イマオト - 今の音楽を追うブログ -

旧ブログ名:face it。音楽チャートアナライザーとして、ビルボードジャパンや米ビルボードのソングチャートなどを紹介します。

荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」がビルボード・ジャパンチャートに"今週初登場"した理由

日本の音楽のヒットを複合指標によって算出する、ビルボード・ジャパン総合ソングスチャートHot 100。最新9月25日付チャートで、荻野目洋子さんの1985年発売の大ヒット曲「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」が46位に初登場を果たしました。この快挙についてツイートしている方は(現段階で)一人しかいないのがちょっと悔しいと思い、今回エントリーに至った次第。

その方のツイート("荻野目洋子 ビルボード"とTwitter内で検索すると出てきます。一般の方と思われますので引用は控えさせていただきました)で貼られている、ビルボード・ジャパンのCHART insightで解るように、「ダンシング・ヒーロー」の期間中(9月11日~17日)の国内動画再生回数(指標)は4位。他指標でランクインしていないことから察するに、総合チャート初登場の牽引力は動画であることに間違いありません。そしてその動画こそ、ツイートで指摘されている"登美丘高校ダンス部"であることもまた事実でしょう。

ネット上ではこのバブリーなダンスパフォーマンスが数週前から話題になっていました。上記動画はブログ執筆段階で306万超の再生回数を記録していますが、アップロード日は8月29日。と考えると、「ダンシング・ヒーロー」は数週前に総合チャートに登場してもよかったはずです。なのに今週になって初登場したのはなぜか...おそらくはこの動画にあるものと思われます。

ダンス部の振付を担当するakaneさんとのなみゆさんが所属するアカネキカク(のアカウント)がアップしているこの動画のアップロード日は9月16日(つまりは集計週)。現段階で418万回再生されています。そして動画の説明文には荻野目洋子さんの楽曲名がきちんと掲載されています。そこで思い出したのは以前のブログエントリー。

上記でも引用したビルボード・ジャパンの"ビルボードジャパンの自問自答"にもあるように、『ISRCを動画アップロード時に付番』していればチャートインの対象になるということ。おそらく今回、アカネキカク側は音楽使用の権利関係をクリアし、アカネキカク側もしくは荻野目洋子さん側のどちらかがISRCを付番したことが今回の総合チャート46位初登場を果たせた理由なのだと思います。

 

今後「ダンシング・ヒーロー (Eat You Up)」は、たとえばシングルが再発等されない限り、複合指標に基づくビルボード・ジャパンの総合チャートにおいて更なる浮上を果たすことは難しいかもしれません。しかし今回の動画を機にたとえばベスト盤が売れたり楽曲単位での配信購入が増えたり、また荻野目さんの露出が増える可能性は十分あるでしょう。その意味において、総合チャートでのヒットは荻野目さんの芸能活動にとって中長期的な意味でプラスになるはず。この曲が素晴らしいダンス部に用いられなければヒットしなかったとはいえますが、ダンス部の軌跡がきちんと社会に浸透したことがビルボード・ジャパンでも示されたことで、同チャートはより社会的なヒットの鑑になったと言えます。

 

最後に。個人的には3年前のセルフカバーもまた、クオリティ高くてお勧めです。同年の私的邦楽ベストにも選びました。その理由はブログにしたためています。