GOLD』からのリードトラック。彼女たちもバブルをコンセプトとしながら、KIX-S等を意識したサウンド作りを行っていて、曲自体がとにかくいいんですよね。

いつか藤井隆さんとベッド・インの対バンも観てみたい、そんな気がします。